米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
第28回このミステリーがすごい!第1位
なかなかおもしろい!
人がうっすら自覚しているけど考えないようにしている問題に切り込んでミステリーに仕上た唸る作品。
フリーのジャーナリストとして訪れたネパールで、大刀洗万智が報道することの意義を問われる。
改めて、世の中に報道されるニュースについて、自分が知ることの意味はあるのかを考えた。
他人の不幸について、当事者とその近しい人達に不快な思いをさせてまでそれは世間に発表される必要はあるのか。
「娯楽として悲しみを消費するだけ」というフレーズに衝撃を喰らった。
疑問に感じたことは何度もあるのに、結局「へー!」とか「うわ〜」とか言いながらなんとなくそ -
Posted by ブクログ
ネパール王族殺害事件をベースに、ジャーナリズムとは何か。
ミステリーを融合させて読みやすさがありながら、読後の抉られた胸の痛みが収まらない。
情報は娯楽なのだろうか。
受け取る側として『知る』ということはこんなに重いものだったとは。
私は知らずに多くの事件や歴史をサーカスとしてみていたかもしれない。
今、この社会では情報に重みはなく、知ることは簡単過ぎる。
恥じない選択をするしかない。
伝えないことも選択していると思うと恐ろしいものもあるが、『俺達はもう絶対に、タクシーの運転手まで巻き込んではいけない』
そして悲しみをサーカスにしない。
これは記者の方々に忘れないで欲しいところですね。
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Posted by ブクログ
基本的には2年生になってからの短編集。表題作を含め6作。
摩耶花が奉太郎に辛辣だった理由がわかったり、摩耶花が漫研を退部するまでの話だったり、奉太郎が今のモットーになった理由を話したり。摩耶花は今後どんな漫画を描くんだろう。高校2年生の1年間で、どんな傑作を作り上げるのだろう。
そして奉太郎の過去。そんな経験があったら……というか、その事実に気付いてしまったら、こんなモットーになるのも仕方ない気もする。
アニメにもなった、奉太郎が「気になるんだ」と言い出す話も。この時の周りのリアクション、アニメで見た時面白かったなあ……
来るはずのない奉太郎が来て動揺したえるが咄嗟にしたのが髪を整えることだっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ2001年に実際に起きた「ネパール王族殺害事件」をベースにしたストーリー。
読み終わるまでそんな事件が実際にあったとも知らなくて、その事実も含めて改めて気付かされ、考えさせられる作品だった。今までに感じたことのない角度で心が揺らされて鳥肌が立った。
ジャーナリストに限らず、何かを誰かに伝えるとき、表現するときに誰も傷つけないなんていう保証はできないから、「気をつける」しかなくて。
正義と信じた時、その先に何があるかまで考えたか?
飢えに苦しんでいる人を助けたとして、その人たちが生きてその先を一緒に歩んでいく社会まで見据えたか?
知らなかった、気づかなかったですまされないことがたくさんある。こ