あらすじ
忘れてもいい。思い出してもいい。君が幸せなら、それだけで――。感涙必至! 「記憶」に悩む人々が集う、不思議なアパートの物語。 ◇あらすじ そのアパートの住人たちには、不思議な共通点がある。それは全員、「記憶」に関する悩みを抱えていること――。記憶喪失の男子高校生、前世の記憶があるOL、若年性認知症の男性、胎内記憶を持つ女の子……そして、大家である「坂下さん」にも、ある秘密があった。 つらい思い出は忘れたほうが幸せなのか、自分の記憶は本当に正しいのか。現代人の悩みに優しく寄り添う、感動の連作短編集。文庫書き下ろし。
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Posted by ブクログ
私も両親にいやな感情や記憶が多いにある。未熟な大人だと思ってきました。難しい年頃の子供がいますが、この作品のようなダイナミックな変化は私には難しい。しかし、少しでも変わることは可能。見たり聞いたり感じたりしたものがすべてでないことは、少しずつ受け入れたい。
Posted by ブクログ
アパートの大家をしている坂下さんは
超記憶症候群で全てを覚えている。
見たこと、聞いたこと、感じたこと、、、。
全てを鮮明に覚えているって
マイナスな感情まで覚えているってことだし
忘れたくても忘れられないって
考えただけで絶望する。
私も少し似た経験してるから
想像し難いってことはないけど。
でも坂下さんは全て覚えていることで
アパートの住人の記憶の整理や
過去の出来事と向き合う手助けをしている。
それって
住人からしたら辛いことだけど
でもこれからを生きていく為には必要。
坂下さんを見ていたら
全て覚えているってことが
悪いことばかりではないのかもと思えて
他の人より記憶に残っているのが
少しだけ負の感情が和らいだ気がする。
これからも負の感情は消えないだろうけど
どの記憶も今の自分に繋がっているから
大切にしようと思います。
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今までは特に感じなかったけど
15年前の恥ずかしかった出来事とか
絶望を感じた出来事とかが
鮮明に思い出せてしまうから
記憶が残りやすいのかなぁと思ってる。
その時その場にいた人がいると
何でもない話をしながら
『この人とはこんな事があった。
あの時どう思われてたんだろう。
あれで嫌われたかもしれない。』
と頭の中でフル回転してしまって
その後は楽しかったはずなのに
凄く気疲れしてることがある。
それに
嫌われてかもと思ったら
距離感が分からなくなっていくから
最終的に1人でいるのが気楽になっていく。
Posted by ブクログ
記憶喪失、若年性認知症、苦しい過去や記憶、超記憶症候群など、「記憶」に関する悩みを持つアパートの住人と管理人たちの物語。
人は、覚えた80%を忘れる生き物。残り、20%の記憶を積み重ね生きていく。というキーワードが何度も登場するこの作品は、私たちに忘れてもいいこと、忘れたくない気持ち、思い出して過去と向き合うことなど、どれもが大切であり、選択であり、正解であることを教えてくれた。
生きていくうえで記憶や過去からは絶対に逃れられないからこそ、どう向き合うのかを考えさせられながら楽しく読める作品だった。
Posted by ブクログ
忘れていく80%の記憶を忘れないように努力するよりも、積み重ねていく20%の記憶ひとつひとつを大事にする。
見た事聞いた事感じた事だけが真実ではなく、知らない幸せ、忘れる幸せもあるんだと思ってる。人にはそれぞれ悩みがあり、それは他人にとっては理解されないものであろう。同じ悩みを抱える(記憶に関する悩みという意味で)もの同士で意図せず繋がり、関わり合い、現実と向き合っていく姿が、素敵な世の中だなと思いました。
Posted by ブクログ
連作短編集4編
事故後の記憶喪失に悩む高校生をはじめ,記憶に障害のある人たちが住むアパート.完全な記憶を持つ大家の坂下さん.
住民たちの記憶に関する悩みトラウマが坂下さんと接することでお互いに良い化学反応が起きる.ちょっとしたミステリー風で,内容はどれも切なくて,でもそこには愛があり優しい気持ちになった.