米澤穂信のレビュー一覧
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一度死んだ村に人を呼び戻す。移住者を募り町を甦らせる町おこしの担当(その名も「甦(よみがえり)り課」という時点でふざけた名前!)となった市職員の万願寺氏、昼行燈課長と現代っ子部下と共に移住者の苦情処理にあたって、移住者達との悲劇いや喜劇を巻き起こします。そのやり取りが面白い。またミステリーの体をとっているが、本当にこういうトラブル。行政の実態や、過疎化問題が自然にも起きそうだなと思った。移住者の心理面、行動をうまく引き出した話しだった。
そして最後が強烈な終わり方でした。
米澤穂信さんの5冊目ですが、今までのベスト1です(他の作品もどれも良いです)。 -
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ネタバレ真実の10メートル手前を先に読んでしまったので、太刀洗万智シリーズを読むことにした。
心にぐーーーーぅときました。
藤柴市に住む高校生の、守屋路行が主人公。
同級生の太刀洗万智と歩いていると、見覚えのない異邦人、マーヤと出会う。
ユーゴスラビア連邦共和国からきたマーヤは、他国との繋がりを学ぶために日本に来たという。
そんなマーヤと共に守屋達が過ごす2ヶ月間を描いた作品です。
前半部分は、とにかく日本の文化(郵便ポストの〒マーク、紅白大福の彩りの意味等々)に興味を示しまくるマーヤを中心に、日常に秘められた謎を解いていくミステリ。
心穏やかでない真相もありますが、それすら他国の飾らない姿がみれたと -
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ネタバレ一気読みでした。駆け足で読みすぎてトリックの辻褄がよく分からず上下巻あわせて再読してしまいましたが。。
結果はハッピーエンドという訳にはいかなかったですが、致し方ないのか。。アミーナはこの先もソロン島できっと強く生き抜いていくのでしょう。ニコラともまたいつか再会する日もあるのかもしれません。
ファルクの最期は本当に残念でした。よいキャラだったのに。でも彼の名誉のためにも、騎士団の面目のためにもこうなるしかなかったのか。。いつの日か彼の亡骸をきっとニコラがトリポリに戻してくれるかもしれません。でも、もしかしたらトリポリ伯国が滅びる方が先か。。
今ひとつ分かりきれてないことがあるのですが、そ -
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摩耶花の奉太郎に対する妙に冷淡な評価の理由と、その裏にあったものが描かれた「鏡には映らない」が胸熱。
おなじく摩耶花視点の「わたしたちの伝説の一冊」も、『クドリャフカの順番』以来の漫画研究会モノで、ある意味しっかり決着まで描かれている。
「長い休日」は奉太郎の「やらなくてもいいことはやらない」の原点の物語。省エネ思想の裏にあった傷つきと、休日の終わり。
そして表題作「いまさら翼といわれても」は、「遠回りする雛」につらなる、千反田さんの物語。地方の旧家の娘であることの懊悩が描かれていて、よい。高校2年生なんだから「いまさら」なんていわないで羽ばたいてほしい。 -
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本書の単行本版は既に読み終えていて、文庫版だけの新作が入っているわけでもなく、米澤穂信さんのあとがきも単行本版のままということで、それでは何故再読したのかというと『さよなら妖精』を読み終えたからであり、つくづく私は「太刀洗万智」という、架空のキャラクターに魅せられてしまったのだなということを思い知るが、これはどうしても今年中に私がやりたかったことである。
そして、当たり前なことかもしれないが、『さよなら妖精』を読んだ後に読んだ方が、太刀洗の人間性がより鮮明に映し出されるのがありありと分かることで、あの出来事の後、太刀洗はどんな心境で生きてきて現在に至っているのかということを推測しながらも -
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裏表紙に書いてある通り、珠玉の6作だと思いました。
アンソロジーは初めて読みましたが、1冊で様々な話を読めて非常に楽しかったです。
どの話も面白かったんですが、特に有栖川有栖さん作の話と辻村深月さん作の話が印象に残りました。
有栖川有栖さん作の話は主人公たち推理研がパズル研の人たちから出題された論理パズルをお互いに知恵を出しながらパズルを解いていく、というものでした。
探偵役はずば抜けた推理力であっさりとパズルを解いてしまいます。
この探偵役の鮮やかな推理も痛快で面白いのですが、探偵役でないその他の推理研メンバーがお互いに知恵を出し合ってパズルを解こうとしている様子を見るのが非常に楽しかった -