ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 刑事ヤギノメ 奇妙な相棒

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    ネタバレ

    表題作は、警察小説アンソロジーに掲載されていた作品。
    すごく面白かったので、こうして本として出版されるのを待ってた!
    嬉しい作品です。
    しかも、短編集の他作品は全て書き下ろしという、胸アツ過ぎる一冊!

    所轄の刑事だった弓木巡査部長は、警部補昇任試験の日に急性膵炎で救急搬送され、入院。半年後にようやく復帰したことから物語がスタートする。

    相棒は新人刑事の隼太。
    一話目ではあまり隼太に強く当たっていなかったし、病弱で走ったら息切れするし、すぐ休憩を取りたがるし、そもそも刑事の仕事がそんなに好きなわけでは無いという弓木さんって、おっとりキャラなのかと思っていた。
    でも、実は人より見えすぎてしまう敏腕刑事で、優秀過ぎて異動願を(おそらく何度も)握り潰されているという弓木がおっとりキャラのわけもなく…。

    うっかり者過ぎる隼太に、
    「小僧のころに厳しく教育すればよく覚えて、後々役に立つようになる。かもしれない」
    と言って、とにかくビシバシ指導していくスタイルだった笑

    もう本当に面白いんだけど、3話目の『カッコウの巣』では、弓木さんの言葉にジーンときてしまったり…
    最後の作品も、まさかの隼太の頑張りと弓木さんとの絆(?)に感動。

    シリーズ続編、お待ちしてます!

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    2026年09月10日
  • 禁忌の子

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    気長に予約を待ち、やっと読めた作品。
    鮎川哲也賞で、デビュー作。

    救急搬送されてきた患者が、医師である自分と瓜二つで身元不明。
    最初から引き込まれた。文章も読みやすかったし、専門的な話もわりとわかるように書いてくれていたので、次の展開が気になってどんどん読み進んでしまった。なんかすごかった。

    私の語彙力では全然うまく感想が書けないのだけど、当事者みんな辛かったなと。めぐり合わせというか。やりきれない彼らの気持ちが辛い。

    禁忌の子。そうかもしれない。でも愛されていたら、いいじゃない。望まれて、祝福されて、生まれてきたのだから、幸せになってほしいよね。

    城崎先生の次の作品が出ているようなので、そちらも読みたい。

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    2026年09月10日
  • ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2(新潮文庫)

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    やはり良い。
    「俺みたいになるな」も、ホームレスのシェルターも、九州のおじいちゃんも、ソウルクイーンも。
    私にとっては身近でない誰かのリアルを、この本を通して知れる贅沢さ。

    彼らがいるから、未来は明るいかもな、と思わせてくれる

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    2026年09月10日
  • 世界99 下

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    読み終わってぐったりした。想像できない展開がずっと最後まで続いた。始まってはいけない世界がそこには広がっていた。

    「クリーン」とか「浄化」とかって、その裏にあるはずの「汚い」をそもそも存在しないかのように振る舞うことを指すなら、逆に最も汚いんじゃないか。
    怒りが「汚い感情」とされる世界はかなり不健全。

    ピョコルンの鳴き声とか、波の叫ぶ声とか、出てくる音の表現がとにかく毎回怖かった。まずは目で読んでみる。そして、次にカタカナで表現されたそれらの擬音を脳内で音声にしてみると、その場面の気味悪さがより際立った。

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    2026年09月10日
  • 吾輩は猫である

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    大正時代、その頃は文学の花が咲き乱れていた時代だ。数々の個性的で素晴らしい小説や芸術作品が誕生した。
    しかしその中で「猫目線で物語を語る」というのはあまりにも画期的で面白いものだった。
    本書に登場する猫は夏目漱石の飼い猫をモデルにしているという。
    本書にも主人公の猫が主人が自分をモデルにした文学作品を書いた、とある。
    登場人物の何気ない日常 また恋も描かれている。
    大正時代という時代が異なる作品であるのにも関わらずとても面白い。
    お勧め

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    2026年09月10日
  • トリカゴ

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    ゆめさんの小説、初読みしました。
    どんなに世の中の福祉や社会制度が良くなっても、それを当事者が知らなきゃ意味がない!ってことを感じた。
    作中にもあったが、無戸籍者が「ただただ無知でした」とか「彼らは、罪を犯してるのではなく、当たり前のことが与えられてこなかった」などの言葉にすごくグサっとくるものがあった。
    決して裕福ではないけど、生活に困らない家庭に生まれただけでなく、当たり前のことを整え育ててくれる環境が当たり前にあった自分。でも、それさえもなかった人もいると改めて突きつけられた気がする。
    この作品は、忘れられない一冊になりました。

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    2026年09月10日
  • 渡る世間は罠ばかり

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    ユニークなタイトルに興味を持ち読むことに。
    借金を重ね、どんどん額が増え返済できずにまた借金をする泥沼生活が恐ろしかった。
    もしやこういうトリックなの?と気づいた時は自分も罠にハマってたな〜と…
    意外性もあり面白かった!

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    2026年09月10日
  • 世界が生まれた朝に

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    1人のコンゴ人の人生を綴った物語。呪術や非現実的な現象、氏族の伝統への縛りから、アフリカ各国が経験した植民地主義と抵抗の歴史まで、とにかくそういったことに翻弄される主人公の、力と知への探究心が凄かった。そして、無敵だった主人公に「老い」がやってきた時、少し胸が痛くなった。

    私の推しである高野秀行氏が、大学時代に作者の弟と知り合いだった関係で、ひょんなことから原稿を読む機会があり、めちゃくちゃ感動してそのまま日本語に訳したのがはじまりだそう。

    作者はこの物語を15年かけて書いたという。
    こんなスピードで読み進めていいのか、作者に失礼ではないか、と思うが、とにかくページをめくる手が止まらなかった。素晴らしい作品。

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    2026年09月10日
  • 犯罪者 上

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    ネタバレ

    いや〜面白かったね。一気読み。
    ただのミステリーかと思いきや、大企業や政界の黒い部分にメスを入れるような社会派小説だった。
    途中何度もどうなるんだろとハラハラドキドキし楽しませてもらった。最後の方は善人が報われてほしくて、大企業の幹部や政治家のお偉いさんたちみんな地獄を見ろ〜!と思ってたのにラストがちょっと残念。
    せめてせめて服部と滝川の写真をすぐにスマホとかに転送しておけばよかったのにーーー!と思ってしまいました。笑
    まぁ、綺麗な終わり方というか堅実な終わり方というか、、、そんなうまく終わらんよなってゆう。逆にそんなラストだったからこそ色んな余韻があってよいのかな。
    人の命がかかってるときは、グレーなんかじゃなくて白黒はっきりさせてほしい、そんな世の中であってほしいと思いました。

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    2026年09月10日
  • 出版禁止 死刑囚の歌(新潮文庫)

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    本当に面白かった!!!!
    全てがちゃんと繋がっていて、違和感も全て伏線で回収された時のスッキリ感はこの上ない。

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    2026年09月10日
  • くらべて、けみして 校閲部の九重さん(新潮文庫)

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    校閲。校べて。閲して。初めての読み方をまずタイトルで回収できた。
    校閲の仕事に興味はあったものの、自分が想像していたものとはかなり違っていたし、奥が深いのだなぁと酷く感じた。
    続きもあるとの事なので見つけたら買いたいと思う。
    文章への向き合い方。漢字への向き合い方。事実との向き合い方。
    校閲の中にも色々な人がいる。
    奥付にも出てこない人がどの本にも存在するのだとこの本を読んだことで実感できた。
    この後読む本の中でもそのことを忘れずに向き合いたい。

    それから誤植などを見つけても、直ぐにミスだと決めつけず自身の無知を先に疑いたい。実際誤植だったならば疲れていたのだろうなと意識を向けたりすることもできるようになったなと感じる。
    (売った)

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    2026年09月10日
  • 小学館ジュニア文庫 名探偵コナン ハイウェイの堕天使

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    映画を見ていたので話の展開はわかっていた。それでもこの本を手に取ったのは、どのような描写だったのか気になる場面があったからだ。まぁ最後の場面なのだが。それと。最後の最後に映画では気が付きもしなかった場面が書いてあり、今後どうなっていくのかとても楽しみになった。それにしても蘭ねぇちゃんの声優さんがこの映画を最期に亡くなってしまったのがなんとも辛い。アドリブだったらしい鼻歌に関してもしっかりと記載があって嬉しくなった。
    (友人へ寄贈)

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    2026年09月10日
  • カフネ

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    私の想像力は、浅はかだった。
    単純なご馳走と友情の物語だと思って読んでいた。
    人を拒絶するような言動や、笑顔の裏に辛い過去や、闇を抱えている人達。
    孤独の中に手を差し伸べるのは、それでも一人では生きていけない、誰かを助けたい深い人間愛。
    美味しいおにぎりとプリン、私も一緒に頂きました!!

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    2026年09月10日
  • 新幹線から見えたすき家へカレーを食べに行く

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    忘れられない本の一冊、都築響一の「Neverland Diner 二度と行けないあの店で」を読んだのは2021年3月でした。そうかコロナ禍の真っ最中だったのか…調べてみると同じ年の最後の方でサントリーが「人生には、飲食店がいる。」というコロナ禍で苦しむ飲食業界を応援するキャンペーンを開始していたようです。でも、そういう大スポンサーのパワープレイよりも「Neverland Diner」が心に刺さったのは、ちょうどその時、結構足繁く通っていた立石のスナックが再開発で閉店したという極私的悲しみがあったからです。コロナを超えて個人店は永遠じゃない、という切なさはどんなお店に行っても覚悟しておかなければならないものと思うようになっていたし、そこを都築響一に突かれたのです。この本も、同じ切なさを掻き立てる本でした。なんとなくの感覚がはっきりしたのは、あとがきでこの本に出てくるお店の多くが実はもう閉店していることに触れられたことによって、です。この著者の本は「深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと」以来2冊目でした。前の本では近道を選ばない時間のリッチさ(プラスお金のかけなさ)が日常生活を面白くしているのに羨ましさを感じましたが、今回は、それに加えて一緒に付き合ってくれる仲間の存在の豊かさに心奪われました。目的もなく大きな段ボールを川沿いで運ぶ、なんてことに声掛けれる知り合い、なんて自分にはいません。でも、それが出来るのは著者の緩やかでガツガツしない人との交わり能力があるのだろう、と思います。その節度のあるコミュニケーションがインタビューにも滲み出ています。自分の興味関心を他人の人生にちっちゃくちっちゃく結んでいく、この本、自分の心にもちっちゃく結び付けられました。

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    2026年09月10日
  • 津軽(新潮文庫)

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    2回目

    序編はつまらなさすぎて閉じようかと思った。だが、本編に入って小説が始まった。
    「ね、なぜ旅に出るの?」
    「苦しいからさ。」
    この書き出し、かましすぎてやばい。ここから最高の小説が始まった。ほんとに色んな人にすすめたい。
    基本は「である」調で、穏やかな印象がある。津軽を行脚しながら、N君やSさん、たけなど、自分の愛する人たちに会っていく。津島修治という人間が、自分を形づくってきた人たちに会い直していくドラマのように感じた。
    好きなのは、N君の家でのアトフキと、最後にたけを探しに行く場面。うまく話せず、ふてくされたようになり、照れたり意地を張ったり。その感じがものすごく人間くさい。
    というより、この小説は終始、主人公・津島修治の人間くささに溢れている。N君もSさんもたけも、みんなめちゃくちゃ人間だ。読んでいると妙に嬉しくなる。
    昔の人間関係は温かかった、という単純な話ではない。めんどくさくて、不器用で、それでも確かにつながっている。今ではもう失われつつあるのかもしれない。そんな寂しさも抱えた。
    忘れていた何かを受け取った気がする。
    自伝にかなり近い小説なのだろう。作品ごとにスタイルを確立する彼は唯一無二の存在だろう。
    もし、彼が今も生きていたら、どんな小説を書いていたのだろうと思う。
    彼が亡くなったという事実に、寂寞たる思いをいだく。
    こんなに死が惜しまれる小説家に、これからまた会うだろうか。(伊藤計劃は除く)

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    2026年09月10日
  • 月下の盤

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    ―ゴウダトオルを探してほしい―

    4日後に百年の歴史に幕を下ろすことが決まっている「東亜ホテル」。
    探偵は正体不明の人物〈アリス〉の依頼によりこのホテルを訪れる。
    閉館までの4日間このホテルに滞在しているということしかわからない、ゴウダトオルという人物を探すために。


    超超超超面白かった。

    国籍も性別も年齢も不明、名前しかわからない幽霊のような存在。
    日比谷公園の向かいに位置する、国家を代表する高級ホテル。
    クローズドな舞台の中、正体不明の人物の手がかりを求め濃霧を歩くようにまるで筋道の見えない調査を進める探偵。

    そこで起こる殺人事件、関与が疑われる巨大企業グループの一族、背景に浮かぶ国家規模のプロジェクト。
    幾度も展開され、その度に盤上の駒の様に敗れ散っていく推理の数々。

    あまりにも壮大で複雑なドラマが描かれていくのに、物語の抑揚に反し徹底して温度感を排しているように感じられる文章。
    主人公の一人称視点で書かれるその端的で、淡泊で、知的で、気の利いた文章がとにかく好みでした。
    読者を物語に引き込む強い引力がありながらもとても静かなその主人公の視点が、百年の歴史に幕を下ろす高級ホテルという舞台の、華やかさや厳かさ、そしてそこにいる主人公の場違いさなどを小説全体に漂わせている。
    そんな、一人称でありながらどこか客観した語りだからこそ、無数の人間の人生が絡み合いやがて百年近い時代に渡る群像劇の様相を呈してくる壮大過ぎるこのストーリーが、すっと自然に飲み込めてくるのだと思う。

    筆致も、トリックも、伏線も、心情描写も圧巻。
    個人的には今年読んだ本の中で一番好きです。

    0
    2026年09月10日
  • 蟲祓いの宦官師弟2

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    おもしろかった!!!
    各章でも起承転結があり、全体通しても繋がっていて、次巻へつながる面白さ。
    一冊の本の中での構成が素晴らしい。
    一冊なのに3話くらいアニメ観た感じ。
    登場人物もそれぞれキャラクターが個性豊かで魅力的だし、虫や毒の知識も興味深いし、推理的な部分も楽しめる。
    続きが気になる~~~

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    2026年09月10日
  • 楽園のカンヴァス

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    あんな有名な大作や画家を使って、よくぞこんなすごいミステリー、書けるなぁ!!!って思っちゃいますよね。
    特に、動物園のシーンがよかったなぁ。
    ルソーが見つめた世界を、共に体感し、かけがえのないひとときを分かち合えた二人。
    そこからもう一山も、二山もあって、「どうなっちゃうのー?」となったところに最後、見事な謎解き。ルソーを真に愛する人への作品の継承。別れと再会。見事だー!
    原田マハさん、さすがです。

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    2026年09月10日
  • もう、きみには頼まない 石坂泰三の世界

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    ネタバレ

     石坂泰三の特に逓信省から退官した後の人生を描いた本。戦後、社会・政治・企業どれもが発展途上だった時代に自分の信念を貫き通し、社会にインパクトを与えた人物であったことが伺える。
     読むまで彼の名前を聞いたことがある程度だったが、実際どのような人物だったのかは知らなかった。また、「経営者」という存在に具体的な印象がなかった。
     しかし、読んでいる中で彼が組織のトップとして仕事をする中でどういった考えをし、どのような行動を起こしたかを学び、リーダーとしてあるべき像を垣間見ることができたと感じる。
     また、彼の妻や次男への愛情が後半では特に描かれていたが、経営者として見る彼と、家族の一員として見る彼を同時に読み進めたことによって、より一人の人間としての石坂泰三を知ることができた。自分はまだ家庭を持っていない身だが、有限な時間をどう使うか、考えていきたい。

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    2026年09月10日
  • ロバのクサツネと歩く日本

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    ネタバレ

    そもそも著者は、なぜロバと徒歩で日本を旅する事になったのか。
    その今から10年前の2016年。
    当時26歳だった著者は北海道大学文学部を卒業して、北海道新聞社の記者を辞め、1度目の2年にわたる海外放浪の旅に出た。行先はキューバから南米そしてスペインそして運命のモロッコに着いた。
    モロッコの遊牧民の生活を観察している時にロバの
    存在に目が向いた。
    ロバは重い荷物を乗せても文句ひとつ言わずに涼しげな瞳をしている。
    その時に閃いた。
    そうだ!
    ロバに荷を運ばせて旅する事を思いついた。

    2度目の放浪は十勝毎日新聞社に新聞記者を勤めて30歳過ぎのこと。
    今度はイラン、トルコ、モロッコと10ヶ月旅をした。
    そして3度目の旅が本書の日本での放浪だ。

    本書は1章の栃木から山口。
    2章の福岡から香川。3章は兵庫から北海道。

    一番語りたいのは1章にまとまっている。
    面白い人との出会いがいっぱいだ。
    ある村での事。
    公園での野宿場所を探していてやっと見つけた場所に
    40代の警官がニコニコしながら近づき、『ロバを見ていいですか?』と聞いてきた。
    警官は純粋か好奇心から写真を撮り帰っていった。
    そして自家用車で再び妻と娘と来た。
    さらに翌朝も近所の老夫婦が来て笑顔でニンジンを上げている。それを見た警官の妻が一言。
    『あなたはロバと旅をしながら、皆に笑顔を届けていつるのですか?』と笑った。

    さらにすごい人達と出会う。
    広島県北広島町での事。
    町の人に声を掛けられた。
    広島の方言で『どこから来ちゃったの?』
    あれ、来ちゃったってなんか良くない事しちゃった?
    みたいな。
    広島の方言では、〇〇しっちゃた。は敬語で
    来られたのですか?らしい。
    その後、地元の自治会役員さんが、カレーライスとか
    チキンカツとか持ってきた。
    さらに凄いのは、1万円を渡してくる人もいて、
    断ったら、力強くその人は言った。
    『お金持ちだから上げるんじゃない、むしろ貧乏だ。
    応援したいんだ』と言った。

    2章と3章は通り越して。

    最後に著者は興味深い事に気が付いた。
    大人はロバをすぐには認識できない一方。
    子供達の反応は対照的だ。
    彼らは一目で『ロバだ!』と目を輝かせる。
    きっと、絵本やアニメでロバを見慣れているからだ。
    クサツネが物語の中から飛び出してきたみたいに
    見えたのかもしれない。
    子供の純粋か感性を感じた。

    クサツネの名前の由来は
    『草と常に出会えるように』という著者の優しさから付けたらしい。

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    2026年09月10日