あらすじ
何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで探偵事務所を開いた。この事務所〈紺屋S&R〉が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。……それなのに、開業するや否や舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかもこのふたつは、調査の過程でなぜか微妙にクロスして――いったいこの事件の全体像とは? 犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。青春ミステリの旗手が新境地に挑んで喝采を浴びた私立探偵小説!
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Posted by ブクログ
面白かった。
ある人物の人物像が段々と浮かび上がり、最終的にイメージがひっくり返ってしまった。確かにそう言ってたわ。怖え。
そして犬で締める。
Posted by ブクログ
おお、犬はどこにいるかなんて話じゃねーぞこれ、ってな展開で。
いやね、じんわりとゆるふわな展開かなー、って思って読み進めてると最終的にはハンペーもビックリなハードボイルド展開でこの最後に向かっていく狂気はゾクゾクして大好き。
彼女の狂気もも良かったしお兄さんの切り返しも渋かったし、いろんな意味でアレだ、結末がスゴイでしょう大賞でいい線いけるやつだ。
しかし出てきた犬は子どもを襲う野犬のみというね、これはイヌ派にはひどい仕打ちですよ。
Posted by ブクログ
意にそまぬ依頼と探偵志願の押しかけ後輩に
押し切られる形で始まった2件の調査。
序盤はふんふんと読んでいたけれど、途中からん?あれ?と不穏な雰囲気になり、終盤での
ぐるりと様変わりに引き込まれる。
作中に出てくる「谷中城」に、なるほどと思った。
Posted by ブクログ
最初は主人公の変化メインの話なのかなと思ったけど、読んでると想像よりミステリ感が強くて最後はちゃんとミステリーの読後感だった。
意外と重い面もあって、犯罪の緊迫感もあって、ちょっとブラックなところもあって、面白かった。
はんぺーの抜けた感じが面白かったし、全体的に軽い雰囲気だったからこそ最後で少しびっくりしたかも。紺屋の折木感がよくて、やっぱり心の声が好き。
米澤さんはやっぱりミステリの中でも人間を描くのが上手いと思うから登場人物を好きになったし続編を読みたい。
Posted by 読むコレ
ちょっとタイトル(笑)
それはともかく今回は氏の作品ではちと記憶にない探偵もの(?)でした。
それでも何でもない立ち上がりからやがて真相の深みに嵌っていく様は相変わらずで、氏の作品の真骨頂と言うべきか。
堪能させいていただきました。
また流石に古典ミステリを敬愛する氏の作品のこと、本作も読中に「これは不自然だなぁ」と感じた部分には必ず理由があり、最後までにきちんと回収してくれる辺りも相変わらず。ロジカルで本当に安心して読めました。
ただしモヤっとした読了感も更に相変わらず。
良くも悪くも米澤ブランド。楽しみました。
Posted by ブクログ
とてもおもしろかった!捜索対象だった佐久良桐子が殺人犯になるなんて想定外。殺人に間に合わなかった探偵、でも依頼は完遂しているなんておもしろい。古文書とどう関連してくるのかと思って、ハンペーの調査の中で佐久良桐子の名前や気配が出てくるたびにわくわくした。
Posted by ブクログ
とても面白い。流石は米澤先生です。探偵とその助手がそれぞれ別の依頼を受け仕事を進めることに。所々でリンクしていく事件、だが独立して動く二人は気付かない。最後に情報を交換した時に謎が綺麗に解け…といった趣向の作品。
犬のモチーフの使い方がとても上手で、読んでいて気持ちがいいです。別にそれが活躍するわけではないけど、要所は犬で締める。素敵です。先生みたいなおしゃれな文章が書けるようになりたいです。
Posted by ブクログ
読み始めた時はそうとは思わない本格ミステリ。探偵役は、順風満帆で進んでいたがある日原因不明の皮膚病にかかり、会社をやめ、社会から逸脱者扱いになった彼が故郷に帰ったら治ったが心は沈んだまま、犬探しをメインの事務所を立ち上げた、若いやつれぎみの男性。初日から人探しを頼まれ、ある事件の深淵を覗くことになる。逃げるしかないと思っても、たとえ誰が何をしても目をそらすことはできるが、自然なまま逃げない選択を進む主人公に共感が持てる。最後は、殺人を止めることはできなかったが、それをあえて殺人者を警察に付き出さなかったのも共感する。ただそのせいで逆に殺人者に口封じされるリスクが出てしまったが、彼ならうまく気づかれないだろう。古典部シリーズの折木以外の探偵が描かれて面白かった。タイトルで今まで躊躇していたが、予想をはるかに面白かった。
Posted by ブクログ
<目次>
略
<内容>
ある地方都市にイヌ専門の探偵事務所を開いた主人公。しかし最初の依頼は人探し。もうひとつの古文書解読と最後はリンクして、物語は収束するが、尋ね人はもしかすると探偵を襲うかも、と物語は閉じられる。話のスピード感もあり、米沢さんは読みやすい。
Posted by ブクログ
燻っていた探偵事務所に舞い込んだ人探しと古文書解読の依頼が少しずつ交差して不穏な事件を構成していく、正統派フィールドワーク型ミステリ。
主人公の仲間たちがみんな少し謎めいていて浮き世離れした感もあるが、物語展開はテンポよく面白い。ハンペー、君は一体何者なのだ。話の中で個人webサイトのオーナーがサイト内掲示板で訪問者とレスバして炎上するくだりがある。これは2000年代インターネット黎明期を経験した人にだけわかる懐かしさではないだろうか。
Posted by ブクログ
調査事務所に舞い込んだ2件の依頼がだんだんと交差していく展開が面白かったです。
少しずつ不穏な雰囲気になり、身構えながら読みました。ネタバレになるので内容には触れませんが、やっぱり米澤さんの文章は読みやすいなと実感。
ラストも個人的には良かったです!
Posted by ブクログ
二つの事件が交差すると思ってなくて驚いた!最初はサクサク読めたものの段々と暗い感じに。でも犬を探す所じゃなくて驚きでした。予想外の流れ予想外の結末。この続き読みたい!
Posted by ブクログ
探偵ものの王道のような骨組みで、都合よく感じる部分は多々あったが、面白さが勝るのでOK。
2つの依頼が所々で繋がっていて、そういうことね、とニヤリと出来る場面があって面白かった。
失踪した桐子については直接会話するのが最後の方の少しだけで、後は周りの人からの情報だけで人物像が作られていくのも良かった。(東野圭吾さんの白夜行みたいな感じ?)
本書では回収されなかった設定などもあり、続編が予想されているらしいので私も期待したい。
Posted by ブクログ
女性を探す依頼と、古文書を確認する依頼を並行して調査する構成。
初めは淡々と仕事をしている描写が続くものの、進むにつれてその2つの事件が重なっていき段々と不穏な空気が出てくる。
最後の方で、主人公が急いで谷中城を探すくだりにはやられた。間壁が女性を殺害してしまうから焦っているのかと思いきや。
文庫版の帯にて「振り返らず。来た道から逸れないように。」の一文が引用されているが、いい一文だと思う。
それと主人公の紺屋さんのキャラがよい。
殺人を防ぐため危険を犯して山に入るところや、殺人を見逃すなどの完全な正義でないところが人間らしさが出ているなと感じた。
GENさんは何者なのだろうか?それと主人公のHNの由来とか。今後色々膨らませてほしいなと思う。
続編はまだかなあ……。
Posted by ブクログ
途中から不穏な空気になってきてドキドキしたけど、でも絶対間に合う流れだったし救われるエンドだと思うじゃん!?思わず、えっ!って声を上げながら前のページに戻って読み直してしまった。
後味悪いわけじゃないけど、不穏な空気を残したまま終わって、うわ〜ってなった。でもずっと面白かった。これシリーズ化してるんだったかな。何か出てるなら読みたいな。
Posted by ブクログ
犬を探すつもりだったのに、なぜかしら失踪人捜索と古文書の解読をすることに。
そしてその2件が…。
読み易く面白かったです。最後も米澤穂信さんっぽくもありました。
Posted by ブクログ
米澤穂信のミステリー作品の駆け出しという印象。
新卒で銀行に入社して上京するも、体調不良を理由に退職して地元へ。
療養後に犬捜し専門の探偵事務所を開業するも、依頼は人捜しと古文書の読解。
平和そうなスタートから少しずつ不穏な空気になり、人捜しと古文書読解のそれぞれの依頼が絡み合っていくのは楽しかったが、絡みつきが強くなるのが終盤なので、個人的には古文書読解が少々退屈。
大きな盛り上がりは欠けるが少しゾワッとさせてくれた。
Posted by ブクログ
社会復帰のために、迷い犬を探すための事務所を立ち上げる主人公。舞い込んだ依頼は何故か、人探しと古文書の調査。手伝いたいという後輩に古文書の調査を任せ、主人公は人探しを始めるが、ストーリーを読んでいる方は、その古文書と失踪人が微妙に絡み合い、しかしながら情報共有されないがためにそれぞれがそれぞれの操作をしていくのがなんとももどかしく面白い。もしかしてこれは…と思いながら読み進めていたのだが、最後は特に大きな動きはなかったものの、思った通りの展開になっていった。
Posted by ブクログ
読後こんなに納得のいくタイトルはない
全く関連性のないような2つの依頼が綺麗に重なった時は鳥肌が立つ
真相が明らかになり、すべてがパズルのようにハマる、米澤穂信でなければ生み出せない快感が気持ちよかった
結末が全てわかった上でもう一度読みたい本
Posted by ブクログ
一気読みしました。
登場人物のやり取りとたまに入るひと言ツッコミが面白い。
ネット黎明期をリアタイで経験してたので妙な懐かしさがありました。
終盤にきて「ははーなるほど。そういうことね」と思わせといてからのどんでん返しでゾワッとしました。
読後感はゾゾッとします。どうかこのままご無事で、と言いたい。
リドルストーリー?
先生の作品にリドルストーリーがテーマのとてもおもしろい物語があります。この作品にもいくつかのエンディングが想像できることがもどかしい。犬は私が用意しますから、続編をお願いします。ちなみに私の犬は保健所からもらってきた雑種です。
Posted by ブクログ
ジャケ買いし積読となっていたが先輩が同じ作者の本を読んでいたので読む気になれた。
先輩曰く米澤穂信は死人が出ないらしいが…笑
おもしろい話だった。
犬探しを謳ったはずなのに旧友のおかげで開業して直ぐ人探しと古文書調査をする事になった主人公紺屋、と高校時代の後輩半田。
紺屋の東京での生活で患った病気の話とか、直接物語に関係無い設定が細かくて、別に愛着が湧くとかではないのだけどそういうあんまり関係無い部分が自分は好きなんだなと思った。
ゲームで例えると RPG とかにあるメインクエストよりもサブクエストめっちゃやるみたいな。
佐久良桐子、すごい女だ。そう思わせる話も凄いけど、でももし自分がその立場だったらその存在を消すまで安心出来ないだろうから、ここまで計画を立てはせずとも同じ結論の答えを出したと思う。犯されたみたいな事書いてあったし、その通りなら婚約者も居た身の上そんな事されたらもう絶対そうするな。
世間からの同情とかを全部捨てて、相手をどうやったら誰にも知られずに消せるかを考えられる冷静さとそれを実行に移す行動力、執念、すごい女だ。全部独りだしね。
終わり方凄い好きだな。変に盛り上げてないんだけど静かな圧を感じた。こういう結末の方が俺は現実味があって好きだ。
この物語が終わった後、紺屋S&R が次はどんな依頼を請け負うのかめちゃくちゃ気になる。楽しみでしかない。
Posted by ブクログ
安定の面白さ。ハンペーもいい味出してるし、主人公のスタンスも好き。古典部シリーズといい、主人公の女きょうだい結構癖ありがち。
緊張感は演出されるけど、実際には最後現場行く必要なくね?
赤ずきんはそういうことだったのか...
Posted by ブクログ
爽快な私立探偵小説!と、思っていたけどちょっと想像とは違ってたかも。スピード感あってテンポもいいのですが、ラストは賛否両論ありそうな気がします。
なんとなくですが羅生門を思い出しました。あれは生きるためなので、今回の自分を守るためというのとはちょっと違うかもしれませんが、広義的に同じことではないかと思います。ただ下人や老婆がリアリストだったことに対して、本作のラストは狂気的なものを感じました。紺屋さんには逃げ切ってほしいですが、逃げるということはずっとその存在を気にすることに繋がります。また皮膚炎になってしまいそう。せっかく探偵事務所を開いたのに気の毒としかいいようがないです。
そういえば番犬とか今どき聞かない単語を久しぶりに見ました。最近の犬は家畜じゃなくて家族ですもんね。とりあえず手荒れ対策を考えながら素直にお好み焼き屋を開いた方が幸せだったかもしれません。
Posted by ブクログ
一見全く関係ない2つの依頼が、思わぬところで交わり、最後に全ての答えに繋がり、伏線が回収されて行く展開はとても面白かったです。
最初と最後で全く違う意味だが、「犬はどこだ」なのが洒落が効いていると思いました。
Posted by ブクログ
体を壊し銀行員を辞めて、犬探し専門の調査事務所を開いた紺屋長一郎。開所早々に持ち込まれた2件の依頼はどちらも犬探しではなく、失踪した女性探しと古文書の由来調査だった。
探偵に憧れ事務所員となった半田平吉(ハンペー)と共にそれぞれの調査を始めるが、この2件、妙にリンクして行く。次第に明らかになる事件の全容は?
人生に挫折してやる気を失い、運命論者的に何もかもを受け入れるようになった主人公と、一見チャラいもののその実なかなか使えるハンペーの取り合わせが絶妙。
ミステリとしては人探しという単純な調査の割になかなか進まずちょっと中弛みしたけれど、ハンペーのキャラクターが要所要所を引き締める。
一人称が長一郎パートの「私」とハンペーパートの「俺」で書き分けてあるんだけど、気を抜くとこんがらがる。
ネットでの[白袴]と[GEN]のチャットのやりとりが面白かった。
副題?の英文タイトルが秀逸。
ミステリだけど全体としては紺屋の再生物語で読後感はそっちが強めだけに、復活した紺屋の仕事ぶりをぜひ続編で読みたくなるんだけど、予定されてたのにいまだに書かれていないようで残念。
Posted by ブクログ
歴史を中心に現代の20代が動いていくところが個人的に新鮮でした。過去の人々の考え方に影響を受ける様子に共感できる部分も。
最後は突然終わったような印象でした。こんなに用意周到で行動力のある人に「リスク」だと思われるのは結構こわいけれど、主人公はどうなってしまうのか...。
Posted by ブクログ
正確に書くと星3.6。
私は米澤さんの文章が好きなので+0.1。
話の内容で言えば、二つの事件(依頼)がところどころ混じり合ってるかと思えば実は重要だったりして、そこが魅力だったかなと思う。
ただ、最後の重要な部分とかが種明かしの前に分かっちゃったりして、残念だな。
でもChapter6の最後とか、Chapter7の最後とか新鮮で面白かった。米澤さんらしい。
私は、ずっとミステリーの種を分からない読者だったので、ミステリーを読むと大体トリックなどで驚かされて、それを面白がって好んでいた。
ただ、ここ数年でミステリーをかなり読んだことにより、だんだんと種が分かってきてしまった。同じ作者さんの話なら特に。
もちろん全てではないが、これだとミステリーを面白がれなくなってしまう。それは嫌だ。
種が分かっていてもきっと他の楽しみ方があると信じてこれからはそれも探していこうと思う。
Posted by ブクログ
犬捜し専門の探偵事務所「紺屋サーチ&レスキュー」を開所した主人公、紺屋長一郎。しかし舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。行きがかり上、雇うことになったハンペーと調査を進めるうちにこの2つの案件が徐々にリンクしていく、というストーリー。
終わり方も個人的に好みですし、紺屋とハンペーのコンビも良かったので、シリーズ化されたら続編も是非読んでみたいと思える一冊でした。