米澤穂信のレビュー一覧
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時代小説と思いきや、立派なミステリー
言い回しや単語にそれらしきものはあるものの、浅い知識でも充分に楽しめる
荒木村重という武将は言ってみれば「悪名」の権化のようなもの…その評を、なるほどそうなのか、と裏切ってみせ、また、背景を描いて納得させる…そのトリックがとても効いていた
史実に忠実かどうか、はとりあえず傍に置いておいて…いわば「密室」のような籠城作戦の真っ只中の「城」の中で起こる数々の難題を、あろうことか、捉えて土牢に閉じ込めた黒田官兵衛と解決する…
後半、官兵衛が協力した経緯も明らかになるものの…その知略が素晴らしい、さすが官兵衛と唸る
それにしても
常に腹の探り合い、疑心暗 -
Posted by ブクログ
古典部シリーズで夢中になった米澤さんの直木賞受賞作、2026年には映画化もされた作品ということもありある種「約束された名作」と信じて、特に中身もあらすじも見ずに買った。
いざ開いてみると言葉遣いは難解で、歴史に疎く荒木村重も黒田官兵衛も初耳だったのでこれは読み切るのが大変だと感じた。
ところがどっこい確かに読み進めるのは大変だったが面白い面白い。単に謎解きに収まらず、結末にメッセージ性を持たせてくれるところはさすがの米澤作品だった(といいつつ古典部シリーズとは全然違う!なんだこの引き出し!?)。
北摂地域は多少縁があったので少し読み進める助けになった。縁もゆかりもなく歴史も疎い人が読むのは -
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本の帯と、あらすじに惹かれて購入しました。
収録されている5本のお話は、登場人物や出来事の舞台こそ異なっていたものの、「バベルの会」という読書サークルの存在のおかげで、小説内での全体の繋がりを感じることができ、とても読みやすかったです。
また、一人称視点で物語が進んでいくのですが、上流階級に関わる方たちの視点になるため、あまり深く感情移入をせずに読めたことも私の中では大きく、彼女たちより少し離れた場所から物語の行く末を見守るような姿勢で読み進められました。
最初の1、2本目くらいはお話の進むまま読んでいたのですが、3本目あたりから何となく文字には明確にされていない彼女たちの思惑や、欲望を -
Posted by ブクログ
面白かった。
劇的なことも起こらず前に進んでいくその世界観は、少し陰鬱でありながら思春期の人間の心に寄り添ってくれているような不思議な魅力があり、さわやかな読後感だった。
「赤いトマトのことを考えているとき赤信号に引っかかったからといって、この二つを結びつけて考えるなんておかしなことだ。」作中に出てくるちょっとした一文だが、リカーシブルを象徴するようなフレーズだと思う。本作のどことなく陰鬱で不気味な雰囲気の中でも、目の前の不思議な出来事に飛びつかず筋道立てて1歩ずつ論理が進んでいくのが面白い。
同作者の『ボトルネック』でもそうだったが、もう一つ印象的だったのは作中の天気。曇っていたり雨が降