あらすじ
誠実に生きる人間に自然は容赦なく襲いかかる。「苦難の意味」を真正面から問いかける感動の長編。
上富良野郊外で、開拓農民の祖父母や兄、姉、妹と暮らす耕作は、中学進学をあきらめ、小学校の代用教員として、一家の生活をわずかながら支えている。そこへ、長い間離れて暮らしていた母が帰ってくるという吉報が届く。そんなとき、十勝岳が突然大噴火、一帯を泥流が襲う……。1926(大正15)年5月に実際に起こった十勝岳大噴火を背景に、懸命に生きる人間の姿を描く感動の長編。
「三浦綾子電子全集」付録として、夫・三浦光世氏による「創作秘話」、十勝岳中腹に立つ著者写真等を収録!
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Posted by ブクログ
上富良野で祖父母と暮らす耕作と兄拓一を主人公に、一生懸命に働いても豊かにならない小作農の暮らしや、貧乏ゆえに家族と離れて働いたり売られたりする女性たちを描く。最後には山津波で耕作は祖父母と姉妹と教え子を失い、その一帯の人々のほとんどが犠牲になるという救いのない話には見えるけれど、それを正しく生きる者に与えられた神の試練として描こうとしていると思われる、が、今のところはともかく救われないところで終わっているので、続編でその伏線が回収されるのではないかと思われる。中学に一番で入れるだけの成績を持ちながら結局家族のために進学を諦めた耕作は、自分は自分のことしか考えていないとよく反省しているけれど、他の人の利他的なところを素直に偉いと認めて、偉いなあと言えるのは偉いと思う。耕作の良き先生ぶりが良くて、導入で生徒を笑わせられたら、そこで生徒は心を開いてくれる、って授業作りで大事なところだと思う。それで綴り方を嫌がる生徒たちに、詩なら書けそうだと思わせて詩を書かせ、楽しく短評を書いているシーンがとてもよかった。そこで心を通わせた坂森五郎君が先生を訪ねてきたために山津波で亡くなるのとか、悲惨すぎるけど…
Posted by ブクログ
なぜ真面目な者が災いや不幸に見舞われ、不真面目な者が助かるのか?因果応報は正しいのか?
仏教的な観点で言えば、徳を積めば良い結果が返ってくる。だから善い人は必ず報われる。
しかしキリスト教的な観点で言えば、善い人、正しい者にこそ災いや試練が降りかかる。とすると、真面目に生きることは無意味なのか?
この運命の矛盾への問いかけが、一冊を通して深く描かれていた。続編に期待