米澤穂信のレビュー一覧

  • ボトルネック

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    ネタバレ

    きっつー!

    自分が上手くやっていれば、事態はもっと良くなっていただろう。そんな後悔をずっと読まされる。
    正直、前半でギブアップしようかと思った。

    リョウもリョウで世の中に影響を与えているのだが、全部マイナスっていうのが辛い。

    仕方がないことを受け入れるスタンスが全ての原因なのか。確かにリョウは挑戦をしたり困難を乗り越えたりしない。しかし、それをもって無価値とされるのは厳しすぎるようにも思う。世の中一般の話ではなく、この物語ではこうなのだと受け止めないとやっていけない。

    あるいは、全部ノゾミがリョウを死に誘うために見せた偽物の世界かもしれない。グリーンアイドモンスターは生者に嫉妬している

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    2025年08月27日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

    購入済み

    目次が親切

    紙の本と比べて電子書籍の不便なところの一つが、イラストのページを見返したいときに、ページをパラパラとめくってイラストページを探すことができないことだ。しかし、本書は、章のタイトルだけでなく、事件「現場周辺図」などの図版(イラスト)を、目次の中に含めてくれている。これはとても便利なので、是非他の本も見習ってもらいたい。

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    2025年08月27日
  • 栞と嘘の季節

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    面白かった。
    図書委員シリーズ第二弾は読み応え抜群の長編。
    やっぱり絶妙な堀川&松倉の距離感。
    傷つきやすく危うい青春の描写が繊細。

    特に夜の八王子の街に佇む堀川と瀬野さんの場面がとても好き。煌びやかさと儚さ。心情と情景が浮かんでくる。名場面に感じました。
    まだまだ幼さが残る堀川に対し一足先に大人の世界に入っていく松倉。互いの存在を大切にしつつも交わることはない距離感。
    素晴らし!
    そしてラストは散りばめたパーツが収束してゆく心地良さ。あえてスッキリさせない切なくも暖かい余韻を残す着地が米澤穂信ワールドで好きです。

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    2025年08月27日
  • 黒牢城

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    時代小説としては読みやすく、すぐに読んでしまった。荒木村重の人間性が魅力的に描かれていて惹かれてしまった。

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    2025年08月26日
  • 妖し

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    電車の乗り換え時に構内の本屋で購入

    「妖し」という固有名詞を題材にするとこんなにも作者のカラーが出るのかと…!

    大好きな恩田陸さんの作品のじっとり感がたまらなかったです。
    バナナの話は、一生忘れないと思います。
    情景描写が秀逸で、主人公視点の光景が目に浮かびすぎて怖い。そして情景は目に浮かぶのに主人公の感情が絶妙に言語化されないままそこにある感じが凄かったです。

    たまたま手に取った本でしたが大好きな一冊になりました。

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    2025年08月24日
  • 秋期限定栗きんとん事件 下

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    ネタバレ

    小市民シリーズ第3弾
    前回の夏期限定から2人はどうなっていくのかと思ったら、最終的にそういう結末になるなんて!!
    米澤穂信先生さすがです!!2人のこんな関係はどうやって小説として起こされていくのか気になります。
    日常ミステリーの真骨頂ですね。あ、今回はちょっと日常は少し超えてますが…
    栗きんとんがそこに繋がるとは……

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    2025年08月22日
  • 秋期限定栗きんとん事件 下

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    ネタバレ

    解決編の夜にふたりが本当に楽しそうに話しているのが微笑ましい一方、そりゃあ小市民になれるわけないよと思ってしまうほどの頭脳と行動力で大満足でした......!

    ともあれ、終盤の会話劇が好きすぎてかなり深く読み込んだのだけれど、小佐内さん、めちゃくちゃ小鳩くんのこと好きじゃない!? 夏期限定のラストからしばしば思ってたけど、言葉の節々に「小鳩くんしかいない感」が滲み出てる。「次善」も本心はもちろん、小鳩くんの意見を尊重するために1歩引いた表現にしている感じもするし、もしかしたら思っていたよりも小佐内さんは乙女なのかもしれない。

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    2025年08月17日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    これ、アニメ化が決まったときはまだ影も形もなかったってすごくないですか。そこからこの前日譚を書き起こして、小鳩-小佐内コンビがなぜ小市民をめざすに至ったのか、小鳩くんがなぜ謎解きをするとき、いつも軽い自己嫌悪を感じるような振る舞いをするのか、とても納得のいく事件を設定する……。
    それだけでなく、秋期限定では復讐の女神ネメシスなのかという、底知れぬこわさを感じさせた小佐内さんに、グッと来るせりふを言わせ。米澤穂信さん天才ですか。

    わたしは「春季限定」だけ発売当時に読んで、あとはアニメをぜんぶ見終えてから順に読んでいったのだけど、ほんとにすばらしいシリーズだなと思う。「日常の謎」というのは、かな

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    2025年08月17日
  • 本と鍵の季節

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    ネタバレ

    久しぶりに再読。謎や伏線が鮮やかに回収されることはもちろん、その先に見える光景がビター。話が進むにつれ、堀川と松倉の立場やスタンスの差が見えてくる。それでも互いを補い合う関係も最高。最後の堀川から松倉への言葉が、埋められない差とそれでも信じたい思いの深さがにじみ出ていた。

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    2025年08月16日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    アニメで春夏だけ見て小説は初でしたが非常に楽しめました!
    まさに求めていた青春ミステリ!!
    3年前の轢き逃げ事件の捜査と今回轢かれた小鳩くんの病院内での心情が交互に描かれている。
    ボンボンショコラとかノリでつけたのかな思ってたらきちんと伏線上にあったのもすごい。
    推理の小鳩くん、行動力のおさないさんの魅力が文字だと語れないくらい好きでした!
    春夏秋も本で読んでみます!

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    2025年08月16日
  • 本と鍵の季節

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    著者、流石の青春ミステリ。
    男子高校生・堀川&松倉コンビの関係性が深まるに連れ加速度的に面白くなる短編六編。
    このコンビがホームズ&ワトソンではなくwホームズみたいなのが面白い。とはいえ2人は光と影。影が明かされる5→6章は特に秀逸。
    闇堕ち目前の友に理想論と知りながら敢えてかける”勇気ある現状維持”の言葉に胸が締め付けられた。
    こーゆー男同士の友情に弱い我。
    ほんのりビターなのに爽やかな余韻と読後感が素晴らし。
    引き続き図書委員シリーズ第2作「栞と嘘の季節」読みます。

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    2025年08月16日
  • 満願(新潮文庫)

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    ややホラー味のある短編集。とても面白かった。
    「このミス」などのミステリーランキングで首位を独占し、山本周五郎賞も授与された作品とのことで手に取ったが、さすが。短編集なのに?とおもったが、主題や技法は共通しつつも、各作品単独で魅力的な作品となっている。
    表題の「満願」は、弁護士の藤井がまだ弁護士になりたての頃に担当した事件。貧乏学生だった頃に世話になった下宿先の女性が、夫の借金の相手を刺殺して罪に問われる。彼女がダルマに願った満願とは?彼女が本当に守りたかったものとは?
    どの作品も、人の心の奥深くを描いており、明るい展開から最後にドロリとしたものが溢れ出し、ザワザワした気持ちで終わるものばかり

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    2025年08月14日
  • 禁断の罠

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    最近のアンソロジーは本当に豪華というか、ハズレがなくおもしろいよね。

    有栖川有栖『ミステリ作家とその弟子』は【砂男】で既読だったけれど、再読でも作家と弟子のやり取りがおもしろい。

    退職代行とかZ世代とか、境界知能、ペロペロ動画に闇バイト…すごく今が詰まっている一冊だった。
    何十年後かに読まれたら「あ~令和っぽい」ってなるんだろうな。

    米澤穂信『供米』は途中まで「うーん、好きな米澤穂信ではない」なんて思ったけど、最後がすごく良くてさすが!という感じ。
    中山七里『ハングマン-雛鵜-』は最後続きが気になる終わり方だったな。スッキリさせてほしい!
    せっかくだから『祝祭のハングマン』を読んでみよう

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    2025年08月13日
  • 秋期限定栗きんとん事件 上

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    面白かったです。
    連続放火事件がどうなるのか、下巻が楽しみです。
    上巻のラスト、小鳩君が可哀想でした。

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    2025年08月09日
  • 秋期限定栗きんとん事件 下

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    ネタバレ

    これまで短編がメインだったこの<小市民>シリーズ、本作が突然長編になったことで、やや戸惑いを覚えた読者も多かったのではないかと思う。実を言うと自分もそうで、特に上巻は木良市内で発生する連続放火殺人事件が少しずつ盛り上がってくるとはいえ、どちらかというと常吾郎と小山内が別れた後のそれぞれの学生生活が描かれていて、冗長に感じる部分もあった。

    これまで小市民として生きようとしてうまくいかなかった2人が、バラバラになって突然カップルとなり、それぞれの学生生活をそれなりに過ごしていく……という青春小説としては自然な展開ではあるが、この<小市民>シリーズでそういった展開を読みたかったかと聞かれれば、おそ

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    2025年08月07日
  • 追想五断章

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    ネタバレ

    5つのリドルストーリーにあるはずのない結末5文が見つかってそれが現実の事件と、繋がってるという話。ひとつの話の中に5個の短編があって、小説の中で小説を読むという不思議な体験をした。一つ一つの話が、「黒白叶」が書いたという個性がはっきり分かって米澤穂信さんの書き分け力が素晴らしいなと思った。これは結局、母親が「死んでやる!」と言ってじさつをほのめかし、それを4歳だった娘が実際にやってしまって、父親がそれを隠したということで合ってるのかな?すごい、家族愛というか。それを隠し通したのはすごい娘への愛を感じた。でも結局、「俺は本当はやってないんだ!」って言うことをアピールしたかったんだなあ、と思い、ほ

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    2025年08月03日
  • 米澤屋書店

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    これを読んでいるとき、米澤さんの頭の中を覗き込んでるような感覚になりました。
    これを読むと、米澤さんがこれまで何をどんなふうに読んできたのか、本や書店とどう付き合って来たのか、何を考えて小説を書いているのかなどがわかります。
    米澤さんファンは必見でしょうし、米澤さんを知らない人が読んでも楽しめると思います。

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    2025年07月22日
  • 王とサーカス

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    ネタバレ

    米澤穂信作品のなかで、いや、これまでに読んだ小説の中でも私にとって一、二を争うレベルの作品。時間を空けて読み直すたび、そう実感する。

    偶然ネパールに居合わせたにすぎない太刀洗万智が、王族殺害事件の記事を書くことになる。取材していく中で、彼女は「なぜ書くのか」「なにをしたいのか」ということに向き合っていく。現実と地続きでありながらも異国情緒あふれるストーリーは、私たち読者にもある種の傲慢さを突きつけてくる。本格ミステリとして謎を解き明かした先にある真実には、いろんな意味で認識を反転させられる。
    万智を見下ろす多数の子どもの目と、INFORMERの写真を見つめるラストシーンがとても心に残っている

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    2025年07月21日
  • 秋期限定栗きんとん事件 上

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    ネタバレ

    米澤穂信の<小市民>シリーズの第3弾が本作になる。前作で主人公である常悟朗と小佐内の互恵的関係が切れた後の展開を描く本作だが 初の上下感ということで登場人物が多くかなり大掛かりな話となっている。

    前作までは2人が一緒に行動していたために基本的には1人称で物語を語ろうが、3人称で物語を語ろうがあまり違いはなかったのだが。本作では2人が別々に動くので それぞれの人間模様が交互に描かれという形をとっている。そして驚くことに 本作では冒頭から2人がそれぞれカップルになるということもあり、二人の恋愛模様も描かれると....期待したのだが,この小市民シリーズではそんな甘い話は全く起こらない。

    常悟朗も

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    2025年07月21日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    ネタバレ

    小市民シリーズも5冊目となるとハイハイ、これは伏線ね。これ明らかに怪しいでしょ。と思いながらも、簡単に全てを明らかにさせない、かといって何が何やら分からん!とゆう複雑すぎない面白さ。そしてシリーズ最高の2人の相棒感。
    上手く表現できないけれど、小鳩くんと小佐内さんが『小市民』を目指す、その前提全てが青春って感じですごく良かった。これでアニメの方も楽しめるかな。もしも大学生になった2人の話があるのなら、きっとそれはこのシリーズのような青春ミステリーでは無くなるんだろうなと思うけど、それはそれで読んでみたいなと思う。とりあえず小鳩くんは京都の大学に行くといいな。

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    2025年07月16日