あらすじ
「ちーちゃんの行きそうなところ、知らない?」夏休み初日、折木奉太郎にかかってきた〈古典部〉部員・伊原摩耶花からの電話。合唱祭の本番を前に、ソロパートを任されている千反田えるが姿を消したと言う。千反田は今、どんな思いでどこにいるのか――会場に駆けつけた奉太郎は推理を開始する。千反田の知られざる苦悩が垣間見える表題作ほか、〈古典部〉メンバーの過去と未来が垣間見える、瑞々しくもビターな全6篇。
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Posted by ブクログ
──あんたはこれから、長い休日に入るのね。そうするといい。休みなさい。大丈夫、あんたが、休んでいるうちに心の底から変わってしまわなければ……。
──きっと誰かが、あんたの休日を終わらせるはずだから。
とうとう読み終えてしまった〈古典部〉シリーズ。今作は全6篇の短編集からなる作品でしたが、どの作品も〈古典部〉のメンバーに焦点を当てた、いや、各メンバーのそれぞれを主人公として描いたような短編集だったように思います。
特に奉太郎の代名詞『やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に』の誕生秘話が描かれていた物語【長い休日】はかなり好きでした。
そして表題作【いまさら翼といわれても】は、【長い休日】からの流れが、仄かに伏線になっているのかなと考えてしまったり…。
本当に面白いシリーズだったな〈古典部〉シリーズは。これで終わりとも取れるけど、完結とは言われていないはずだから、次回作が出たら嬉しいなー。
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「大人」になるため、挑まなければいけない謎。待望の〈古典部〉第六段。
神山市が主催する合唱祭の本番前、ソロパートを任されている千反田えるが行方不明になってしまった。
夏休み前のえるの様子、伊原摩耶花と福部里志の調査と証言、課題曲、ある人物がついた嘘――折木奉太郎が導き出し、ひとりで向かったえるの居場所は。そして、彼女の真意とは?(表題作)
時間は進む、わかっているはずなのに。
奉太郎、える、里志、摩耶花――〈古典部〉4人の過去と未来が明らかになる、瑞々しくもビターな全6篇。
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アニメ化されていない短編集(「連峰は晴れているか」だけはアニメ化された)ですが、脳内では各キャラクターがそのアニメの姿で登場し、各場面を思い描くことができました。特に挿絵もない本なのに、京アニさんのキャラデザはやはり素晴らしいですね。
奉太郎が省エネ主義になったいきさつも語られますが、姉の言葉を思い出したときに彼自身も「長い休日」が終わっていることに気づいたのではないでしょうか。
それゆえに、友の窮地をあれほど必死に助けようとしたのですね。
☆一つ減らしたのは、あの終わり方はないよ!という抗議?です。
すっきり終わらせてくれ~。
(追記)
「このミステリーがすごい!2025版」で古典部シリーズ長編と小市民シリーズ短編について言及がありました。☆5に変更です!
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これまでより古典部のメンバーの内面に踏み込んでいくお話が多く、読んだあとはほろ苦さのを感じる。奉太郎の過去の話はなんだか不憫だけれど奉太郎らしいなとも思ったり。「連峰は晴れているか」「私たちの伝説の1冊」「いまさら翼といわれても」が同率で好き。思いがけず開けた未来を前に立ちすくんでしまった千反田のこの後が気になるのに、新作が出ずこの続きをもう6年待っている…。そろそろ古典部メンバーにまた会いたいなあ
Posted by ブクログ
わたしたちの伝説の一冊
最後の一文は前作の段階でそうなる事は分かっていたけれど、その文字に込められた意味合いが予想と正反対の熱いもので面食らった すごいな
中盤あたりまで苦々しい展開でどんな風に着地するんだろうと考えていたけど、その息苦しさを吹き飛ばす終盤のカタルシスがすごく良かった そんな前向きな決断だとは おもしれ〜
長い休日
この短編に今までの古典部における俸太郎の全てが詰まってて良い
最後の姉の言葉がじんわり染み入る
米澤穂信作品全般もそうだし"いまさら翼と言われても"にも強く感じるんだけど、どの作品も終わりの一文に深みがあって余韻が心地いい
遠回りする雛以降俸太郎と千反田がちょっと話してるだけでかわいいなと思う もっと見たい
続きが読みたいです…………
Posted by ブクログ
基本的には2年生になってからの短編集。表題作を含め6作。
摩耶花が奉太郎に辛辣だった理由がわかったり、摩耶花が漫研を退部するまでの話だったり、奉太郎が今のモットーになった理由を話したり。摩耶花は今後どんな漫画を描くんだろう。高校2年生の1年間で、どんな傑作を作り上げるのだろう。
そして奉太郎の過去。そんな経験があったら……というか、その事実に気付いてしまったら、こんなモットーになるのも仕方ない気もする。
アニメにもなった、奉太郎が「気になるんだ」と言い出す話も。この時の周りのリアクション、アニメで見た時面白かったなあ……
来るはずのない奉太郎が来て動揺したえるが咄嗟にしたのが髪を整えることだったり、昔話を聞く中で奉太郎がペアを組んだ相手の性別を気にしてたり、えるもだいぶ意識してるでしょこれ……
で、表題作。合唱祭当日、行方を眩ませたえるの行方を推理する。えるが居なくなった話を聞いて、昼食を急いで食べるあたり、ほんとえるが絡むとやる気が違うな……前作と一緒だ。
この話のオチはタイトルが全て。そりゃあ、これまで自分の軸になっていたものが揺らいだら、どうしたらいいか分からなくなって、逃げ出したくもなる……そんな時に、何を言うでもなく、ただ寄り添ってくれる人がいるというのは素敵な事だと思う。
現時点では本作が最新作。果たして、ここからどういう話が描かれていくのか。最後まで見届けたいもので。
Posted by ブクログ
アニメから入った人で、勝手ながらアニメが成功した作品だと思っていて、10年以上原作を読んだことがなかったのですが、青春が戻ってきたような感覚で読み進めています。
どの物語も本当に面白くて、短い文章の中で考えさせられるところがある。
出会えたことに感謝がうまれる。
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短編集といっても古典部部員の過去や内面が知れるとても重要な巻だった。一番好きなのは『私たちの伝説の一冊』。ふたりの距離の概算でさらっと書かれた事実にしっかりとした理由があって納得できた。河内先輩みたいな人にはついて行きたい気持ちになる。2人には是非傑作を作り上げてほしい。これで古典部シリーズも読み終わってしまった。続編に期待。
Posted by ブクログ
思ったよりかなりビターだった。
10代のほろ苦さすべて詰まってますという感じ。
大人になるとなかなかない感情だから、今読むとなんだか素直に心に残る。
表題作は、千反田さんつらいね。
だけど気持ちを理解してくれる仲間がいることが、これまでの千反田さんの過ごしてきた結果だし、この先もきっとうまくいく。
親なんて勝手だから自分が言ったことの責任なんてとってくれず、またそれに気付いてしまうのが10代後半~20代前半だよね。
まだまだ高校二年生だし、ここから自分の道を進んでほしい。
『わたしたちの伝説の一冊』は学校生活が全てではないと気付く、パーッとドアが開くようなそんな感じがすごく青春で、心にズドンときた。
このドアが開くかどうかって人によってタイミングが違うし、意外と開かないまま大人になっている人もいると思う。
外に目が向いた瞬間って、若さだなって思う。
他の作品も、古典部のみんなの性格や過去を知れて良かった。
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古典部シリーズ第六弾。
古典部員のそれぞれの心理が描かれた、今までの集大成と言ってもいい作品。
全員の個性がしっかり爆発していて、今までシリーズを読んだ人なら間違いなく面白い作品だと思います。
表題作ではないですが「鏡には映らない」とにかく好きな物語でした。
まだまだ読み足りない、もっと読んでいたい、結末を先延ばしにしたい、と思えた作品です。
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摩耶花の奉太郎に対する妙に冷淡な評価の理由と、その裏にあったものが描かれた「鏡には映らない」が胸熱。
おなじく摩耶花視点の「わたしたちの伝説の一冊」も、『クドリャフカの順番』以来の漫画研究会モノで、ある意味しっかり決着まで描かれている。
「長い休日」は奉太郎の「やらなくてもいいことはやらない」の原点の物語。省エネ思想の裏にあった傷つきと、休日の終わり。
そして表題作「いまさら翼といわれても」は、「遠回りする雛」につらなる、千反田さんの物語。地方の旧家の娘であることの懊悩が描かれていて、よい。高校2年生なんだから「いまさら」なんていわないで羽ばたいてほしい。
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これまでのシリーズ通してそうだったかもしれないが、今回は特に登場人物それぞれのパーソナリティに迫る内容だった。
みんなが何を大切にしているのか、主義というか考え方に個性を感じて、愛着が持てる作品でした。
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鏡の話が特に良かった。
誰にも知られなくていい。
誤解されたままでも別に気にしないっていうのが特に。考えさせられた。
幼少期の奉太郎めちゃいい。
長い休日?だったかな。
めっちゃいい。
奉太郎さん、子どもの頃はぼく呼びだったんですね。
そしてめちゃめちゃ素直な子ではないですか。
摩耶香の視点の話もいい。
ふくちゃんそんな好きやったんや。
この巻をよんで、まだまだ続きが読みたくなる。
最新刊、期待します。
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古典部シリーズのなかで、もっとも彼等の心のうちがわかる作品。「本書に収録されている短編は、どれも、いつか書かれねばならなかったもの」(あとがき)、シリーズの読者としては、いつか読むべき短編集。
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米澤穂信の短編はおそろしいほどするする読める。
ラストの千反田、そのあとどうしたのかなー。気になるなー。タイトルから意図する中身は予想通りだった。
『鏡には映らない』の奉太郎かっこよかったな。
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短編集。
漫研と摩耶花の関係がずっと気になってて今回でなんとか収まってよかった。今後のふたりの関係が楽しみでもあるんだけど…。
しかし続きは…続きはあるのでしょうか…。
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古典部シリーズ⑥
今回は短編集だった。
個人的に好きだったお話は一番最後の。
悩んでいる千反田にやさしく声をかけている
様子や、なめくじが移動しているのに
気づかないぐらい懸命にえるのことを思って
話していることから、ほーたろーの
モットーの「やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことなら手短に」
の根っこのもう少し深部にある、友達へのやさしさ
が読み取れる気がする。
千反田のお父さんには娘の進路相談も合わせて
話をしてほしかった。笑
今までは後を継ぐんだと言っていたのに、急に
もう自由な道を進んでいいといわれても確かに困る。
経験したことはないけど、自分も親からそういわれていたら、
将来自分がやりたいことなどあまり考えず、
継ぐことに徹するだろうから、進路を自由に決めてよい
と言われても自分が何をしたいのかわからず、すごく悩むと思う。
だから、千反田のお父さんには娘をカウンセリングするではないけど、
「どういうことに興味があるんだい」とか。
「知らない業界も多いだろうから、一緒に調べてみようよ」とか。
責任をもって、娘のやりたいこと見つけに付き合うべきだと思った。
最初の作品と比べても、今思えば、最初は起きた事柄や
すでに分かっている事実から推理をしていたように
思うが、今回の作品では、
「あいつ(千反田)は責任感が強いやつだから、こうはしないだろう。」
とかのセリフから、これまでかかわってきて分かった
人物像から推理をしているような気がして
高校から一緒の千反田とほーたろーもそんな仲に
なってきたんだなぁと感じた。
ここまで読んできて、ミステリーとしてではなく、単純に小説として面白い。
続編待ってます。
Posted by ブクログ
それぞれのキャラクターの掘り下げが深く描かれていて良かった。
奉太郎は「鏡にはうつらない」「長い休日」で、過去の体験から今の奉太郎が作られたのだと知る。
摩耶花は「わたしたちの伝説の一冊」によって、これまで続いて来た漫研の諍いに決着を着けると共に前に歩みだすとても前向きな話だった。
里志はそこまで目立ってはいなかったかな。
千反田は表題作において、自分の将来を見つめる様がとても印象に残った。
一応既刊はここまでだが、最終刊と言っている訳ではないのでいつか続編が出ることを期待したい。
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ホータロー、千反田える、まやか、ふくちゃんの
四人のエピソード
古典部の面々を掘り下げるような丁寧な物語
ホータローが省エネのスタンスになった理由
まやかの漫研内での意見の対立からの葛藤と決断
ふくちゃんのストーリーはちと少なめか
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いわゆる「古典部シリーズ」の第6巻。このタイトルをここで使うのか!という正統派の伏線構成はさすが。変わらず愛すべきキャラたちの、少しほろ苦い青春劇にしてフェアなミステリ。「お前らもう付き合っちゃえよ!」と読むたび毎度言いたくなる距離感で、でも少しずつ変化しながら続いていくかけがえのない日常。氷菓いいですよね。
Posted by ブクログ
古典部シリーズ6作目、小市民は昨年春夏秋冬20年を経て完結したが、古典部はまだまだ終わり見えず、すでに24年が経過しており主人公達は高校2年生である。そいいつつも完結まで追い続けていくことになるんだろう…
今作は伊原摩耶花回!と個人的に断ずる。6編あるうち2編が摩耶花主要人物であり、語り手、そして2編ともが作中でも白眉の出来栄えであった。
鏡には映らない
摩耶花がシリーズ最初から折木に対して辛辣であった理由が明かされる、中学時代の卒業製作にかかわる悪行を、己一人が泥をかぶることによって防いだ奉太郎と、それに協力した里志。この過去の秘密が、奉太郎をヒーローと崇める人物によって明かされる。摩耶花と奉太郎の和解となるラストはスカっとする。
わたしたちの伝説の一冊
漫画研究会の内紛に心身やつれていく摩弥花に、さらに強い痛手が襲い来る。しかしながらその顛末の先には、誰よりも強く自己実現を願って努力を怠らない摩耶花が、進むべき道がはっきりと示された、希望に満ちた終わり方であった。
いまさら翼といわれても
今作のタイトル作であるが、これは奉太郎と千反田えるとのイベント回であったと思う。このシリーズにおいて終幕の大きな要素は、奉太郎とえるの恋愛要素が果たしてどうなるのか?なのだが…これは如何とも予想しずらい。若い二人がハッピーエンドを迎えるか?米澤先生の恋愛要素ってなんだか思い描けない、そんな中で今作のえるの気持ちはなんとなく推し量れるが、世間じゃこういうのってありきたりの出来事なんじゃ?とも思える。そこへ奉太郎を押し込んでくるあたりに終幕へ向けて二人の関係性、気持ちの方向性を整えようとしてるのか?なんて思ったりする。
そろそろ完結して欲しい…
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高校生の日常のきらめきが眩しい。「わたしたちの伝説の一冊」が心にストレートに響く。
長編の合間を縫う珠玉の物語の数々。
古典部のメンバーの行く末を、未来をもっと見たい。
携帯持たなくてもいい過渡期の最後の時代。趣ありよし。
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テンポ良く進む短編集だが、中身は古典部のメンバーの過去や現在を容赦なく深堀りする内容だった。奉太郎の過去を描いた「長い休日」が特におもしろかった。
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『古典部シリーズ』の6つの短編集。
その中でも『長い休日』と『今さら翼といわれても』が特に好きだった。
『長い休日』では折木が省エネ主義になった理由について明かされており、長い休日とはそういうことかと思った。
『長い休日』では折木の心の雪解けを、『今さら翼といわれても』では千反田の自由への不安が描かれており、過去と未来で対照的な2編が印象的だった。
2人の距離がより近くなっているのを感じた。
他の短編もすごく面白かった。
Posted by ブクログ
里志が将来弁護士になるというのは案外良い案だと思った。
鷹栖亜美がしようとしたことは許されない。
奉太郎達が多くを語らなくても、こういう話は漏れていくものだと思う。
自分可哀想としか思ってなさそうだけど、後悔する時がくるだろうか。
理由を聞かれ、あの先生はヘリ好きだったなと思わないために、と話す奉太郎が好きだ。
読むだけ派とか描いてみたい派とか、なぜどっちもいちゃダメなのか。
思春期は傷つきやすく傷つけやすい。
「長い休日」は、「遠回りする雛」と同じくらい好きな話だ。
掃除しながら鼻歌を歌ってしまう奉太郎がかわいい。
小六の時の奉太郎の先生は嫌いだ。
奉太郎が気づいた事に気づいただろうに、せめて謝れ。
単行本の『いまさら翼といわれても』を読んでから七年。
続きを!
Posted by ブクログ
う〜ん、ここで終わりか。不完全燃焼。巻が進むごとにキャラクター達の心理に触れ、それらを読者に見せてきたのに、では、これから、がまだ描かれていないのが残念。モヤる。
ホータローの心情がわかった「長い休日」は面白かった。ホータローがどんどん素敵に成長しているのだから、その先を早く見せてほしい、そんな一冊だった。
Posted by ブクログ
<目次>
略
<目次>
古典部シリーズの最新作。語り手が伊原や福部など変わるのだが、最後の話はまた折木が語り手となる。この話で次の展開も想定できるが、10年近く新刊はない。千反田がどうなるのか?まだ2年生なので、もう少し話が続けられるよね…
Posted by ブクログ
久々の古典部シリーズ。
アニメも良かったね。原作も良いけど、結構アニメは成功した方に思える。漫画も買ったくらい。
氷菓の最後の締めは凄く印象に残っているなぁ。
今回の表題作の『いまさら翼といわれても』こちらもとても良かった。
凄く気持ちもわかったしなぁ。次の作品がとても楽しみ。
観光から結構年数経っているけれど、いつ出してくれるのだろう。
他の短編も折木の過去の話だったりと色々と盛り込まれていた楽しかった。
Posted by ブクログ
古典部シリーズの完結なのだろうか
オーディブルで聴きました
再度、氷菓から聴き直してみると
やっぱりこれは恋愛推理小説なのですね
リアルな高校生ならもっといろんな事をするんだろうけど、ファンタジーとしての古典部シリーズなんですね
アニメの2期もむずかしいんだろうな