米澤穂信のレビュー一覧
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最近になってすっかりハマってしまった米澤穂信のノンシリーズ作品の一つが、本作『Iの悲劇』だ。往年の本格もののような雰囲気を匂わせるタイトルだが、このタイトルの”I”は「Iターン」のIである。過疎に悩む地方が、都会に住んでいる人間を呼び寄せる取り組みを行う……という、地方活性化施策の一つだ。
本作は、限界集落となってしまい現在は無人となっている山間地域である蓑石への移住希望を推進する、「南はさま市Iターン支援推進プロジェクト」を舞台に、主人公たちの悲喜こもごもを描く短編集だ。このプロジェクトを推進するのは、通称「甦り課」に所属する主人公・万願寺と、彼の同僚・観山(かんざん)、そして上司の西野で -
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──あんたはこれから、長い休日に入るのね。そうするといい。休みなさい。大丈夫、あんたが、休んでいるうちに心の底から変わってしまわなければ……。
──きっと誰かが、あんたの休日を終わらせるはずだから。
とうとう読み終えてしまった〈古典部〉シリーズ。今作は全6篇の短編集からなる作品でしたが、どの作品も〈古典部〉のメンバーに焦点を当てた、いや、各メンバーのそれぞれを主人公として描いたような短編集だったように思います。
特に奉太郎の代名詞『やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に』の誕生秘話が描かれていた物語【長い休日】はかなり好きでした。
そして表題 -
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第28回このミステリーがすごい!第1位
なかなかおもしろい!
人がうっすら自覚しているけど考えないようにしている問題に切り込んでミステリーに仕上た唸る作品。
フリーのジャーナリストとして訪れたネパールで、大刀洗万智が報道することの意義を問われる。
改めて、世の中に報道されるニュースについて、自分が知ることの意味はあるのかを考えた。
他人の不幸について、当事者とその近しい人達に不快な思いをさせてまでそれは世間に発表される必要はあるのか。
「娯楽として悲しみを消費するだけ」というフレーズに衝撃を喰らった。
疑問に感じたことは何度もあるのに、結局「へー!」とか「うわ〜」とか言いながらなんとなくそ -
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ネパール王族殺害事件をベースに、ジャーナリズムとは何か。
ミステリーを融合させて読みやすさがありながら、読後の抉られた胸の痛みが収まらない。
情報は娯楽なのだろうか。
受け取る側として『知る』ということはこんなに重いものだったとは。
私は知らずに多くの事件や歴史をサーカスとしてみていたかもしれない。
今、この社会では情報に重みはなく、知ることは簡単過ぎる。
恥じない選択をするしかない。
伝えないことも選択していると思うと恐ろしいものもあるが、『俺達はもう絶対に、タクシーの運転手まで巻き込んではいけない』
そして悲しみをサーカスにしない。
これは記者の方々に忘れないで欲しいところですね。
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基本的には2年生になってからの短編集。表題作を含め6作。
摩耶花が奉太郎に辛辣だった理由がわかったり、摩耶花が漫研を退部するまでの話だったり、奉太郎が今のモットーになった理由を話したり。摩耶花は今後どんな漫画を描くんだろう。高校2年生の1年間で、どんな傑作を作り上げるのだろう。
そして奉太郎の過去。そんな経験があったら……というか、その事実に気付いてしまったら、こんなモットーになるのも仕方ない気もする。
アニメにもなった、奉太郎が「気になるんだ」と言い出す話も。この時の周りのリアクション、アニメで見た時面白かったなあ……
来るはずのない奉太郎が来て動揺したえるが咄嗟にしたのが髪を整えることだっ