米澤穂信のレビュー一覧
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基本的には2年生になってからの短編集。表題作を含め6作。
摩耶花が奉太郎に辛辣だった理由がわかったり、摩耶花が漫研を退部するまでの話だったり、奉太郎が今のモットーになった理由を話したり。摩耶花は今後どんな漫画を描くんだろう。高校2年生の1年間で、どんな傑作を作り上げるのだろう。
そして奉太郎の過去。そんな経験があったら……というか、その事実に気付いてしまったら、こんなモットーになるのも仕方ない気もする。
アニメにもなった、奉太郎が「気になるんだ」と言い出す話も。この時の周りのリアクション、アニメで見た時面白かったなあ……
来るはずのない奉太郎が来て動揺したえるが咄嗟にしたのが髪を整えることだっ -
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ネタバレ2001年に実際に起きた「ネパール王族殺害事件」をベースにしたストーリー。
読み終わるまでそんな事件が実際にあったとも知らなくて、その事実も含めて改めて気付かされ、考えさせられる作品だった。今までに感じたことのない角度で心が揺らされて鳥肌が立った。
ジャーナリストに限らず、何かを誰かに伝えるとき、表現するときに誰も傷つけないなんていう保証はできないから、「気をつける」しかなくて。
正義と信じた時、その先に何があるかまで考えたか?
飢えに苦しんでいる人を助けたとして、その人たちが生きてその先を一緒に歩んでいく社会まで見据えたか?
知らなかった、気づかなかったですまされないことがたくさんある。こ -
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春季限定いちごタルト事件の大人しい小佐内さんの雰囲気も好きだったけど、本作のように謀略を練る活発な小佐内さんも面白い
各章で微妙に違和感を感じるところがあって、なんでこういう展開になってるんだろうと考えているうちに、ちゃんと伏線を回収してくれて非常に気持ち良い
結構ミステリーを読んでると一緒に考える要素がなくてとにかく答えに辿り着きたくなってしまうことが多いが、小市民シリーズは適度に気になる部分を置いておいてくれるからちょっと考えながら読めるというのがいいのかもしれない
本作では大量のスイーツが登場するけど、どれも美味しそうで甘いものが食べたくなってしまう... (特にシャルロット) -
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ネタバレ満願』に続いて2015年にミステリー三冠を達成したのが、本作『王とサーカス』だ。主役の大刀洗万智が『さよなら妖精』に登場していたということもあり、一応「ブルーフ」シリーズと銘打たれているが、ストーリーは全く繋がっていないので、本作単体でも問題なく読んでいける作品に仕上がっている。その彼女も一応キャラクター設定は継続しているものの、立ち位置が違ってしまったせいか、同じキャラクターとは感じられない描写が多々あり、むしろ前作を続けて読むと戸惑ってしまうかもしれない。
その前作『さよなら妖精』では、本作の主人公でもある大刀洗たちが高校生の時に出会ったユーゴスラビアから来た少女マーヤとの交流と、彼女が -
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古書店に居候する主人公は、ある女性から死んだ父親が書いた五つの物語を探して欲しいと依頼を受ける──。
「結末のない物語」を集めて欲しいという不思議な依頼。物語が集まるにつれ明らかになる20年前の未解決事件「アントワープの銃声」。
主人公が置かれている幸福とは言い難い状況や、どことなく薄暗く落ち着いた文体で綴られているので、真相に近づく高揚感よりただ静かに受け入れる気持ちで読み進めた。
このひんやりした温度感がとても肌に合い、すっかり没入してしまった。今まで読んだ米澤さんの本の中で一番好み。
そして私は「リドルストーリーが好き」と言う新たな発見があった。
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ネタバレ小市民シリーズ第3弾の上巻。
アニメが始まっているが、常悟朗と小佐内さんのその後が気になってしまい、
さっさと原作を読んでしまうことにした。
そして予想どおりというか一気に読んでしまった。
小佐内さんの拉致に使われた車が河川敷で炎上。
また小佐内さんが暗躍しているのか??と思ってしまうよね。
そこからは一気に読むペースも上がってしまったな。
〈桜庵〉で小佐内さんが瓜野くんにマロングラッセの作り方を説明する場面。
「あなたがわたしの、シロップなのよ」なるほどね~と。
常悟朗が仲丸さんの「兄貴の家にドロボーが入った」話を聞く場面もおもしろかった。
小市民たらんとがんばる常悟朗だったが、あと少しのと -
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米澤穂信さん著「王とサーカス」
以前に読んだ「満願」に続き2年連続でミステリーランキング3冠達成した作品。
2016年「このミス」1位の作品、3位が柚月裕子さんの名作「孤狼の血」とレベル高さが伺える。
凄すぎて唖然とする内容だった。
ミステリーというよりは文学、哲学だろうという実直な感想。それが根深い作品で何度も唸らされた。何度も手を止めては思考を巡らせて深く考えてしまった。
ミステリー作品として、一物語として読んでみれば若干の物足りなさが残る作品だったが、それ以上に考えさせられる、心が切り刻まれるようなえげつない感覚がとんでもない。
なんといってもタイトルにもなっている第9章の「王とサー -
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ネタバレ思ったよりかなりビターだった。
10代のほろ苦さすべて詰まってますという感じ。
大人になるとなかなかない感情だから、今読むとなんだか素直に心に残る。
表題作は、千反田さんつらいね。
だけど気持ちを理解してくれる仲間がいることが、これまでの千反田さんの過ごしてきた結果だし、この先もきっとうまくいく。
親なんて勝手だから自分が言ったことの責任なんてとってくれず、またそれに気付いてしまうのが10代後半~20代前半だよね。
まだまだ高校二年生だし、ここから自分の道を進んでほしい。
『わたしたちの伝説の一冊』は学校生活が全てではないと気付く、パーッとドアが開くようなそんな感じがすごく青春で、心にズド