米澤穂信のレビュー一覧
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ネタバレ人が住まなくなった集落・蓑石を舞台にIターンでやってきた移住者に起きるトラブルを市の職員・万願寺が解決していく物語。
これぞ米澤作品というべき、濃厚なミステリーでした。
移住者たちに降りかかるトラブルに対応する万願寺だが、その甲斐もなく蓑石から離れて行ってしまう。その徒労が不憫で偶然と思いきや実は...。という展開に驚かされました。限りある財源を正しい方向へ...という正義とそのために移住者をわざと追い出すという冷酷な行動。事業を正すためとはいえ何も知らない移住者を追い出し、それを止めようとした万願寺の努力を無に帰すようなことをしたのはいただけないかなと思いました。万願寺はもう働かずに辞めるん -
絵が可愛いく描かれていて、
米澤穂信先生のテレビアニメ化作品第二弾(だよね?)のコミカライズ。第一弾の方は、アニメ終了後も、終了後のエピソードに至るまでコミカライズされているが、今作品は冬季限定まで描かれるのかな?まあ、それはさて置き、この作品の魅力つーか、極みつーかは、ヒロインちゃんの本性ですよねぇ。このコミカライズもすごく可愛らしく描かれているから、その瞬間的表現が見所ですよね。
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Posted by ブクログ
イヤミスの決定版に出会った、というのが素直な感想。
読書好きな令嬢子息が集うサークル「バベルの会」をめぐる、“意味がわかると怖い”短編集。
じわじわと微かな違和感を積み上げて、最後の一文でしっかりとどめを刺してくる。
出会ったことのない言葉や、漢詩・絵画・古典文学の知識がないとピンとこない場面も多く、スマホ検索はほぼ必須。
そのたびに筆者の教養の深さがうかがえる一方で、自分の教養のなさも思い知らされた!笑
それでも全編、誰かの語り口調で進んでいくので非常に読みやすい。
湊かなえの『告白』のような、“語り”の心地よさと、何か起こりそうな嫌な予感が同居している感じ。
ラストに襲いかかる気味 -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史関係に全く疎く、そのテの時代小説も避けてきた。ただ、本作はミステリ、米澤穂信、そして直木賞受賞ということで、読んでみるかぁと手に取った。
時代小説特有の言い回し、序盤はやはり苦手だったけど、最初の事件が発生してからするすると読んでしまった。それぞれの事件もちゃんとミステリだし、気になっていた火鉢の描写もちゃんと伏線として回収されたし、さすが。明かされた真相、犯行理由がこの時代、背景ならでは。ミステリとしてだけでなく、作品として最高に面白かった。
陳腐なことしか言えないが、黒田官兵衛の遺訓も心に残った。よもやこんな結末になるとは。言葉で表現できない自分の国語力が悔やまれる。残酷な時代に救いが -
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ネタバレ季節は冬。
たい焼きを食べなる小佐内さんと並んで歩く小鳩くん。
微笑ましい空気だな〜とにやにやしながら読んでいたら、まさかの轢き逃げ……
入院生活を送る小鳩くんと、犯人を探す小佐内さん。
3年前の事件の回想を通して、ふたりの出会いと「小市民を目指す理由」が明かされる大事な幕で、読んでいて関わる人の気持ちに胸がぎゅっとなる場面も多かったです。
そして入院中のふたりの繋がり方――まさかあんな形とは。
ずっと小佐内さん推しだったけど、今回さらに好きが更新されました。あの異常さ込みで最高に魅力的。
看護師さんも「怪しいな」とは思っていたけど、真相にはさすがに驚き。
正直、そこは少し“出来すぎ感” -
Posted by ブクログ
ミステリーの中の人間ドラマでした。
ジャーナリズムとは何か、中堅記者の主人公が身の回りで起こる事件に巻き込まれながらも、ひたすら考え抜く姿勢がとても好きだなと思った。
この時代は、まだ1人一台携帯電話を持っていない時代。情報はテレビ、新聞、ラジオ、雑誌に頼るしかなく、今より拡散もされにくい。
そんな主人公がまさに国際的な大事件の最前線にいる。冷静も持ち合わせながら、行動力もすごい。そのモチベーションは、記者としての使命感なのか、出世欲も垣間見えるのが人間らしくていい。
自分が報道する意味を問われ、悩みながらも、最終的に答えを見出す。
ミステリーとしてももちろん、こういう人間ドラマも熱いところが