米澤穂信のレビュー一覧
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ネタバレ黒田官兵衛は大河ドラマ程度、荒木村重はほぼ知らない私にとっては、大変学びが多い1冊でした。
嫌な時代ですね。戦国時代。。
みんな猜疑心に溢れ、毎日生命の危機。
ましてや、愛するものを同盟一族に人質に取られるなんて、身を引き裂かれる思いです。身分あっても地獄なくても地獄です。
乱世では悪因が複雑に絡み合って、憂世の至る場所で悪果をもたらすと書いてましたが、ほんとその通りだと思いました。
最後、荒木村重は敗走扱いになり、官兵衛は生きて戻れ、定めを感じます。
史実に忠実だったので、とても勉強なりました。
以前(結構前)JRの京都へ行こうのCMにあった、戦に疲れて茶の道に入った武将って村重の -
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初米澤穂信。直木賞受賞作にして、著者にとっても初長編時代小説、然もミステリ。にしては、ここ迄の時代小説手練れとは存じ奉らなんだ。感服仕った。
奇しくも、今村翔吾『じんかん』で松村弾正久秀の謀反討死、名器〈平蜘蛛〉焼失を読み終えたばかりだ。荒木村重の、その時間軸すぐ後の信長に謀反、(物語の中心では無いものの)名器〈寅申〉を守ろうとする話になっていた。比べるのはお約束違反かもしれないが、背景密度、エンタメ構造共に、私はコチラに軍配を上げる。しかも村重自体が「俺は松永の様にはならない」と意識している。
黒田官兵衛が有岡城に使者として参上した以上、ことならぬ後は使者は返されるか斬殺されるかは、戦国 -
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ネタバレある実験のために用意された施設を舞台にした、密室もの(クローズドサークル)だった。完全な密室ものは初めてだったし、今作のようなゲーム性?のある作品も久しぶりだった(クリムゾンの迷宮以来?)が楽しめた。最初に彼らが考えたように、誰も何もしなければそれだけで2000万円近くもらえる環境だったが、その口火を切る形をどう作るかと思っていたら自殺というのはまんまとやられた。互いの武器を知らず、また互いに信頼できる相手とそうでない相手がいることで、推理が複雑になっていくのもよく考えられていると感じた。人間ドラマはなかなか入れにくい設定だと思うが、関水の真の目的が何だったのか腑に落ちなかったのは少し残念だっ
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ネタバレ王とサーカスで前のシリーズも読みたいと思っていたので今回読めて良かった。太刀洗万智は主人公ではなく、友人の守屋の視点でストーリーが進んだが、ネパールで取材をしていた太刀洗と比較して、学生時代の太刀洗はより無口で不思議な印象を受けた。紛争の起きたユーゴスラビアに帰ったマーヤの安否を心配し、連邦の中のどこに彼女がいるか明らかにする、というのが大筋だが、ほとんどのシーンはマーヤとの回想に割かれ、ミステリーという感じがしないあたりは、著者の特徴を感じさせた。何事にも特に打ち込むということがない主人公が、マーヤをきっかけにユーゴスラビアのために何かしたいと思い、しかしそれは本当の当事者から見れば観光に来
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金沢や東尋坊という、表紙の印象とは少し違う土地が舞台の物語。読みながら「これはどういう意味だろう」と思っていたのですが、読み終えてカバーを外し、改めて表紙を見たときにようやく腑に落ちました。
主人公の選択は、最良とは言い切れないものもあるけれど、その時の自分を守るためには必要だったのかもしれません。結末は重たく、読後はしばらく気持ちの整理が追いつかないような感覚が残りました。
「考えることをやめたら、自分の存在がぼやけてしまうかもしれない」。そんなメッセージを静かに受け取った気がします。
良くも悪くも、自分で選ぶことから逃げないようにしたい──そんな気持ちになる一冊でした。