米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ前作から時系列を遡って、小鳩くんと小山内さんが高校1年生の時に起きた些細な謎解きが描かれる短編集。エラリー・クイーンの国名シリーズをもじって、小市民シリーズならではのスイーツと組み合わせたタイトルたちがとてもかわいく洒落ている。
日常の謎を扱うのがシリーズのお決まりだが、正編と違って、より日常に根差した謎が提示されているのが特徴だと思う。
マカロンの個数が増えたのは何故か。消えたCDは何処に隠されたのか。マスタード入りの揚げパンを食べたのは誰か。ある少女を陥れて停学に追い込んだのは何者か。
それぞれのテーマは本当に些細ながらとても興味深く、謎解きの面白さへとどんどん引き込まれてページ -
Posted by ブクログ
「このミス」「週刊文春」「ミステリが読みたい!」の各ランキングで1位を獲得し3冠を達成した作品。また米澤穂信としては初の警察ミステリでもある。
とにかく主人公の葛警部がいい。刑事としての腕はピカイチで事件の筋読みは抜群だが、上司には疎まれ部下には嫌な顔をされる。食事はカフェオレと菓子パンで手早く済ませる(ブラックコーヒーではなくカフェオレなのが胃の刺激を気にしていて微笑ましい)。こんなパンチの効いたキャラクターを産み出したからには是非シリーズ化してほしい。
作品自体はどの短編もミステリとして上出来だったが、特に「命の恩」が秀逸だった。犯人が何故死体をバラバラにしたのか?その理由はこれまで読んだ -
Posted by ブクログ
ネタバレ小市民に俺はなる!!と言っておきながら、相変わらずどう見てもその気が感じられない小鳩、小佐内コンビ。
学校に名を残したい小佐内さんの彼氏とそれを操って悦にいる犯人、承認欲求という自意識の葛藤という共通のテーマが(たぶん)ありました。
「コケティッシュ」というこの小説ではじめて知ったワードの自分の中での代名詞が小佐内さんになりました。
コケティッシュ小佐内。ズルいなこのキャラ。(アニメでも存分に発揮されてましたね)
このシリーズ、なんでスイーツを絡ませるんだろうと思ってましたが、大抵ビターな感じで着地する謎解きをスイーツを食しながら行うアンバランスさがミソなのだと勝手に解釈しました。