米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書の単行本版は既に読み終えていて、文庫版だけの新作が入っているわけでもなく、米澤穂信さんのあとがきも単行本版のままということで、それでは何故再読したのかというと『さよなら妖精』を読み終えたからであり、つくづく私は「太刀洗万智」という、架空のキャラクターに魅せられてしまったのだなということを思い知るが、これはどうしても今年中に私がやりたかったことである。
そして、当たり前なことかもしれないが、『さよなら妖精』を読んだ後に読んだ方が、太刀洗の人間性がより鮮明に映し出されるのがありありと分かることで、あの出来事の後、太刀洗はどんな心境で生きてきて現在に至っているのかということを推測しながらも、今の彼女がこのような立ち位置でいてくれることに対して安堵や喜びを覚えたのが、私にとっては何よりの励みとなり、それは私が小説を読む一番の理由でもある、『辛い現実を生きる力が湧いてくる』ことにも繋がっていることから、太刀洗の物語を新たに紡いでくれた米澤さんには感謝の言葉しかない。
改めて本書の内容を簡単に書くと、フリーの記者である太刀洗が様々な事件に遭遇しては、その特性を活かした独自の視点で事件の新たな素顔を掘り返していく、リアル志向の社会派ミステリで、そこにはミステリ自体の謎解きの楽しさをしっかりと入れながらも、記者が他人の人生を都合の良いようにアレンジしたり、他人の不幸を面白可笑しく書いている人ばかりでは無いということを実感させてくれて、まさにそれこそが太刀洗が太刀洗たる所以なのだと思う。
それから、文庫版ならではの良さとして、宇田川拓也さんの解説は本書の素晴らしさを的確に分かりやすく、愛情込めて書いていらっしゃるので、そこは単行本版を読んだ方にも是非おすすめしたい。
それでは本書に収録された6つの短編から、太刀洗万智という、その人物像に改めて迫りたいと思う。
「真実の10メートル手前」
本書では唯一の太刀洗視点でありながら、時間軸としては『さよなら妖精』から最も近く、記者を続ける上での覚悟を突きつけられた『王とサーカス』の前の、どこか初々しさを伴った新聞記者をしていた頃の太刀洗には、まだ迷いも感じられた分、却って高校生の頃の冷たい印象が彼女の全てでは無かったことを、より証明しているようにも思われた根拠を、太刀洗と新人カメラマン「藤沢」との会話を掲載する形で示したいと思う。
「太刀洗さんが素直に人を褒めるなんて珍しいですね」
「そんなことはないと思うけど」
「ああ。説明してくれる気があったんですか」
「そう言ったと思ったけど」
「でも、太刀洗さんは説明抜きにどんどん仕事を飛躍させる人ですから、今回もそれかと思いましたよ」
「そんなこと言われてるの」
「いやまあ、悪い噂じゃないから、いいじゃないですか」
「必要最小限の情報共有は怠っていないはずなのに」
「最小限って自覚はあったんだ。最大限に共有しましょうよ」
また、彼女主観の文章であることから、藤沢には直接言わずとも、その時の彼女の心の中の思いを読み手は知ることができ、それによって、実はとても繊細な気遣いの人であることに気付く。
『口元が緩むのを自覚した。新人相手だと思って、余計な気をまわしてしまったようだ』
『恥じ入らせるほど、冷たい目を向けたつもりはなかったのに。むしろ、それほど多忙だった日の翌日に出張してもらっていることが、申し訳なかった』
そして、この表題作と『王とサーカス』から先の時間軸では(本書の残りの5編)、太刀洗視点は無くなるものの、それが私には、もう彼女主観でなくても彼女のことは信用できるだろうということを、米澤さん自身が伝えたかったのではないかと解釈している。
・・・が、正確には表題作が、「綱渡りの成功例」以外の短編よりも後に発表されていることから、記者として堂々と自分の道を歩んでいる(ように見える)彼女には、こういう時期もあったのだということを書きたかったのだと思う。
「正義漢」
初読の時は太刀洗を怖い人だと感じたものの、改めて読むと、その写真を見る様子からは客観的に記者としての自分を見つめ直しているだけで、そこには自らも一人の欲を持った人間なのかもしれず、完璧な記者だとは決して思わないことから、彼女の仕事に対する生真面目さが窺えながら、この作品が2007年当時「ユリイカ」で企画された、米澤さんの特集の為に急遽書かれたことを知ることで、おそらく当時リアルタイムで読まれた方は、こんな形で『さよなら妖精』のその後に巡り会えるなんてと、きっと喜んだことであろう、ある意味サプライズプレゼント的側面を持った作品。
「恋累心中」
ここでは、週刊深層の記者「都留」の視点で見た太刀洗の個性が描かれており、そこでの『癖はあるが切れる』『一言足りない相棒』という言葉が的を射ていながらも、私にはコーディネーターとしてのお膳立てに見られた、彼女の都留への配慮の行き届いた様に、まるでこれだけのことをしないと満足のいく記事は得られないといった、その涼しげな気合いめいたものを感じられたことが、まさに『王とサーカス』で得た教訓を見事に活かしているように思われて、そこが最も印象深かった。
「名を刻む死」
今度は中学3年生「檜原京介」の視点による太刀洗で、その彼の印象である『記者の目は切れ長で鋭い。引き締まった表情は冷たくさえある』というのは、まさに過去の私が抱いていた彼女への印象そのものであったが、その一方で『丁寧ながらも凜とした声だった』といった印象も抱いた彼が終盤に受けた、彼女の熱い檄には、何故一介の記者に過ぎない彼女がそこまでして彼に伝えようとしているのか、その真意はきっと彼が大人になったら痛感するのだろうと思わずにはいられなくて、それは世の中、綺麗事だけでは生きていけないということを、太刀洗が身を以て学んだことの証明でもあった。
「ナイフを失われた思い出の中に」
私にとって一番のハイライトとなった、この作品は宇田川さんの解説にもあるように、その完成度が他の5編よりも頭一つ抜きん出た印象であり、それは『さよなら妖精』に対する米澤さんの思いの強さとも感じられた、ミステリとしても尋常でない完成度を誇る中、ここではアイザック・アシモフの『黒後家蜘蛛の会』の有名な言葉を引用することで、改めて太刀洗に記者としての覚悟を問いただしていることが、まさに『さよなら妖精』以後の太刀洗の思いへと繋がっており、そこには『真実はいずれ自然と明らかになる』ことは、あまりにもロマンティックだと述べることから、決して理想的な夢だけを追いかけたいのではなく至極現実的な視点で挑みたい思いが垣間見え、それが『わたしたちは、人々が見たいと思っているものを見せるために存在する』という太刀洗の言葉に強く表れていた。
ただ、その後に続く『そのために事実を調整し、注意深く加工する』を知ると、まるでショータイムのようではないかと思われた方もいらっしゃるかもしれないが、ここでは、事実そのものの中にこそ、様々に複雑で矛盾だらけの人間らしさが詰まっていることを伝えたかったのであって、事実そのものを鵜呑みにすることは、時にその人本来の人間性を捻じ曲げてしまう危険性があることを、太刀洗はよく理解しているということなのだと思う。
そして、ここでの彼の視点には、ある意味彼女の視点も同居しているような構成であることが、何よりも『さよなら妖精』と密接に繋がった感動を引き起こし、それは彼女が太刀洗の事をどう思っていたのかを知ることで目頭が熱くなった私がいたことで、太刀洗のしていることは単なるショータイムなんかではない、事実の中に泣く泣く込めざるを得なかった人の心を察して、寄り添い、思い遣ることだったのだということを知り、それは太刀洗の『何か言いかけては、言葉を呑み込んでいる』といった、質問に対する答えは返らなかったけれども、それだけ真剣に考えていることだからこそ一生の仕事にしているのだろうと推測できたことが、まさに彼女自身の人間性であり、生き様であり、そして覚悟なのであろう。
「綱渡りの成功例」
ここでは太刀洗の大学時代の後輩である、消防団員の「大庭」の視点で語られており、やはり他の短編でも見られたように、他の人とは違う部分を見ていた太刀洗の優しさや気遣いが印象的で、それは『答える側にしこりが残る質問はしたくない』にも表れていたが、私がより印象に残ったのはその後に続く言葉『できるだけは』であり、彼女の凄いところは、「必ずそうします」と安易に断定するのではなく、人間なので時にはそうできないこともあるということを、非難されるのを覚悟で堂々と告げることにあり、他にも『運がいい』や『わからない』という言葉も平気で使う事には、本来言葉が命の記者にとって致命傷ともなりかねないのだが、それでも太刀洗がそこに拘るのは、彼女が記者以前に一人の不完全な人間であることを強く自覚しているからであって、そこにこそ言葉上手な軽い輩よりも本気で他人の事を気遣う、彼女の人間性が如実に表れているのだと私は思い、そこには彼女自身が大きく変わった部分だけではなく、『さよなら妖精』の頃から変わらない部分も共に存在することによって、この先、どれだけ辛く悲しい思いを彼女が味わおうとも、きっと表向きは普段とあまり変わらない凛々しい表情をしながら、その内面では不器用で優しい気遣いの人で在り続けるのだろうと感じることで、それが私にはこれからも辛い人生を生きることへの大きな励みに取って代わる力となる、それこそが、まさに架空のキャラクターがもたらしてくれた、小説の持つ力でもあるのだろう。
「太刀洗さんは、変わらないですね」
すると彼女は、これは記憶にない柔らかな声で言った。
「困ったことにね」 -
Posted by ブクログ
2024年。このミス2025 2位。リアルタイムでシリーズ読んでたら、すごいお待ちかねだね。再読。
ちなみに小鳩くん、小佐内さんのイラストも好き。
って二人が住んでるのは岐阜? 岐阜大好きだよ!!朝のラッシュえげつないけど。旅行者は朝は避けるべきだね。そして、避けられなければ快速に乗るべし!(違う話)
ちょうど金田一耕助が探偵業に嫌気がさしてた頃の小説を読んだばかりなので、なんか納得してしまった。探偵は人の秘密を暴く。それを良しとしない人もいる。金田一さんはそれがイヤになってしまったのだね。(違う話)
このシリーズ、これで終わっちゃうのかな。今後も気になるけれど・・番外編でもいいけど・・
かわいくてブラックな小佐内さん。小鳩くんは次善、王子様はきっと現れる、と思っているようだが、どうなるのかみたい。ひとつの例として。 -
Posted by ブクログ
裏表紙に書いてある通り、珠玉の6作だと思いました。
アンソロジーは初めて読みましたが、1冊で様々な話を読めて非常に楽しかったです。
どの話も面白かったんですが、特に有栖川有栖さん作の話と辻村深月さん作の話が印象に残りました。
有栖川有栖さん作の話は主人公たち推理研がパズル研の人たちから出題された論理パズルをお互いに知恵を出しながらパズルを解いていく、というものでした。
探偵役はずば抜けた推理力であっさりとパズルを解いてしまいます。
この探偵役の鮮やかな推理も痛快で面白いのですが、探偵役でないその他の推理研メンバーがお互いに知恵を出し合ってパズルを解こうとしている様子を見るのが非常に楽しかったです。
辻村深月さん作の話は、時代設定が2020年と比較的最近の話となっています。
大学入学と共に上京したごく普通の大学1年生の主人公が知らず知らずのうちに詐欺に加担させられ、当たり前だった日常から突如人生のどん底まで突き落とされるという話。
物語中盤から後半にかけて終始ハラハラしながら読んでいましたが、このスリルが溜まりませんでした。 -
Posted by ブクログ
米澤先生の作品の中でも珍しいというか、本格ミステリの印象が強いイメージがあるのですが、こういった特殊な設定のミステリも描かれるんだとは思いませんでした。
舞台は、12世紀のイングランドに属するソロン諸島。領主であり、王でもあるローレントが誰かに暗殺されたところから物語が始まる。
犯人探しから、呪われたデーン人との闘いから、まるでロールプレイングゲームの中に自分がいるかの如くストーリーは進んでいきます。
私の個人的な意見として、ミステリとファンタジーが結びつくのか、魔法が出てきたら世界観が崩れるんじゃなかと最初は感じていたのだが、読み進めていくうちに、その魔法が事件の解決にいいアクセントで繋がるので、より良い方向に読み進めていくことができました。
日常の謎もいいけど、こういった特殊ミステリも
好きになりました。 -
Posted by ブクログ
四人の作家によるアンソロジー。「時」を題材にした作品集。
タイムカプセルの八年 辻村深月
主人公は大学教授だが、自身の研究に没頭し、父親らしい姿は今まで見せられた事がない。
どことなく自分に投影できてしまう人物で、息子のクリスマスプレゼントを買い忘れた際のいい訳もある意味で納得してしまった(笑)。父親というだけで煩わしい人間関係やコミュニケーションに巻き込まれていく事への疑問は自分勝手に感じるが通じる部分もあり彼の人間臭さを感じたが、合わせて「タイムカプセル」の事実を知り、行動してしまう矛盾、もう一度父親の会メンバーが集合し、意気投合する様子に温かみと少し滑稽な感じがした。
彼自身が見る彼の人生や息子に対する想いは少し捻くれてはいるがきちんと息子に伝わっているようで、おそらくこれだけ変わり者とずっと一緒にいる奥さんとも、実はお互いに信頼関係を持っているのだろうとかってに想像し、暖かい気持ちになった。
トシ&シュン 万城目学
文章の運びが面白く、文学的な作品だがとても楽しむ事ができた。俊(シュン)と瞬(シュン)は、確かに結婚したらどうするのかなぁと勝手に心配しているが、それはまだまだ先の話で。
神様も大変なんだなぁ(笑)と思える程、ジャンルが違ってもフォローしなければならない程忙しい、合格祈願の神様の元、派遣されてきたのはずっと縁結びを生業にしていた神様。トシ&シュンの芸能の夢を成就させるが、それがきっかけで彼らは未来に別れる羽目になるという。元縁結びの神様が下す決断、そして驚きの結末に面白かったと心から言える作品だった。
下津山縁起 米澤穂信
箇条書きの様な状態で、物凄く広大な時間軸で人類史が進む。途中、とある教授が登場し、人が電気信号により意思を保つのであれば、電気を持っているモノには知性があるとして研究を進めている。そこから再び時間軸はすすむ。一体何を見せられているのか。
最後のオチ、やりとりは当然衝撃。今までの伏線から鑑みればこの結末は必然なのだが。一体どうやって罰を下すのかは考えるのが愚かなのか(笑)余りにもスケールが大きい、おそらく米澤穂信にしか思いつく事ができないであろう、そんなあらすじであり作品だ。頭を柔らかくして(ドロドロになるまで)いないと。空いた口が塞がらなくなってしまうだろう。
長井優介へ 湊かなえ
ある意味で感動的なストーリーだが、アンソロジー内でテーマが被ってしまうのは面白くない。短編集の特徴を活かしてまさかのコラボレーションになっていたら感激だったが残念だ。
優介の様な経験をしてしまうと、どんな理由があれ、過去のグループに戻りたいとは思えない。今回の様な理由であっても絶対に戻る事はない。(いじめられた事がない奴にはわからないだろうなぁ)
そして、いじめられている当時は自身に対する悪意については敏感に感じ取る事が出来る(嫌な予感がするんだ)
15年経って都合の良い真相が現れる事なんてバカバカしい限りだ(ミステリーとは言えない)
主人公の想いが余りにも中途半端な設定だった。湊かなえなら「復讐で全員殺す」様な狂った展開を書いて欲しかったが・・・。
という事を妄想しながら読んでしまった僕が可笑しいのだろうなあ(笑) -
Posted by ブクログ
折れた竜骨下巻
全てにおいて秀逸。謎解きも、デーン人達との戦いも、登場人物達の動かし方も。物語の結末についても大団円に相応しい、余りにも完璧な完結だ。
上巻では領主を殺害した犯人は誰かが一番の本筋だったが、下巻でそれを踏襲しながらもデーン人達と傭兵達との戦闘シーンが山場に据えられており、この場面の項数は限られているのだが小説一作分の面白さがあり、読みごたえ充分だ(ゲームやアニメ等、別媒体でも最高の物語になるだろう)
胡散臭い傭兵達が余りにも見事に活躍し、これ程巧みに登場人物達を持ち味通りに活躍させる作家はいない。
最後、真犯人の追及はあらゆる探偵小説に沿って行われているが、このパートで登場人物達の秘密が少しずつ明かされていき、驚きを持ちながらも最後、真犯人がわかった時の衝撃は今後起こることは無いかもしれない(この手の真相で一番上手に活用されている。)
騎士フィッツジョンと従者のニコラ。捕虜だったデーン人の真実。一人一人の物語がとても魅力的で終わって欲しくない作品だ。
アミーナの決断は大きく、彼女の生き様と覚悟を感じる事ができた。ニコラが成長し、改めてデーン人達との死闘を描いた作品も見てみたいなぁと思いつつ(ミステリーじゃ無くてもいいので)、最高の作品を読む事ができた余韻に浸る。 -
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折れた竜骨
米澤穂信の長編。
再読だが殆ど忘れている事に感謝。面白かった記憶のみ。
剣と魔法と真理のミステリ。まるでロールプレイングゲームをしているようだが、塩梅が絶妙。上巻はどちらかといえばミステリによりながら下巻に向けての種蒔きぐされている。
ロンドンから船に乗り三日程進んだ場所にあるソロモン諸島が舞台となり、1190年という時代設定が中世ヨーロッパのイメージとシンクロし、とても抒情的な気持ちになる。
語り手は領主の娘であるアミーナ。
敷地内で起きた老兵の死をきっかけに不穏な空気具漂エイルウィン家。
領主であるローレントは来る日に備えて傭兵や騎士を雇っている。
同じ頃、ソロモン諸島を訪れる謎の騎士フィッツジョンとニコラ。彼らはとある目的の為、旅をしている。
一つの死がきっかけとなり、冒頭から物語が凄いスピードで進行していく。語り手はアミーナだが、彼女の目線を依代に丁寧に舞台設定が説明されていく。
この世界には魔法を使う人々がいる事。
この世界には頭を落とさなければ死なない不死身のデーン人がいる事。
こういった設定を殺人事件の捜査を土台に読者に伝えていく事で、まるで僕らもこの世界を旅している様な感覚になる。
ミステリ要素としては自然的な要塞である小ソロモンが舞台でクローズドサークルが根本にあり、とある条件により動機は薄くなるがフーダニットについては圧倒的に謎が深く、単純に犯人に行き着く事は出来ない。
上巻ではほとんど謎解きは無く舞台装置の説明とこの世界はどういう世界なのかにフォーカスされている(上巻は最後の最後まで問題提起をしてくる)
主要な登場人物の魅力は上巻で見事に伝わるが、他のキャラクター達が下巻まで本格始動しないのは残念だが、それでもアミーナを取り囲む環境や生き様と、少し影を残しながらも終盤に打ち解けてくるニコラ、ニコラ目線からのフィッツジョン等飽きる事は一切なかった。
上巻では舞台設定の解説と伏線を散りばめた結果になる。下巻でどの様に伏線が回収されていくのか楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ米澤穂信先生のファンタジーミステリー作品。
魔法とミステリーという交わりづらい2つのジャンルが見事に調和し映像が浮かぶ様でとても良かったです。海の波の高さによって密室と化した所で殺害された領主、塔の中で20年幽閉されてきた人物の失踪、主人公を含めた怪しい登場人物、呪われた種族の襲来の顛末など後半に向けてのお膳立てをじっくりとやっていて後編がとても楽しみになりました。米澤穂信先生らしい信用できない語り部が今回でも発揮されており、実は潮の満ち引きの関係で渡ることが出来るなど隠している事実が明らかになるためミステリー作品としての醍醐味があってとても面白いです。後半でどんな真相が明らかになるのかとても楽しみです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
アミーナ・エイルウィン:東山奈央
ローレント・エイルウィン:大塚明夫
アダム・エイルウィン:阪口大助
エイブ・ハーバード:石川界人
ロスエラ・フラー:緒方賢一
ヤスミナ・ボーモント:佐藤聡美
コンラート・ノイドルファー:安元洋貴
イテル・アプ・トマス:岩田光央
ヒプ・アプ・トマス:吉野裕行
ハール・エンマ:茅野愛衣
スワイド・ナズィール:杉田智和
イーヴォルト・サムス:中村悠一
マーティン・ボネス:飛田展男
ハンス・メンデル:かぬか光明
マードック:間宮康弘
ファルク・フィッツジョン:諏訪部順一
ニコラ・バゴ:悠木碧
トーステン・ターカイルソン:浪川大輔