米澤穂信のレビュー一覧
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ストーリーも分かり易く丁寧で、徐々にヒントを与えてくれる謎解き番組のような形式に近い。
推理モノに有りがちな特段難解なミステリでもなく、主人公も特に癖が無く余計な事を喋り回らない。この辺りの良い意味の平坦さは、読者をさも自分が葛になった様な気分で推理を楽しませる仕掛けにしてあるのだとも感じる。
ただ、とは言いつつもやはり少し難しいから、アレコレ考えながら読み進めてる内に壁にぶつかっちゃうのだけど、良いタイミングで葛が常に一歩リードした推理を小出しで提示しながら読者を渋く引っ張って行ってくれる。コレもまた良い。
真相に辿り着くラストはいつも現実は小説の如く奇なり。リアルでないようでこれがリアルなんだとしみじみ感じさせられる。普段流れる何気ない夕方のニュースなんかでも、裏を覗けばこんな感じなんだろうなと詠みながら思いをめぐらせたり。
本作は一貫して辛い事や悲惨なシーンも大袈裟に書かない。そこは読み手にどう捉えるかを任せている。その辺りも、自分がこのストーリーの主人公になれてる気分になれる心地良さがある。
全体的に地味といえば地味だから爆発的な面白さがある訳ではないし、暗く物悲しいシーンも多い。にも拘わらず終始ネガティブな気持ちにならず、読める。おみそれしました。 -
Posted by ブクログ
読み終わってみると短編集で読むのがピッタリな作品集に感じた。葛警部とその部下が、文字通り淡々と聞き込みして裏を取っていく。矛盾や疑問を、確実な事実から探り真実を見つけていく。次々と。
文体のせいか、葛さんの人柄描写のせいか?警察モノにありがちな、空気悪い事務所感が全然ない。これは人間関係のことではなくて、閉め切った部屋の空気とかそういう意味です笑 そういうイメージないです?
ただ全編、部下も葛もずーっと疲れている笑 読んでるこっちも疲労と闘って疲れた笑 まだ暗い早朝に灯る蛍光灯、深夜〜朝にかけてのあの独特の空気感…葛さんがいっつもカフェオレと菓子パンでお腹を満たすのは割と可愛くて好き笑笑 オニギリとお茶とかじゃないんだー。菓子パンなんだ!
逮捕したにしても書類。
できない時でも報告書。
一個終わってやれやれと思ったらすぐ別件。
本当にみなさん大変お疲れ様でした、いつもありがとうございます。
有栖川さんは解説で「読者が正しく推理すれば謎が解ける」「刑事や警察に十分な現実味を持たせる」ことをコンセプトとしている(解説者意訳)と言っていたがその通りだと思った。
読者が真犯人を当てるって作品はたくさんある。要素が複雑でヒントの出しかたによっても面白さが違ってね。でもこれはそういうエンタメじゃなくて…推理パズル?ドリル?笑 短編が良いと言った理由がこれで。至ってシンプルなので読んでるだけで疑問点が浮かんできてメモとか要らなかったしね。
◾️崖の下。えっこれ絶対つららじゃん絶対つららだよ(大はずれ)
◾️本物か。パスタ、動画、提供と同時に逃げろ。集めた材料をちゃんと並べたら…?これが一番面白かったかな。
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Posted by ブクログ
アンソロジーって好きな作家さんとまだ未読の作家さんに出会えるから良いことづくし。
どの作品も共通する夏をテーマに青春やミステリー、SFだったり恋愛だったり夏に関連する物語が多様でグッと掴まれてしまう。
確かにこれから読書を始める入り口としては最高なプレゼントだ。
そして恩田陸さんは『六番目の小夜子』の前日譚だったり、町田そのこさんは『コンビニ兄弟』のスピンオフだったりと持ち作品に関連させてるだなんてオシャレすぎるしファンからしたらありがとうすぎる。
ちょうどお店に来てるお客さんが読んでいてつい声をかけてしまった。
ランダムに読んで楽しんでますって、なるほど良い楽しみ方だ。 -
Posted by ブクログ
嘘に隠れた『真実』
前作は各物語ごとに話は進んでいたけど、今回は一つの物語として進む。
詩門・堀川の通う高校で事件がおきた。
教師が『毒』を盛られたという。
なぜ『毒』が学校に存在し、その『毒』がどこから回ってきたのか。
その『毒』は栞に使われたもの。
詩門・堀川の分析・観察力が大いに活かされ、犯人を突き止める。
嘘に隠れた『真実』。
犯人の行動はやるせない気持ちでもあったなと思った。
犯人だけじゃなく、堀川と詩門と共にした瀬野も
そういった感情を持っていたのだろうかと思った。
高校生となってくると親から離れる。
自我が芽生え、自分の人生を思うがままに過ごしたい。
子どもは大人に囲まれ、大人からの意見に翻弄される。
そういった大人たちへの反感があったりするのかもしれないと。
しかし、その『毒の花』は、高校生が簡単に手に入るものだったっけ…。
その花を思い出すたびに、リアルで起きた事件を思い出す。
図書委員シリーズ、面白かったので
今度はゲームで楽しみたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高校で図書委員をつとめる堀川次郎と松倉詩門の二人が日常の謎を解き明かすミステリーなのだろうなぁ、で手にとってみたものの…
前半は「こんな高校生はイヤだー!」と声を大にして叫びたくなるような斜め上の内容でしたಠ_ಠ
思っていたほのぼのじゃないと言えばいいのか…
開かずの金庫を開けて欲しいという依頼からどうしてそんな不測の事態を早くから予見出来るのか?とか、無実の証拠を探してほしいという依頼が実は…とか、高校生だよ?ただ巻き込まれて、その結果こうなっちゃいましたって言うならまだ分かるのに、彼らはサクッと推測しちゃうんだもの。こんな高校生はイヤだー!(2回目)
あらすじで「爽やかでほんのりビター」などと評されていたけれど、こんなスレた高校生が意味もなく存在してたら嫌やわ〜と悲しくなっていたら、段々と納得のいく理由が見えてきたところで、やっと安心して読み終えることが出来ました。
結果としてこういう理由付けなら確かにな〜となったので、さすがの米澤さんです。
この作品の良いところは図書委員の2人がそれぞれ探偵役なところ。片方がワトソン君的な立ち位置で、探偵の引き立て役としてからかわれるだけの存在ではないところに味がある。2人の軽妙なやりとりは確かにほほえましいと感じました。