米澤穂信のレビュー一覧
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古典部シリーズや小市民シリーズみたいな感覚で読み始めたら、最後にズドンとものすごく重たい話だった。
「ユーゴスラビアってなんか戦争とかしてた辺りだよね」くらいの知識とも呼べない知識しかなく、調べながら読んだ。
“なんか戦争とかしてた辺り”と思ったことが、読後すごく恥ずかしく感じた。
たった一人でも大切な人がいるだけで、何もできないけど、だからこそ心乱れる気持ちを忘れずにいたいと思う。
今だって世界のあちこちで、戦争や紛争が日常の場所があって、それでも日本で知るニュースでは「まだ戦争やってんのか」と感じる程度。
大人になると仕方ないで済ませてしまうこの気持ちを、10代のひたむきな目線で感じられ -
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過去に読んだものでも同じような感動があるとは限らない。だが、過去に読んだ本を再び開いた時、ああ、確かにこの本のここで感動したのだと思い出す事はある。
米澤の作品はいつだって甘くない。甘いものが作品のあちこちに登場するのは今の内に甘いものを食べて苦さに備えておいて下さいよ、という気遣いなのかもしれない。
遠い国からやって来たマーヤと出会うおれたち、そのやりとりは謎と異文化に溢れている。物語は突然、橋を外されたかの如く顔色を変えて結末に向かう。この展開が実にらしいのだが、今の時代を見ると悲しみに胸を打たれる、どころではなく刺されたような気持ちになる。 -
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ネタバレ○ 特殊設定への期待
「自分は新たな”新本格”運動のはじまりを目にしているのだろうか?」との思いを抱きながら本書を読んでいた。
新装改訂版の『十角館の殺人』の解説で「新本格が一般化して現代本格となり、時間が経つとその型を破る新たな新本格が現れてくる」という流れが過去何度も繰り返されてきたことを知った。綾辻らから始まった現代の新本格も30年(= 一世代)を優に超える時間が経ち、新しいムーブメントがいつ起きてもおかしくない頃合いであると思っている。本書も含む2010年代後半からの硬派な特殊設定ミステリーの秀作達の出現は、次のミステリーへの動きなのかもしれない。
すでに『十角館の殺人』内でも問題に -
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高額報酬に惹かれて集まった参加者たちが、閉ざされた暗鬼館で極限状況に置かれていく心理サスペンスとして、とても読み応えがあった。特に印象に残ったのは、結城の視点で進みながらも、登場人物それぞれの思惑が少しずつ見えてくる構成。終盤に向かうほど作品全体の緊張感が増し、読者として「誰をどこまで信じるべきか」を常に考えさせられ、とても面白かった。
また、須和名の存在感が独特で、前面に出続けるタイプではないのに、ふとした場面で空気を変える不気味さが強く記憶に残る。
全体として、派手な演出だけで押し切るのではなく、人間の疑念や欲望を丁寧に積み重ねていくタイプの作品で、先の読めなさと不穏さが楽しめた。 -
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10か月におよぶ籠城という閉ざされた空間で起きる怪事件を、城主荒木村重が城内の土牢に監禁していた当代きっての知恵者黒田官兵衛に助力をあおぎながら解決していくという、もっとエンタメに振り切った戦国ミステリーなのかと思ったら、ミステリー味のある堂々たる歴史小説だった。
あまり幅広い作家の歴史小説を読んでいるわけでないので正確な指摘ではないかも知れないが、武将たちの作法の細かい描写(対面の時に会談の内容やお互いの身分によってどういう部屋が使われているか、戦時下なので武具を装備しているが、その時それらのどこまでを身に着けてどこは外しているか、軍議や伝令の合図の陣太鼓の使われ方や音の伝わり方、砦や城内