【感想・ネタバレ】ネット右翼になった父のレビュー

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Posted by ブクログ

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ここ最近、自分にとって良い本との出会いが続いている。本書もそうだ。私は、いわゆる「ネトウヨ」的な発言を嫌悪している。女性差別、外国人差別、障害者差別など、ありとあらゆる差別を繰り返すこうした人間はクズだと思っている。

なので、本書に関しても、報道等で目にすることが多くなった、実家に帰ってみたら父親が差別的なスラングやヘイト発言をするようになっていた!的なルポルタージュかと思って読み始めたのだが、そんな底の浅い内容ではなかった。

著者の鈴木大介さんは、私と同年代。この中で出てくる時代的なエピソードやカルチャーは、そうそう!と共感できるものばかり。父親を憎悪するに至った過程も、そのひとつとして、「世代の違い」を挙げているが、そこも頷ける。

そして、本書の特徴は、あくまでも著者の家族の物語として書かれている点にあると思う。新書にありがちがな、入門的な概説や、知識や情報をまとめた内容ではない。なので、私は新書を読んで泣くという初めての経験をした。

ネトウヨが発するあらゆる発言や行為への嫌悪に変わりはないが、この著者の父親がネット右翼的な言動をするようになった理由を、時系列的に著者と辿っていくことによって、私自身がネトウヨ的な偶像を創り上げ、その人自身を見ていなかったことに気付かされた。

こう書くと、ネトウヨにもいろんな人がいるのだから、固定観念に縛られず、彼らの声を多様性として捉える必要があるよね。と言っているように聞こえるかもしれないが、そうではない。クズな発言や行動は、止めさせるべきだ。

ただ、著者がいうように「解消不可能な分断と、可能な分断。」(p.222)があるということを、私は本書で学び、自分の中の憎悪や嫌悪と向き合うことができたという点において、良い本に出会えたと思ったのです。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

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読み始める前と読み終えた後で全く印象が違う作品でした。テーマとしては『ネット右翼』より『になった父』に重きが置かれていて(もちろんネット右翼についての記述もありますが)、ネット右翼というテーマから筆者さんとお父様との凝り固まった家族関係を紐解き、最終的に「父と私はどうあるべきだったのか」という部分に着地します。
本筋からはずれてしまうかもしれませんが、私自身、現在父との関係がうまくいっていないこともあり、終盤の筆者さんとお父様の思い出の懐古描写で思わず号泣してしまいました。まるでうまくいっていない自分と父の関係性のように感じられ、感情が揺さぶられました。この描写で泣けたということは、私自身の中にまだ父との関係改善をしたいという気持ちがあるからかな、なんて思ったり。筆者さんの言うとおり、相手が生きている間に…とも思いましたが、私自身はまだ自分の中の感情の火事を鎮火しきれない、変な意地のようなものが渦巻いているのを重く感じました。でも、20代のうちにこの本に出会えて良かったと心から思います。相手を決めつける前に、まずは自分の考え方や捉え方を柔軟にしなければ、と気付かされました。

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2023年09月07日

Posted by ブクログ

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なぜ、に答えは無かった。でも、息子が危惧したホンモノのネトウヨでは無かった。どちらかと言うと息子の父親追悼の物語。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

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ネット右翼になってなかった!ということかな(違う)。
叔父さんのいう世代と年代は分けて考えるというのは腹落ちする。そもそもくるっと一纏めにするのもどうかという話しでもあるが。
ネトウヨになった身近な人はいないけど、陰謀論とかラジオフォビアやワクチンフォビアに傾倒した知人はいる。身内かそうでないかは心情的に大きく違うだろうとは思っていたが、自分の書いたものを推敲するという作業を常日頃行っている文筆家の著者でさえ接し方を間違い後悔している。身内と丁寧に向き合い死者と向き合い、著者は文体よりも遥かに苦しい産みの作業を経てこの本を書いたのではないかと察せられる。自分と向き合うことはとても苦しいものだ。
身内がネトウヨもしくは特定の思想に陥り出したときは冷静にまず自分がその考え方の何に嫌悪感を感じるのか、双方の価値観の洗い出しを試してみたいと思う。

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2023年08月24日

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