あらすじ
「裏日本」の魅力満載、酒井版『陰翳礼讚』。
常に時代を先取りする話題作を刊行してきた酒井順子氏が、“控え目だけれども鋭い光を放つ”日本海側の魅力を存分に伝えるエッセイ。
経済発展=幸福と、太平洋側を「表」として走ってきた日本ですが、とくに東日本大震災以降、その構図はくずれつつあります。経済至上主義によって、私たちは、日本人にとって大切なものをたくさん失ってきたのではないかということに、多くの人が気づき始めています。
そして、その開発の手を逃れて、ひっそりとマイペースで生きてきた日本海側=「裏」には、裏だからこその日本の大切なもの=「幸せ」が、たくさん詰まっていることに、日本中を何度も旅してきた著者は魅了されました。
都道府県別幸福度ランキングでは、トップ3は福井、富山、石川の北陸三県。富山にある世界一のスタバ、日本海が必須の演歌、美人が多い秘密、谷崎潤一郎、水上勉、泉鏡花、川端康成が描いた「裏」、顔を隠す盆踊り、金箔のほとんどを生産する金沢…などなど 「裏日本」の宝ものが次々と紹介されます。「裏の幸せ」を求めて旅に出たくなるエッセイです。
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Posted by ブクログ
裏日本という言葉は差別用語のように言われ、姿を消した。しかし、著者は「裏」という言葉に秘められた、また醸し出す日本的な美しさがあること、またそれが「裏」に人たちにとっても受入れられていることを主張している。「内裏」「裏千家」など、情緒のある言葉が多いことは事実である。文学にも詳しく泉鏡花,室生犀星、水上勉などの北陸ゆかりの方々に詳細に触れているだけでなく、川端康成の「雪国」、漫画家・」柳沢きみおの「なんだかなァ人生」にも言及があり、奥深さを感じる。日本の艶歌は日本海、裏日本、傷心・涙・孤独などの薄幸の女が似合う!全く同感である。
「裏日本はそこがほの暗い「裏」であるからこそ、繊細な光が美しく輝く」「空気と景色が美しく、居心地がよくて、人々が幸せそうなのが裏日本。その裏が抱く充実感こそ、これからの日本が必要とする」「裏であるからこその幸せ」などの魅力的な言葉が煌めいている。最強美人として登場する板額御前という人は知らなかった。源平の時代の越後の国とのこと。詳しく調べてみたいと思った。この他、美人県に関わる話題、風の盆などの踊りに関わる話題など、楽しい話が満載!!