あらすじ
あなたは、どの殺人鬼を好きになる……? 気鋭の作家が描く、圧巻のシリアルキラーアンソロジー!
殺し屋への依頼内容は「古本屋に勤める男をひと月以内に殺すこと」――「シリアルキラーvs.殺し屋」
東大を目指す女子高生・樹莉。ゲーセンで景品を落とす音と人が転落する音に魅入られて――「脳JILL」
殺人犯の眞悟は、自身の無実を信じる女性と生活を始めるが――「テキストブック・キラー」
飛び降り自殺の名所がある街で暮らす漁師は、あるものを引き上げる――「私の伴侶」
他人の生殺与奪の権を握ることの快感を追い求めて男は――「ご乗車の際は」。
阿津川辰海 「シリアルキラーvs.殺し屋」
木爾チレン 「脳JILL」
櫛木理宇 「テキストブック・キラー」
くわがきあゆ 「私の伴侶」
結城真一郎 「ご乗車の際は」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「シリアルキラー」がテーマのアンソロジー。
テーマは過激だが、グロ要素は控えめ。内容としては各殺人鬼が「なぜ殺人鬼になったのか?」、「どういう気持ちで行為に及ぶのか?」等の内面の描写が細かく描写されており、短編集ながらに、それぞれの満足感は高い。
『シリアルキラーvs.殺し屋』 阿津川辰海
結末含めてパンチは少し弱いが、このシチュエーションがとにかく面白い。
『脳JILL』 木爾チレン
「ゴトン病」という言葉を初めて知った。
少しショッキングな内容だが、それ故にメッセージも大きい。
『テキストブック・キラー』 櫛木理宇
面白い。
直近に『死刑にいたる病』を読んだが、あの湿度感を短編でも出せるんだと驚いた。
途中まで「良い話枠か?」と思っていると、ラストでやられた。
『私の伴侶』 くわがきあゆ
小説を読んでいるのに、映像がずっと曇りで暗い。最初から最後まで色彩青め。
そんな風景を想起させる程には物語、登場人物、舞台全てが暗い。これを文章のみで作りあげる「小説家」ってすごいなと改めて実感した。
『ご乗車の際は』 結城真一郎
ミステリの推理パート的な面白さが詰まっていた。
ラストも個人的にはオシャレだなと感じた。
Posted by ブクログ
ちょっと怖い系は苦手だったのですが、木爾チレンさん目的で購入。
シリアルキラーという言葉を初めて知りました。
色んな所に普通に潜んでいると思うとぞっとしますが、その物語の人物たちにも背景があり、ルールがあり、そう思うと納得する部分もあって、この世界の色んな対局な事って紙一重とか裏表って言われてるけど、本当にそうだなって。
心理戦がある作品があったりしてとても面白かったし、どの作品も良かったですが特に木爾チレンさんの作品はとても良かったです。
Posted by ブクログ
5人の作家さんによる、短編集なのですが、
あまり短編集って好んで読まないんですけど、
好きな作家さんが多かったので、買ってみました。
読み終わった最初の感想としては、
どれもが圧巻の作品でした。
流石、今話題の作家さんたちだな、という印象です。
一気読みしました。
ページをめくる手が止まらなかったです
個人的にはチレンさんの脳JILLが一番好きですね
元々チレンさんの作品どれもすごく好きなんですけど、
次はこう来たか、!!という圧巻の出来でした。
チレンさん、次の本も待ってます
Posted by ブクログ
5人のシリアルキラーが登場し、豪華!
今をときめく有名な作家さん達のアンソロジーで、どのお話も面白くて、あっという間に読んでしまいました。個人的には木爾チレンさんのが好みでした。
Posted by ブクログ
読み終わってしまったのが惜しいほど、豪華な詰め合わせ。登場するのはどんなシリアルキラーなんだろう?とわくわくしながら読みました。
作者さんによって全く異なるシリアルキラーが描かれている。
・木爾チレンさん「脳JILL」
・くわがきあゆさん「私の伴侶」
この2作品が特に好きでした!
Posted by ブクログ
好きな作家さんが多かったので手に取ったけど、読んだことなかった阿津川辰海さんの話がとても面白かったので他の作品も読んでみたいなと思った。比較的全ての作品面白かった
Posted by ブクログ
どのシリアルキラーも魅力的だった。
私は特に、1人目と5人目が好きだった。
自分が課したルールで、自分もがんじがらめになってしまう、どこまでも合理的で冷酷な、でもどこか人間的な部分も感じられる、両者のバランスが絶妙だと感じた。
Posted by ブクログ
「うっとりするほどの(悪)」
「どの殺人鬼を好きになる?」
帯にある通り「魅惑的な殺人鬼たち」
とても扇情的で魅力的です。
短編なのに起承転結サクッと読めて
どの作品にもモヤッと感がない。
こんな短編集は初めてです。(普段はあまり手に取りません)
「シリアルキラーVS殺し屋」阿津川辰海
武闘派のアクション満載な物語を想像させる
タイトルだけど、いつの間にかシリアルキラーに
心惹かれ応援してました。
「脳JILL」木爾チレン
読んでいる最中、無意識に顔がにやけていました。
5作品の中で最もゾクゾクして好きです。
「テキストブック・キラー」櫛木理宇
もう誰がなんて言っても安心して読めます。
「そう来たか!!」と膝を叩きました。
「依存症」シリーズの例のあの人を彷彿とさせます。
「私の伴侶」くわがきあゆ
一番「殺人鬼」とは遠く感じましたが
タイトルのセンスが好きです。
そして結構主人公は変態でそこがいい。
「ご乗車の際は」結城真一郎
生殺与奪…。 そんな風に自分の命がいつの間にか
握られていたら?TAXI乗るのが怖くなります。
そして歩きスマホ、気をつけます。
Posted by ブクログ
人殺し日和
シリアルキラーのアンソロジー。
シリアルキラーvs殺し屋 阿津川辰海
過去にも登場した綺羅が再登場。シリーズ化していくとは思っていなかったが、登場人物は魅力的。
依頼を受けてターゲットを尾行していたところトラブルに見舞われ・・・。
ミッシングリンクをテーマにしているが、シリアルキラー側からのヒントが少なく難解。シリアルキラーの殺害ルールがわかってからは衝撃。
綺羅はこれからどの様に生きていくのか。
そして殺し屋とシリアルキラーの生き様が明らかに違うという事も作者の素晴らしい推察だと思う(よくミステリーでは一緒くたにされている事が多い印象がある)。こういった整理されている部分も彼の魅力だ。
脳JILL 木爾チレン
とある女子高生の話であり、最初は些細な内容、依存症の様な有様から、自殺者の「音」を聞いた事で一気に不穏な展開になっていく。彼女が求めたものが結局何だったのかは分からないが、とても悲しい結末だし、母親も全て失いもぬけの殻になってしまうだろう。最終彼女を生かした事がこのストーリーの肝であり、本人が語る口調で描かれている事が恐ろしさを何倍にもしている。
作者の作品を初めて読んだが(名前難しい)とても面白い。時間があれば他の作品も読んでみよう。
テキストブック・キラー 櫛木理宇
不幸な幼少時代を過ごし、犯罪に手を染め続けてきた男と、彼の出所に伴い支援を約束する女。男は女を軽蔑しながらも、自身に都合よく支配できる人物と認知し。女は何故か盲目的に男の事を信用し、支援を続ける。そして、彼らが生活する伊勢崎で新しい死体が発見される・・・。
犯人当ての癖がついてしまっているミステリ読みには
とても斬新な作品。短い中である程度物語が回収されており新鮮に読む事ができた。
私の伴侶 くわがきあゆ
とある漁師のはなし。最近自殺者が増え、漁の網に稀に死体が掛かってしまう。主人公は過去に傷を持つ寡黙な青年。彼が慕っている近所のおじさんは、自殺者を救う為、定期的に見回りをしている。
主人公はある日、同窓会に参加した事をきっかけに、とある疑惑を持つことになる。
言葉遊びが巧み。「叙述トリック」ではないが、「伴侶」と言う言い回しをタイトルとして使った事に作者のセンスを感じた。
ご乗車の際は 結城真一郎
タクシードライバーの男。彼の過去が明かされていき、今作のシリアルキラーは彼だと言う事を理解するが。自身のルールに従い、生贄を探していた彼のタクシーに、一人の中年男性が乗り込み・・・。
どの様な展開になっていくかドキドキしながら読んでいたが、あっという間に読み終えてしまった。乗客の男はとても優秀だった。
Posted by ブクログ
著者リストにひかれて読んでみたけど、
当たりアンソロジーで面白かった。
それぞれシリアルキラーの書き方が違い、
王道っぽいものや、ひねりがあるもの。
特に木爾チレンさんの 「脳JILL」が一番印象に残った。櫛木理宇さんの「テキストブック・キラー」は、そっちかーッと言った展開。
くわがきあゆさん「私の伴侶」は、シリアルキラー探しみたいな話。読者を試すような書き方が好きな作家さんなんだろうなぁ…。
Posted by ブクログ
5人の人気作家が描く「シリアルキラー」アンソロジー。
殺人鬼モノが好きなので一目惚れで手に取った。
それぞれ己の美学やルールに沿って殺人をするシリアルキラーたちを見れてわくわくした。どの話も展開が気になるものばかりでスラスラ読めた。
やばい人たちの対決面白すぎる。
特に印象的なのは「テキストブック・キラー」と「私の伴侶」かな。オチが好きだった。
Posted by ブクログ
阿津川辰海、木爾チレン、櫛木理宇、くわがきあゆ、結城真一郎『シリアルキラーアンソロジー 人殺し日和』双葉文庫。
5人の作家による完全新作の5編を収録したアンソロジー。
1980年代から2000年代に掛けては、シリアルキラー物の翻訳ミステリーが多数刊行された。ハヤカワ文庫だけでなく、扶桑社ミステリー、新潮文庫、角川文庫、講談社文庫などから面白い作品が毎月のように刊行されていた。当時は、ローレンス・サンダース、ジョナサン・ケラーマン、ロバート・R・ウォーカー、トマス・ハリスなど名だたる作家の作品を読んでいた。知っている人には当然のことと思うだろうが、マイクル・コナリーの『ハリー・ボッシュ』シリーズの初期作品にもシリアルキラーが登場したのだ。
さて、本作は日本人作家によるシリアルキラー短編の競作という興味深いアンソロジーである。
阿津川辰海『シリアルキラーVS.殺し屋』と木爾チレン『脳JILL』の2作がずば抜けて面白かった。
阿津川辰海『シリアルキラーVS.殺し屋』。
他のアンソロジーで読んだことのある作家。タイトルからして興味深い。読んでみれば、なかなか面白いプロットであった。ちなみに二十の扉とは大昔、NHKラジオで放送されたクイズ番組である。
殺し屋の綺羅が受けた依頼は期日までに古本屋のバイトで36歳になる五十嵐将志を殺害することだった。綺羅が五十嵐を尾行し、行動を観察していると、五十嵐はスタンガンで綺羅を襲い、監禁する。自らこれまで87人を殺害してきたシリアルキラーであることを告白する五十嵐。五十嵐により綺羅が殺し屋であることを見抜かれる。五十嵐の提案でどちらが互いの殺人理由を言い当てた方が生き残るという二十の扉が行われる。
★★★★★
木爾チレン『脳JILL』。
最近、様々なメディアでこの作家の名前をよく目にしていたのだが、短編も含めて全くの初読みになる。こちらの短編も非常に面白かった。起承転結の結から始まるストーリーなのだが、起承転結がはっきりしていて、さらには転での意表を突いた捻りが良い。
厳格な父親を持ち、東大を目指していた17歳の女子高生、高瀬樹莉が自殺幇助3件、自殺教唆1件、殺人2件で逮捕され、犯行に至った理由とプロセスが次第に明らかになるというストーリー。
ゲームセンターのクレーンゲームで景品を落とす音に魅入られた樹莉は次第に物足りなさを感じ、飛び降り自殺で人が地面に激突する音に惹かれていく。
★★★★★
櫛木理宇『テキストブック・キラー』。
櫛木理宇の作品は惜しみなく、そして容赦無く残酷な描写を入れてくるので、ついつい身構えてしまう。見事と言えば見事。名人芸と言って良い程の出来の良い短編。余りにも巧くまとまり過ぎてスリルを感じないと言ったら贅沢だろうか。
刑務所を満期で出所した殺人犯の釘沢眞悟は、自身の無実を信じ、3年前に手紙を送ってきた新木春奈という年上の女性と生活を始める。まさに連続殺人犯のテキストブック・ケースと呼ばれた釘沢は春奈と暮らし始めると直ぐに近隣で若い女性を狙った強姦殺人を犯す。
★★★★
くわがきあゆ『私の伴侶』。
初読み作家。これは面白くなかった。登場人物。の誰1人として作家により名前を与えられておらず、リアリティを感じなければ、ストーリーもよく解らない。この作家には、彼、彼女、おじさんだけで巧くストーリーを描く技量も無いようだ。
飛び降り自殺の名所がである懸想岩からの投身自殺が相次ぎ、漁に出ていた漁師たちが代わる代わる遺体を引き揚げることになる。
★★
結城真一郎『ご乗車の際は』。
なかなか読ませる。先のくわがきあゆと同様、登場人物の誰の1人として名前が与えられていないのだが、それぞれの人物像がはっきりしているので、違和感も迷いもなく、すんなりと読めた。
幼い頃から他人の生殺与奪の権を握ることの快感を追い求めて男は個人タクシーの運転手となり、自身に課したルールにより、連続殺人を続けていた。ある日、彼のタクシーに奇妙な客が乗車する。
★★★★
本体価格710円
★★★★
Posted by ブクログ
作家の個性が気軽に楽しめるアンソロジー。私はダントツで櫛木理宇推しなのだが、描かれたシリアルキラーはどれも魅力的だ。どれも新作というのがたまらない。
Posted by ブクログ
おもろい!理解できない狂気っぷりに吸い込まれること必至 #シリアルキラーアンソロジー #人殺し日和
■きっと読みたくなるレビュー
いま脂がのりまくってるミステリー作家先生たちによる、シリアルキラーアンソロジーです。
なんちゅう題材でアンソロジー作品集にするんだっつー感じですが、実は発売を心待ちにしてました。だってメンバーが豪華すぎるんだもん。なにせ作家先生ごとの強みや特徴もそれぞれ違うから、このメンバーがどんなシリアルキラーものを描くのか気になって気になって。
いやー、みなさん想像以上の素晴らしい出来栄えで楽しかった~。もうサイコパスの目白押しですよ! もっとも狂ったシリアルキラーだったのは木爾チレン先生の作品でしたね、もはや主人公の樹莉を愛さずにはいられない。
なおグロ表現やホラー感はほぼありませんので、そのあたりが苦手な方もご心配なく。バラエティーに富んだ良作アンソロジー、ミステリーファンにはおすすめですね。文庫で価格もお安いですし、お買い得ですよ。
■各作品の簡単レビュー
●シリアルキラーvs.殺し屋/阿津川辰海
ある殺し屋が新たな依頼を受ける。彼はターゲットを尾行していると…
やり取り対決シーンが阿津川先生らしいクイズのような謎解き。一見楽しいんだけど、よく考えると怖すぎて震えるよね。猟奇的ながらも最初から最後まで一気に読めちゃうという、エンタメ短編ミステリーのお手本のような作品。
●脳JILL/木爾チレン 【超おすすめ!】
自殺ほう助などで取り調べを受けている少女の独白。ゲームセンターにあるプライズゲームの獲得音に依存し始め…
★5 おもろい! 短編なのにこんなにもサイコパスっぷりが凝縮されているとはっ 女子高生の独白が淡々と続くも、徐々に怪しい雰囲気になり… そして終盤の恐ろしさったら! 比較的シンプルで読みやすい筆致、でもちゃんとエッジもエグみも効いてる傑作。チレン先生の強みをしっかり感じました、大好き。
●テキストブック・キラー/櫛木理宇
不幸な家庭環境、虐待、いじめなど連続殺人者のテキストケースに当てはまる男性。彼が出所する日、出迎えてくれる女性がいて…
短編にも関わらず、重厚な人生ドラマを体験させてもらった。不幸だった… という言葉だけでは語り尽くせない悲しみの渦に溺れる。切なくて切なくて、何もかも投げ出したくなる。
●私の伴侶/くわがきあゆ
父と共に漁に出る青年の物語、この田舎では出会いが少なく寂しい思いをしていた。そしてその漁村には、自殺の名所があって…
こういう場面で死体を出してきますか、さすが、あゆ先生ですね。生々しい不気味な描写が強烈ですよ、素晴らしい!
さらに終盤の怒涛の展開が読みどころですね~。けっこう無茶するなーって感じですが、これも先生らしさですよね、大好きです。
●ご乗車の際は/結城真一郎
ジョロウグモの捕食生態から歪な性癖を持ってしまった男。タクシー運転手となった彼は今日も客をのせる、しかし今夜の客は特別で…
タクシーという密閉された空間でのやり取りがメインなんですが、結城先生はこういった奇妙なシュチエーションを作り出すのがホントお上手ですよね。世にも奇妙な物語を見てるようで不気味なのよ、でも面白くってどんどん読んじゃう。もちろんシリアルキラーっぷりも強烈、常人には理解できない感じが素敵。
Posted by ブクログ
タイトルからもわかる通り、狂気的で個性的な殺人鬼が登場する。しかし、生々しい描写や読後の不快さはなかったように思う。いい意味で軽く読むことができる作品が多かった。人間の冷酷さを描きながらも、違う角度から面白みを感じさせる、一味違うサスペンスだった。