あらすじ
もうあかんくなったら、読んでください
家族が終わりそうなので、
あなたに頼みたいことがあります。
母・ひろ実の大手術を機に、家族の日常が一変する。
タイムスリップした祖母は、冷蔵庫にある食材をひたすら醤油で煮込み、同じ味にした。
祖母の心ない言葉に、ダウン症の弟は床を踏み鳴らし、自室にこもる。
追い打ちをかけるように、壊れる家電、手続きの山、おしっこをまき散らす犬、鳩の襲来……
次々と降りかかる「もうあかんわ」に気力も体力も削られる長女・奈美。
「人生は、ひとりで抱え込めば悲劇だが、人に語って笑わせれば喜劇だ(本文より)」
を体現した37日間のサバイバル日記。
理不尽なこの日々を、笑い飛ばしてもらえたら、わたしはそれで救われる。
ただ、笑ってほしい。悲劇を、喜劇にする、一発逆転のチャンスがほしい。
もうあかんわと思っている、すべての人に。
わたしのもうあかん毎日を、小さく高らかに捧げたい。
もうあかんわ。
ーー本文より
解説は頭木弘樹さん。
【電子特典付】
2021年にイベント用に自主出版した『言ったことのない名言』より、
「メンゴ士、求ム」と「生き意地」を収録。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
プリズン・ブレイク・ドッグという日記がすごすぎて笑ってしまった。
ワンコたちもおばあちゃんも亜空間と化したソファも強烈だった。
辛さをユーモアに変える力のある人。
たくさん笑わせてもらった。
何事も前例がないと皆不安になるものだが、岸田さんは前例をつくってくれる人。それってすごいことだ。
ちょろっと書かれていた、ユニバーサルデザインはだれにとっても便利で快適で安心なものではない。というのが目からウロコだった。そりゃそうだよね。だれかの快適はだれかの不便になり得る。岸田さん曰くユニバーサルデザインとは、「前向きなあきらめと、優しい妥協と、心からの敬意があるもの」、なるほどとなった。
Posted by ブクログ
岸田奈美さんの言葉が大好き。本を読みながら吹き出したり、泣いたり、幸せな気持ちになった。私がもうあかんわ、てこれから思ったときも思い出では喜劇にしたいと思った。
Posted by ブクログ
車椅子の母、認知症の祖母、ダウン症の弟。
コロナ禍での37日間を綴った日記です。
当事者にとっては笑えないほど大変でしんどい日々のはずなのに、著者はそれを笑いやユーモアに昇華させており、重くならずに読めました。
優しさと強さが伝わる作品です。
中でも、鳩との死闘のエピソードが印象的で、想像するだけでも怖かったです。
Posted by ブクログ
あかんわ。
これは冗談抜きでほんとにもうあかんわ。
前にきょうだい児が大丈夫じゃないと言ったら生きるか死ぬかの瀬戸際だとレビューに書いたけど、そのレベルでのもうあかんわだわ。
岸田さん、よく堪えたなぁ。一人でよく抱えきったなぁ。
同情して欲しいわけじゃない、手伝ってほしいわけじゃないというけれど、私も同じ立場になったら同じこと言うだろうなと思うけど、もしこの時のあなたが目の前にいたら私は助けるわよ。
手を振り払われても寄り添うわよ。
ここに書かれていたのは間違いなく私も通るであろう道だった。
いつか私は両親や姉を施設に入れる決断をしなければならないと思う。
葬儀の喪主だって務めなければならないと思う。
その時に相談できる人はいない。
最終的な決断は私が一人でしなければならないだろうと随分前から覚悟を決めている。
けど怖いなぁ。
もう1人きょうだいがいたらよかったのに。
一人っ子の人だって両親2人の今後を考えればいいのに、私は両親と姉の3人分。
逃げたいよね。
私の人生も人に笑ってもらえたら喜劇になるかしら?
全然笑えないけど最近あったきょうだい話をひとつ。
祖母の葬儀のお見送りの際、祭壇のお花のお土産を配っていた。
なにせ親戚の人数が多いもんで片っ端から配っていたんだけど、とあるおばさんが「私は姉ちゃんからもらいたいのっ!」と大声で。
これ本家の従姉妹だったら言わなかったよね。
私だと分かって言っていた。
健常のきょういなら傷つかないとでも?
それとも障害者にも優しい私をアピールしたかったの?
傷つきますよ私だって。
未だにこんなところで披露してさしあげるくらいには傷つきましたよ。
後日両親にも話したら優しい人ねぇって顔でニコニコ聞いていましたとも。
きょうだい児ってそんなもんよ。
常に障害者に優しいきょうだいであることを幼い頃から強要されている。
おかしいよねぇ。
健常同士のきょうだいならどんなに仲が悪くてもそれなりの理解は得られるのに、障害者と健常者のきょうだいになると途端に人でなし呼ばわりされる。
あーやだやだ。
こんな風に書くことでどこかで誰かの新たな発見に繋がるかもしれない。
自分を顧みてくれる人がいるかもしれない。
きょうだい児だってただの人、むしろかなり繊細な人ばかり。
無自覚な優しさアピールで傷つく人間がいることを覚えていてくれたら嬉しい。
最後に。
この間TVで岸田さんが結婚されたと聞きました。
とても優しそうなお相手で羨ましく思いました。
どうか幸せになってください。
心からお祝い申し上げます。
Posted by ブクログ
この本を読んだタイミングで、家族も病気になり、介護が必要になりました。当たり前だった日常が急になくなり、音楽さえも流せない状況で、仕事と介護の不安と疲労の毎日でした。そんな時、偶然にも岸田奈美さんの本を読みはじめ、「もう、あかんわ」ってメンタルがやられていた時、救われた1冊でした。
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いわた書店「一万円選書」で選ばれた1冊。
「もうあかんわ」な出来事ばかりの37日間の記録。大変なことばかりなのに、読んでいてとても面白いし、読後感は明るい。不思議な本でした。
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人それぞれもうあかんわ!って出来事があると思うけど、もうあかんわ!でも、なんとかやっていけそうな元気をくれた本です。
読みやすくてすぐに読めちゃうから、本に慣れていない人にオススメです^^
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作者のポジティブな側面と母と弟のポジティブな面がうまく合わさってできてるエッセイだと思う。家族として、単なる模範的な、昔ながらの日本家族ではなくあからさまの姿を描いたように思う。
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逃げも隠れもせず、真っ正面から家族と(鳩も)向き合い続ける姿は最高に愛らしく格好良かった。
もうあかんわすぎる日々の連続、それを悲劇ではなく喜劇として捉え、思わず読み手をクスッとさせる巧みなワードセンスの数々
私ももうあかんわすぎることは1人で抱え込まず誰かと共有して乗り越えていけたらなと思う
Posted by ブクログ
岸田さんの本は、面白い。飾らない言葉だからか、引き込む力があるし、気づいたら、もう読み終えてた。大変なんだよね。だけど大変で片付けで欲しくないという岸田さんの言葉に、共感した。
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あなたがふつうじゃないから、世界はこんなにすばらしい。
おわりに、で紹介されていた映画の言葉が心に残った。
せっかくの一度きりの命、人生は痛くとも味わって過ごさねばもったいない。
ついさっき、軍事政権に夫を奪われつらい思いをされた家族の映画を観たばかりなので複雑な気持ちもありつつも、愛し愛される関係をどれだけ深く持てたかが大事だなと。
読めてよかった。
Posted by ブクログ
父のいない一家で、母(ひろ実)は大手術で入院、弟(良太)はダウン症、祖父は他界、祖母は認知症でタイムスリップ、犬2匹(梅吉とクー)、そして世はコロナ禍。
そんな一家の壮絶な日々のドタバタな37日間を日記にして描いたエッセイ。
話の冒頭から、吹き出しそうになったり、クスッと笑えたり、ジワるエピソードが豊富過ぎる内容に心が和んだ♪︎♪︎
そして、作者である、岸田奈美さんのところどころに散りばめられたユーモアな文章も面白くて微笑ましかった!
鳩や、ばあちゃんが登場するあたりのエピソードは、なんか知らんけど、面白過ぎて特に笑えた!
ばあちゃんにおいては、読み進めるにつれ、今度は何してくれんねやろ?と期待してしまう程、ページをめくるのにワクワクした♪︎♪︎
一番大変なことって...もしかして、それは・・・
ばあちゃんを飼い慣らすこと...?
え、ちゃう??...と、勝手に思てしまった。(笑)
我が家も先日、不意打ちなしに家族が入院したばかり。退院するまでの間、『もうあかんわ』と思える程のドタバタを経験したのはその時が初めて。そんなことがあったタイミングの直後にたまたま本書を読み始めたが、こう言う大変な時こそ岸田さんのように、『悲劇を喜劇にする』くらいの心の隙間的な余裕を持った気持ちって大切やなぁーって思った。ほんま心救われた。
エッセイって初めて読んだけど、こんなに笑えた本、初めてかもしれない。また読み返したい♡♡
そう感じた素敵な一冊♪︎♪︎
Posted by ブクログ
父のいない一家で、弟はダウン症、母は手術入院、祖母は認知症、祖父が他界、犬2匹、そしてコロナ禍。
あまりにも壮絶な日々なはずなのに、全く重たくないどころか文章がおもしろくて微笑ましいドタバタな日常にすら思えてくる。
エッセイとして読んでいたけど、37日間の連続した日々の日記らしく、まるで数年間のことをまとめたかのような内容の濃さに驚き。
「もうあかんわ」な息つく暇もなさそうな状況で、それを文字に残そうと思うのがさすが。
懐かしい昭和ネタがよく出てくる。
なかでも、聞いてアロエリーナのCMが話題に出てあまりの懐かしさにどうしてもどんなメロディーだったか思い出したくなり、YouTubeで聴けたので感激した。
鳩との死闘やピアノのループ話が特に笑えた。
Posted by ブクログ
楽しく読ませてもらいました。
認知症の祖母、大手術をして車椅子になった母、ダウン症の弟、そして奈美さん。
それはそれは大変だろうなぁと想像しますが、笑いと愛情で、笑いで済ませられるあかんことも、日記に書けないような本当にあかんことも何とかやってこられているんですね。
私の家族は笑いなどほぼなかったので、素敵な家族、素敵な孫であり娘、姉だなと素直に思いました。
誰かに話を聞いてもらうというのは本当に大事ですね。
今はそれが直接語らなくても、ネットで世界に向かって発信できるんですよね。
よい反応ばかりではないと思いますが、岸田家のみなさんが健康で笑って過ごせることを祈ります。
解説もよかったです。
奈美さんが逃げることができる立場でありながら、そうしていないこと、自分と照らし合わせるとなんて徳が高いんだろうと感じずにはいられませんでした。
Posted by ブクログ
「もうあかんわ、家族が終わりそう」
母の手術に祖母の認知症、飼い犬、鳩...
問題が尽きない日々を綴った37日間の記録
悲劇は喜劇にもなるから、しんどい時こそ書いて読んでもらって笑わせたい!
岸田さんが持つユーモアとパワーに私は救われてます。ありがとうございます!
Posted by ブクログ
エッセイストである岸田奈美さんの、嵐の大海原をバナナボートで進むような日々をユーモアたっぷりに書いた日記。
読み進めるごとに感情が目まぐるしく入れ替わり、まさに人生の喜怒哀楽が凝縮されているようでした。これが日記なのかと驚嘆します。(挿絵も最高にかわいい)
単に「笑える」でも「泣ける」でもない本書の特質を、巻末で頭木弘樹さんが的確に解説されています。なるほど、奇跡の本だと思います。
極限の環境だからこそ、人が大切にするべきことが見えてくるのでないでしょうか。人生にはユーモアだけではなく、それを聞いて笑ってくれる人が必要なのだとはじまる日記。
僕はこんな生き方は、100万回生きても真似できそうにありませんが、それでも岸田奈美さんの考え方、物の見方を通してみると、どんな人も逞しく生きていて、それぞれの生き方があって、どんな人生でも捨てたものではないなと嬉しい気持ちにさせてくれます。
Posted by ブクログ
ところどころに散りばめられたユーモアが、読み進めると段々とキツくなってきた。無い方が、文章として纏まりがあるようにも感じたが、これは私自身の好みなのでね…。
いろいろ乗り越えられるパワーは、ものすごく感じた。
Posted by ブクログ
常人だったらやってられん!!と言って全てを放り出したくなるような状況も、作者の手にかかるとちょっとおもしろく読めてしまう。読み手はそんな背景を気にせず、そんなことあるw と読むのがいいんだろうし、そうすることが救いになるんだろうな。客観視の力とユーモア、私もいつも心に置いておきたい。