【感想・ネタバレ】ジェイムズのレビュー

あらすじ

逃亡奴隷ジェイムズの過酷な旅路の果てに待つものとは──。「ハックルベリー・フィン」を過激な笑いと皮肉でくつがえした、前代未聞の衝撃作。全米図書賞&ピュリツァー賞受賞。
---------------------------

全米図書賞&ピュリツァー賞、驚異のW受賞!
ブリティッシュ・ブック・アワード、カーネギー賞、カーカス賞受賞!
ニューヨーク・タイムス・ベストセラー1位、2024年ベストブック最多選出。
各賞を総なめにした、2024年アメリカ文学最大の話題作。

我が身を売られる運命を知り、生き延びるために逃げ出した黒人奴隷ジェイムズ。
しかし少年ハックをともないミシシッピ川をくだる彼を待ち受けるのは、あまりに過酷な旅路だった。
奴隷主たちを出し抜き、ペテン師を騙し返し、どこまでも逃げていくジェイムズの逃避行の果てに待つものとは──。
黒人奴隷ジムの目から「ハックルベリー・フィン」を語り、痛烈な笑いと皮肉で全世界に衝撃を与えた怪物的話題作。


物語は往々にして誰かの人生を破壊し、利用する。
だが、鮮やかなやり方で新たな命を与えることも出来る。この小説のように。
───西加奈子

読み始めたが最後、『ハックルベリーの冒険』を愛する私がいかに「白人」であったか、 自分を笑い飛ばして痛快になる。
───星野智幸

地獄の故郷を抜け出して、いっしょに生きよう。
この小説にそう誘われた気がした。
───三宅香帆

米文学界の巨人、エヴェレット。
容赦なくも慈悲深く、美しくも残酷で、悲劇であり茶番劇でもあるこの見事な小説は、
文学史を書き換え、長らく抑圧されてきた声を私たちに聞かせてくれる。
───エルナン・ディアズ

恐ろしくも抱腹絶倒、そして深く胸を打つ。
──アン・パチェット

この小説は読者の心をまっすぐに撃ち抜く。
──ニューヨーク・タイムズ

恐ろしく、胸をえぐり、そして笑わせる小説。
──ガーディアン

衝撃的でありながら爽快な結末。
──ワシントン・ポスト

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

倫理学の論文で「ハックルベリー・フィン」問題を知り、ついでにこの本を知り、読書会で提案して課題本にしてもらった。

『ハックルベリー・フィン』を読んでから読んだ方がいいとのアドバイスをもらったので、オリジナルを読むが、全く面白くなくて辛い。流し読みし終わった後、この本を手に取ったら、めちゃくちゃ面白くて1日で読めてしまった。

これ読むと、「ハックルベリー・フィン」問題がめちゃしょうもなく思える。

0
2026年07月26日

Posted by ブクログ

噂に違わぬ抜群の面白さでした。ハック・フィンの冒険が黒人奴隷ジムの視点から描かれ始め、視点の違いで物語が驚くほど変容し、アメリカ奴隷制の闇が浮き彫りに。さらに中盤からもまた雰囲気が大きく変わっていき興奮度が増していきます。
序盤のハックの冒険に対するストーリーの忠実な踏襲はやや展開に無理な感じを抱かせますが、それがハックの冒険に対する痛烈なアイロニーのためと思うと凄い。

0
2026年06月28日

Posted by ブクログ

ちょっと難しい本かなと思ったけど、しばらく読み始めると全く難しくなく面白くてあっという間に読み終えてしまった。ミシシッピ川流域を舞台にした心踊る冒険劇、続きが気になりどんどんページが進んでいく一方で、黒人奴隷への酷い仕打ちはあまりに酷くて目を背けたくなる。しっかり向き合って読んだ。黒人が訛りのない普通の言葉で白人へ話しかけると「どうしてそんなしゃべり方で話してるんだ」って話の筋とは関係なく話し方ばかりが気になってしまう白人たち。いやぁ本当に面白かった。

0
2026年05月25日

Posted by ブクログ

やっと読み終えた!
「トム・ソーヤー」「ハックルベリイ・フィン」に現れるジム=「ジェイムズ」視点の物語。

個人的には、マーク・トゥエイン原作の2作品を読んでおいて良かったとは思ったが、それは途中まで。基本的には「ハックルベリイ・フィン」の流れを踏襲はしているものの、第一部の終盤から大いに逸脱し始め、エヴェレット独自のジムの物語へと。
物語冒頭にあったエメットの手記、その歌の意味がその辺りからやっと確かな意味を持ち始める。
ジムとハックの再会後の流れは、時代背景が「ハックルベリイ・フィン」とはまた異なり、二〜三十年後と想定されていて、よりオリジナリティなストーリーに。

最大のポイントは、ノーマンの出現とハックの出生の秘密か。
物語中でも匂わせがあり、「ハックルベリイ・フィン」を読んでいた時にもかすかに違和感を覚えたが、それが正しいのか間違っているのかは分からないが、「ジェイムズ」では「パッシング=なりすまし」が物語に多大な深みと皮肉を与えている気がした。

黒人奴隷の悲惨さや、それを逆手に取って立ち回る見事さ、ラストのカタルシスの先に、何となくモヤモヤしたモノが残る。ただ、私は現代の一介の日本人、島国という地理的条件と、先人の築いてきた歴史的財産をただただ享受してきた身であるので、どこか当事者意識に欠けるのかもしれないが、それでも描写の生々しさは鋭く胸に刺さる。

「ハックルベリイ・フィン」を綺麗に裏返し、新たな物語を構築していった著者。
前に見た映画「アメリカン・フィクション」もかなりアイロニーが効いていて面白かった記憶が。
理知的で意思の強い、そして人間味のある「ジェイムズ」は、大人のための新たな寓話的人物として魅力的であった。

0
2026年04月17日

Posted by ブクログ

ハックルベリーの冒険、トムソーヤの冒険を改めて読んでみようと思った。視点を変えると全く違う物語になる。

0
2026年03月20日

Posted by ブクログ

「今日のアメリカ文学はすべて『ハックルベリー・フィンの冒険』という一冊の本から生まれている」とアーネスト・ヘミングウェイが言ったそうだ。
この『ジェイムズ』はその『ハックルベリー・フィンの冒険』に登場するジムという黒人奴隷の視点からリメイクされた作品で、2024年に全米図書賞とピュリツァー賞を受賞している。
物語の中心はジムの逃亡劇だ。奴隷は逃亡するだけで重罪であり、その上、誘拐の罪まで負わされ賞金つきで指名手配をされてしまう。追われながらも知恵を働かせ、売られてしまった妻と娘を救出に行くジム。最後に「私はジェイムズ」と名乗るところが最高にカッコいい。「モノ」としての奴隷から、尊厳ある「ヒト」になった瞬間だ。
当時、黒人奴隷はどんなに酷い扱いをされていたか、胸を痛めながら、どきどきしながら、腹を立てながら400ページを捲っていった。

0
2026年02月21日

Posted by ブクログ

予想を裏切らない面白さ。
ハックベリーフィンを読んでからの「ジェイムズ」は正解だったと思う。(ハックを読むのは、大人になってしまった今の自分にはかなり苦痛ではあったけど)
最初のページでもう心掴まれる。
白人向けの言葉である奴隷言葉を操るジェイムズたちの、人間としての存在感がすごく魅力的。
ジム、ジェイムズの視点から読み直すハックベリーフィンの物語はもちろん面白いのだけど、特に、ハックの物語を逸脱してからの後半が、ものすごくいい!
マークトウェインからの呪縛から解き放たれた後の疾走する物語が素晴らしい。
そうきたか!と、驚きも楽しい。

映画にならないかな。きっとなるでしょう!

0
2026年02月18日

Posted by ブクログ

奴隷はどこまでいっても奴隷であるという絶望感をずっと突きつけられながら
そんな中で身に付けたジムの知性と生き延びるために取る数々の行動には畏怖の念を抱かずにはいられない

悲しいことに今でも誰かの尊厳を奪うことが平然と行われている世の中においてこの読書体験は本当に特別なものになった、、

0
2026年02月12日

Posted by ブクログ

 子どものころに見ていた『トム・ソーヤ』では、ジムは少し怖い黒人男性という印象だった。でも『ジェイムズ』を読んで、その姿は生きるための「演技」だったのだと知った。人としての尊厳を奪われながら、そう振る舞うしかなかった人たちがいたことを、今になって少し分かった気がする。自分は、物語の片側しか見ていなかったのかもしれない。

0
2026年02月09日

Posted by ブクログ

どんどん引き込まれます。余計なことは言わないのでいくらでも読めます。実際は2週間ほどかけましたが。
ハックルベリー・フィンの冒険の合わせ鏡と言える小説です。
ハック・フィンは後半評判が良くないそうですが、本作は後になるほど面白く、結末も素晴らしいし、それを文章で飾らないのがまたいい。
同じ著者原作による映画『消去』が見たくなります。

0
2026年02月08日

Posted by ブクログ

映画「アメリカン・フィクション」で描かれたダブルコンシャスの問題や、中村隆之著「ブラック・カルチャー」で触れられていた特有の言語の成り立ちなどと接続しながら読んだ。ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が頭の中で流れ胸が締め付けられる。この物語の時代から随分な時を経て、なお世界中で差別が横行し人権が軽くなっている今、読むべき一冊と感じた。

0
2026年01月29日

Posted by ブクログ


『ハックルベリー・フィンの冒険』を読んだのはウン十年も前なので、正直、詳しいことは覚えていません。ただ『トム・ソーヤーの冒険』と共に風刺の効いた児童文学という認識でした。
本書は『ハックルベリー・フィンの冒険』を黒人奴隷のジェイムズの目から見た物語。
風刺は効いていたとはいえ、児童文学として読んだトムやハックの物語。
ジェイムズ視点で進む本書は、あまりに残酷で息苦しい。黒人奴隷がどんな扱いを受けていたか、生々しい描写が続く。 
しかし、何より驚くのは奴隷達が白人達の前で愚かなフリをしていること。終盤で奴隷に襲われる白人が出てくるのですが、白人は襲われていることよりも、奴隷が愚かでない姿に衝撃を受けるのです。
児童文学として読んだトムやハックの物語は、ハラハラドキドキしながらも安心してハッピーエンドを想像しましたが、本書ではジェイムズがどうなってしまうのか‥‥そして鞭で打たれた背中の傷はどうなったのか‥‥一つも安心することができませんでした。
深く心に残る物語でした。見る角度で、こんなにも違うものが見えてくるのだな、と改めて思った読書でした。

0
2026年01月17日

Posted by ブクログ

プロローグ

かつて、ビリー・ホリデイは危険な時代に『ストレンジ・フルーツ』を歌った

トニ・モリスンは、『青い眼が欲しい』や『タール・ベイビー』を書いた

アレックス・ヘイリーは、『ルーツ』や『マルコムX自伝』を書いた

奇妙な果実って何を現しているのか!?
タールベイビーであることとその表現!
青い眼=白い肌!

いずれも、黒人人種差別を描いたものだ

そして、ここにパーシヴァル・エヴェレットが
『ジェイムズ』を書き上げた

何人も目を逸らしてはいけない
決して、、、
そしてこれからも、、、



本章
『ジェイムズ』正にソウルフルな★5
ひま師匠の本棚から

ノーベル文学賞作家トニ・モリスンの現代版
少し温いが、よくぞ書き上げてくれた
黒人への差別に限らず、全ての人種差別に対しての
一石も二石も投じる内容であり作品だ

全米図書賞
ピュリッツァー賞
その他5冠受賞も納得の一作である




エピローグ

いつもとは異なる実家の炬燵で本書を読み終えた
大晦日に相応しい私の居場所

そして、今年の大トリを飾るに相応しい作品

そして、今年から来年を跨ぐに相応しい題材

そして、ブク友の皆に云いたい



2026年♪
あけましておめでとうございます_(_^_)_と!!!


今年もよろしくね(人´∀`).☆.。.:*・゚


                      完


0
2026年01月01日

Posted by ブクログ

海外文学は私には読みづらい物が多く、リタイヤすることも多々あり、、。
期待せずに読み始めたけど面白かったー!一気読みしちゃった。
トムソーヤの冒険は未読です。
これから読みたいなぁとも思わなかったけど、これは良かった。
人間も動物なんだなって思う。どこまでも残虐になれちゃって。怖い。
差別はまだなくなってないし、これからもなくならないだろな。なんでこういう経験したのによくならないんだろ。
忘れちゃうのかな。自分が経験してないからなのかな。

0
2026年08月16日

Posted by ブクログ

トムソーヤの親友ハックルベリー。そのハックを養子に迎えたダグラス未亡人。そのダグラスの姉ミスワトソンの奴隷であるジム(ジェイムズ)が主人公のこの作品。奴隷というものが、どのように自身の存在を捉え、白人を見て、そして奴隷社会の中で生きるのか、それが描かれていて、かなり読みやすく内容も面白かったです。

0
2026年08月09日

Posted by ブクログ

非常に読みやすい文体であっという間に読み終わりました。
多様性、LGBTQなどさけばれる昨今において、この時代にこの問題提起がなされることで、現在進行形の差別がまだあるのだと思いました。日本にいると気づきにくいですが。

ハックルベリーの冒険の原作を40年前に読んだ気がするのですが、全然覚えてないのであらためて読み直してみたいと思います。

0
2026年08月09日

Posted by ブクログ

『トム・ソーヤーの冒険』の続編にあたる『ハックルベリー・フィンの冒険』――暴力的な父親から逃げた少年ハックが、逃亡中の黒人奴隷ジムとともに、いかだでミシシッピ川を下りながら、自由と本当の友情を求めていく物語――を、ジム(ジェイムズ)の視点から描いた作品です。

もっとも、訳者のあとがきによれば、前半は原作と同じストーリーをたどるものの、後半、私の推測では全体の後ろ三分の一ほどは、独自の物語になっているそうです。なにせ原作は未読――ひょっとしたら五十年以上前に読んだのかもしれませんが、もはや忘却の彼方です――なので、どの部分が原作と異なるのかは分かりません。

主人公のジェイムズは、知的好奇心にあふれた黒人です。どういう経緯で身につけたのかは分かりませんが、難しい語彙も知っており、哲学的な本さえ読むことができる。自分の考えを書き残すために、ノートと鉛筆を切望します。

しかし、そうした知性はひた隠しにし、白人の前では、白人が期待する「黒人らしい」言葉遣いで受け答えする。白人たちが黒人を人間として扱わない社会で生き延びるために、あえて愚かで無教養な人物を演じているのです。

描かれるのは、奴隷制度のすさまじさと、その非人間性です。黒人を人間とみなさず、ほとんど理由もなく、肉が裂けるまで鞭打つ。女性をレイプする。ジェイムズが脱走したのも、主人(白人)の都合によって愛する妻子と引き離され、自分自身が売られることを知ったためでした。

奴隷制度の実態について、知識としては知っていたつもりです。しかし、次から次へと描かれるエピソードは、やはり厳しいものがあります。

白人たちの愚かさを知りながらも、従属関係から抜け出すことのできないジェイムズ。しかし、物語の最後には、ついに反乱ののろしを上げます。このあたりが、原作とは異なる展開なのでしょう。

出版社の紹介文には、「痛烈な笑いと皮肉で全世界に衝撃を与えた怪物的話題作」とあります。私は笑えませんでしたが、そこに「痛烈な笑い」が含まれていることは分かります。そして、確かに衝撃的な問題作です。

一方で、「なぜこの時代に、わざわざ奴隷制度を題材にするのか」とも思いました。しかし、アメリカでBLM(Black Lives Matter)運動が広がったことなどを考えると、奴隷制度や人種差別は、いまだに「現在進行形の課題」なのでしょう。

ふと思いました。

そういえば、「C国人」だの「害国人」だのと、ネットで騒いでいる人たちも、個人を見ずに、国籍や民族といったラベルを貼って判断している。その意味では、黒人を一人の人間として見ようとしなかった人々と、どこか同じなのではないか、と。

全米図書賞&ピュリツァー賞、驚異のW受賞!
ブリティッシュ・ブック・アワード、カーネギー賞、カーカス賞受賞!
ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー第1位、2024年ベストブック最多選出。
各賞を総なめにした、2024年アメリカ文学最大の話題作。

……だそうです

0
2026年08月06日

Posted by ブクログ

アメリカにおける人種問題、白人に迫害される奴隷としての黒人の気持ちや考えが記されています。ハックルベリー・フィンの冒険の中のジムを主人公に語られていて、目を覆いたくなる場面もありますが、彼等の気持ちがしっかりと伝わります。

0
2026年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ハックルベリー・フィンの冒険」を黒人奴隷ジムの視点から描き直した作品。原作をほとんど覚えていなくても問題なく楽しめた。奴隷制度という重いテーマを扱いながらも、逃亡劇としての面白さが抜群で、皮肉やユーモアも効いていて読みやすい。終盤には思わぬ展開も待っていて、最後まで夢中になった。「自分の好きな嘘は信じるけど、都合の悪い真実は無視する」という言葉は、現代社会にも重なるものがあり、とても印象に残った。これを機に本家「ハックルベリー・フィン」も読み返してみたくなった。

0
2026年05月24日

Posted by ブクログ

勢いで読み切れちゃう作品
トムソーヤーの冒険とかハックルベリー・フィンの小説を読んでる人はより楽しめるかも

0
2026年03月30日

Posted by ブクログ

・しんどかったけど面白かった〜。
・トムソーヤやハックルベリーはとても昔に読んだのだけど、正直話はあんまり覚えていない。解説で最後財宝を見つけて〜と書いてあったけど、そうだっけ?と思ったくらい。
・なのでこの作品単体で楽しんだ、という感覚。
・まぁ楽しんだ、というには当時の奴隷の扱いがしんど過ぎたけれど。自分は他者が軽んじられる(というレベルでは無いけれど)という描写には基本苦手、しんどさを感じてしまうので。ドラマの「地下鉄道」(あれも凄かった)を思い出した。
・とは言え、ジム(や他の黒人奴隷)の二面性(話し方を使い分ける)等、ゾクゾクする様な設定もあり、文学、社会の歴史的な意義深さ、以外にもちゃんと「不健全な「娯楽性」も存在していて、そこが凄く面白い。ブラックスプロイテーション文学、みたいな。

0
2026年03月15日

Posted by ブクログ

家族と離されて売り飛ばされる。奴隷のジムは逃亡を決意し、途中で一緒になったハックとミシシッピ川を下る。トゥエンの「ハックルベリー・フィンの冒険」を奴隷のジムの視点から描いたスピンオフ。
--------------
「ハック・フィンの冒険」を読んでから、近年に出版されたというこちらにも興味を持っていたのですが、これはなかなか読んでいて苦しいお話でした。まあ逃亡奴隷の話なので当然といえば当然ですが、「ハック・フィンの冒険」のように、子どもの冒険譚のようなお話を想像していると厳しいです。当時アメリカで黒人奴隷がどのように扱われて、白人に対してどのような態度で生きていなければならなかったのか、正直に言うとどこまで本当のことなのかは知りようもないのですが(だから学ぼうとも思いました)、大体において正しい描写なのだと思います。人をひととも思わぬ所業というのは、身近にないだけで消えたわけではありませんし、少しの油断で我が国でもそうなるものでしょう。少なくともこうした本を読んでおけば、そうした所業に足を踏み入れることをよく考えてみる機会にはなるでしょうから、やはりなるべく多くの人に読んでほしい本だなあ、と思いました。

「人権」という言葉と概念はいつの時代でも風の前の蝋燭の火のように頼りありません。だからみんなが学び、必死に守っていかなければならないものなのだと思うのです。

0
2026年02月20日

Posted by ブクログ

翻訳された小説は、日本語の表現が独特で、ちょっとついていけないことがあるけれど、これはそんなことはない。読み始めると、文章がわかりやすく、物語の面白さもあって、2日で一気に読んでしまった。
それに、黒人奴隷であるジェイムズに、意外なある事情が読み取れて、それが水面下で期待をもたせ続けるのが新鮮だ。

物語は、自分だけ奴隷として売られることを知り、逃亡しようとするジムと、父親が帰ってきて暴力を振るわれるのを避けるため逃げたいハックルベリー・フィンが一緒に川を下って逃げるところからはじまる。
すでに家族がいるジムは、金を稼いで家族を買い戻そうとするのだが・・・。
そして、物語は唐突に終わりを迎える。
果たしてハッピーエンドなのか?
私はジムの持っているある能力との関連で、その後を推測をしてみた。
ネタバレになるので何も言えないのが残念だけど、一読したら止まらない展開。近い将来ディズニー映画にでもなりそうだ。
訳者の木原さんの、翻訳の配慮がとても効果的で、物語に深みと、多くの想像の余地を与えている。

0
2026年01月12日

Posted by ブクログ

賞を5つも受賞し、話題になっているようだが、自分の教養のないせいか、ハックルベリーフィン、トム・ソーヤーの物語の理解がないためか、それほど重要なものとは思えなかった。

恐らく白人視点から描かれたハックルベリーフィンの物語を黒人視点から描き、追加の設定(?)を入れ込むことで、古典のコペルニクス的転回をやったことで、黒人差別をNGとする世論に乗っかった形となり、受賞対象となりやすかったのだろうと思われる。

こういう作品がその設定だけで(?)評価されているとしたら、まだまだ黒人差別が根強く残っている証拠じゃないかと思ってしまう。

百歩譲って欧米人が評価するのは理解できるとして、日本人がこれに共感・評価するのは、白人の気持ちになりきっているからだろうか。

間違いなく、自分の理解が足りないことから上記のような感想を抱いたはずなので、もう少し他の人の評論・評価を見てみたい。

ただ、これが映画化されたりすると、ぜひ観てみたいし、売れるだろうと思う。

0
2026年01月04日

Posted by ブクログ

2025.12 日本には欧米のような奴隷制度はなかったので遠い国の残酷な制度としか思えないが、奴隷に対する残酷な仕打ちと茶番劇が軽妙に描かれたこの小説、すごいね。ジムは淡々としているけれど読んでいて苦しい場面もあり、痛い場面もあるけれどハラハラしっぱなしでした。

0
2025年12月25日

Posted by ブクログ

時代は(風と共に去りぬ)を彷彿させた南北戦争の時代か?
黒人奴隷は家畜でもなければ、感情もあり、白人のように家族もあれば 立場をわきまえた表現力も備えた人間なんだ!
と……

0
2026年08月02日

Posted by ブクログ

あらためて奴隷のことを知る。
アメリカ映画でよく見るような、南部の田舎の大きな家で働く力強い男や子供の面倒を見る働き者の女など、温かい家族の一員であるかのようなイメージを持ってしまうが、実は金で売買される主人の所有物と同じであり、奴隷の身分をわきまえ虐げられても文句も言えず、ご主人様に一切の反抗を示さずながら命をつなぐ生きる存在。

主人公のジェイムズはもうすぐ自分が売られそうだと耳にし、やむを得ず妻子を捨てて逃亡する。
そんな事情を知らずに冒険のつもりで家を出てきた白人の子供のハックルベリー(ハック)と合流し一緒に逃避行を続けることとなる。
逃亡先で受ける黒人差別の恐怖。同じ立場の奴隷仲間との助け合い。命からがら生き延びる過酷な逃亡奴隷の日々。

アメリカの児童文学「ハックルベリー・フィンの冒険」を黒人の視点から皮肉的に描いた小説。ピューリツアー賞受賞。

0
2026年04月19日

Posted by ブクログ

面白かった。ちびた鉛筆一本で吊るされる黒人の哀しみ。白人の鬼畜さ。
けどジェイムズが万能過ぎて笑
歌も上手い頭も切れる仕事もなんでもできる白人女性すら惚れる、レクター博士に惚れちゃったトマス・ハリスかよ!

0
2026年03月15日

Posted by ブクログ

読みやすい。ひたすら悲惨な話。奴隷のこと全然知らなくて勉強になった。今度ハックルベリーフィンの冒険も読んでみようと思う

0
2026年03月11日

Posted by ブクログ

マーク・トゥエインのハックルベリー・フィンの冒険は、アメリカ文学の代表作のひとつに数えられるが、ハックルベリー・フィンの物語には重要な登場人物として、逃亡奴隷のジムが描かれている。
本書は、そのジム(ジェイムス)の視点から、書き直したハックルベリー・フィンの冒険。

貧しい南部の少年ハックルベリー・フィンは、貧しいと言っても白人。貧しいと言っても、人間として生きている。
しかし、当時の黒人はモノ。
白人の所有物であり、時には売買取引の対象となる。
ひとりで道を歩いていても、お前は誰のモノだ?ということになる。
無知で傲慢な貧しい白人や奴隷監督の目をすり抜けながら、生き延び、自由を模索するジムの物語。
そしてその旅の果てに、ジムが辿り着き得るものは....
本書は単体で読んでも当然面白いが、ハックルベリー・フィンの視点はあくまでも白人の視点であったことを改めて気づく。

0
2026年01月14日

「小説」ランキング