【感想・ネタバレ】三浦綾子 電子全集 泥流地帯のレビュー

あらすじ

誠実に生きる人間に自然は容赦なく襲いかかる。「苦難の意味」を真正面から問いかける感動の長編。

上富良野郊外で、開拓農民の祖父母や兄、姉、妹と暮らす耕作は、中学進学をあきらめ、小学校の代用教員として、一家の生活をわずかながら支えている。そこへ、長い間離れて暮らしていた母が帰ってくるという吉報が届く。そんなとき、十勝岳が突然大噴火、一帯を泥流が襲う……。1926(大正15)年5月に実際に起こった十勝岳大噴火を背景に、懸命に生きる人間の姿を描く感動の長編。

「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」、十勝岳中腹に立つ著者写真等を収録!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

上富良野の市街から一里以上離れた部落に住む兄弟、拓一と耕作。貧しいながらも真面目に生きていたある日、すべてを飲み込む泥流が大切なものを奪っていく。

大正15年、北海道 十勝岳噴火。

正しい者がなぜ苦しむのか、人々の苦難とこれからを描いた物語。

災害被害にあい、生き延びた者、そうでない者。
そしてこれから、生き延びたものはどう前に進むのかまでが書かれた本作。

その後の話は
続泥流地帯に続く。

0
2025年09月20日

Posted by ブクログ

何かと忙しなくて苦手な春、現実逃避がしたくてここに戻ってきた。実際の十勝岳噴火による泥流被害を元にしているので 決して明るい気分になれる話ではないし、悲しさと悔しさで涙を流しっぱなしだけれど、自分の正しいと思うことを貫き通す勇気と、誰に認められなくてもひたむきに頑張る活力をもらえる。

耕作や拓一よりも若かった初見の時から20年が経ち、もう佐枝さんの方が歳が近いのも不思議な感覚。読む度に感じるものも変わっているし、また気が向いた時に戻ってきてもっともっと深く味わいたい。

8年程前から紆余曲折あり遂に決定した映画化も本当に応援したいし、今後も古典としてずっと読み継がれていってほしい。

0
2025年04月19日

Posted by ブクログ

古い小説
なのに、読みながら充実していく感じがいい
読みやすく
わかりやすく
スピード感もあって
名作ですね

ドラマか映画にして欲しい。

0
2024年07月19日

Posted by ブクログ

初め読み始めは「第一次大戦後の古き北海道集落の貧しい話」だと思って読んでました。
途中まで「幸せとは?」とか「真面目な人間ほど苦労するのかな?」とか考えさせられながら読んでました。
で、最後の方になると、読み応えがある内容がギッシリのスペシャル。
最後は眠気も覚めて一気に読みました。
良い話かどうかわかりませんが、一度手に取って読んでもらいたい1冊です。
衝撃のラストをいろいろな人に読んでもらいたいです。

0
2024年05月01日

Posted by ブクログ

耕作が教師になって同じ境遇の子の綴り方に涙ぐむ優しさにふれる。耕作の恩師、菊川先生のようだ。
耕作が尊敬する菊川先生も、論語や聖書に精通する耕作のおじいちゃんも慈愛に満ちた人だ。もの知りなだけではない。人が学ぶうえで、生きるうえで、本当に大切なことを教えてくれる。
徴兵制のある時代、小作人が蔑まれた時代、お金のために子どもが売られた時代、そんな時代の話。読み進めるのが辛い場面、切ない場面もあるが、読むことをやめることができない。
貧しさの中、理不尽な扱いを受けながらも凛として生きていく耕作。そしてその兄、拓一。

そして十勝岳噴火、山津波。
良子は母に会えることを楽しみにしていたのに
それも叶わず亡くなった。

「正しい者」がなぜ試練を受けなくてはならないのか。深い哀しみの中、耕作の心はどうなっていくのだろうか。

0
2024年03月31日

Posted by ブクログ

生まれや育ちが貧しく貧困でも、真っ当に生きる姿に惹かれました。

四人兄妹(富、拓一、耕作、良子)育ての祖父母の言葉こそ、脈々と後世に語り継がされていくべきものですね。
愚直にも真っ直ぐ真っ当に、真面目に生きていくことの大切さ、今の世では死語とも言われても刷り込ませるべき内容だと思いました。

天災なのだからやむ無し…

それだけで片付けてはいけないだろう。

自分が生き残れたのが日頃の行いの良し悪し云々と漏らすシーンがあったが、何故あんたがそれを言うのか?他の人にとった態度、言動は問題無かったのか?
昔の設定だからその当時、その土地柄の風習もあろうが、それら度外視しても都合のよいことを言ってはならぬ。
富の義母には解せぬものを感じました。

四人兄妹の絆の固さ、仲睦まじさが目に浮かびます。
だからこそ、じっちゃやばっちゃは元より富と良子の最期が哀れでしかないですね…
特に末の子の良子が可哀想でなりません。母との再会も果たせず死に目にも見てもらえず濁流にのまれる…

誰にも罪はないのになぁ…

そして生き延びた男兄弟の拓一と耕作。
後に彼等がどうなるのかは続編にて完結するとのこと。
スタンバイは出来ていますので、早速続編に取り掛かります。

0
2024年01月21日

Posted by ブクログ

久しぶりに読んだ三浦綾子さんの作品

貧しい中
困難に立ち向かい
まっすぐ生きていく主人公に
最後に最大の試練が襲い
終了

この後どうなるのか
想像するしかない…

0
2024年01月19日

Posted by ブクログ

理不尽の一言に尽きる。丁寧に綴られてきた日々の暮らしがたった一瞬の泥流によって… 。因果応報などないという現実にどう向き合うべきかを考えさせられる。続編も出ているみたいなのでぜひ読みたい。

0
2023年12月12日

Posted by ブクログ

素晴らしかった。重厚で読み応えがあって、示唆に富む。久々にいい本に出会えた。こういう本をまた読みたい。

0
2023年10月14日

Posted by ブクログ

誰かが話題にした本が記憶に残り、気になって入手して紐解き、その本との出会いが善かったと思える場合というものが在ると思う。本作はそういう、話しを聞いて気になったという切っ掛けで出会った。そして読後に、本との出会いが善かったと余韻に浸っている。
少し長く読み継がれていて、これからも読み継がれていくであろう作品、或る意味で「古典」という趣も在る作品だと思う。
本作は上富良野町(作中の時代は上富良野村)を舞台とする物語で、実際の大きな災害の頃のことに題材を求めている。この作品を知る切っ掛けとなったのは、上富良野町の隣りである美瑛町を訪ねた経験だった。
美瑛町を訪ねて、景色を愛で、写真を撮るようなことを何度もしている。そういう中、観光協会によるバスツアーに参加して<青い池>や<白髭の滝>を訪ねることも愉しんでいる。バスツアーでは観光協会の方の御案内に耳を傾けるのが面白い。<青い池>が形成された経緯、<白髭の滝>を眺め易い橋が出来た経緯というのは、「十勝岳の噴火」を想定した防災工事ということが契機になっている。そういう話しの中、「大正時代の噴火で大きな被害が生じた経過」ということに言及が在り、その様子が描かれた読み易い小説として本作が話題になる訳である。
話題になる都度、「読んでいない小説だ…」と思い、「機会が在れば…」とも思って記憶に留める。が、「機会」とは「在れば」というモノではない。「設ける」というモノなのだ。そう思って、愈々その「機会を設けてみた」という訳である。
前置きとでもいうような、本作との出会いに纏わる話題で少しばかり文字数は嵩んでしまった。
現在では「大正泥流」というような言い方もするようだが、十勝岳は1926(大正15)年5月25日午後4時17分に噴火による「岩雪崩」という現象を起こしている。噴火時の爆発で山の一部が崩れ、高温の岩が雪崩のようになった。これが「岩雪崩」だ。熱い岩が流れ出て、高い山に残る残雪を溶かしてしまった。そうなると「火山泥流」ということになり、麓に向かって行ったのだ。「火山泥流」は森を破壊し、森の木が夥しい量の流木となり、土砂を取り込みながら、驚くべき速さで辺りを破壊してしまったのだ。
本作は、その「大正泥流」という出来事が起こる迄の一家の物語、そして終盤は出来事の起ったその時と、直後の様子が描かれることになる。
本作の主要視点人物は石村耕作である。耕作には3歳上の兄である拓一が居る。殊に子ども時代はこの兄と行動を共にしていることも多い。そして姉の富が在り、妹の良子が在る。耕作の兄弟姉妹だが、原木切出し作業中に事故で父を失っていた。母は髪結いの仕事を覚えるとして他地域へ出てしまい、兄弟姉妹は祖父母の所で暮らしていた。
物語は耕作の兄弟姉妹と祖父母、叔父や近所の人達、学校の同級生や教師、村の大人達という登場人物で織り上げられる。小学生であった耕作が次第に成長し、曲折を経て19歳の代用教員として村の小学校で勤めるようになる迄という感じの内容だ。
耕作は祖父の薫陶を受けるように育ち、或いは学んだ分教場の教師を慕うが、他方に感心しない大人達という存在も在る。何か響く内容が多く、心動かされながら頁を繰った。時に厳しく、優しさも内包する上富良野の自然の中で、少しずつ拓けて賑わいが出始めている上富良野村の市街の中で展開する物語は、様子が目に浮かぶような描写で引き込まれた。また作中人物達の会話も、自身より年長の人達の話し口調を思い出す「北海道に居る人達!」という風情が溢れて、彼らの声まで聞こえるような気がした。
作中、北海道内の地名が幾つも在る。上富良野村の範囲の地名に関しては位置関係がやや解り悪いが、旭川等に関しては「物語の舞台の大正時代の様子?」と色々と思い浮かんだ。細かいが、嘗ての函館本線の経路であった神居古潭駅というのも出ていて、嘗ての駅舎を再現した建物が在る辺りを訪ねた経過も在ったので何やら面白かった。
本作の終盤が近付く頃、耕作は教員としての路を歩み始め、一家の物語は「新たな章」に入るような様相だった。祖父が上富良野村に入植して畑を開いて暮らしを続けて30年程を経ていた。農地を一家が取得するには至らず、小作農家という立場が変わらず、経済的に豊かではないが、大正15年は穏やかな正月も過ごした。その一家が、大災害に巻き込まれてしまう。終盤は読んでいて涙ぐんでしまう感さえ在る。
作品の底流に「因果応報でもない人の人生」と「如何に向き合うのか?」というようなことが在るように思う。本作の終盤の大災害で、失われた生命も在り、そして生き残った人達が在って、生き残った人達のその後が凄く気になった。
或る意味で「古典」という趣も在る本作に、美瑛で何度も聞いたことが切っ掛けで出会えた。凄く善かったと思う。

0
2023年10月14日

Posted by ブクログ

30代に読んで40代50代と2回再読
そのくらいオススメ
読む年代で感じ方が変わりますね(深まります)
50代での再読では市村キワ(耕作達の祖母)と同い年になってしまった

生きていられる内10年一度の再読続けたいな




0
2023年08月10日

Posted by ブクログ

「おれはな耕作、あのまま泥流の中でおれが死んだとしても、馬鹿臭かったとは思わんぞ。もう一度生れ変ったとしても、おれはやっぱりまじめに生きるつもりだぞ」
どんな理不尽が襲いかかっても拓一は真面目に生き続ける、作中でのその姿勢に何度も感動させられた。
拓一・耕作兄弟と家族の幸せはもうすぐ近くというところで、この災害が起きた。泥流に迷わず飛び込む兄、拓一。厳しい環境で育った男の強さに驚くばかり、本当に昔はこんな感じだったのだろうか。
実際にあった出来事を基にした作品ならではのリアリティーを感じることもできた。迷わず続編も買ったくらいに、拓一・耕作兄弟のこれからの挑戦が気になった。

0
2023年05月07日

Posted by ブクログ

三浦綾子さんの本は結構読んだが、その中でもとりわけ素晴らしい。続泥流地帯も楽しみ。

(12/31/2021)

0
2022年01月01日

Posted by ブクログ

生きるってなんだろう。
幸せってなんだろう。

20年ぶりに再読。
三浦綾子さんの文の力強さよ。

実家の本棚のにおいを感じながら、あたたかさを噛みしめる。

0
2021年09月13日

Posted by ブクログ

ある弁護士がFBで勧めていたことをきっかけに手にした1冊。遠藤周作は何冊も読んだが、三浦綾子は初体験。もしかして最初にして彼女の最高傑作を読んだかもしれない。
 特に東日本大震災を体験した今となっては、天災はかくもありきと身をつまされる筆力に脱帽。続泥流地帯とセットで読むべきです。
 私がはっとさせられたキリスト教?宗教観は次のとおり。こんないい小説を紹介してくれたある弁護士に感謝!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なぜ正しい者が貧しい苦難に会わねばならないのか?なぜ悪いことをしてお金を設けて世にはばかっている者は、いま被災に巻き込まれず暮らせているのか?」という問いに対して、
 「良いことには良い報いがあるとか(善因善果)、悪いことには悪い報いがあるとか(悪因悪果)、それは人間の願望に過ぎないんだよ。理想に過ぎないんだよ。
 悪い奴は亡びてほしい、いい人間は栄えてほしい。そういつもねがっているうちに、悪いことがあれば天罰が下ったとか祟りにあったとか、いいことがあれば精進がよかったとか、人間がそう勝手に思うようになってしまったんだよ。
 それもこれも、善行には善い結果が、悪業には悪い結果があってほしいという願いが、そんなことを言わせるようになったんじゃないのかなあ。」

0
2020年07月05日

Posted by ブクログ

初の三浦綾子さん作品。北海道の活火山である有珠山噴火から25年という節目に縁あって出会う。上富良野地方の小作農である石村一家の、貧しくも人間らしさを失わず力強く生きようとする生き様を、近隣家族、富裕層との人間関係も交えながら大正期の社会情勢も踏まえて描写されている。終盤で訪れる十勝岳噴火という突然の災害により一瞬にして失われる家族。災害の無情さ・悲しさを叙述した作品でもある。

0
2025年04月23日

Posted by ブクログ

⭐︎4.3
読み始めて、なんと印象に残る言葉の多いものかたりなのだろうと思っている。
聖書(未だ通読したことはないのだが)を基本に置いたものかたりだと思っている。
北の大地北海道で土とともに生き、土を生業に静かに生きている人々のものかたりだ。
今まで生きてきて、幾つも、いく回も、後悔をしてその端端を時折思い出している。
ふく子・せつ子・耕作・拓一彼等の将来はどうなるのだろう。

楽しみ楽しみ。

などと書いたが、楽しくはなかった。悲しく、寂しく、切ないものかたりだった。
人生の後悔を思い起こさせるものかたりだった。
我が人生に悔いはなしなどと謳った名優がいたが、私の人生は悔いばかりである。ただ、やらない後悔より、やった後悔を目指している。
災害時に、生き残ることが罪深いのか、死ぬ事が罪深いのか。と作中で問われる、ああそれならば生き残るものが罪深いのだろうと思ってしまう。
人生はままならないものだ。

0
2024年04月13日

Posted by ブクログ

ヨブ記を題材とした、正しく生きるとは、善く生きるとは何か(=信じるとは何か)を苦難を通して表現した作品。

ヒューマンドラマの形式で、
信仰心(正しく生きる)とは何かを、寓意的に読者にわかりやすく説明していく。

「善因善果・悪因悪果の否定」という構造で非常に分かりやすく信仰心を理解できる一方で、物語全体が善行善果になってしまっているのも否めない。

本家の「ヨブ記」自体も同じ構造になっているので、本当の意味での信仰の深さや神秘性を、言葉や物語を通して表現する事に限界があるのかなと感じました。

一般大衆向けに書かれていると思うのでしょうがないですが、ニーチェが言うところのルサンチマンに陥ってしまわない様な、深みや神秘性がもっと見たかったです。

0
2023年11月07日

Posted by ブクログ

久しぶりに三浦綾子氏の作品に手を出してみる。
作品を通底している北の大地と貧困と愚直さ。
いくら理不尽であっても真面目に生きようとする姿に胸を打たれる。
現代でいうと3.11の津波を彷彿とさせる災害の中でもがく姿は、目を背けたくなるが直視しなくてはならぬ厳しさを伝えてくる。
続泥流地帯も是非読みたい
2023/02

0
2023年02月26日

Posted by ブクログ

北海道の富良野の小作農家の極貧の生活状態で最後に十勝岳の噴火で泥流が流れて家族が死亡するという希望がない小説である。新聞や地域史をもとにして書いている。ドラマや映画になっているのかもしれない。
 続泥流地帯も読んでみたくなる。

0
2021年10月03日

Posted by ブクログ

誠治さと家族愛の印象が強かった。農家の祖父母を思い出す。三重団体の話などに北海道の開拓民の歴史は現代から見てもすぐ浅いところにあることを改めて感じる本だった。

0
2021年08月09日

Posted by ブクログ

愛があふれる家族の生きていく様にとても感動した。
自分のことはおいといて、人のことに一生懸命、って、大切だね。

離れていたお母さんに会えるであろう続編に、さらなる感動を期待したい。

0
2021年02月20日

Posted by ブクログ

災害で、大切な家族を失った主人公が可哀そうだったが、それでも「正しく」生きていこうとする姿は立派だった。これまで三浦綾子の作品を読んだが、数奇な運命にさらされながらも、希望を見出そうとした人間の強さも感じる作品。

0
2020年07月06日

Posted by ブクログ

実際の自然災害をベースに、著者が取材を重ねて書いた小説。主人公の家族が貧しいながらも誠実に生きていくが、運命は過酷である。主人公の祖父と兄の行動や言葉には心を洗われるような気がする。

0
2015年06月17日

Posted by ブクログ

北海道の上富良野を舞台に大正15年5月の十勝岳大噴火までの人々の生活を描いた作品。
父親は病気で亡くなり、母親はその美貌から地域の有力者から性的嫌がらせをされて街へ逃れたため、福島から北の大地での新たな生活を求めて北海道へ渡るも30年以上苦労し続けてきた祖父母と素朴に暮らす純粋な少年が主人公でした。(三浦さんの旦那さんがモデルらしい。)

とにかく人間の汚さや純粋さが淡々と描かれていました。まっとうな人もいればズルくて汚い人間もいて、結局は生まれてきた場所と環境で人は生きていくしかないのだなと思いました。そして、その中でできることをしていく。

そんな苦労も忍耐も最後は十勝岳の大爆発で水泡に帰するのだけど、そのなかにもちゃんと希望はあるという形で終わっていました。
世界は終始混沌としてるし、つらいことは終始起こるのだけど、そこでメゲずに生きていく強さが人間の幸せに通じるのだと感じました。

0
2024年10月26日

Posted by ブクログ

真面目に一生懸命に生きていたのに。自然にはそんなこと関係ない。小作人だの水飲み百姓だのと馬鹿にされ、どれだけ働いても生活は楽にはならない。行きたい学校にも行けない。母は遠くに働きに出ており、それもまた馬鹿にされる要因に。しかし祖父母が愛情深く孫たちを守り、立派に育てあげる。もう少しで母に会える、妹も大喜びだ。なのに十勝岳が噴火し、泥流が家族を奪った。真面目に生きることに意味はあるのか?ただただ、読後感が悪い。じっちゃまたちには幸せになって欲しかったなあ…

0
2022年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正しき者には苦難がある、という。辛いこと、苦しいことを通して、神さまが何かを教えてくれる。きっとそのことを理解できる正しい者にこそ苦難がある。
苦難イコール罪の結果ではない。人生における苦難をどう受け止めるかによってその人の人生が真に良いものとなる。正しい者には災いが多い、という言葉が旧約聖書にある。神は私たちに苦難を恵みとして与えているという表現もある。
苦難の受け止め方は人それぞれであり、本当の自分を試されるものである。

0
2020年07月26日

Posted by ブクログ

大正時代の北海道・十勝岳の麓の部落。貧しい家庭の拓一、耕作兄弟。貧しいながら温かい人間関係に囲まれた2人の未来に明るさを感じる。逞しく野太な兄と、頭脳明晰な弟。苦労人の人格者の祖父など。そのような平和な日々に突然襲った噴火と土石流災害。キリスト教小説なのだが、前半ではキリスト教は遠い世界として会話に出てくる程度。2人の若者の福子・節子などへの甘酸っぱい恋心を感じさせてくれる青春小説としても読める。終盤近くで大正15年に十勝岳に発生した大災害の模様が詳細に書かれ、2人や周りの人たちの人生に大きな変化が避けられなくなるところで、続編へ。

0
2020年05月16日

Posted by ブクログ

まじめに生きること、まじめに生きてきても訪れる不条理な運命、そのなかでも「生まれ変わったとしてもまじめに生きるつもりだ」という拓一の言葉は重い

0
2019年06月09日

Posted by ブクログ

中学以来の再読。
北海道育ち、クリスチャンの母が私にくれた一冊。

とても尖っていて怠惰な生活を送っていた14歳。
読み終わり、少し光を感じた一冊。
私の読書生活の原点とも言える作者。
大切な一冊です。

産後の現在、あの頃と同じ様にグッとくる。

0
2019年03月06日

「小説」ランキング