米澤穂信のレビュー一覧
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米澤先生の作品の中でも珍しいというか、本格ミステリの印象が強いイメージがあるのですが、こういった特殊な設定のミステリも描かれるんだとは思いませんでした。
舞台は、12世紀のイングランドに属するソロン諸島。領主であり、王でもあるローレントが誰かに暗殺されたところから物語が始まる。
犯人探しから、呪われたデーン人との闘いから、まるでロールプレイングゲームの中に自分がいるかの如くストーリーは進んでいきます。
私の個人的な意見として、ミステリとファンタジーが結びつくのか、魔法が出てきたら世界観が崩れるんじゃなかと最初は感じていたのだが、読み進めていくうちに、その魔法が事件の解決にいいアクセントで繋がる -
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四人の作家によるアンソロジー。「時」を題材にした作品集。
タイムカプセルの八年 辻村深月
主人公は大学教授だが、自身の研究に没頭し、父親らしい姿は今まで見せられた事がない。
どことなく自分に投影できてしまう人物で、息子のクリスマスプレゼントを買い忘れた際のいい訳もある意味で納得してしまった(笑)。父親というだけで煩わしい人間関係やコミュニケーションに巻き込まれていく事への疑問は自分勝手に感じるが通じる部分もあり彼の人間臭さを感じたが、合わせて「タイムカプセル」の事実を知り、行動してしまう矛盾、もう一度父親の会メンバーが集合し、意気投合する様子に温かみと少し滑稽な感じがした。
彼自身が見る彼 -
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折れた竜骨下巻
全てにおいて秀逸。謎解きも、デーン人達との戦いも、登場人物達の動かし方も。物語の結末についても大団円に相応しい、余りにも完璧な完結だ。
上巻では領主を殺害した犯人は誰かが一番の本筋だったが、下巻でそれを踏襲しながらもデーン人達と傭兵達との戦闘シーンが山場に据えられており、この場面の項数は限られているのだが小説一作分の面白さがあり、読みごたえ充分だ(ゲームやアニメ等、別媒体でも最高の物語になるだろう)
胡散臭い傭兵達が余りにも見事に活躍し、これ程巧みに登場人物達を持ち味通りに活躍させる作家はいない。
最後、真犯人の追及はあらゆる探偵小説に沿って行われているが、このパートで登 -
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折れた竜骨
米澤穂信の長編。
再読だが殆ど忘れている事に感謝。面白かった記憶のみ。
剣と魔法と真理のミステリ。まるでロールプレイングゲームをしているようだが、塩梅が絶妙。上巻はどちらかといえばミステリによりながら下巻に向けての種蒔きぐされている。
ロンドンから船に乗り三日程進んだ場所にあるソロモン諸島が舞台となり、1190年という時代設定が中世ヨーロッパのイメージとシンクロし、とても抒情的な気持ちになる。
語り手は領主の娘であるアミーナ。
敷地内で起きた老兵の死をきっかけに不穏な空気具漂エイルウィン家。
領主であるローレントは来る日に備えて傭兵や騎士を雇っている。
同じ頃、ソロモン諸島 -
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ネタバレ長編ファンタジーミステリー小説の後編。
とても面白かったです!魔法と魔術の世界できちんと伏線回収しミステリーとして成立していたのがとても良かったです。現当主殺害の犯人はだれなのか、トーステンはどう塔から消えたのか、傭兵達が隠す秘密などの要素もキチンと解決していて面白かったです。
そして、ミステリーとしても面白いですが、陰の主人公とも言えるニコラの物語でもあるなと思いました。本当の真実にたどり着き、犯人であるファルクを斬るという最後はニコラがある意味師匠を超え成長していくための通過点なのでは無いかと思いました。タイトルの『折れた竜骨』の意味がアミーナとニコラの深い友情が垣間見える形になっていたの -
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ネタバレ米澤穂信先生のファンタジーミステリー作品。
魔法とミステリーという交わりづらい2つのジャンルが見事に調和し映像が浮かぶ様でとても良かったです。海の波の高さによって密室と化した所で殺害された領主、塔の中で20年幽閉されてきた人物の失踪、主人公を含めた怪しい登場人物、呪われた種族の襲来の顛末など後半に向けてのお膳立てをじっくりとやっていて後編がとても楽しみになりました。米澤穂信先生らしい信用できない語り部が今回でも発揮されており、実は潮の満ち引きの関係で渡ることが出来るなど隠している事実が明らかになるためミステリー作品としての醍醐味があってとても面白いです。後半でどんな真相が明らかになるのかとても