あらすじ
越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷に越してきた少女は、弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始める。だが、町では高速道路の誘致運動を巡る暗闘と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出していた。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
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違和感が積み重なって確信に変わっていく感じが気持ち悪いけど心地良い
まさかそんなわけないよな...と思ってたことが本当になっていくことで変な意味で爽快さを感じる
にしてもこういう街ぐるみでとんでもないことするっていうのは現実でもあり得るんだろうか
この時代明らかになっていない情報なんてないように思うけど、関係者が全員消されてたとしたら...という想像までしてしまう
自分の知っている世界なんてほんの一部でしかないんだよな
Posted by ブクログ
日常の平凡系と思いつつ読み進んでいくので、最初の方はちっと微妙なのかも?とか思ってたわけです。が、微妙な違和感が少しずつ溜まっていくこの不快感は好きなんよ。
あえて例えさせて頂くならばテクノなんかでジワーッと次の曲に繋げていく際に少しだけ音階をずらしながら行くけど段々と次に繋がって行ってあれいつの間にか次の曲にキレイに流れているというあの爽快感が!
と勝手に例えつつ、田舎にはありそうななさそうなしきたりだかなんだか分かんない世界とか全体的にドカンとなるようなネタではないんだけどだからこその絶妙さが職人っぽいというかいや適当にフィーリングだけど自分的にはずっぽりハマったですよ。
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名作「ボトルネック」と同じように,思春期の子どもを主人公とした青春ミステリ。「ボトルネック」と同じように非常に残酷な話である。
主人公は中学一年生の女の子である越乃ハルカ。彼女は、実の母親ではない母と母の連れ子であるサトルと同居している。実の父親は,会社のお金に手を付け,バレそうになると借金を残して失踪した。この設定だけでも,ご飯が3杯くらい食べれそうな,絵に書いたような辛い話である。
ハルカが辛い生活を送る舞台は家庭だけではない。学校生活も相当辛いものが予想される。米澤穂信が描く子どもの世界はとても残酷でつらいものである。子どもの世界特有のルール,ヒエラルキー。子どもの世界で「ある程度の地位」を保つために必要なこと…。子どもの頃に,いじめなどに合い,つらい生活をおくったことがある大人にとって,この辺りは非常に共感してしまう。
地方都市である坂牧市という過疎化が進む土地で,よそ者として生活しなければならない主人公,越乃ハルカの生活は息が詰まるようである。しかし,越乃ハルカは,上手く立ち回ろうと必死に努力をする。これが実に痛々しい。ハルカの生活の助けになっている人物は二人。まるで天使のように,理想的な人物として描かれている母親と,心を許せる友達として描かれている在原リンカである。
「リカーシブル」は,単なる青春小説ではなく,ミステリであり、そこには謎が存在する。その謎は,「ハルカの弟であるサトルが未来を知っているのはなぜか。」というものである。この謎に,坂牧市に伝わるタマナヒメの物語が絡んでくる。
「サトル」の未来視とタマナヒメの物語の真相は,サトルに、3歳時の体験を思い出させるために,坂牧市全体でサトルの3歳のときの体験を追体験させているというものだった。
ハルカは,ハルカを支えていた二人の人物,ハルカの母親である雪里ヨシエとリンカから裏切られる。ヨシエはサトルを坂牧市に売り,リンカは黒幕的な存在である現代のタマナヒメだった。
タマナヒメの存在というややオカルト・SF的な設定が絡んでいるが,話全体としては十分にのめり込める。しかし,ミステリとしてはやや弱い気がする。真相はそこそこ驚けるのだが,伏線が回収しきれていない。
「リカーシブル」を読んで,一番心が震えたのは,ハルカの母が,離婚を決意し,そのことをハルカに伝えるシーン。それまで天使のような人物として描かれていたハルカの母親から,雪里ヨシエというただの他人になり,「ちゃんと中学を出るまでは面倒を見るからね。」と言うシーンはあまりに残酷である。
「生活が苦しい雪里さんとしては破格の好条件だよね」とハルカが納得するシーンは読んでいて苦しくなるくらい。
「卒業まで3年。家族から居候になって,いまでも割と小さくなっていたつもりだけど,さらに頭をひっこめて3年過ごして,その後は特に予定無し,か。」,「いまボンヤリと流されたら,取り返しのつかないことを決められてしまう。」と続くこの部分は,最高に残酷だと思う。恐怖すら感じる。
ミステリとしてより,米澤穂信らしい残酷さがたまらない作品だった。ミステリとしてやや物足りない部分があるのは間違いない。しかし,こういう否応無しに心に残る作品には★5をつけたい。ずっと忘れない作品になりそうだ。
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米澤穂信が描く、因習村っぽい雰囲気が漂うミステリ
以下、公式のあらすじ
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越野ハルカ。父の失踪により母親の故郷に越してきた少女は、弟とともに過疎化が進む地方都市での生活を始める。だが、町では高速道路の誘致運動を巡る暗闘と未来視にまつわる伝承が入り組み、不穏な空気が漂い出していた。そんな中、弟サトルの言動をなぞるかのような事件が相次ぎ……。大人たちの矛盾と、自分が進むべき道。十代の切なさと成長を描く、心突き刺す青春ミステリ。
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因習村ものミステリの雰囲気を感じる
未来予知をして村に利益をもたらした後に、自信も命を落とすタマナヒメの伝承
田舎町の民間信仰としての庚申講
代々のタマナヒメのもたらした利益と非業の死
高速道路の誘致を望む街の人達、そして現代のタマナヒメ
弟のした予知や過去見としては、置き引きの居場所、報橋での惨事など
外から来た、しかも男である弟が今代のタマナヒメという事があり得るのか?
果たして、その不思議な力は本物なのか?
訳ありで越してきたハルカ
弟のサトル
中学校で知り合ったリンカ
「ボトルネック」の例もあるので、不思議なことは不思議なまな終わる可能性も考えながら読んだけど
ある程度はちゃんと説明のつく構造の物語でよかった
ただ、すべてが説明のつく事柄ではない
それこそ、物語の後、ちゃんと登校してくるのか疑問が残る
そんなスッキリしない終わり方なあたりがとても米澤穂信っぽい
タイトルの「リカーシブル」
言葉の意味としては「再帰性」だけど
タマナヒメの再帰性について言っているのだろうか?
だとすると、本物という事になるのだが……
Posted by ブクログ
古い寂れた田舎の街。
そこに訪れる中学生の少女。
米澤穂信が描く思春期の子供達は、誰もが賢く思慮深い。
その思慮深さが、この物語では何とも悲しい。
過酷な運命を背負ってこの街の謎と、田舎の嫌な風習に挑む。
街の人の考え方には、理解に苦しむ所があり、現実離れした所がある。こんなことがあるものなのだろうか?
でもその「嫌な感じ」が米澤穂信は上手いな、と感じる。
Posted by ブクログ
引越してきた町で新しい生活が始まる中学1年生のハルカ。弟はいつもぐちぐち言ってる頼りない8歳のサトル。
慎重に振る舞い、なじめるように気をつけていたけど、どうもこの町はおかしい。
高速道路を誘致したい住民たちや、民話のタマナヒメが代々続いている疑問。
ずっと何が起こるのか、何が結末に待ってるのか不穏な空気感だけが漂う感じ。
それがラストに一気に明らかになる。
10年以上前の作品で、しかも主人公が中学生なので、中高生向けかな?って思ったけど、舐めてはいけない。
やっぱり米澤穂信は面白い!
Posted by ブクログ
不気味な町、そこに住む妙な人物。舞台設定がうまい。
終盤の名探偵に変貌するところが急展開すぎ、中学生というのは少し無理がある。解説に、少女を主人公に、という著者の思いが書かれていて、なるほどと思った。
明日からの成長したハルカが、どんな生活を送るのだろうか?
Posted by ブクログ
クラスメート、三浦先生はよそ者だから死んじゃったほうがいいとか言っててかなり嫌だった(親御さんたちが言ってたのを真似しただけなのかもしれないけど主人公みたいに自分で考えて欲しい)
主人公がいい方向に終わったからそこだけは良かったけど、街はめちゃくちゃ嫌
サトルくんはハルカのことすごく好きなんだろうな〜ってなった
ハルカに笑われるわよで癇癪がおさまるのがかわいい
Posted by ブクログ
夏になると米澤穂信さんが読みたくなる。
リアルでうっすら不気味で
静かに没入することができるから
期待通りにのめり込んで読むことができてよかった。
Posted by ブクログ
いやいやそんなのあるわけないじゃんって一蹴出来ないのが米澤穂信ワールド。日本のどこかで実際に起きていることと言われても信じてしまいそうな引き込まれ方。本作品に全く関係ないけど、ちょうどアニメ『ひぐらしのなく頃に』を視聴中なのでわかる人には分かると思うが市民が怖い…(本作とひぐらしのなく頃にを同時期に観ている人はさすがにいないとは思うけど笑)
Posted by ブクログ
終始に渡って良い意味での気味の悪さがあった。それがハルカの言動なのか、家族の思いなのか、友人の奇妙な行動なのか、過疎化が進む中での住民たちの願いなのか。これからのハルカの人生を思うと切ない。
Posted by ブクログ
土地に根付く風習、信仰、言い伝え
危うさ、ばかばかしさの描写と、それに振り回される少女たちの心情描写を淡々と書ききる
前半のゾワゾワとする違和感、後半の走り出す狂気、たまらない
これからの二人が心配…
ハッピーエンドじゃないトゥルーエンドって感じ。
ひぐらしやゲ謎のような独特な田舎文化や価値観によって起きる事件の話だった。これからの二人は、味方がいない中、暮らしていかなきゃいけないと思うと、悲しくなる…
Posted by ブクログ
なるほどと伏線回収に感心する作品でした。
都市伝説が現実になっているような、まるでファンタジー要素のある作品なのかと思っていたら、まさかのラストで、今まで不思議だった部分が全て繋がる伏線回収は素晴らしいです。
また自分は連れ子であり、血の繋がった父親も居ない、完全な他人とわかっていながら、母に愛情を求めてしまう。弟ともどこか距離を置いてしまう。そんな主人公の葛藤と前に進んでいく覚悟が、物語をより魅力的にしていると感じました。
Posted by ブクログ
因習のある地域でのミステリーで全体的に薄暗い雰囲気
未来予知でSFめいた要素があるのかと思いきや、町全体の大勢が関わった仕掛けで狂信的な怖さが出ていてよかった
主人公だけでなくリンカの複雑な心境ももっと深ぼりしてほしい
Posted by ブクログ
田舎の閉鎖的な社会の現実が垣間見れた。
部外者であるハルカの視点が読者の視点に近く、ハルカには味方がいないのに強く生きる姿がかっこよかった!
中学生の少女2人が中心人物のミステリーは面白かった。登場人物が少なく感じてその中でこんな長編書けるのすごい、、
Posted by ブクログ
昭和の香りがするミステリー作品でした。
それにしても、ハルカのような賢い少女が
お金の心配なく、ちゃんと大学まで進学できることを祈るばかりです。
ハルカのお父さんなのに、どうして横領しちゃったのか…それとも冤罪か…
冤罪はれて、戻ってきて欲しい、です。
お母さんも、優しいお母さんと読み進んでいったけど…
Posted by ブクログ
久々の米澤穂信作品。
田舎特有の息苦しさとそれに立ち向かう少女の成長物語であった。序盤は都会から越してきた血の繋がらない母親・弟の関係性が中心だったが段々と、得体の知れないものが迫っていくサスペンス要素が強くなっていくところが面白かったです。
黒幕については登場人物が少ないからか、直ぐに見当はついたもののその予想をおおきく上回る所がとても良かったです。まさか、町ぐるみで、しかも母親を巻き込んでまで彼の記憶を呼び戻そうとしていたという事への衝撃やそこまでして水野報告を手に入れたいのかと驚きが隠せなかった。それが当たり前に行われている所が、それによって人を追い詰めることが出来てしまうというのがとても恐怖を感じました。
そしてもうひとつの要素として血の繋がらない姉弟の絆も軸となっている。最初はどこかぎこちなくお互いに「バカ」呼ばわりしていたのが、サトルの秘密が明らかになっていくとともに彼の事を見直し、一人の「姉」として彼を護ろうとする所がとてもグッときました。
米澤穂信作品はダークな世界観が特徴的で今回もそれに近いものであるが、最後のシーンは希望を持たせる結末になっていたところも良かったです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
越野ハルカ:黒沢ともよ
越野サトル:種崎敦美
越野ヨシエ:茅野愛衣
在原リンカ:早見沙織
三浦孝道:福山潤
宮地ユウコ:佐藤聡美
Posted by ブクログ
中学一年生にして、主人公ハルカが頭良すぎた…!(笑。
脳裏を『君のような勘のいいガキは嫌いだよ』って台詞が過ぎりましたよ(そっちの元ネタはあんまり詳しくないのに済みません!
対するリンカも一目置かざるを得ない存在感。
ホラー方面をほんのり期待したけど、やっぱりこれは青春ミステリ…かな?
さほど明るく爽やかではないけれど。
Posted by ブクログ
米澤穂信さんの別の作品(Iの悲劇)にも通ずるけど、静かに衰退する地方都市の姿と独特のよそ者を排除する雰囲気を感じて、空気を読んで生きていかなければいけない息苦しさを感じた。
都会は都会で大変だから、悪い面を見始めたらどこでも生きていくのは大変だ。
Posted by ブクログ
米澤穂信も時折意味深で何かが分かりそうで分からない作品を書く。
本作はホラーかと思いつつも何とかミステリに踏みとどまっている。地方都市の不気味さ、少年少女の切なさや不安がよく描かれている。
あえて狙ったように日常と不穏の合間にあるような空気を描くのが見事だ。個人的に雲を掴むような話なのでもう少しあやふやな輪郭をはっきりさせてもいいのではと思えた。
Posted by ブクログ
あまり重い雰囲気はなく、青春ミステリーといった感じで爽やかさすら感じた。
個人的に好きな民俗学的な要素もあったのが嬉しかったかな。
自分も知らない田舎町に引っ越したような気分になった。
Posted by ブクログ
「小市民シリーズ」を少しだけ読んで、作者がどういうミステリーを書かれるのかが気になって、本作を見つけた。
読み始めからずっと「いやーな感じ」がまとわりつく。
引越した町に根付く伝承。その伝承を基に起きる奇怪なもろもろ。
友達も町の人もママも、全てが嘘くさいと思うのに、何がどうなっているのか、が見えてこない。
途中で辞めようかと思ったけれど、結論が知りたくてなんとか最後まで。
ミステリーになるのかな?
私個人の気持ち的にはホラーで、すっきりしないまま。
生きていかなければならないとしても、ママとの家に帰るのはどうなんだろう?
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寂れた地方都市に漂う不穏な雰囲気と不安定な平和に奮闘苦戦するハルカという、青春ミステリのテーマや空気感は良い。ある封筒が届いて均衡が瓦解していく場面は胸を締め付けられる。ただ、後半3分の2以降からの展開が唐突過ぎる印象。伏線めいた出来事は散発しているものの、とある事件のとある人物との対話から、それまで全く片鱗を見せなかった名探偵ぶりを見せ始める。サトルをそこまで邪険に扱い、そこまで肩入れする心境変化も良く分からない。中盤まで薄氷を踏むバランスで青春とサスペンスとの両立していただけに残念さはある。そこさえ割り切れば読後感は悪くない。
Posted by ブクログ
ハルカが引っ越してきたのは、ずっと薄く暗いような雰囲気の街。何かを隠しているような。
高速道路が来れば救われる、なんとも他力本願で、きっと誰もがもう叶わないと分かっている夢を見続けるしかない大人たち。そんな大人たちに付き合わされる子どもたち。
この歪みは根が深い。
Posted by ブクログ
実父の失踪により 義理母の田舎に越してきた中一の少女。
過疎化が進む地方都市には、タマナヒメという伝承が今も残る。
これが庚申講繋がり。京極堂が役立つ一瞬。
都会から息苦しい田舎で自分の立ち位置を探しながら、家庭での居場所も探す。
未来予知の不思議な伝承を地道に読み解きながら、義理弟の不可解な予見的言動の事実にたどり着く。
父は戻らずともこれからも頑張っていけそうな少女なのだ。
Posted by ブクログ
あえて王道の展開から外したなぁ、という感じの終わり方だった。リアルっぽい雰囲気の作品によくありがちな、フィクションほど吹っ切れてないせいで感じる不完全燃焼感がどうしても気になる。
途中(半分越えたあたり)は面白かった。
やや閉鎖的で退廃の香りがする街での謎の風習、それを調べていた人が危険な目にあって、超常ホラーか?!とワクワクした。
あと個人的には、お母さん……お母さんがものすごく引っかかった。エンディング後あんなんいる家に帰らなきゃいけないの……?
古典部シリーズからの流れで他のも読んでみたい!と買ったうちの1本目だけど、正直女子中学生視点書くの向いてないかな……と思った。奉太郎がすごい合ってたから、余計におじさんの考えるちょっと大人びた女子中学生って感じが気になった。地の文が特に。