【感想・ネタバレ】川のほとりに立つ者はのレビュー

あらすじ

カフェの店長として忙しく働く清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いている。関係がこじれた原因は彼の「隠し事」にあると思っていた。そんなある日、松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。入院中の松木の家を訪れ、彼が隠していたノートを見つけた清瀬は、すれ違いの「本当の理由」を知ることになり――。‶当たり前〟に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
解説:瀧井朝世

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

本屋大賞ノミネートぶりなので、3年ぶり。
当時読んだ時よりも更に深く刺さったな〜
そして前も思ったけど、読んでよかった本当に。
これを読んで、まったく他人の話だ、自分には関係ないって思う人は居ないんじゃないかな?
一度読んでいるはずなのに、
この3年でやっぱり意識から遠ざかってたことが多々。
改めて自分は"川のほとりに立つ者"だと思うし
あああ反省だ、反省だぁぁと思いながら読んでた。
あと良い人、嫌な人の話。
全面的に「良い」人ってのは絶対居ないよなと共感、、、絶対「良い」人になりきれないと現実突きつけられてる。
でも自分以外の誰かの、明日が良い日になりますようにと祈ることはできる。
好きな本だな〜寺地はるなさんの作品読みたい!

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2026年02月28日

Posted by ブクログ

人と接するときの考え方について改めて見つめ直すキッカケとなるような内容だと思う。自分も気をつけようと思っていることだが、それでもどこかに思い込みや決めつけを抱いて人とコミュニケーションをとっているのかもしれない。難しい、とても。
だから本作の諸々も難しく感じ、理解しようと頭を悩ませていたのだと思う。
僕は水底に沈む石の数を知り得ない。知ろうともしていない?もしかして川のほとりにすら立てていない?まずはそこから。
ちょっとずつでも考え方を変えようと思いました。
また感化されてる。でも、きっとまた読もう。

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2026年03月01日

Posted by ブクログ

すごく考えさせられるお話でした。っていうと薄っぺらく感じますが、色んな登場人物から色んな気づきを感じました。

読むのは寺地はるなさんの作品は5作目なのですが、なんか今までとは違うこれから何が起きるのか?と思わせる始まりで、2人の視点でストーリー展開していくのですが、

川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない

というフレーズが何度か出てきますが、これがとても深く、人間とはやはり難しいなぁと思います。
あんまり話すと内容に触れてしまうのでぼんやりな感想になりがちですが、
善意が必ずしも相手に伝わるとは限らないですよね。あと、無知であるという事で相手を知らずに傷つけてしまっているなど。

とある1人の女性に対してどう思うか…
ですが、わたしはなんとなくわかるような気がします。というのも分かった気になってるだけかもしれません。
わたしも家庭は恵まれていたかもしれません。
金銭面とかではなく、わたし個人を尊重してくれるという意味で。
でも、友人などでは恵まれてこなかった為、羨ましく思う部分もありました。
でも、今自分が置かれている環境が小さな事でもなんでも感謝だなぁとつくづく思わされます。

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2026年02月24日

Posted by ブクログ

一気に読んでしまいました。
心の痛みや歪みに正面から向き合っている作品だと思います。

手を差し伸べられた人間はすべからく感謝し、他人の支援を、配慮を、素直に受け入れるべきだと決めつけていた。歪みを抱えた者はみな改心すべきだと。
これこそがいちばんの罪かもしれないと。

主人公のこの思いに、激しく共感しました。私も反省しなければ!

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

先が気になり一気に読んでしまいました。
人それぞれの背景を考えたり自分の見えているものだけが全てじゃない、そう思いました。
ハッとさせられることが多く自分も気をつけないといけないなと考えさせられました。

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2026年02月18日

Posted by ブクログ

−川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。

本作を読んだ後にこの文章の意味を深く考えさせられる。

思いを言葉にできない表現がたくさんあって言語化のすごさを感じた。

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2026年02月16日

Posted by ブクログ

自分の無知に嫌気がさした。
そして同情すればするほど自分が川のほとりに立つ者であることを思い知らされて、胸の奥が苦しくなった。

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2026年01月30日

Posted by ブクログ

自分から見えている部分は、その人全てではない事。普段の生活すら変えられる本だと思った。見えているものが全部じゃない。
例えばいつも不機嫌な身近な同僚だって、何かしらの理由があるのかもしれない。『不機嫌』だって、私が思っているだけかもしれない。私がその人を決め付けたらいけないよな…。反省してしまった。寺地はるな先生の本は以前も読んだけど好き。

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2026年01月29日

Posted by ブクログ

ADHDというカミングアウトが出る前に、あ、私は品川さんタイプだなと思った。
後半の清瀬とまおさんとの対峙も、どちらかといえばまおさんの方に私は共感する。
『持っている人間』『出来る人間』は、そうじゃない人間のことが、ああ、わからないんだな、仕方ないな、と諦めている。
作中にもあったが病名が付けられて自分の正体が知ることが出来て安心することもあるし、余命を突きつけられたような気持ちになる場合もある。
境遇であったり才能であったり、それが生まれつきにしろ努力で身につけたものにしろ、それは『たまたま』とか『運』とは思わない。
良いものを持つにしろ悪いものをもつにしろ、それらは『違い』でしかない。私はそう思う。
『良いもの』も『悪いもの』も、人それぞれによって、判断、価値観は違う。
職場で倒れた時についててくれた品川さんに清瀬が一言告げるとしたら、「ついててくれてありがとう」だったんじゃないかな。
その後の話で、清瀬が改めてあの時こう言いたかった、というエピソードを想像したい。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

自分と重ねて読む事ができた。
私も相手の事を知ったつもりでいて、何もわかってないかもしれないなって思った。
これからの行動を考えらせられる作品。
この事を忘れないように頻繁に読みたい。

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2026年01月17日

Posted by ブクログ

思い込みや先入観で何も気を遣うことなく
誰かと話していて、
知らない間にその誰かを傷つけてしまう。

それが例えばSNSとかで炎上したりして、
対岸の火事のように自分には関係ないように
ああ、燃えてる。と思うだけ。

知らない間に誰かを傷つけていたことが
初めて自分で自覚したとき。
知らない間に誰かに傷つけられていたり、
自分のなかで何かを抱え込んだりしていることを
誰かに改めて教えてもらったとき。

周りの人たちを、自分を
もっと大切にできるんじゃないかと思う

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

人と接するときに、私は相手のことを理解しているつもりになっているかもしれないな。清瀬のように他者を知ったつもりになっているときに、すれ違いや相手を傷つけてしまうことがあるかもしれないなと思った。

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2026年01月04日

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話し合うことがいかに大切か教えてくれる小説。
言えないこともあると思う。それでも伝えるべきことは伝えないとね。信じたい人を信じれる自分でありたい。

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2026年02月24日

Posted by ブクログ

隠し事をしていると思い距離を置いていた恋人が意識不明に
主人公・清瀬が隠し事の内容やその殴り合いの真相を知っていくお話

自分に見えてる部分が相手の全てだと思っていないか?
相手の立場で考えることが苦手な私には痛い内容だった

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

展開が気になり、一気に読めた本。

考え方の根本が主人公に似ている気がして考えさせられた。
自分がこうしていられるのはたまたま運が良かったということ。
清瀬の天音さんとのかかわりが、親切の押し売りみたいで、案の定天音さんに跳ね除けられるわけだけど、そうしてはじめて清瀬の心に「川のほとりに立つ者は」が腑に落ちたのが痛いくらいにわかる。
優しい人であることが正しいわけではないと言う感じがすごく自分に刺さった。私はいかにも上っ面の優しい人なんだなぁと思い知らされる。
川の底の石の数はわからなくても、これからは少しでもわかろうとする人になりたい。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友人Aの勧めで読んだ本。
寺地はるなさんの本はおそらく初めて手にしたが、書き振りがその友人のかんじがすごくて、好きな小説を自分で手繰り寄せるってこういうことかーすごいなあって思った。文学作品が中に出てくるところや、「川のほとりに立つ者は」の続きの言葉。

全体的に、その面から見ただけじゃ知り得ない事情だったり、見えない思いがあるんだよね、それを想像できますか?できたとして、どうしますか?っていう問いがずっとあった。それは、男だから、女だから、努力不足だから、発達障害だから、恵まれてるから、恵まれないから、など、川のほとりに立つ者から見ればそうやって決めつけられることも、川底の石の本音とは違うことが思ったよりもたくさん(今回はほとんどの登場人物に主人公から見た印象との差があった)ある。じゃあ本音を聞いたら解決するのかというとそれも違って、自分の想像できる範囲より広い宇宙があることを受け入れる、みたいな姿勢とか、そこに働きかけたことが失敗でもそのままにしておく、のような考え方ができるようになったらすごいよね。と言われているのかなと捉えた。

最近そういう、簡単にまとめると【多様性】みたいなものを高解像度で見始めたことによるモヤモヤを描く話によく出会う。朝井リョウの「正欲」もそうだった。もちろん以前にもそのモヤモヤを感じる人はたくさんいただろうが、それが言葉にされてたくさんの人に共有されているということなのかな。

あと最後の天音ちゃんと隣を歩く女性のシーンがとても好きでした。

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

作中にはっきり出てくるADHD、ディスレクシアだけじゃなく、登場人物それぞれに何かしらあるのだろうなという印象。
なので、割と情報量が多いなというか、発達障害にすごくフォーカスしてるなと思った。ここまでフルメンバー揃う環境も逆になかなか難しい。
発達障害盛りだくさんとはいえ、薄っぺらさを感じることもなく、それぞれの人物像がきちんと見えるものだった。

障害があると先に言っていたら何なんですか?という彼女の言葉は、本当にその通りだと思う。
先に情報を与えられたら、そのフィルターを通してしか見ない、接しない人もいる。
それを知って一緒に手立てを考えてくれようとする人の方が少ないのではないか。
障害や病気を憐れんでほしいわけじゃないし、むしろそれを言い訳にしたくない当人にとってはあえて説明したくないだろうな、と。

全体的に物語の進み方もおもしろく、休日に一気読み。
わたしも、川のほとりに立った時、川底の石を分かろうとする人間になりたいと思った。

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2026年02月11日

Posted by ブクログ

読んでて胸が痛くなった。
他人の全てを理解することは難しいよねって改めて思った。みえるものが全てじゃないからなぁ。
伝えることって難しいよね。
だけど寄り添える人間でいたいな。

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2026年02月09日

Posted by ブクログ

「あの人はあぁだから」「この人はこぅやから」と決めつけ?カテゴライズ?したがる人いるよね… 一辺倒じゃないのよ人って、と昔から思ってた。「たいていの人間は価値観や行動原理に一貫性があるわけではない」のになぁと。

思ってたことを代弁してくれてたり再認識させてもらえたり、良い本でした。

オーナーが気になる。スピンオフ小説読みたい。

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2026年02月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私も人の話を聞く時は、言葉を選び、相手の気持ちに寄り添っていたつもりでしたが、もしかするとそれは、結局自分の尺度で相手を理解していたつもりだったのかもなと気付きました。

初めて寺地はるなさんの作品を読みましたが、とても読みやすい文章で一気に読めました。

ーー川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。

この言葉を胸に抱えつつ、「明日がよい日でありますように」と願える人でありたいです。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

初読みの作家さん。
なかなか深い所を突くなあと、予想以上に心に響く。

仲が良くてもそうでなくても、人間同士の心の機微の複雑さを細かく深く描写している。
そんな鋭さと繊細さを持った作品だなと思う。

かなり大まかではあるけれど、
「相手を助けたいと思って行動したとしても、相手にとってみたら迷惑で不快だった」という事ってあると思う。
偽善とかそういったものだけでなく、逆に相手を傷つけてしまった場合…とか。
いろんなタイプやパターンがあると思う。
人の心って難しい。
そして心は相手によって様々。

それでも誰かの幸せを思う気持ちって、何より希望に満ちてて温かいものだなと思う。
私はこの物語に温かいものを感じた。

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2026年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。

最後まで読むと、この言葉がじーんと刺さります。自分も他人に話してない、触れられたくない部分があるように、相手にだってある。自分の当たり前を押し付けたり、理解した気になったりしないように気をつけようと改めて思いました。

物語のストーリーはミステリーっぽさもあり続きが気になってどんどん読めました。清瀬と天音にそれぞれちょっとイライラしたけど笑、最後まで読むと少し心が救われる。みんな幸せであれ。

解説もすごくよかった。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一緒にいてもその人の全部なんか知れるはずもなくて、勝手に自分でその人はこうだと決めつけて違う言動したらこの人こんなこと言う人だっけ?とわかった気になって幻滅して。
それでも何かきっかけで相手を深く知りたいというプラス行動になるのはやはり愛なのかな

松木が目を覚まして新たなスタートに立てたのよかった

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読後、「川のほとりに立つ者は」に続く言葉を考えさせられる。

作中物語では、「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」と書かれている。心に流れる川に沈んでいる数々の石─それは、喜びや悲しみや怒りといった、あらゆる感情のこと─を、内包する川でさえ全て知り得ないのだから、「川のほとりに立つ者」がその石の数や形を知ることができないのは当然である。

しかし、この物語は、「川のほとりに立つ者」が「水底に沈む石の数を知り得ない」から仕方がないと伝えたいわけではないはずだ。知ることができないからこそ...。ただ、なかなかこの後に続く言葉がなかなか浮かばない。しかし、簡単に答えてはいけないのだろう、とも思う。

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2026年01月16日

Posted by ブクログ

初めて読んだ作家さん。
読み始めた時はADHDとか、ディスレクシアの話かなあ~と思って、既視感もあるし読み始めて少し後悔した。

けれども後半、一気に読まされた。
「障がい」の話ではない。人のことはわからない。わからないんだとわかったうえで、その人に手を差し伸べる。「障がい」の有無などの問題ではなくなった。
上でもなく、下でもなく、手を差し伸べることに酔わず、人にはいろんな背景や感情がある、そのすべてはわからない。でも、それでも困っている人に手を差し伸べる。

松木の作文がよかった。そして篠ちゃんが素敵。

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2026年01月13日

Posted by ブクログ

人と関わるのはほんとに難しいし怖い。
昔の自分だったら一人の方が楽だし一人で生きていけばいいやって思ってたと思う。でも今はそうじゃなくて、相手はどんな気持ちなんだろうどう接すればいいだろうどんな言葉をかけよう…人と向き合うことから目を背けずにいきたい。
ADHDだとか見た目ではわからないような障害も多種多様あることが世間に浸透してきたり、多様性って言葉が飛び交う今だからこそ読んでみてよかったかな。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

寺地はるな作品は本作が初読。タイトルと表紙に惹かれて手に取ったが、人に勧めたくなる静かな説得力をもつ一冊だった。

日常のなかで無意識に抱いてしまう他者への評価や比較、善意と自己保身のあいだで揺れる心情を、過剰な説明や断定を避けながら丁寧にすくい上げていく。派手な事件は起こらないのに、読んでいるあいだ、自分自身が登場人物になったような感覚に陥るのは、その感情の配置があまりにも身近だからだ。

人は知らず知らずのうちに人を値踏みし、「できる・できない」「正しい・間違っている」と線を引いてしまう。そのこと自体を断罪するのではなく、そうしてしまう人間の弱さや不器用さを、淡々と並べてみせる視線が印象的だった。


「道端に落ちた蝉の死骸を目にとめることなく歩けるほうが、人生はたぶんずっと容易い」
という一文は、この物語の核心を突いている。感じない強さより、感じてしまう不器用さを抱えたまま生きることの難しさと価値を肯定しているように思えた。

自分の感情を優先し、思ったことを即座に口にし、衝動のまま行動できたら、確かに生きるのは楽になるだろう。けれど、自分以外の存在に思いを巡らせ、すぐには答えの出ない問題に向き合い続けることこそが、遠回りに見えて、結果的には自分を豊かにしてくれる。本作は、そんな実感をそっと手渡してくれる小説だった。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

「無知」という罪。善意の押し付け。偏見。これらについて考えさせられる話だった。今まで読んできた寺地さんの話は、あたたかくなるような、そんな話が多い印象だったが、これは違うと思う。正直、真正面から向き合うには残酷で、ただそれが現実だという事実を突きつけられたような、そんな話だった。難しく、答えは出せない問い。だからこそ、考え続けなけらばならないし、向き合い続けなければならないと思う。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

帯を見た感じだと、優しく口当たりのいい話なのだろうと思ったが、ヘビーな話だった。
世の中どんな悪人にも理由があるのだから相手の立場になって考えるべきだというのは理解できる。それが大人の対応なんだろうとも思う。しかし、どうしていつもこちら側が寄り添ってあげないといけないのかと反発したい時もある。
それに私は天音を前にしたとき「生きてきた世界が違う人だから仕方ない」というふうに投げ出して、寄り添うことはできないだろうと思う。
清瀬の場合は事件を通して人を理解しようと考え、誰かを頼ることができるようになったのだから成長できたと評価できるが、松木や樹は結局物語を通してすり減っただけで損しかしていないのではないかと感じてしまう。天音の方はなんだかんだで愛を教えてくれる存在が現れて救われた様子だが、迷惑をかけられて去っていかれた側に感情移入して読むと、単なる巻き込まれ事故で後味が悪いだけだった。
という感想を持つ私は川のほとりに立つもので、底に潜れない人間なのだろうと思った。
文章自体は読みやすく、1日くらいで読み終えることができたので、読書週間を取り戻すにはいい本だった。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

ずーんとくるものがある。今回はストレートに突きつけるお話だったように感じた。

人はいろいろな形で生き辛さを抱えている。
それが障がいとして区分されているものもされていないものも、人に見えるものも見えないものもある。

寺地はるなさんのお話は、肯定も否定もしない。今の状況を変えていくか変えないかも含めてすべてを否定しないというか、決めつける怖さを突きつけられている気がする。それぞれに見えない事情があって、すべて知ることなどできない中で他人の自分が判断してないか?と。

もちろん人それぞれの物差しはある。感情自体は否定されるものではないけれど、知らず知らず押し付けていないか、改めて考える。忘れずに考え続けてその時々の最適を探すしかないのかも。決められないけど人と関わるなかでは見ないことも出来ないから。

また折に読み返して考えたいお話でした。

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2025年12月28日

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