米澤穂信のレビュー一覧
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文春文庫のアンソロは面白い!
前作の「神様の罠」が好きだったので今回も購入。
新川帆立「ヤツデの家」
初読みだったけど読みやすかった。アンソロの最初のとっかかりに最適。内容も好みで二回読んだ。
結城真一郎「大代行時代」
こちらもまた初読み作者だったけど面白かった。ありえそうな話だ。
こういう新入社員おるおる~。最後のオチもよかった。
米澤穂信「供米」
この話を読めただけで大収穫です。大好き米澤穂信。愛してる米澤穂信。
3ヶ月ぶりに本を読んだんだけど、2023年最後にこのお話を読めてよかった。やっぱ本読むの大好きだ。
最初読み始めたときは「うわっ苦手な歴史ものだ!」と若干引いたものの、あれ -
Posted by ブクログ
ネタバレそれぞれ独立した短編集。
主人公はベテラン世代の男性ビジネスマンが多く、時代も自分が知らない昭和がほとんど。
令和では身近にあるスマートフォンやSNSといった単語、ワークライフバランスを実現しようとか多様性が大事だとか、そういう思想は一切ない。
なのに、なんの違和感もなく物語に入っていける不思議なリアルさが絶妙で、ちょっと怖い。
展開が広がる前に、すでにそういう怖さがあるのに、読み進めるごとに物語そのものの怖さが加わって、ラストまでずっと緊張は上がりっぱなしだった。
この物語に共通する怖さは、目的を成し遂げるために、とんでもないことをしてしまう人間の欲深さ。
真相には、いつもじわじわと辿り着 -
Posted by ブクログ
日常の平凡系と思いつつ読み進んでいくので、最初の方はちっと微妙なのかも?とか思ってたわけです。が、微妙な違和感が少しずつ溜まっていくこの不快感は好きなんよ。
あえて例えさせて頂くならばテクノなんかでジワーッと次の曲に繋げていく際に少しだけ音階をずらしながら行くけど段々と次に繋がって行ってあれいつの間にか次の曲にキレイに流れているというあの爽快感が!
と勝手に例えつつ、田舎にはありそうななさそうなしきたりだかなんだか分かんない世界とか全体的にドカンとなるようなネタではないんだけどだからこその絶妙さが職人っぽいというかいや適当にフィーリングだけど自分的にはずっぽりハマったですよ。 -
購入済み
『王とサーカス』のあとに読んだ。この小説は、ジャーナリズムについてではなく、他人の悪意や、自分自身の罪の意識によって潰されてしまった人々を、推理小説のフォーマットを用いて、どのように描き出すか、に重点が置かれている気がした。それは『黒牢城』まで続く米澤先生の一つの小説哲学なのだと思う。現実ではもっとひどいことが起こっているのかもしれない。現実には太刀洗万智は存在せず、被害者はただ潰されて、誰にも意識されることなく消えていくのかもしれない。それでも、というかだからこそ、この小説は輝きを放っているんだと思う。
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ネタバレ 購入済み
歴史に疎く、物語中、ネパールの王宮で事件が起きたとき、フィクションにしては妙にリアリティがあると思い調べてみると史実だった。それから万智はジャーナリストとして、これを好機とし、記事にするため事件について調べていくが、その途中、万智が王宮事件を調べていたせいで殺されたとしか思えないような死体が現れる。そうして万智は職業としてのジャーナリズムの正しさについて考える。その中で、事件の謎は明かされていく。坊主が麻薬を密輸していることには気づけたが、サガルについては思いもよらず、驚いた。純粋に面白かった。いい小説。