あらすじ
カフェの店長として忙しく働く清瀬は、恋人の松木とすれ違いが続いている。関係がこじれた原因は彼の「隠し事」にあると思っていた。そんなある日、松木が怪我をして意識が戻らないと病院から連絡を受ける。入院中の松木の家を訪れ、彼が隠していたノートを見つけた清瀬は、すれ違いの「本当の理由」を知ることになり――。‶当たり前〟に埋もれた声を丁寧に紡ぎ、他者と交わる痛みとその先の希望を描いた物語。
解説:瀧井朝世
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
私はおせっかい焼きなので、この本を読めて良かったなと思う。
そして、私は人と話していて、この人はこういう人だなと勝手にレッテルを貼るところがある。品川さんの言葉で、ハッとさせられた。
また、松木の生い立ちについて、すごく共感した。人と比べて、自分は恵まれている。天音さんのように、誰が見ても辛いと思うような経験をしている人じゃないと、弱音を吐くことは甘えみたいな風潮はあるよなと思った。もちろん天音さんの経験が辛くないというわけではないが。
Posted by ブクログ
男女のすれ違いの奥にある真実を丁寧に描く物語___
清瀬は松木のことを知ろうとしすぎてしまったが、松木は家族と不仲、いっちゃんは字の練習をしてることを誰にも知られたくなかったし、清瀬も相手に対してそういう背景があるかもしれないと、配慮する必要があった。
清瀬の考え方について、犯罪者のニュースを見てこんなことする人がいるなんて有り得ないだとか、こんな字の汚い人考えられないと言ってしまうのは、「自分はそうではないとして、切り離そうと考えている」という言葉にハッとした。
手を差し伸べて助けようとしても、真っ直ぐに喜んでくれる人だけがいるわけじゃない。天音の「助けられたら感謝しなきゃいけないんですか?」や、「優位に立とうとしている。」には考えさせられるものがあった。
Posted by ブクログ
私も人の話を聞く時は、言葉を選び、相手の気持ちに寄り添っていたつもりでしたが、もしかするとそれは、結局自分の尺度で相手を理解していたつもりだったのかもなと気付きました。
初めて寺地はるなさんの作品を読みましたが、とても読みやすい文章で一気に読めました。
ーー川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。
この言葉を胸に抱えつつ、「明日がよい日でありますように」と願える人でありたいです。
Posted by ブクログ
川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。
最後まで読むと、この言葉がじーんと刺さります。自分も他人に話してない、触れられたくない部分があるように、相手にだってある。自分の当たり前を押し付けたり、理解した気になったりしないように気をつけようと改めて思いました。
物語のストーリーはミステリーっぽさもあり続きが気になってどんどん読めました。清瀬と天音にそれぞれちょっとイライラしたけど笑、最後まで読むと少し心が救われる。みんな幸せであれ。
解説もすごくよかった。
Posted by ブクログ
一緒にいてもその人の全部なんか知れるはずもなくて、勝手に自分でその人はこうだと決めつけて違う言動したらこの人こんなこと言う人だっけ?とわかった気になって幻滅して。
それでも何かきっかけで相手を深く知りたいというプラス行動になるのはやはり愛なのかな
松木が目を覚まして新たなスタートに立てたのよかった。
Posted by ブクログ
読後、「川のほとりに立つ者は」に続く言葉を考えさせられる。
作中物語では、「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない」と書かれている。心に流れる川に沈んでいる数々の石─それは、喜びや悲しみや怒りといった、あらゆる感情のこと─を、内包する川でさえ全て知り得ないのだから、「川のほとりに立つ者」がその石の数や形を知ることができないのは当然である。
しかし、この物語は、「川のほとりに立つ者」が「水底に沈む石の数を知り得ない」から仕方がないと伝えたいわけではないはずだ。知ることができないからこそ...。ただ、なかなかこの後に続く言葉がなかなか浮かばない。しかし、簡単に答えてはいけないのだろう、とも思う。
Posted by ブクログ
何かのおすすめで、感動ものとのことで読みました。悲しい物語ですが、作者の言いたいことがよくわかりました。みんな幸せになって欲しいです。
最後までまおさんのことは、読んでても
天音と読んでいました笑
Posted by ブクログ
帯を見た感じだと、優しく口当たりのいい話なのだろうと思ったが、ヘビーな話だった。
世の中どんな悪人にも理由があるのだから相手の立場になって考えるべきだというのは理解できる。それが大人の対応なんだろうとも思う。しかし、どうしていつもこちら側が寄り添ってあげないといけないのかと反発したい時もある。
それに私は天音を前にしたとき「生きてきた世界が違う人だから仕方ない」というふうに投げ出して、寄り添うことはできないだろうと思う。
清瀬の場合は事件を通して人を理解しようと考え、誰かを頼ることができるようになったのだから成長できたと評価できるが、松木や樹は結局物語を通してすり減っただけで損しかしていないのではないかと感じてしまう。天音の方はなんだかんだで愛を教えてくれる存在が現れて救われた様子だが、迷惑をかけられて去っていかれた側に感情移入して読むと、単なる巻き込まれ事故で後味が悪いだけだった。
という感想を持つ私は川のほとりに立つもので、底に潜れない人間なのだろうと思った。
文章自体は読みやすく、1日くらいで読み終えることができたので、読書週間を取り戻すにはいい本だった。