【感想・ネタバレ】ネット右翼になった父のレビュー

あらすじ

ヘイトスラングを口にする父
テレビの報道番組に毒づき続ける父
右傾したYouTubeチャンネルを垂れ流す父

老いて右傾化した父と、子どもたちの分断
「現代の家族病」に融和の道はあるか?

ルポライターの長男が挑んだ、家族再生の道程!

<本書の内容>
社会的弱者に自己責任論をかざし、
嫌韓嫌中ワードを使うようになった父。
息子は言葉を失い、心を閉ざしてしまう。

父はいつから、なぜ、ネット右翼になってしまったのか?
父は本当にネット右翼だったのか?
そもそもネトウヨの定義とは何か? 保守とは何か?

対話の回復を拒んだまま、
末期がんの父を看取ってしまった息子は、苦悩し、煩悶する。
父と家族の間にできた分断は不可避だったのか?
解消は不可能なのか?

コミュニケーション不全に陥った親子に贈る、
失望と落胆、のち愛と希望の家族論!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ここ最近、自分にとって良い本との出会いが続いている。本書もそうだ。私は、いわゆる「ネトウヨ」的な発言を嫌悪している。女性差別、外国人差別、障害者差別など、ありとあらゆる差別を繰り返すこうした人間はクズだと思っている。

なので、本書に関しても、報道等で目にすることが多くなった、実家に帰ってみたら父親が差別的なスラングやヘイト発言をするようになっていた!的なルポルタージュかと思って読み始めたのだが、そんな底の浅い内容ではなかった。

著者の鈴木大介さんは、私と同年代。この中で出てくる時代的なエピソードやカルチャーは、そうそう!と共感できるものばかり。父親を憎悪するに至った過程も、そのひとつとして、「世代の違い」を挙げているが、そこも頷ける。

そして、本書の特徴は、あくまでも著者の家族の物語として書かれている点にあると思う。新書にありがちがな、入門的な概説や、知識や情報をまとめた内容ではない。なので、私は新書を読んで泣くという初めての経験をした。

ネトウヨが発するあらゆる発言や行為への嫌悪に変わりはないが、この著者の父親がネット右翼的な言動をするようになった理由を、時系列的に著者と辿っていくことによって、私自身がネトウヨ的な偶像を創り上げ、その人自身を見ていなかったことに気付かされた。

こう書くと、ネトウヨにもいろんな人がいるのだから、固定観念に縛られず、彼らの声を多様性として捉える必要があるよね。と言っているように聞こえるかもしれないが、そうではない。クズな発言や行動は、止めさせるべきだ。

ただ、著者がいうように「解消不可能な分断と、可能な分断。」(p.222)があるということを、私は本書で学び、自分の中の憎悪や嫌悪と向き合うことができたという点において、良い本に出会えたと思ったのです。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

リアル本にて。
引退後ネット右翼特有のスラングを口にするようになった父親に対して、逝去したあとになぜ父がそのような行動を取るようになったのかを、家族・友人等へのヒアリングをもとに考察したルポ。
政治的な主張に伴う分断を感じる機会が増えている昨今、イデオロギーの異なる家族と家族で居続けるためのヒントのようなものを求めて、この本を手に取った。
本書で紹介している対策自体は、取り立てて真新しいものではないかもしれない。認知バイアスを取り除いた上で、相手をできるだけ具体的に客観的に把握し、差分だけでなく共通点にも注目しよう、ということで、ともすればアンコン研修で説明される内容に近い。ただ、著者ご本人が相手が逝去してしまってるがゆえにどうあがいてもわかりあえないことを強く悔恨なさっていることと、イデオロギーの違いで家族が分断するなんてくだらないと言い切っていることに、少なからず心が動かされた。
自分はイデオロギーについての議論に疎く、ともすれば「右か左か」のようなカテゴライズをしてしまいがちだが、「ネット右翼」と総称される集団が主張する政治施策につても、本来は独立した多数のテーマがあり、シンボル化された「ネット右翼」と完全な意味で同じ主張の個人は存在しないのだろう。それを「ネット右翼」とひとくくりにしてしまうことで、本来そこに存在しなかった分断を勝手に創ってしまう。。。今自分は小さな子供が3人おり、妻とは全力で力を合わせないと生活が成り立たないので、イデオロギーを理由に妻と対立している余裕なんてない。ただもし自分達に子供がいなかったら?子供たちが独立して、思う存分議論できる時間ができたら?ゾッとする。将来万が一にもそんな世界線に立たないように、安易なカテゴライズを避け、主張の背景を聞き、なによりイデオロギーの分断ごときに負けない繋がりを育んでいきたい。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

離れて暮らす父と決定的な価値観の違いを感じ、生前は歩み寄れなかった著者の、検証の軌跡。

「ネット右翼」とはなにか改めて文献にあたり、父の生前の言葉や周囲の人の証言を拾い上げていく中で、「自分の中の火事」「アレルゲン」への気づきから、自身の価値観の点検•自己覚知に至る。

親という距離感の個人に対しても、世代や年代といった背景的視点から理解を深めることができるし、価値観の違い=分断ではなく、共通点を見つけて互いに歩み寄ることもできるという気づきがあった。

一見私的な関係性の検証に終始しているようで、思考の整理から他者との関係性を見直すに至った良書であると感じた。

作者にとってはとても苦しい作業だったと思うが、わたしはこの本が読めてよかったです。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友人に勧められて読んだ一冊。私的には新書大賞。
本作は「ネット右翼になった父」に拒否反応を抱えながら看取ったルポライターが、父の死後、父は「ネット右翼だったのか?なぜそうなったのか?」を丁寧に紐解いていくそのプロセスが描かれている。
まず最初に一言書くとすると、「これ私じゃん」とめちゃくちゃ思って、共感の嵐だったことが、大きい。
父は存命で、ネット右翼でもなさそうなのだが、まさに「父親とコミュニケーションが取れない、何を話せばいいのかわからないといった問題」に直面している。
その一部は、父親の価値観というものが、私にとって許容できないものである場合、作者と同じく、その皮下に何があるかを紐解く前に、アナフィラキシーを起こしているということが言語化されて分かった。
本当に作者の言葉がこんなにも刺さること、なかなかなく、「わかる…」となっていた。

特に最後の章の「邂逅」内にて記されている、「触れているか」「染まっているか」を見極める、「相手がネット右翼化したと感じられる原動を調査」、そうして「分断の解消は相手が生きているうちに」というのがいやそうだよな…となるし、そのプロセスを提示してくれているのは、再現性という意味でとてもありがたい。

折を見て読み直したい一冊、折を見て人に勧めたい一冊

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

同世代と話して、親族で書名のようなことをする人がいるような話も多くなり読んでみた。

内容としては、思ったよりも過激でなく、考えさせられる内容。想像と違う方向に行ったが、楽しめた。

親と子の関係だけでなく、価値観の違う他者とどう向き合って行くか、考えさせられた。同じ行為でも、自分と人の捉え方は違うし、客観的にどう把握することの重要性に気付かされた。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

便宜上、カテゴリ分けをしたが、実際は父と子の物語だと思う。
一定の時代の父と息子にありがちな互いに壁のあるような、胸襟を開いて話すことのない関係性。
その関係性を改善するための指南書でもあると思った。
父がネット右翼になってしまったと感じた著者は、父亡き後その言動を紐解いていく。
その過程が書かれているわけだが、結局のところ分断は両方に原因がある。彼の父に対する拒絶は彼の中にある価値観や思い込みに端を発している部分もあり、彼が勝手に父親の像を作り上げていたのである。
小さいころの親子関係は、子供の自己肯定感に大いに影響するだろう。
彼も子供の頃の厳しい父との関係で屈折した考えを持つようになったようだが、同じ環境にいた姉はまた別の見方をしていたようだ。著者本人も書いているように、そこにはジェンダーギャップが見て取れる。
これも、古い時代の価値観を持った両親の元に育ったことが影響しているのだろうか。(つまり、男の役目、女の役目といったジェンダーによる役割を当たり前に思っていた父と母はその役割を演じ、それを見ている子供たちも無意識にジェンダーを意識し、父と同性である息子と、異性である娘はそれぞれの立場を刷り込まれたことで、父に対する違ったイメージを持ったのかもしれない)
父亡き後、生前イメージしていた父とは違った父に巡り合った著者は、自身の父への言動を後悔しているけれど、亡くなった後だからこそ、和解ができることもあるのだろう。
私は著者を素敵な息子だと思った。
そして、私自身親に対して色々気を付けねばと改めて感じた。
その年にならないとわからないことがあること。
例えば、難しい話を理解し辛くなるとか、情報のアップデートが難しくなるとか。
親と子の年齢差を考えたら、子供である自分が出来ることを親も同様に出来ると考えるのは早計だ。

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2023年11月02日

Posted by ブクログ

私の父はネット右翼ではないと思いますし、右翼ですらないと思いますが、
父と私の関係は近いものを感じます。
分断を解消したほうがよいのはその通りだとは思うんですけどね、
死んでるからそう言えるのであろうと思いますよ。
生きていると難しいです。
相手が生きているとあちらの思い込みも存在しているわけで、私には上手に意思疎通ができるとは思えませんね。
ただ、心には留めておきます。チャンスがあったら挑戦してみようかな。
チャンスはないかもしれませんが。

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2023年10月28日

Posted by ブクログ

私自身、右傾化した父を持っているからこそ、著者に共感できる点がかなりあった。
特に、父の右傾化という事態に対峙する著者の姿勢には驚かされた。

父を敵視したり、商業右翼メディアを悪と断じたりといったことは、(ネット右翼に限らず)先鋭化した思想によって家族を分断されてしまった人は、誰しもが経験するだろうが、それを振り返って「ちゃんと向き合えてない」と省みることは難しいことだ。

そういう意味で、この本は「家族の分断」という事態に直面している人にオススメしたい。安易に家族を嫌いになったりしないように。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

印象的なタイトルから「ネット右翼」というものが主題なのかと思っていたのですが、どちらかというと重点は家族との関係の方にあるなというのが読後の印象です。「父は本当にネット右翼だったのか?」という観点からそもそもネット右翼とはどのようなものかを丁寧に検討したり、父の生前の発言や価値観を家族や知人へのインタビューなどから掘り下げていく過程が描かれているので、もちろんそこではネット右翼というものについても様々な考察が行われており、そこも興味深く読んだのですが、最も印象的だったのは、著者の父とはどのような人物だったのかという見方が、著者と姉、母で大きく違っていたということや、父をネット右翼認定してコミュニケーションを断ってしまったことの背景には著者自身のネット右翼的なものへの固定化した偏見や認識があったということに丁寧に向き合っていく過程です。なかなかツラい作業だったと思いますし、なかなかこうした苦しい内省の過程や内容は親しい人にも明かされるものではありません。よくぞ書籍にしてくださったなと思います。

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2025年10月24日

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2年半前に亡くなった親父さんの思いを綿密に検証する息子.一度は中国や韓国に思い入れたものの、最終的には反韓・中国になった.小生も似たところがあり中国語を学んだことがあり、ハングルも読めるが、この親父さんの思いも同意できる部分が多い.姉や姪からの情報が的確で、息子と親父の接触が少なかった事実も判明.ただ、ここまで息子が親父の思いを検証してくれるのは素晴らしいと感じた.姉の言葉「苦しい作業を通して大介は、この世に既にいない父親と、等身大の父親と邂逅した.それが父の死後であろうと、決して手遅れなんてことはない.たとえ死後であってもそれを許してくれる、その気持ちに応えてくれるのが、親だと思う.」 その通りだ.

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

陰謀論を信じる中高年が増えているという話を聞くから、てっきりこの本もそれに関する本だと思った。
ネット右翼になった父を変節させる話なのかな?と思ったけれどさにあらず。
著者が冷静に父の言説を分析し、なぜ父がそのような言説をとるようになったかを解き明かす。
冷静に、冷静に。

その途中で昭和の家族の一つの姿を明らかにしていく。
それも冷静に冷静に。
姉と自分、そして母。「父」という同じ人間をめぐって3人の思いは違っていることもあきらかになっていく。それも冷静に著者は記していく。

終わってみれば昭和の「家族」「父と息子」の物語だった。

父の方でなく、自分の方に認知バイアスがかかっていたのではないかという結論にも達する。

さて、選挙も終わり一方でどんどん分断が進んでいるように思う今の日本。
自分を振り返ることにもなった1冊だった。

「相手と自分との共通点の検証を」
いつも「違う」「この人の言ってること、ないわ~~」と思っていたけどだからこそ
話したり、知ることで共通点を見つけることは更に大切になるのではないかと思った。

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

予想外にハートフル?な家族の物語だった。その中に、ネトウヨに傾倒する人間心理が描かれていて良かったです。

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2025年06月26日

Posted by ブクログ

筆者が、亡くなった父親との関係の分断について考察。キッカケは生前の父親が会話の中でネット右翼しか使わないであろう差別的なNGワードを使っていたこと。さらに死後、部屋にあったそれ系の書籍や、パソコンの中にあったそれ系の閲覧履歴を見つけ、分断は深まる。結果は、父親の行動はそれほど偏ったものではなかった。無自覚的に言葉を使ったりコンテンツを閲覧したりしていたものと判断。逆に筆者側は先入観や嫌悪感からくる認知バイアスがかかっていたと判断。ここでは親と子の分断について書かれているが、社会の分断も、かなりの部分、これと同じメカニズムなのだと思う。

私の中で曖昧な定義しかできていない思想に関する用語が、どんな意味を持っているのか明確になってよかった。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

ネット右翼になった父というのは、筆者の認知バイアスで、筆者自身がリベラルだったこともあつて生前の父の片言節句に衝撃を受け、子供の頃からの疎遠な関係もあって心を閉ざし、コミュニケーションが取れないまま父は逝ってしまった。

当初はネット右翼に取り込まれ、エコチェンバーの中で過激化したと思っていたが、母・姉・姪・叔父といった家族や父の親友の協力を得て解析した結果、等身大の父を見い出し、世代の問題で自分と相容れない部分もある一方、共通点も多くあることが2年の検証を通じて分かった。可能なら共通点を中心に距離を縮め、生前に分断を回避すべきだったし、そういう人がいればそうすべきという論旨。

世代間の認知ギャップの話が面白かったし、自分自身、亡くなった父とは距離感が埋められなかったし、思春期以降の息子達とも距離感がある。世代間ギャップはあるにせよ、身近なところから共通点を見つけようという指摘は個人的にも示唆に富む。

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2024年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

新書大賞に名前が挙がっていたので手に取ってみた
タイトルからネット右翼を分析・批判した本なのかなと思っていたが、読んでみると全く違った。
年老いて、ファビョるやパヨクといったネット右翼的言動が増えた父に対して生理的嫌悪感を抱き、心を閉ざしてしまった著者。
父の死後、父と改めて向きあう中でネット右翼から家族の在り方まで問い直すハートフル?な一冊だった。

ネット右翼に関する本は読んだことがなかったので、初めて知る内容も多くおもしろかった。各世代で見てきた時代が違い、それによって感じ方や考え方が変わる。言われてみれば当然のことなのだが、なるほどと思わされた。
一方で、父はネット右翼でないことを願う気持ちが先行している感は否めないと感じた。さすがにベッドで桜チャンネルエンドレスはアウトな気がするのだけれど...。これも認知バイアスかかってるのか?

著者が行っていた嫌悪感をきっかけとして認知バイアスをあぶり出す、ひいては自己を分析をするというのはとても共感できた。
実は少し前から、私と思想が正反対の人の本を読むことが気に入っている。本を読んでいて何言ってんだこいつと思うと少し嫌な気分になる。そこにはある種の嫌悪感や怒りがあって、決して心穏やかではない。しかし、相手は本なのでケンカにはならない。言い返すこともできず著者の思想を浴び続ける。その中で内省すると譲れない、自分の思想のコアとでもいうようなものを見つけることができる。本著の大筋とは離れるが、私に似た方法を著者の手で文章化することで、私にとっては大きな学びとなった。

もう数年実家と連絡とってないけど、お父さんに会いに行くか悩むね。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

ルポというか物語みたいだった。
読みものとしては面白いし、読みごたえもあったけど、実際に自分の周囲にあるお話としたら、誰の立場としてもしんどいなぁと思う。
ペルソナなんてどんなに円満に見える環境にいる人だって持ってるだろうし、心の中の醜い部分を全く持っていないという人もいないと思うし。

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2024年05月07日

Posted by ブクログ

この本の端緒となった2019年のデイリー新潮の記事を当時読んだ。当時の著者と同じように、YouTubeでおかしくなる人おるなあとシンプルに捉えていたので、認識を更新できてよかった。

単語というか符牒というのか、仲間内に目配せするために使われる悪意と差別意識に満ちた言葉がネット空間には多く流通している。ネット上の一部の地域では、その言葉を知っていること、口に出すことが「山」「川」みたいな機能をもつ。その醜悪なやりとりを日々目にしているから、だれかがその言葉を発した瞬間に「あっこいつあっちやな」と判断してしまう傾向はわたしにもある。
が、それは発言者の拠って立つところを示すというよりは、うかつさ・不用意さ・認識の甘さ・知識のなさを示すことの方が多いのかもしれない。特に身近な人間に対して、少なくとも瞬間の判断は慎むべきだなあと思ったことでした。しかしその言葉の臭気を感じ取れないもんかねと失望はしますけど。

言葉に含まれる(言葉に含ませられている)背景や意味合いが多すぎて、アップデートったってしきれませんよという状況もあるのかもしれない。だからその言葉の意味合いをOKかNGかに単純化して「今はこれ言っちゃダメなんですよね」という認識になるし、そこから「自由に発言もできないこんな世の中」ってなるわけだ。分断は不用意な人間とそうでない人間の間にも生じるのかも。

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2023年09月14日

購入済み

昔は世界に対する幅広い興味を失わなかった父親が、その晩年にその発言がネット右翼であるかのように変貌してしまったことに苦い思いを抱いていた著者。父の亡き後に改めてその足跡を丁寧にたどり、家族のつながりを回復していく話。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

本当に自分の父がネトウヨになったのか
ちゃんと親と会話することにより相手を知ることから判断しないといけない
親世代の時、当然だと思われたことは今ではハラスメントになっているかもしれないと理解しないといけない

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

偏見は、自分の頭で想像を膨らませてしまう。育った環境が違えば、考え方も違う。言葉の背景を理解できるようにしたい。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父親との価値観の違いに全力で向き合った本。

とても個人的なプロセスの記録でありながら、親子の関係っていう多くの人にとっての共通の悩みというか課題というか、でもあり、自分と向き合うことにもなりそうです。

そして家族との関係を基本として、異なる価値観を持つ人との人間関係についても考えさせられる。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネット右翼になったと思っていた父が、死後じっくりと検証するとそうではなかった、という話
・自分自身のバイアスに注意する必要がある
・分断は解消できる(できないものもあるが)

ネット右翼自体の分析で、もっと軽い内容を予想していたのだがそうではなかった。

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2025年04月02日

Posted by ブクログ

2.9。一親子の話。あくまで著者の父親のパターンだし、根っこが分かったところで想像力の足りない浅慮により誰かを傷つける攻撃で鬱憤晴らしをし、その影響にも傷にも無自覚で無関心であった事、そう在る事による悪意は変えようがない。ただ、こういう、特段右翼の主義に染まる訳ではないまま主張に乗っかり気持ち良くなってる人は多そうだし、そうなる流れも似たようなものそうだ。

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

生前に叶わなかった親子のコミュニケーションについて詳しく考察されていた。
著者がここまで父親の言動を検証することになった理由の一つは、自分の父が晩年ネット右翼になってしまったという趣旨の記事をWebメディアに寄稿したことにあると思う。
その後もしかしたらそれは違っていたのではと考えはじめると、あの寄稿をそのままにしておけなかったのではないか。
威圧的な親と繊細な子供の組み合わせというのはやっぱり相性悪いと思った。
もしこの父親にタフなタイプの子供だったらまぁまぁ上手くいったかもしれない。
でも大人として、その子の必要とするものを与えられなかったという点は父親に責任がある。
必要としているものに結構な個人差がある所が難しいんだろうなぁ。
あと、何がどの位傷付くかという部分も個人差が激しそう。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

タイトル自体に心惹きつけられるものもあったけれど、途中ダレてしまった所も。不必要な所もあった気がした。

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2024年07月17日

Posted by ブクログ

父の中には、自立に向かう思春期以降の子どもたちに対して、穏やかに軽口を交わしながら、それでいて本音を語り合い過ごすための「お茶の間のペルソナ」が存在しなかったし、あとから作ろうとしても、そこには子どもである僕側の問題もあって、失敗してしまった。父に対してコミュ障だったのは僕自身も同じだ。
ノスタルジー的軽い認知症気味の父の絶対右翼嫌悪の息子とコミュ障親子の話。

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2024年05月17日

Posted by ブクログ

この本のコンセプトがすごいなぁと思いました。
ここまでなくなった父親に対して、真摯な態度で検証できる人はなかなかいないと思います。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

真相を追っていたら、自分が真相だった、というような、物語を聞かせられているような本だった。
この本で取り上げられているような何かを決めつけるような思考回路は、実は自分にもあるんじゃないかと思い、はっとさせられた。

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

なるほど、父親がいかにネット右翼になっていったかを描きその危険性だけを解く本かと思いきや父と子の関係性や、過去の話、そして誤解を解いていく本だった。少々、感性が違うかなと思わされるところもあったが、なかなかの本だった。

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2024年01月10日

Posted by ブクログ

自分でも思うし、親しい友人や家族から見ても私はかなり左寄りの人だと思います。
だから、ネット右翼ってものに対してやはり嫌悪感はかなりあった。ってか、今もある。絶対的にある。

結局は、人は分からないもの、得体の知れないものが本能的に怖くて畏怖を感じてしまうだなということ。それゆえに、これまで自分が生きてきたなかで培われた価値観や知識を覆させられるようなものに出会うと、敵意にすり替わってしまうんではないかと思った。
私自身、重い病気や障がいを持った子供を授かってから理解できたことは数知れず。それまではどう接していいかわからない、とこの一点張りだった気がして。

そういう自分バイアスをまず理解すること。
嫌だなと感じる相手の言動の底には何があるのか、自分バイアスに引っかかる何かを考えること、相手を知ること。ネット上の分断も国と国との争いも、要はそこなんではと思いました。
知らないから怖い。怖いから寄ってきて欲しくないから嫌う。これを、
知って理解する。理解したから対話してみる。に変えていけたら。

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2023年10月24日

Posted by ブクログ

著者は、ネット右翼になった亡き父を振り返りその理由を考え抜いた挙句、自分を知っていました。著者がここまで掘り下げて考えられたのは、父との大きな葛藤があった故な気がします。安心できる自分の生活が確保された後、親との葛藤について深く考えることは、人によってはとても有意義かもしれません。
ただこの深く考える作業、著者の母は辛かったのではと感じます。この家族がそうとは思いませんが、人が自分の大きな傷を癒す時、他の誰かを揺らがせることもあるんだろうなと少し悲しいことを考えました。

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2023年05月21日

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