米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレリドルストーリーという言葉は本作で初めて知ったのですが、考察の余地がある作品が好きなのであらすじに惹かれて手に取りました。
推理小説というよりは明治時代の純文学を読んでいるような感覚。大きな盛り上がりはなく割と淡々と物語が進むので一気読み必須!という感じではないけれど、徐々に過去が浮かび上がってくる様が面白かったです。でも全てが詳らかになるわけでもないのがこの物語の結末としては最適解だと思います。
叶黒白こと北里参吾は『山月記』の李徴に性格が似ていると感じ(本文より引用「自尊心が強い割に皮肉なところがあって…」「この誇り高い男に…」)、斗満子は『痴人の愛』のナオミを連想させる女性だな(「彼女 -
Posted by ブクログ
ネタバレマーヤの抱えるものに対して、それを助けたい気持ちと未知の世界への欲求もあって共に行きたいと志願する守屋が少し痛い。気持ちはわからないでもないが、高校生という若さを感じる。
後半、マーヤはユーゴスラビアのどの共和国に帰ったのか?推理が繰り広げられるが、私の知識が無さすぎてついていけず、wiki検索。6つも国家があり、さすがに参考文献もなかなかの量である。
マーヤは結局生きているのか?
手紙の中の露骨な言葉に驚きつつも、首が撃たれたとなるとしばらく苦しんだのか、それとも当たりどころが良く即死できたのか。
呆気ないながらも、自身の平和ボケを感じる読後感。 -
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Posted by ブクログ
短編ミステリーをサクッとなおかつ簡単に読みたい時にはいい本だと思います。
6つのミステリーの内4つは比較的すんなり謎解きできて達成感はありました笑
普段読まない作者さんの作品に触れれた機会でもあるのでここから関連して新しい本当の出会いもできるので楽しいです。
複雑なミステリーを求める方には物足りないかな…?
「はい、ここまでのヒントで解いてください!」って感じが好奇心で先に進んでしまうよりも強制ストップをかけて頭に残りやすいです。
米澤穂信さんが気になって手に取りましたが、小市民を名前は認識していましたが読んだことがなかったので、もし前知識として持っていたらより世界観が頭に浮かんで楽しめたかも -
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Posted by ブクログ
ネタバレ旧ユーゴからやってきた高校生マーヤと弓道部員守谷がその仲間達と繰り広げる日常系ミステリー。初の米澤さん本だったが、文語調強めの日本語表現が特徴的。ユーゴ国民として内戦へ突き進む祖国を憂うマーヤの発言は常にリアルで、当時の緊張感が伝わってくる。様々な局面でマーヤからユーゴを感じることができる不思議な物語で、雰囲気は良かった。
多民族国家で純粋な国民国家を建設しようとすると、少数派の弾圧を生み、宗教や民族をベースにしている分その弾圧は凄惨なものになるのかもしれず、帝国による緩い統治が多民族国家の場合には適しているのかもしれない、なんて素人ながらに考えさせられた。