ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • 烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ2

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    烏シリーズ第2弾。第1巻の姫騒動の間、若宮が何をしていたのかが明らかになるとともに、この壮大な物語の背景が徐々に明かされる。前巻とセットになっているという、なんとも大きくかつ緻密な仕掛けに驚く。同時に、辻褄がちゃんとあっていて、いくつかの伏線も回収されている。良い意味でやられたと思いつつ、これで舞台が整ったので、いよいよ物語本編が始まると言う意味でより楽しみが増えた!

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    2025年11月26日
  • 宇宙食になったサバ缶

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    大人も読むべき児童書
    "宇宙では80度以上のお湯は蛇口から吹き出してしまう。
    無重力はあらゆるものがふわふわ漂ってしまうものだと分かりつつも、沸騰したお湯がどうなるのかはこれで知ることが出来たし、読めない漢字は絶対ない!ルビ徹底。
    漫画しか読めない人でも、宇宙を楽しめるようになってる。宇宙食にはどのような工夫が必要なのか?知らない人は読んでみるべき1冊。
    宇宙で発生したゴミは大気圏焼却!"

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    2025年11月26日
  • 極楽征夷大将軍

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    第169回直木三十五賞

    垣根涼介さんの歴史小説を初めて読んで圧倒された。
    史実を元に緻密に練り上げられた壮大な物語で、武士一人一人が丁寧に描かれていた。
    極楽殿と呼ばれた足利尊氏は、御家人たちから毒気を抜いてしまう愛嬌ある人柄で、読者もきっと好きになってしまうと思う。
    前半は優秀な直義と師直の力によって、意図せず活躍してしまうところがおもしろい。
    普段は周囲が道理を説いて導けば従う盛り立てやすい当主だけど、直義に危機が迫れば誰の声も聞かずに駆け出す兄弟愛に胸が熱くなった。
    尊氏が髷を切ってしまった為に、敵兵から守るために周りもそれにならい、ざんばら髪の騎兵集団で直義の援護に駆けた場面は笑って

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    2025年11月26日
  • 慟哭

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    ネタバレ

    慟哭、という題名からだいたいの内容は予想できていた。連続幼女誘拐殺人事件を巡り、捜査本部パートと、犯人である『彼』のパートが交互に書かれる。
    文章がとても重厚で漢字の使い方がとても上手い。作者の貫井さん渾身のデビュー作だけど、早稲田大学出身なのですね。さすがです。
    物語が進むにつれて、「ひょっとしたらこうなんじゃないか?」という考えは頭を過ったが、「いやでも違うかー」と考えを消させてしまう文章の組み立ての旨さ。新興宗教の闇や、警察内部のキャリア対ノンキャリアなど複雑な背景もある、とても重厚な物語。
    でてくる人物の心情はとても良くわかる。自分自身が父親を知らずに育ったという背景もあり、不器用で娘

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    2025年11月26日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    イヤミスの決定版に出会った、というのが素直な感想。

    読書好きな令嬢子息が集うサークル「バベルの会」をめぐる、“意味がわかると怖い”短編集。
    じわじわと微かな違和感を積み上げて、最後の一文でしっかりとどめを刺してくる。

    出会ったことのない言葉や、漢詩・絵画・古典文学の知識がないとピンとこない場面も多く、スマホ検索はほぼ必須。
    そのたびに筆者の教養の深さがうかがえる一方で、自分の教養のなさも思い知らされた!笑

    それでも全編、誰かの語り口調で進んでいくので非常に読みやすい。
    湊かなえの『告白』のような、“語り”の心地よさと、何か起こりそうな嫌な予感が同居している感じ。

    ラストに襲いかかる気味

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    2025年11月26日
  • 相馬眼が見た夢 岡田繁幸がサンデーサイレンスに刃向かった日々

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    ネタバレ

    岡田繁幸さんのことを「凄い人」だと思っている競馬ファン、マスコミ含め、競馬の生産、血統絡みの仕事をしている人には必読の本だと思います。

    「マイネル軍団の総帥」としてだけでなく、地方競馬、HBAなど、競馬界全体を良くしようと尽力されていたことが改めてわかります。

    仕事で成し遂げたことだけでなく、自ら率先して草むしりをするところなど、仕事への意識などは参考になる点が多々ありました。

    これほどのホースマンが、ダービーも勝てず、悲しい最後になってしまったのは辛いですね。

    グループからダービー馬を出すことが、岡田さんへの最大の供養となると思うので、残された人には頑張って欲しいです。

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    2025年11月26日
  • 死んだ山田と教室

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    よかった。久しぶり?いや、はじめて本を読みながら笑った。男子高校生、バカだな〜!って読み続けてたけど、違った。後半は違った。生きるってなんだ?声だけは生きてる?死んでる?山田は生きてた?死んでた?なんでもいい。俺が和久津ならやっぱり親友と話せるならずっと話してたいな。ジジイになってもくだらないこと話してたいな。本当いい作品だった。ありがとう、山田!

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    2025年11月26日
  • 【電子特別版】スタジオジブリ物語

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    読むのにずいぶん時間がかかったが、それだけ盛りだくさんな内容だった。ジブリは鈴木敏夫ありきだよ。
    とりあえず未視聴のジブリ作品観ていきたい。

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    2025年11月26日
  • 月の立つ林で

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    青山美智子さん作品は初。
    タイトルと装丁がきれいで手に取りました。
    本の紙質も厚めでなんだかいい感じです。

    5章からなる連作短編小説。

    人の役に立ちたいと生きてきた看護師。
    夢を追う売れない芸人。
    娘の相手に腹を立てながらも温かく見守る整備士。
    親から自立したい女子高生。
    仕事と家庭の両立に悩むアクセサリー作家。

    みな、身近にある日常の悩みを抱えながらも
    しっかりと人生を送っている。

    それぞれの登場人物が
    皆つながっていて相関図が頭の中でぐるぐる…。
    そしてみな温かくて良い。

    彼らはみな、ちょっとしたきっかけで
    ポッドキャスト「ツキない話」を聞くようになる。
    月の話を聞いていくことで

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    2025年11月26日
  • 1Q84―BOOK2〈7月-9月〉前編―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    (青豆)
    「さきがけ」のリーダーと会う
    リーダーはリトルピープルに何かを奪われた

    (天吾)
    父親(父親ではない)と会う
    母は何かと交わって天吾を産んだ
    牛河と会う
    2人の力が合わさり何か解き放ってはいけないものを解き放ってしまった
    猫の街に行き、リトルピープルの扉を開けてしまった

    天吾と青豆が記憶の中で結びつく

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    2025年11月26日
  • 感情教育(下)

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    上巻の前書きに書かれていた通り、第三章はすごい勢いで進んだ!
    それまでゆるゆる読んでいたのに、最後の100ページは驚きの連続で、読むよりページを捲る指の方が早い!

    革命の中で女性たちの本性が表れて、今まで一番最低と思っていたフレデリックの方がまともに見えた。
    最後に宝物として残るのは友情ってことなんだろうか。

    フランス革命勃発から1830年の七月革命、1848年の二月革命までの、フランスの歴史の流れを何度勉強しても覚えられない。
    でも、ここを押さえておいた方が、もっとこの物語を味わうことができそう。

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    2025年11月26日
  • 逃亡者は北へ向かう

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    二名を殺害して逃走している真柴亮(22)が、時を同じくして起こった東日本大震災の避難所の体育館で人質をとって立て籠っている、そしてSATに射殺されそうになっているシーンが冒頭。そこから、なぜ真柴がそんな状況になったかが語られていく。
    真柴の暗転していく様と、随所に描かれている震災後の身内を亡くした人がそこら中にいて、それでも仕事をしたり、相手を思いやったり、行方不明者を必死で探したりする様子が追体験させられる、その二つが軸になった小説です。はっきりいって楽しいお話ではないです。でも、すごく読ませてくれます。深夜に一気読みしてしまったくらい。読み終わって眠れなくなるくらい、重たい何かを残していき

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    2025年11月26日
  • 神様の暇つぶし

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    たぶん、千早さんの小説をちゃんと読むのは初めて。

    読み始めた瞬間から、文章に呑まれる感覚。文章というか、文章が漂わせる空気に。

    夏の烈しい彩度、青空と入道雲の、目を刺すほどのコントラスト。けれども視線は上を向かず、灼熱のアスファルトに張り付いた、黒々とした影に落ちる。途方もない絶望と痛み。
    そんな小説だと思った。

    ものを食べるシーンが多い。藤子がずっとお腹をすかせていたことを示唆しているように思えた。飢えて、求めていた。
    山で桃を食べた時の藤子の欲求は官能的に描写されていて、むきだしの本能を垣間見た気がした。

    ふたりとも、生を渇望していたのだと思う。


    里見がとても良い存在だと思った

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    2025年11月26日
  • 名こそ惜しめよ 歴史小説アンソロジー

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    鎌倉初期のアンソロジー

    恋ぞ荒ぶる 朝井まかて 北条義時
    人も愛し 諸田玲子 後鳥羽上皇の大姫への愛
    さくり姫 澤田瞳子 一条能保室(頼朝妹)の話
    誰が悪 武川佑 和田騒動の和田義盛
    女人入眼 葉室麟 北条政子

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    2025年11月26日
  • 同志少女よ、敵を撃て

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    こりゃおもしろい!! 文末コメントにもありますがこの装丁が物語にいい味付けをしてますね。
    ハラハラドキドキで一瞬にして読み終わりました。読後感もとても良く、評価が高い理由も納得です。

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    2025年11月26日
  • 宙わたる教室

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    ネタバレ

    実話を元にした小説で、都立東新宿高校の定時課程に通う生徒と理科教師の藤竹が科学部を創設し、「火星のクレーター再現」の実験に取り組む。登場人物は様々な事情を抱えており、全員が科学好きなわけでもないが、そんな彼らだからこそ生まれたユニークな発想が面白かった。藤竹先生の押しつけない寄り添い方も素敵だったし、興味があることに夢中になる姿には力をもらえた。また、勉強は頭の良い人しかできないという思い込みが想像以上に強くあることに気付かされた。何歳でも夢中になれることがあるし、挑戦することの素晴らしさも感じられた。

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    2025年11月26日
  • リバー 下

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    容疑者3人。様々な証拠があがり、次第に絶対こいつが犯人だと1人にしぼられた頃に新たな事実。
    犯人は黙秘を貫き、物語の最後まで心情が語られることはなかったけれどそれが良かった。
    簡単には語ることの出来ない動機、言葉にするにはあまりにも辛いものだったのではないかと想像します。

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    2025年11月26日
  • 対馬の海に沈む

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    読みたかった本をやっと読み終えました
    JAの仕組みから日本人としての性質、他の人と一緒のことをしないと恥になるっていう言葉が胸に沁みました
    1人の人が起こしたことではなく周囲の人全員がしていて罪の意識がないこと、また島っていう狭い地域だからこそなのか地域全体でしていた不正
    本土だったら大丈夫なのかと言われたらそうではないところもまた怖い
    自分だったらどうだろうと一旦見返してしまいました
    話が深く、今どうなってるのか気になり調べたくなりました

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    2025年11月26日
  • マーブル館殺人事件 下

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    若手作家エリオット•クレイスが書き継ぐ『アティカス•ピュント』の新作は、彼自身の暗い過去を投影していることに気づいた編集者のスーザン。クレイス家の人々に会い話を聴くうちに抜き差しならぬ状況に陥っていくのですが…。

    結末は、いつものように納得の終末となります。すごい。よくこんなこんがらがった状況を考えたもんだと感心します。

    それと、毎回思うことは、ホロヴィッツの著作は創元推理文庫のこの作りじゃないと読み通すのは無理じゃない?ってこと。
    巻頭にご丁寧に登場人物紹介がつくけど、作品が入れ子なので人物紹介が2種類付いてる。更に本作では系図まで。読む方もいちいち照らし合わせないと混乱する。ありがたい

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    2025年11月26日
  • マーブル館殺人事件 上

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    『カササギ殺人事件』『ヨルガオ殺人事件』の完全な続編。前2作を読んでいないと全く内容は理解できません。逆を言えば、前2作を読んでいる人には無茶苦茶面白い!

    クレタ島のホテル経営から足を洗ったスーザン•ライランド。ロンドンに戻ってフリーの編集者として再出発を図る。そこで依頼されたのは、かつて担当した『アティカス•ピュント』シリーズの新作を出版すること。だが、旧知の作家エリオットが書き始めた続編には隠された秘密があることに気づいてしまい…。

    相変わらずの“入れ子型”の作品。すごい。しかも、今回は新作として現在進行形で書かれている小説が、20年前の事件を投影しているという手法。非常に面白い。お薦

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    2025年11月26日