【感想・ネタバレ】折れた竜骨 下のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

長編ファンタジーミステリー小説の後編。
とても面白かったです!魔法と魔術の世界できちんと伏線回収しミステリーとして成立していたのがとても良かったです。現当主殺害の犯人はだれなのか、トーステンはどう塔から消えたのか、傭兵達が隠す秘密などの要素もキチンと解決していて面白かったです。
そして、ミステリーとしても面白いですが、陰の主人公とも言えるニコラの物語でもあるなと思いました。本当の真実にたどり着き、犯人であるファルクを斬るという最後はニコラがある意味師匠を超え成長していくための通過点なのでは無いかと思いました。タイトルの『折れた竜骨』の意味がアミーナとニコラの深い友情が垣間見える形になっていたのがとても良かったです。終わり方は爽やかで彼らの物語の続きを読みたいと思いました。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
アミーナ・エイルウィン:東山奈央
ファルク・フィッツジョン:諏訪部順一
ニコラ・バゴ:悠木碧
アダム・エイルウィン:阪口大助
エイブ・ハーバード:石川界人
コンラート・ノイドルファー:安元洋貴
イテル・アプ・トマス:岩田光央
ヒプ・アプ・トマス:吉野裕行
ハール・エンマ:茅野愛衣
スワイド・ナズィール:杉田智和
イーヴォルト・サムス:中村悠一
マーティン・ボネス:飛田展男
マードック:間宮康弘
トーステン・ターカイルソン:浪川大輔

0
2024年06月08日

Posted by ブクログ

中世ヨーロッパを舞台にしたミステリ×ファンタジー。
読後の感想は、「お腹一杯」。
とてもしっかり物語に没入できたのは、なんといっても主人公アミーナを始めとする登場人物の造形がしっかりしていたから。魅力的でほころびが無い人々が紡ぐ物語は、彼らの運命に共感して目頭が熱くなってしまう。
特に、ニコラとアミーナの絆に感動する。
それと個人的に「戦闘シーン」が好き。もっと読みたいと思った。

0
2024年04月01日

Posted by ブクログ

ファンタジーミステリーの傑作だと思いました。最高です。
上を読んでいた段階でファルクとエドリックを兄弟という設定にする必要はあるのかと疑問に思っていましたがそれも上手いこと利用した物語だったと感じました。
儀式のシーンは探偵が犯人を指さす状態になり、ファルクとニコラの2人の推理は完璧なものでした。
デューン人が襲来した際の迫力もしっかりあり、ファンタジー、ミステリーの両方辛みてもこの小説はとても良かったです。

0
2024年03月12日

Posted by ブクログ

ストーリー・情景追うのに夢中でミステリ成分忘れ油断してた。解決編で「えっ?!」って声出た。いいエンタメだった

0
2023年02月24日

Posted by ブクログ

怒涛の解決編
ロジックで魔法も呪いも関係なく論破
ミステリ好きの心をくすぐるワードセンス
うーーん、米澤穂信いいかもしれない
歴史小説感のあるミステリは初めてだったがスルスル読めた

0
2022年05月13日

Posted by ブクログ

勇敢な領主の娘 アホな後継ぎ息子をさしおき 領主である父親を殺した人間を探す。

呪いを受けた 死ねないデーン人 
勇敢な領主の娘アミーナには 力を貸してくれる人が集まる。

謎解きしたあとの 思いがけない犯人

米澤穂信さんの現代物の本より 私は好みの本です。

勇敢で頭のいい女の子が 一生懸命 人生と戦う話し

話しもどんどん展開して飽きない。よかったです。

0
2022年04月27日

Posted by ブクログ

魔法のある世界のミステリとして世界観からなにからとても面白かった。
まさかそうなるとは。全然推理できない展開で楽しく読むことができた。

0
2022年01月31日

Posted by ブクログ

ミステリーなのに魔法が存在なんてなんでもありではと思ったら、実は非常に論理的で、伏線と思っていなかったことまで回収されていって、非常に楽しみました。久しぶりに一気読みで睡眠不足…
すすめてくれた後輩に感謝。

0
2022年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻は一気読み。
カタカナ名でなかなか誰がどれかわからなかったり、戦いの風景があまりにも親しみがなかったり、魔術を理解するのが難しかったり…があるものの、
最後の捲り方はすごい!
そこまで伏線だったのか…ってところも。
そして、最後のシーンに残る二人はかっこよすぎる。
これは心に残る。

0
2021年10月06日

Posted by ブクログ

論理的に謎を解決するのが醍醐味であるミステリーにおいて、"魔法"が登場するというのは本来ありえない。
しかし、その魔法は誰が使えるものか、どのような効果をもたらすのか、ということが明確に記されていれば、"本格ミステリー"として成り立たせるのは可能である。
本作はまさにその、特殊設定ミステリーの代表作であるといえる。

そして犯人当てだけでなく、戦闘シーンの描写もなかなかに迫力がある。

日本推理作家協会賞受賞に納得。

0
2021年03月11日

Posted by ブクログ

[1]剣と魔法のある世界でのミステリ、おもろかったです。誰が暗殺騎士の「走狗/ミニオン」なのか。消えたトーステンとその方法は(謎というほどではない)、彼の主とは。
[2]呪われしデーン人(ほとんどゾンビ)来襲。島は阿鼻叫喚の戦場と化し、新領主アダムはクソの役にも立たずアミーナ奮闘す。
[3]気に入ったのは《不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき》(p.188)というくだり。要するに密室を作る方法は無限にあるしそこに密室的なものがあるなら何らかの方法でなされたと判断すればよく、わざわざどうやって密室が作られたか解明しようと余計な時間をかける必要はないということでしょう。この場合ファルクはあえてそう言ったんやけどこれはまあ、真理でもありそう。ミステリのセオリーを破壊している。

■ソロン島についての簡単な単語集

【アダム・エイルウィン】ローレント・エイルウィンの息子。アミーナの兄。ソロン島に住んでいる。読んでるとどうもデキのいい領主にはなれなさそうな気がする。
【アミーナ・エイルウィン】主人公の「わたし」。ソロン諸島領主ローレント・エイルウィンの娘。十六歳。英雄の娘らしくなかなか苛烈な性格のようで悲しみより戦うことを選んだ。新しいことがわかるたびにそいつが犯人かと思ってしまうタイプ。
【暗殺騎士】ファルクが追ってきたという敵。元来は魔術を使うサラセン人暗殺者に対抗するため医療系の「トリポリの聖アンブロジウス病院兄弟団」は戦闘力を持つことになったがまだ足りず同じく魔術を研究し使うようになったが一部が堕落しその技を政敵暗殺などに使うようになった。兄弟団はこれを駆逐することに決め長年闘い続けている。
【イーヴォルド・サムス】吟遊詩人。ローレント旧知の吟遊詩人、ウルフリック・サムスの息子。ローレントが探しているたいうバラッドを受け継いでいる。
【イェルサレム】聖地。異教徒に激しく責められている最中。
【イテル・アプ・トマス】ウェールズの傭兵。みすぼらしく見えるがどこか異様な雰囲気を持つ。弟のヒム・アプス・トマスを連れてきている。
【エイブ・ハーバード】エイルウィン家が預かっている唯一の従騎士。十八歳。
【エドウィー・シュアー】長くローレント・エイルウィンの従者を勤めた。死んだ彼の死体に異変が起こった。
【エドリック】ファルクが追っているという暗殺騎士。髪と眼の色はファルクと同じ。ということはたぶん…
【エルウィン家】ソロン諸島領主のロスエア。その娘で主人公のアミーナ。家令のロスエア。アミーナの侍女ヤスミナ。
【エルウィン家の屋敷】島では珍しい石造建築。地元産の石は建築物向きではない脆い性質のようなので他所から運んできたのだろう。複雑な構造になっていて迷いやすい。
【コンラート・ノイドファー】ブレーメンの騎士。三十前後。精悍で非の打ち所のない騎士だが曲者めいて見える。七名の配下を連れてきている。
【サイモン・ドット】島では最も上等な宿屋を経営している。酒と料理も出すので地元住民も来る。
【強いられた信条】暗殺騎士が使う魔術。他者を操る術。
【小ソロン島】ソロン諸島領主の館がある。ソロン島との距離は百五十ヤード(百三十七メートルほど)だが浅瀬が多くマードック以外では往き来できない。夜には潮が引いて浅瀬が増え潮流が速くなりさらに危険になるゆえ、客人はこの島から晩課の鐘(午後三時くらい)までに島を出ねばならない。吹雪の山荘系の密室ができますな。
【ジョン殿下】リチャードの弟。野心を抱いている。
【白い瘴気】暗殺騎士が使う魔術。顕著な特徴があり使われたことがすぐわかってしまうが即効性がある。
【スワイド・ナズィール】サラセン人の傭兵。小柄で子どもにしか見えない。魔術師(錬金術師)。巨大な青銅の人形を操る。
【ソロン諸島】「ソロン島」と「小ソロン島」からなる。
【デーン人】デーン人そのものは有能な航海者であり商人。デンマーク人のようだ。ローレントが警戒している敵は「呪われたデーン人」のようだ。多くの人はただの昔話だと思っている。不老で眠らず食物もいらず切っても突いても血を流さず首を切り落とさない限り活動をやめない。トーステンもその一人。
【トーステン・ターカイルソン】小ソロン島の塔に二十年間囚われ続けている呪われたデーン人。
【ニコラ・バゴ】ファルクの従士。小柄。赤毛。フランス語しか使えない。
【ハール・エンマ】女傭兵。東方の蛮族とされているマジャル人を名乗っていると自分で言ったので違うかもしれない。鮮やかな金髪。恐ろしい凄腕。
【ハンス・メンデル】五十歳近い冒険好きの商人。丸々と太って優しげ。リューベックが本拠地。
【ファルク・フィッツジョン】巡礼風の男。イェルサレムから来たと聞いていたが本人によるとトリポリ伯国から来た聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士。三十前後に見える。《警戒するのは悪くない。次は観察、そして論理だ。》上巻p.29
【ペトラス】騎士。
【ポール修道士】ソロン修道院の副院長。
【ボネス】マーティン・ボネス。ソロン市長。年季の入った仕立職人でもある。
【マードック】ソロン島と小ソロン島を往き来する唯一の交通手段である小舟の船頭。とても無口。
【マシュー・ヒクソン】エイルウィン家の唯一の守兵。
【密室】不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき、と。(p.188)
【ヤスミナ・ボーモント】アミーナの侍女。失敗を気にしないおおらかな娘。表情も豊かで人を幸せな気分にさせる。
【リチャード】現在のイングランド国王。現在十字軍を率いて遠征に出ている。
【リッターの暗い光】魔術の痕跡を浮かび上がらせるランタン。
【レベック】ヴァイオリンのような楽器か。イーヴォルドが抱えている。
【ローレント・エイルウィン】ソロン諸島の領主。アミーナの父。不屈の戦士といった印象。自分のためよりも街のために金を使いたいタイプ。《父の統治は間違っていなかった。領民は悲しんでくれている。》p.208
【ロスエア・フラー】エイルウィン家の家令。
【ロバート・エイルウィン】エイルウィン家の初代。アミーナの曾祖父。デーン人を追い出しソロン島をイングランドのものとした。

0
2024年04月24日

Posted by ブクログ

ファンタジーとミステリが見事に融合していて面白かった。

魔法が使える世界なのに論理的に犯人を絞っていくので、ミステリファンも満足できるでしょう。

さらに戦闘シーンも迫力があり、一粒で2度美味しい状態を味わえます笑


犯人は結構序盤で分かってしまいましたがそれでも楽しめました。

0
2023年01月14日

Posted by ブクログ

魔法とミステリーが成立するのか

中世という舞台では、「魔法」という能力も当たり前に信じられた時代で、「魔女狩り」が本気で行われたのは歴史の示す通り。

ただ、ミステリー小説の場合、たとえば密室殺人において「ドラえもんの通り抜けフープ」が「アリバイ崩し」であってはいけないように、読者への裏切り行為があっては台無しになる。
その点では、「魔法による代理殺人」という設定が早々に提示されることで、読者に「条件」として提示される。

そこからは、どのなに魔法の世界を見せようと、本筋はわめて正統派の謎解きミステリーを固持している。

「デーン人(北方ゲルマン民族 別名ヴァイキング)」
「十字軍(キリスト教世界)とサラセン帝国(イスラム世界)」
など、12世紀中世ヨーロッパの世界観を満載した舞台で、正統ミステリーを貫く、米澤穂信氏の手腕が、この本の興味を引くところとなる。

その一つは、魅力のある登場人物が活躍するところ。

ミステリーにしてもファンタジーにしても、登場人物に魅力を感じなければ、読書は楽しくない。
主人公たち、傭兵たちの活躍は、夢中で読み進める原動力となった。

0
2022年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

顎の傷で、もしかしてとは思ってた。
渡り方に気づいたのも一人だけ。
でもそれじゃあ、あまり面白くないなと思ったらその通り。
でもうまくキャラを配置してバトルしたり謎解きをしたりしていて面白かった。
読後感が良い。悲しさと爽やかさがある。

0
2022年08月08日

Posted by ブクログ

12世紀末のイングランドという時代設定がいいですね。エンディングで、将来アミーナがニコラに助けを求める合図として「折れた竜骨。ニコラ、ヨーロッパのどこかでそう聞いたら戻ってきて」という合い言葉を決めるシーンはなんとも切なくてたまりません。
日本でもちょっと前まで駅に手書きの伝言板があったことなんて知らない世代には、どう映るのかな。

0
2022年06月29日

Posted by ブクログ

12世紀頃。ブリテン島の東の海に浮かぶ島が舞台の、ファンタジー風味ミステリ。探偵役と助手役が登場して殺人の犯人を論理によって見つけるお話し。登場人物がおもしろい。領主と娘、彼らに仕える人々、盗賊まがいの騎士、弓使いの兄弟、異国の女戦士、伝説を唄う吟遊詩人、青銅の巨人を連れた錬金術師、塔に幽閉された不死の人… 。探偵役と助手は魔術を使う暗殺騎士を追ってきた遍歴の騎士と年若い従者。語り手は才気煥発な領主の娘。
青銅の巨人や不死人などが居るなんて、楽しくてしょうがなかった。巨人の出番は少ないけど(笑) 呪われたデーン人が襲撃してくる下巻では戦闘シーンの迫力もすごい。

作者さんもリスペクトという名作の修道士カドフェルシリーズとだいたい同じ時代。この「折れた竜骨」は話題の作家さんのずっと前に出た本だけど、カドフェルシリーズが好きなので手に取ってみた。軽めの文体で読みやすい。カドフェルでお馴染みの「晩課の鐘」が出てくるとふふふっとなる。

0
2022年05月01日

Posted by ブクログ

読み直し読み返して、ラストはとても良かったとしみじみ。謎の締めくくりとしては好きなかたちだ。わたしの思う「ファンタジー」とはちがうけれど、これはこれで。

0
2022年04月08日

Posted by ブクログ

魔術や呪いが使える世界感が好き。キャラクターが一人一人特徴的で、ファルクとニコラのコンビが面白い。作られたファンタジーの世界の中で推理をするというのがワクワクした。

0
2021年12月05日

Posted by ブクログ

3.5って感じ。
舞台設定、描写、推理の過程と悪くはないのだが冗長。
ヒントを撒きながらラストの回収に向かうまでが長すぎてややダレてしまった。

0
2021年09月15日

Posted by ブクログ

上巻で殺害されたソロンの領主が生前恐れていた『呪われたデーン人』の襲来が現実のものとなる。
彼らは海から船でソロン諸島にやってきた。その身体は剣で斬りつけても血は流れず、決して死なない。頭を狙う以外に倒す方法はないのだ。
ソロンの港では商人や町の人々がこの戦いに巻き込まれ、その命を落とすことになったが、事前に集められた腕利きの傭兵たちの活躍により、ソロンは辛くも勝利をおさめた。

殺人事件についてだが、実は小ソロンが密室ではないと分かったことにより(渡し船を使わずに海を渡る方法があったのだ!)容疑者は更に増えたのだが、ファルクにはどうやら犯人の目星はついているようだ。
戦の勝利を祝う宴の席で、ファルクは今回の事件の真相を語り始める。


全体を通して面白かった。
この著者は文章が完結で、とても、なんていうか、しっかりしている。地に足が着いている文体とでも表現すればしっくりくるのか。
登場人物が多く、この名前の人はどういう人だっけなーとゴチャゴチャしてしまうときもあったが、それでも尚、読む人を物語に引き摺り込み、息もつかせず読ませてしまう勢いがあると感じた。
その犯人は禁じ手なんじゃないのかと思ったりもしたが、そもそも魔法が存在する世界に『ノックスの十戒』が通用するはずもなく、これはこれでいいのだろう。

登場人物の中でも、ニコラが特にいい。
ラスト、この本のタイトルである『折れた竜骨』とは何を意味するものなのか、それが分かったとき、わたしはアミーナを羨ましく思った。
わたしにもニコラのような存在がいてくれればよかったのにと思った。




0
2021年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 普通、推理小説に魔術や神秘は御法度とされているが、本作はこれらの要素をふんだんに取り入れた、稍異色のミステリといえる。


 ファンタジーとミステリが無理なく融合しており、スッと設定が入ってくる辺りが好印象。


 御都合主義に陥らず、誰に何が出来て何が出来ないのか、明瞭に示されたフェアな推理小説。もしファンタジー要素を理由に食わず嫌いしている方がおられるのであれば、その点は保証出来るので安心して欲しい。



 最後に、タイトルに関する考察をば、覚書として此処に記す。


『折れた竜骨』という題名は、作中で主人公達のいるソロンの街に攻めてきたデーン人の船に由来している。
 竜骨といえば、船底を貫く主要部材であり、これが折れるという事は、即ちその船が最早船としての用を為さない事を意味する。

 主人公アミーナは領主の父を暗殺され、頼りない兄の為に故郷に留まる決心をする。かつてアミーナの姉は父の計らいによって故郷を出て幸福な結婚をした。だが同じ幸福の未来は、父を殺されたアミーナには永遠に鎖されてしまう。

 もう一人の主人公ともいうべきニコラも同じく、暗殺騎士の為に決闘士の父を喪い、本来辿るべき人生の運命を大きく捻じ曲げられた過去を持つ。

 二人は物語の最後、別れに際して、再会の符牒に「折れた竜骨」という言葉を使うことを決める。

 船とは乗り物の一種であり、それは凡ゆる乗り物の中で、取り分け遠隔地に赴く為のものである。何せ海を越えるのだから、ちょっとご近所まで、という場合には当然用いない。

 その船の竜骨が折れている。つまり往くべき人生の最果てには最早辿り着けない。これはとりもなおさず、暗殺騎士によって本来の航路を絶たれた二人の人生の暗喩ではないか。

 デーン人と暗殺騎士、二人の宿敵とも言うべき二つの脅威の象徴であり、だからこそ再会の合言葉として相応しいのが「折れた竜骨」なのかも知れない。

0
2021年02月02日

Posted by ブクログ

折れた竜骨解決編。
一応推理しながら読んでいたが、かすりもしなかった。
盛り上がるところでは理解ができなくて、その後を読んでそういうことか、と納得した。
SFなので、イメージしにくいのが難点かな。

0
2023年06月05日

Posted by ブクログ


下巻も上巻からの感想と変わらずいまいち入り込めなかった。下巻は本格的にファンタジーに突っ込んでいき、驚きがより強くなるばかり。ファンタジーでも制約を決めその中でロジカルな解決編ということなのだろうが、魔法が使えるなら何でもできるという思いから何とも言えない気持ち。アミーナが犯人と予想しておりそれは外れたが、探偵側に犯人がいるのいう読みも概ね予想通り。以前米澤先生のファンの方たちと話した時に評価ぎ二分していたのが非常に頷けるなと思った。

0
2023年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ファンタジー世界での特殊設定ミステリ
戦いなどもあるがあくまでミステリがメイン
犯人も記憶がない中であくまで論理的に消去法的に犯人を絞っていく部分は良かった

ただどうしても犯行の記憶がない、犯人自体に動機がないということもあって、犯人がわかったあとのあっけなさが少し物足りなかった

0
2023年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

魔術の存在する十二世紀ヨーロッパにおけるミステリ。
制約の存在する超能力の上で展開される論理パズルという趣向はデスノートやハンターハンターなどにも見られる。
この種の作品で重要なのは作品世界における能力の妥当性を醸し出すこと、言い換えれば作品世界の法則を論理的思考の範疇に収めることだといえる。そうしないとミステリとしてはフェアとは言えないだろう。
この作品はその観点で言えば上記の範疇に収まるかどうかはギリギリのところだろう。
まず、物語のベースとなるのは中世ヨーロッパの世界観だが、これは歴史的事実に則った精密な描写がなされている。
問題なのはもちろん魔術だ。
この作品には複数の系統の魔術が存在する。それはおよそ以下の通りだ。サラセン、暗殺騎士、ルーン、ゲルマン、古代ギリシャの遺産、デーン人の呪い。
これは流石に多すぎるし、それぞれが詳細に説明されるわけではないのでその全容はわからない。序盤はサラセン人と暗殺騎士の魔術が中心となって展開されるので論理的に展開するが、事件の解決に向かう後半にかけて様々な魔術が後出しのように出てくるので、無理矢理さを感じてしまった。この後出しと魔術の雑多さの弊害は第五章に現れていると思う。この場面でファルクおよびニコラの話を理解できている人間はほぼ存在していないと言っていいだろう。ファルクの思惑を考えればそもそも真実を公表するつもりがないことは明らかだが、ミステリの醍醐味である真実が関係者全員に詳らかにされるカタルシスがなかったのは少し残念だった。ただその代わりファルクとニコラの信頼関係と別れの場面としては申し分ないものでもある。
また投げっぱなしになっている要素も多い、トーステンとヤスミナの関係や、事件の黒幕、ハール・エンマ(フレイア・ラルスドッティル)の来し方、ソロン諸島の今後。
アダムが事件関係者を早々に追い払ったように作者もこれらの説明を放棄している。正直この要素も評価が分かれるだろう。不完全燃焼感は拭えないものの、ニコラやフレイヤが旅立っていく世界の広さや物語の続きを期待させるものになっているからだ。
この作品を端的に表現するなら世界を端まで説明していないが故の開放性とミステリとしての不公平感が同居する作品だといえるだろう。

0
2023年01月20日

Posted by ブクログ

この本の前に読んでいたファンタジー小説が合わなかったので読破できるか心配だったけど問題なくすんなり読めた。

0
2022年08月08日

Posted by ブクログ

ファンタジーなのに、見事に論理的に犯人を炙り出していて、面白いと思った。

少しながすぎるきらいがあるものの、おすすめです

0
2022年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昨今、ミステリのパターンはかなり出尽くしたといわれているがファンタジーとミステリとを組合せた分野というのは、他の分野に比べてそれほど多くはない。  その最たる理由は、ファンタジー要素を全面に出すと「なんでもアリ」になりかねないからである。how done it?をテーマにしづらいのだ。そういう意味で、本作では、操られた人間が下手人にすることでミステリ色を損なうことがなくなっている。まあ、真犯人は魔法が使える人間でもあったわけだが…。アミーナやニコラを主人公にした続編が出ればぜひ読みたいと思う。

0
2021年10月09日

Posted by ブクログ

とても面白かったです。
戦闘シーンがあってよかった、無ければひたすら事情聴取していく謎解きで終わっていたと思う。戦闘があってやっとファンタジーと言われる部分がリアルになったように思う。
このルールが先行したファンタジー設定、米澤穂信は日常ミステリーの方が好きだなーと思った。

0
2021年08月15日

Posted by ブクログ

中世ヨーロッパソロン島を舞台にしたファンタジー要素満載の異色ミステリー。最後は驚かされたけど、あまり納得いかない。まぁただの好みの問題かもしれない。世界観の完成度が高くて、活気のある街並みや排他的な雰囲気の小ソロンの館のなんかは目に浮かぶようだった。おもしろかったです。

0
2021年05月25日

「小説」ランキング