あらすじ
高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門。ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。小さくかわいらしいその花は――猛毒のトリカブトだった。持ち主を捜す中で、ふたりは校舎裏でトリカブトが栽培されているのを発見する。そして、ついに男性教師が中毒で救急搬送されてしまった。誰が教師を殺そうとしたのか。次は誰が狙われるのか・・・・・・。「その栞は自分のものだ」と嘘をついて近づいてきた同学年の女子・瀬野とともに、ふたりは真相を追う。ベストセラー『本と鍵の季節』(図書委員シリーズ)待望の続編! 直木賞受賞第一作。
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堀川と松倉の幼馴染でも親友でもないクラスメート(クラスメイトと表現しないところがまたよき)という関係性が面白さを加速させてくる。会話をみると淡々としていて、でも情に厚いところもある。学校という小さな社会で起こる事件で、違和感は気付けたり気付けなかったり、ほとんど後者だけど、確かに言われてみれば違和感で、だけど淀みなく進み、終始楽しめました。
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「本と鍵の季節」の続編。
スピンオフとかではなく、しっかり目の続編なので前作の状況がちらほら出てきて面白い。
個人的に好きなポイントは主人公格の堀川と松倉の知能水準が明らかに高くて推理力というか察する能力が高いところと「THE・友情」とは程遠く2人の関係性が友人というより同級生に寄っていてドライなところ。
内容は切り札と称して毒性植物のトリカブトの栞をばら撒く犯人を探すというもの。
王道なミステリーで伏線回収もしっかりされてて満足感が高い。変に「登場人物」って感じじゃなくて相手の感情を推し量ったり嘘をついたりというやり取りひとつひとつの人間味が強くて好み。
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2人の高校生のテンボの良い会話が楽しい。
それぞれが
沢山の嘘を解き明かしていく。
みんなの無事を確認して
引き際が鮮やかな二人でした。
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読みやすいこともあり、するすると読み進めて、終わってしまった。物語の終わり方、好きだなぁ。
ミステリとしても面白かった、とても論理的で。ただ、青春のほうにどうしてもフォーカスしてしまう。こんな青春を送ったわけでもないし、送りたかったとも思わないけども、松倉と堀川のやりとりが、とても眩しく感じる。もう二度と戻らない。だからこその尊さ。
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高校の図書委員男子二人組の物語、第二弾である。
こう記すと、なかよし二人組かつ華やかな青春をイメージするが、そういうことはまったくない。
互いの基質は理解しているけれど、相手を尊重するゆえに素性を互いによく知らぬというスタンス。
そして本に挟み置き忘れた一枚の栞から物語は始まる。
栞ひとつでここまで話が膨らむとは!!!
そして学校という場所が、これほど怖い場所だとは!!
ラストのオチも、高校生で舞台が学校にふさわしい。
後半は息継ぐ暇もないほどの展開だ。
圧巻だけれど、少なくとも本作を読んた成人済みの方で、
この本を読んだから高校生に戻りたい、
と思う人はあまりいないのではなかろうか。
それくらい臨場感のある作品だった。
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読み進めていくにつれ、嘘と謎が深まっていくが、最後には全てがきれいに繋がって、読み終えた後には、すごかったの感想しか出てこなかったです。
面白かった。
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切なくて苦しくなったが面白かった。
前作に続き、図書委員の高校生男子2人に今回は美しすぎる女子高生が謎を解く。
謎の始まりが栞というのも、本好きとしては嬉しい。謎解きがいつでも幸せに繋がるとは限らないということを思い出させられた。
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堀川と松倉の独特の関係性、距離感、掛け合いが興味深い。前作のその後は松倉のアルバイトの話が答えなのだろうか。物語の発端となる瀬野をはじめ、皆、秘密や嘘を抱えているなと感じた。
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『栞と嘘の季節』
美しくも猛毒を秘めた、青春の忘れもの
刹那的な犯行動機
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
神聖な図書室で生まれた事件
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
青春の忘れ物。大切なこと
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
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1.始まり
高校の図書室。静寂と紙の匂いに包まれたその場所で、物語は静かに、しかし不穏に幕を開けました。
物語の発端は、返却された本に挟まれていた一枚の栞でした。
図書委員の男子生徒2人が見つけたその栞。
押し花のように挟まれていたのは、なんと「トリカブト」。そう、致死性の毒を持つ植物です。
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2.動きだす物語
「誰が、何のために?」
2人は持ち主を探すため、行動を開始します。忘れ物の掲示を出すと、なぜかその掲示が誰かに剥がされるという不可解な動きが。
そしてようやく、掲示を頼りに一人の女子生徒が現れました。
> 「それは、私のものです」
彼女は彼らから栞を奪い去り、栞を焼却してしまいます。
証拠は消え、持ち主も判明しました。
これで一件落着かと思いきや、事態は最悪の展開を迎えます。
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3.殺人未遂が発生
高校教師が一人、救急車で運ばれたのです。
症状は、トリカブト中毒。
そう、毒性のある栞は、他にも存在していたのでした。
さあ、どうなるのでしょう?
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4.ミステリーの皮を被った、行き場のない感情たち
この作品の核となるのは、「犯人探し」のスリルだけではありません。
読み進めるうちに、私の思考は常に一つの問いに囚われていました。
「なぜ、毒性のある栞が作られたのか?」
誰が、何の目的で、本に毒を挟んだのか。
ページをめくるごとに見え隠れするのは、高校生たちが日常生活の中で抱える、筆舌し尽くしがたい感情です。
□学校という閉鎖的な社会
□家庭という逃げ場のない環境
そこで彼らが何を想い、何を憂いているのか?
言葉にできない鬱屈や悲鳴が、「トリカブトの栞」という歪んだ形となって具現化したように感じられます。
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5.読後に残る「置き忘れた何か」
通常のミステリーであれば、犯人が分かり、動機が解明されれば、読者として安堵のため息をつくところです。
しかし、この物語は違いました。
犯人がわかっても、すべてが綺麗に解決して「ああ良かった」では終わらないのです。
そこにあるのは、吹っ切ることのできない何か。
まるで、自分自身も図書室に大切な何かを置き忘れてきてしまったかのような、静かで重い余韻。
苦くて、痛くて、でも目を逸らせない。
そんな「嘘」と「本音」が入り混じる季節を、あなたも体験してみてはいかがでしょうか?
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何となくこのシリーズ好きだな。
他シリーズと共通していない独自の部分は、
どこなんだろう。
背景に、明らかに、リアルで社会的な問題が横たわっているのは良い。そしてそれに各人物がどう向き合うか、というところに、人物の書き分けとしても使われている各自の行動原理や信条が絡んでくるというところも面白い。
けど、それは小市民シリーズや古典部シリーズもそうか?どうだろう。
やっぱり松倉という存在が、このシリーズを規定している気がする。
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前作は読んでないのですが。
堀川と松倉の2人の掛け合いが、高校生らしからぬ感じもあるけども面白くてとても好き。
読みやすくてどんどん読み進めることができた。
そういう最後か〜という感想。
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図書室に返却された本に挟まれていたのは猛毒のトリカブトの花の栞。男性教師が中毒で救急搬送されて以降、校内でも同一の栞が次々と出回るように。
前作が日常の謎を解き明かす青春ミステリだったのに対し、今作は猛毒のトリカブトという文字通り毒気の強いモチーフがテーマ。
タイトルにもあるように作中の各所に嘘が散りばめられており、この数々の嘘が物語のポイントになっている。
嘘はよくない。でも必ずしも嘘をつくとが悪いこととは限らない。嘘をつくことで自分や誰かの身を守ることになるなら、誰がその嘘を咎められるだろうか。
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シリーズもののようですが、読んだのは2作目。
高校生ってこんな感じだったっけと思わせる作品でした。
青春小説ですが、きっちりミステリーになっていて、最後まで楽しく読めました。
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ミステリーを読みたい気分だったので作者とタイトルに惹かれてこちらを選択。
図書委員シリーズの続編ということであるが、前作を読んでいなくてもしっかり楽しめる。
なにが嘘でなにが本当なのか、ミステリーらしく話が二転三転していくので全く飽きることなく読み進めることができる
次は前作を読んでみよう
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今回は長編!だけど、やっぱり話が進むにつれて気になって気になっていっきに読み終わった!
今回は2人ともう1人女の子がメインで話が進んでいく感じ。1冊目で出てきた人もチラチラ出てくるから、そっちから読んだほうがいいかも?
前回気になったところにはあんまり触れられず、でも読後やっぱりちょっと気になる終わり方!
それが主人公堀川くんなんだろうな〜私は全部を知りたくなっちゃうな〜
まだ続編期待!でも高校生ではこの辺が限界なのかな〜と思ったり…
Posted by ブクログ
久々の堀川、松倉コンビ
文庫本待ってた
相変わらず静かに不穏が右肩上がり
高校生とは思えない落ち着き払った推理力と行動に
瀬野さんの疾走感が対比して、お互いが際立っていた
その後が気になるが、気になって想像するのがまた
心地よい
Posted by ブクログ
図書委員の堀川と松倉は、ある時本に挟まっていた高そうな栞を見つける。
その栞は押し花で作られていたが、使われている花は毒性のあるトリカブトだった。
さらにその栞を狙う美少女、瀬野が現れて……。
中盤まではちょっと退屈かも、と思っていたのですが、後半になるにつれて徐々に全貌が見えて楽しくなってきました。
終わりは若干のビターエンド。スッキリ爽快ではないけど、謎はきちんと明かされますし、その後は瀬野さんの物語として二人の手は離れるという感じなのでしょうね。
シリーズものの2作目ということで、最初の方も読みたくなりました。面白かったです。
Posted by ブクログ
4年前に読んだ「本と鍵の季節」の続編。前作は短編集だったが、今回はがっつりと長編。
高校2年の図書委員、堀川次郎と松倉詩門が、返却本に挟まっていた押し花-猛毒を持つトリカブト-の栞に気が付いたところから進むお話。
堀川と松倉に加え、「栞は自分のものだ」と近づいてきた同学年の女子・瀬野の三人がそれぞれの事情から一緒になって栞の出どころを追う。
同じ目的を持つ三人だが、それぞれの思惑からどこかに“嘘”を塗しての行動に、互いにそれを暴き合いながらあるいは自ら胸の内を晒しながら、それでも協力して真相を手繰り寄せていくお話の展開が楽しめた。
長編なのでそれぞれに絡みが多く、堀川と松倉の掛け合いの息も合い、瀬野も含めて互いの関係性の描写がとてもいい感じ。
最後までそれぞれが吐く“嘘”に翻弄される話だったが、それぞれの嘘の背景にある心情がこの作者さんらしいニュアンスを感じさせ、最後についた瀬野の嘘にはちょっと泣ける。
強気の美少女然とした瀬野の、きれいが故の怖れってどうよとは思うが、それもまたこの年頃に特有の自意識だとすれば、そんな彼女が友だちを慮って最後まで自分の責任で栞の流布を止めようとする心情がとりわけ健気に思えた。
この3連休、どこにも行かず、朝から世界陸上を観て、昼から競馬やって、夜にはまた世界陸上を観ながら、合間にグリーンチャンネルで海外競馬を観る。本を読む時間がなかった…。
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前作は短編集だったけど、本作は長編。
付かず離れずな人間関係、余白と陰を残したストーリー。
ちょっとした嘘や隠し事が重なって、キャラクターたちの「生徒」としての一面からは見えてこない奥ゆきが描写されている。
想像力が掻き立てられる作品だった。
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ボトルネックの著者だったのと、良くSNSで見る表紙だったので読んでみました。
どこを話してもちょいちょいネタバレになりそうなので一言だけ。
必要な嘘を固める為に、不必要で脆い嘘が積み重ねられ、やがて崩れる。
つまり健康の為に夜道を走っていたら車に跳ねられたという事(一言と布石を打って余計な一言をカジュアルに添えるスタイル)
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ミステリー作品なので具に作品を振り返ったり、結末が明らかとなり、これなら読む人の楽しみを失わせてしまうことは避けたい。
ゆえに、ボンヤリとした書き方になるが、飄々とした登場人物のやりとりの中で差し込まれる嘘。そして、その嘘の先にある一途な、切実な思いが、ミステリー作品を読み終え、謎を解き終えた、読み終えた達成感や爽快感とは異なる、心にちくりとした痛みを残して風のように去ってゆく。いかにも米澤穂信作品という、良い小説でした。
絶妙な距離感の友人的存在、冒険、そして大いなるエネルギーや情念に突き動かされる行動、一途さ。そのほろ苦さ。
私めのようなオッチャンにはそういうものは非常に懐かしく感じ、青春を思い出させるカケラが散りばめられていて、懐かしく、遠い時代を思い起こさせるものでした。
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米澤穂信の「図書委員シリーズ」第二弾
高校で図書委員を務める生徒達の元へ返却された本の中に挟まれていた押し花の栞、その花が猛毒のトリカブトだった事に端を発した騒動の顛末を、一人の男子高校生の視点から描いています。
前作から間があったので少し戸惑う部分もありましたが、概ね楽しく読みました(^_^;)
謎は解けても腑には落ちない・・いかにも米澤穂信らしい、あまりハッピーじゃない読後感でした。
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校内で見つかったトリカブトの栞は誰が何のために作ったのかという謎を追っていくうちに少しずつ周囲の登場人物の事情が明らかになっていくのがとてもミステリ的でした。
毒の混入事件により緊張感漂う校内の雰囲気や高校生たちの鬱屈や悩みが描かれているところは青春物としてもおもしろく読めます。
なお、前作を読んでいるとよかった!となる描写あり。
図書委員2人の関係性がより近くなっているのもよかったです。
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松倉と堀川コンビの学園ミステリー第二弾。
連作短編の前作と違い、長編もの。
日常から始まり、どんどん謎が深まっていって、いろんな人の嘘や秘密が絡まって…最後は割と本格的なミステリーに。
前作に比べて、全体通して“影”や“暗さ”を感じる印象の中、松倉と堀川の漫才のような軽快なやりとりが、いいアクセントになっている。
青春ミステリーというジャンルに分類されるのだろうが、ライトな爽やかさよりも重厚感を好む人向けかも。
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米澤穂信の栞と嘘の季節を読みました。
高校生の主人公が校内で起きた事件を解決しようとする物語でした。
主人公が図書委員の作業中にトリカブトの押し花がラップされた栞が見つかり、主人公たちはそれがどこから来たものかを推理していきます。
とは言え、主人公以外の登場人物があまり印象に残らない感じなのであまり面白く感じませんでした。
それぞれの登場人物が(主人公も含めて)隠していることがあり、物語が進むにつれて明らかになっていくという構成もちょっと不満に感じました。
Posted by ブクログ
余韻がある話は好きだけどわかりづらいオチはもやもやするだけなので、前作の短編のほうが好みでした。
きらびやかな青春というより鬱屈とした思春期の悩みがふんだんに散らばった話。
雰囲気はよかったんだけどね。
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前の『本と鍵の季節』より面白味が薄かったのは
自分が歳をとったせい??
現実味のイマイチ感じられない話だったからかな。。。
相変わらずラストの余韻が好みではない。
でも最初からグイグイ読めるのでそこは読みやすい。