あらすじ
自然の要塞であったはずの島で、冒険者にして偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃れた。卑劣な魔術に蝕まれ操り人形と化した〈走狗(ミニオン)〉の正体を突き止めるべく、領主の娘アミーナは騎士ファルク・フィッツジョンらとともに行動を開始する。〈走狗〉候補の八人の容疑者、謀略により沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年──そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は果たして真相に辿り着くことができるのか? 第64回日本推理作家協会賞受賞ほか、各種年末ミステリ・ランキングで上位を総なめにした、俊英渾身の本格推理巨編。
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Posted by ブクログ
おもしろかった!!!!
ファルクが顎を怪我したの覚えてないって言ってたので、忘れ川の雫で忘れててファルクが走狗なのでは?ってずっと疑ってたけどやっぱりそうだった!ただ、ファルクの決定打をずっと探しちゃって、他の人を消していくっていう消去法まで思い至ってなくて悔しい。イテルの指のこと、エンマが呪われたデーン人だということ、スワイドが豚を嫌うっていうのは分からなかったかもだけど、コンラートが違うっていうのくらいは分かったはず。残念。
読み応えあった〜!!
Posted by ブクログ
下巻は怒涛の展開で一気に読んでしまった。
さりげないヒントをもとに事件が紐解かれて行ってやられた~という感じ。ちゃんとヒントあるのにいつも全然気付けないんだよなぁ。
最後はなんとも悲しい終わり方で、米澤穂信の作品後味がなんともどんよりなのよなぁーという。でもこの暗さが好きなのですが。
中世ヨーロッパが舞台だし、登場人物も多いしとっつきにくそうと思ったけどすごく読みやすかった。アミーナの一人称だからかな??
Posted by ブクログ
上巻とは違って盛り上がる場面がいくつもあり、最後の解決編も全く予想できない展開で非常に面白かった
犯人を特定する場面でも一人ずつ除外できる理由を納得できる論理で述べていて、ファンタジーだから何とでもできるのではないかという疑いを覆してくれた
唯一大変だったのは、中世時代の聞き慣れない登場人物の名前を覚えること...
Posted by ブクログ
中世ファンタジーとミステリの融合。
剣と魔法の世界で殺人事件が。
めちゃ面白かった˙ᴥ˙
上下巻を1日で一気読み
魔術あったらなんでもアリじゃん、って思ったけどしっかりミステリしてます。
どんでん返しされすぎてコロコロコロコロ。
結末予想外でした。これは解こうとは思わずにコロコロに身を任せると楽しい( * ॑꒳ ॑*)
登場キャラたちも魅力的
読後スッキリ
Posted by ブクログ
全く予想していなかったラストに驚かされました。剣と魔法が存在する世界を舞台にした物語ですが、推理物としてもファンタジー物としても非常に面白い作品だと思います。是非読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
一気読みでした。駆け足で読みすぎてトリックの辻褄がよく分からず上下巻あわせて再読してしまいましたが。。
結果はハッピーエンドという訳にはいかなかったですが、致し方ないのか。。アミーナはこの先もソロン島できっと強く生き抜いていくのでしょう。ニコラともまたいつか再会する日もあるのかもしれません。
ファルクの最期は本当に残念でした。よいキャラだったのに。でも彼の名誉のためにも、騎士団の面目のためにもこうなるしかなかったのか。。いつの日か彼の亡骸をきっとニコラがトリポリに戻してくれるかもしれません。でも、もしかしたらトリポリ伯国が滅びる方が先か。。
今ひとつ分かりきれてないことがあるのですが、そもそもの馴れ初めであるエドウィーを殺したのは誰なのか。別の暗殺騎士なのか。その頃はまだソロンにいないはずなので。
他の方も書かれてますが、ニコラもアミーナもとてもよいキャラだったので、続編?また別の話も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
米澤先生の作品の中でも珍しいというか、本格ミステリの印象が強いイメージがあるのですが、こういった特殊な設定のミステリも描かれるんだとは思いませんでした。
舞台は、12世紀のイングランドに属するソロン諸島。領主であり、王でもあるローレントが誰かに暗殺されたところから物語が始まる。
犯人探しから、呪われたデーン人との闘いから、まるでロールプレイングゲームの中に自分がいるかの如くストーリーは進んでいきます。
私の個人的な意見として、ミステリとファンタジーが結びつくのか、魔法が出てきたら世界観が崩れるんじゃなかと最初は感じていたのだが、読み進めていくうちに、その魔法が事件の解決にいいアクセントで繋がるので、より良い方向に読み進めていくことができました。
日常の謎もいいけど、こういった特殊ミステリも
好きになりました。
Posted by ブクログ
12世紀イングランドの架空の島が舞台、しかも魔法あり。そこでしか描けない本格ミステリの素晴らしさ。
マジックからロジックへと、流れるように繋がる美しい展開。理詰めで犯人を特定する鮮やかさ。
キャラクター造形も魅力的で、完全無欠な読後の満足感。
Posted by ブクログ
折れた竜骨下巻
全てにおいて秀逸。謎解きも、デーン人達との戦いも、登場人物達の動かし方も。物語の結末についても大団円に相応しい、余りにも完璧な完結だ。
上巻では領主を殺害した犯人は誰かが一番の本筋だったが、下巻でそれを踏襲しながらもデーン人達と傭兵達との戦闘シーンが山場に据えられており、この場面の項数は限られているのだが小説一作分の面白さがあり、読みごたえ充分だ(ゲームやアニメ等、別媒体でも最高の物語になるだろう)
胡散臭い傭兵達が余りにも見事に活躍し、これ程巧みに登場人物達を持ち味通りに活躍させる作家はいない。
最後、真犯人の追及はあらゆる探偵小説に沿って行われているが、このパートで登場人物達の秘密が少しずつ明かされていき、驚きを持ちながらも最後、真犯人がわかった時の衝撃は今後起こることは無いかもしれない(この手の真相で一番上手に活用されている。)
騎士フィッツジョンと従者のニコラ。捕虜だったデーン人の真実。一人一人の物語がとても魅力的で終わって欲しくない作品だ。
アミーナの決断は大きく、彼女の生き様と覚悟を感じる事ができた。ニコラが成長し、改めてデーン人達との死闘を描いた作品も見てみたいなぁと思いつつ(ミステリーじゃ無くてもいいので)、最高の作品を読む事ができた余韻に浸る。
Posted by ブクログ
長編ファンタジーミステリー小説の後編。
とても面白かったです!魔法と魔術の世界できちんと伏線回収しミステリーとして成立していたのがとても良かったです。現当主殺害の犯人はだれなのか、トーステンはどう塔から消えたのか、傭兵達が隠す秘密などの要素もキチンと解決していて面白かったです。
そして、ミステリーとしても面白いですが、陰の主人公とも言えるニコラの物語でもあるなと思いました。本当の真実にたどり着き、犯人であるファルクを斬るという最後はニコラがある意味師匠を超え成長していくための通過点なのでは無いかと思いました。タイトルの『折れた竜骨』の意味がアミーナとニコラの深い友情が垣間見える形になっていたのがとても良かったです。終わり方は爽やかで彼らの物語の続きを読みたいと思いました。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
アミーナ・エイルウィン:東山奈央
ファルク・フィッツジョン:諏訪部順一
ニコラ・バゴ:悠木碧
アダム・エイルウィン:阪口大助
エイブ・ハーバード:石川界人
コンラート・ノイドルファー:安元洋貴
イテル・アプ・トマス:岩田光央
ヒプ・アプ・トマス:吉野裕行
ハール・エンマ:茅野愛衣
スワイド・ナズィール:杉田智和
イーヴォルト・サムス:中村悠一
マーティン・ボネス:飛田展男
マードック:間宮康弘
トーステン・ターカイルソン:浪川大輔
Posted by ブクログ
中世ヨーロッパを舞台にしたミステリ×ファンタジー。
読後の感想は、「お腹一杯」。
とてもしっかり物語に没入できたのは、なんといっても主人公アミーナを始めとする登場人物の造形がしっかりしていたから。魅力的でほころびが無い人々が紡ぐ物語は、彼らの運命に共感して目頭が熱くなってしまう。
特に、ニコラとアミーナの絆に感動する。
それと個人的に「戦闘シーン」が好き。もっと読みたいと思った。
Posted by ブクログ
ファンタジーミステリーの傑作だと思いました。最高です。
上を読んでいた段階でファルクとエドリックを兄弟という設定にする必要はあるのかと疑問に思っていましたがそれも上手いこと利用した物語だったと感じました。
儀式のシーンは探偵が犯人を指さす状態になり、ファルクとニコラの2人の推理は完璧なものでした。
デューン人が襲来した際の迫力もしっかりあり、ファンタジー、ミステリーの両方辛みてもこの小説はとても良かったです。
Posted by ブクログ
下巻は序盤から刺客が訪れたり呪われたデーン人が襲いかかって来たりと話が展開し始めたのでおもしろかった。ここまでの紹介や調査でどんな傭兵がいるのか頭に入って来ていたので、彼らが戦っているシーンも楽しく読めた。
一方で推理パートはあんまりスッキリしない終わり方だったなーと思った。
ファルクが走狗というのはびっくりしたし、政治的な判断であえて弟子に殺させるというのも想定外の展開だった。けど本命だった弟のエドリックが別で死んでいると言われて、なんだかあっけないなと感じてしまった。
(他の方の感想を読んで)
剣と魔法の世界観とミステリ調和しているのが異質な点で、それでもちゃんと論理の通った推理になっているのがポイントらしい。確かにそういう物語って珍しいしあっても何でもありみたいになっちゃうかもだからなるほどなって思った。
Posted by ブクログ
ハイファンタジーという推論に説得力を持たせるのが難しい舞台設定で、ここまで説得力があるミステリーを、最低限の世界観の説明で、書き切った作品は見たことがなかったので驚いた。
結論に関しては全く予想外というわけではなかったけど、この短さで中世ヨーロッパのハイファンタジーと本格ミステリー、ボーイミーツガールのときめき、いろんな要素もりもりで楽しめて満足感はすごい。
アミーナと兄の関係については読んでいて胸がキュッとなって少しつらかった。でも、国のためでもなく、お金や名誉のためでもなく、兄のためでもなく、彼女のために戦ってくれるニコラがいるから大丈夫かなって思えるラストで、手放しのハッピーエンドじゃないけど、少し明るい終わり方でそれもぴったりだった。
Posted by ブクログ
ファンタジーミステリー!
世界観が作り込まれていて、魔術や呪いが存在するけど、解決がちゃんとミステリーなところがポイント。
さすがの米澤穂信、面白かった〜。
アミーナ幸せになってほしい
Posted by ブクログ
ファンタジーの作風に、魔術やデーン人との攻防の
話も盛り込んで、ミステリを書いてしまうとは
米澤穂信、どんだけ凄いんだ?
魔術や理解できる言語、特徴あるそれぞれの武器
とよく読めば、犯人を推理出来る構成が凄い。
ミステリ抜きでも、ファンタジー小説として中世の
ヨーロッパの世界観が広がっていて、他の米澤作品
と全く異質な作品になっている。
Posted by ブクログ
ソロン諸島で起こった殺人事件や人間消失、そして「呪われたデーン人」との戦争を経てこれまでに浮かび上がった謎を全て解決していくのが鮮やかで、真犯人の正体も意外性があって最後まで面白く読んだ。また主人公のアミーナが一連の騒動を経て精神的に大きく成長したのも見所の一つだと感じた。
Posted by ブクログ
中世ファンタジーと本格ミステリが見事に融合した特殊設定ミステリ。犯人の条件は割と分かりやすく示されるが、それを満たす人物を絞り込むのはかなり難しかった。
同じ世界観で続編が出てほしい。
Posted by ブクログ
上巻で警告されていた戦争がはじまり、上巻で描かれた謎が、すべて解き明かされる。怒涛の展開。
探偵が関係者を集めて謎解きをするという、普通なら不自然なお約束も、「騎士団の儀式」と説明するのはうまい。また、衝撃のラストも、「ニコラとお嬢様の成長がテーマなら、そうなるよね」と自然に受け入れられ、アンフェアとは思わなかった。
タイトルとのつながりもしっかりと描かれて、希望のある未来を予想させる。
Posted by ブクログ
中世ヨーロッパを舞台としながら、架空の島国、魔法という特殊設定をあしらい、本格推理小説として作られた作品。
孤島という大きな密室で起こった殺人、不死の軍団との戦争、魔法使い同士の因縁、とミステリーをベースにした話と同時にファンタジックなストーリーが並走する。
最後はミステリーらしい解決がなされ、散りばめられた伏線も回収される。小説ならではの面白さが詰められた作品だった。
Posted by ブクログ
[1]剣と魔法のある世界でのミステリ、おもろかったです。誰が暗殺騎士の「走狗/ミニオン」なのか。消えたトーステンとその方法は(謎というほどではない)、彼の主とは。
[2]呪われしデーン人(ほとんどゾンビ)来襲。島は阿鼻叫喚の戦場と化し、新領主アダムはクソの役にも立たずアミーナ奮闘す。
[3]気に入ったのは《不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき》(p.188)というくだり。要するに密室を作る方法は無限にあるしそこに密室的なものがあるなら何らかの方法でなされたと判断すればよく、わざわざどうやって密室が作られたか解明しようと余計な時間をかける必要はないということでしょう。この場合ファルクはあえてそう言ったんやけどこれはまあ、真理でもありそう。ミステリのセオリーを破壊している。
■ソロン島についての簡単な単語集
【アダム・エイルウィン】ローレント・エイルウィンの息子。アミーナの兄。ソロン島に住んでいる。読んでるとどうもデキのいい領主にはなれなさそうな気がする。
【アミーナ・エイルウィン】主人公の「わたし」。ソロン諸島領主ローレント・エイルウィンの娘。十六歳。英雄の娘らしくなかなか苛烈な性格のようで悲しみより戦うことを選んだ。新しいことがわかるたびにそいつが犯人かと思ってしまうタイプ。
【暗殺騎士】ファルクが追ってきたという敵。元来は魔術を使うサラセン人暗殺者に対抗するため医療系の「トリポリの聖アンブロジウス病院兄弟団」は戦闘力を持つことになったがまだ足りず同じく魔術を研究し使うようになったが一部が堕落しその技を政敵暗殺などに使うようになった。兄弟団はこれを駆逐することに決め長年闘い続けている。
【イーヴォルド・サムス】吟遊詩人。ローレント旧知の吟遊詩人、ウルフリック・サムスの息子。ローレントが探しているたいうバラッドを受け継いでいる。
【イェルサレム】聖地。異教徒に激しく責められている最中。
【イテル・アプ・トマス】ウェールズの傭兵。みすぼらしく見えるがどこか異様な雰囲気を持つ。弟のヒム・アプス・トマスを連れてきている。
【エイブ・ハーバード】エイルウィン家が預かっている唯一の従騎士。十八歳。
【エドウィー・シュアー】長くローレント・エイルウィンの従者を勤めた。死んだ彼の死体に異変が起こった。
【エドリック】ファルクが追っているという暗殺騎士。髪と眼の色はファルクと同じ。ということはたぶん…
【エルウィン家】ソロン諸島領主のロスエア。その娘で主人公のアミーナ。家令のロスエア。アミーナの侍女ヤスミナ。
【エルウィン家の屋敷】島では珍しい石造建築。地元産の石は建築物向きではない脆い性質のようなので他所から運んできたのだろう。複雑な構造になっていて迷いやすい。
【コンラート・ノイドファー】ブレーメンの騎士。三十前後。精悍で非の打ち所のない騎士だが曲者めいて見える。七名の配下を連れてきている。
【サイモン・ドット】島では最も上等な宿屋を経営している。酒と料理も出すので地元住民も来る。
【強いられた信条】暗殺騎士が使う魔術。他者を操る術。
【小ソロン島】ソロン諸島領主の館がある。ソロン島との距離は百五十ヤード(百三十七メートルほど)だが浅瀬が多くマードック以外では往き来できない。夜には潮が引いて浅瀬が増え潮流が速くなりさらに危険になるゆえ、客人はこの島から晩課の鐘(午後三時くらい)までに島を出ねばならない。吹雪の山荘系の密室ができますな。
【ジョン殿下】リチャードの弟。野心を抱いている。
【白い瘴気】暗殺騎士が使う魔術。顕著な特徴があり使われたことがすぐわかってしまうが即効性がある。
【スワイド・ナズィール】サラセン人の傭兵。小柄で子どもにしか見えない。魔術師(錬金術師)。巨大な青銅の人形を操る。
【ソロン諸島】「ソロン島」と「小ソロン島」からなる。
【デーン人】デーン人そのものは有能な航海者であり商人。デンマーク人のようだ。ローレントが警戒している敵は「呪われたデーン人」のようだ。多くの人はただの昔話だと思っている。不老で眠らず食物もいらず切っても突いても血を流さず首を切り落とさない限り活動をやめない。トーステンもその一人。
【トーステン・ターカイルソン】小ソロン島の塔に二十年間囚われ続けている呪われたデーン人。
【ニコラ・バゴ】ファルクの従士。小柄。赤毛。フランス語しか使えない。
【ハール・エンマ】女傭兵。東方の蛮族とされているマジャル人を名乗っていると自分で言ったので違うかもしれない。鮮やかな金髪。恐ろしい凄腕。
【ハンス・メンデル】五十歳近い冒険好きの商人。丸々と太って優しげ。リューベックが本拠地。
【ファルク・フィッツジョン】巡礼風の男。イェルサレムから来たと聞いていたが本人によるとトリポリ伯国から来た聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士。三十前後に見える。《警戒するのは悪くない。次は観察、そして論理だ。》上巻p.29
【ペトラス】騎士。
【ポール修道士】ソロン修道院の副院長。
【ボネス】マーティン・ボネス。ソロン市長。年季の入った仕立職人でもある。
【マードック】ソロン島と小ソロン島を往き来する唯一の交通手段である小舟の船頭。とても無口。
【マシュー・ヒクソン】エイルウィン家の唯一の守兵。
【密室】不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき、と。(p.188)
【ヤスミナ・ボーモント】アミーナの侍女。失敗を気にしないおおらかな娘。表情も豊かで人を幸せな気分にさせる。
【リチャード】現在のイングランド国王。現在十字軍を率いて遠征に出ている。
【リッターの暗い光】魔術の痕跡を浮かび上がらせるランタン。
【レベック】ヴァイオリンのような楽器か。イーヴォルドが抱えている。
【ローレント・エイルウィン】ソロン諸島の領主。アミーナの父。不屈の戦士といった印象。自分のためよりも街のために金を使いたいタイプ。《父の統治は間違っていなかった。領民は悲しんでくれている。》p.208
【ロスエア・フラー】エイルウィン家の家令。
【ロバート・エイルウィン】エイルウィン家の初代。アミーナの曾祖父。デーン人を追い出しソロン島をイングランドのものとした。
Posted by ブクログ
12世紀末の欧州風で,魔術や呪われたデーン人等が存在する異世界を舞台とした特殊設定ミステリである。特殊設定ミステリであり、かつ、犯人当てミステリとなっている。
エドリックという暗殺者が呪いをかけた”走狗(ミニオン)”が,ソロン領主のローレント・エイルウィンを殺害する。容疑者は,遍歴騎士や傭兵,魔術師などの人物。容疑者の中にも魔術を使う者がいるかもしれない。しかし,「たとえ誰かが魔術師であったとしても,また誰がどのような魔術を用いたとしても,それでも〈走狗〉は彼である,または彼でない,という理由を見つけ出すのだ。」という作中のセリフのとおり,論理的に犯人を当てることができるように作られている。
下巻の途中で、実際に呪われたデーン人の襲撃を受けることになり,この部分では容疑者でもある傭兵達の活躍が書かれている。しかし,この戦いにも最後の犯人当ての手がかりとなる伏線が多数用意されている。
最後に事件の関係者を集め,走狗が誰なのかを指摘する儀式を執り行われる。容疑者全員がいる前で,論理的に,消去法により探偵役であるファルクが指摘する犯人は,謎のマジャル人ハール・エンマであった。
しかし,物語はここで終わらない。ファルクの従士であるバゴが,「ハール・エンマは走狗では有り得ない。」と指摘する。「ハール・エンマは呪われたデーン人の王の子であり,走狗とするために必要な血が存在しない。」と言う。
容疑者の全員が犯人足りえなかったように見えたが,実際は,そうではなかった。あと二人、犯人になり得る人物が残っていた。それは,探偵役のファルクとバゴ。そして,真犯人はファルクだった。
特殊設定ミステリであり,叙述トリックなどはなく,純粋な論理による犯人当てミステリ。そして,そのオチは探偵が犯人であるというもの。米澤穂信らしく,読み出したら止まらない話運びの上手さがあり,結末も見事。探偵役のファルクが犯人であるという後味の悪さの米澤穂信らしい。ただ,秋期限定栗きんとん事件やボトルネックほどの衝撃がなかったので,少しだけ割引して★4。
米澤穂信が好きな方,後味が悪いミステリでも大丈夫という方になら文句なくオススメ
Posted by ブクログ
元々ネットで公開していたものを書き直したそうだ。
ハイ・ファンタジーだったので修正したとか。
私にとっては十分以上にハイ・ファンタジーでした。
Posted by ブクログ
真相はドラマチックで、これまでのファルクがなぜそこを確認したがるのか?というような質問や意味ありげな伏線が次々と回収されていき、面白かった。
ただ、真相に辿り着くまでが少し退屈だったのと、ファルクがいつついたか分からない傷がある、という場面でおや…?と引っかかっていたので、そこまで驚きの結末!とはならなかった。
ファルクの兄弟決戦はどうなったのか、という点は後日談としてアミーナとニコラが憶測で語っているが、実際どうなったか分からないので少しモヤッとする。
アミーナというキャラクターについて、戦いの時は守られることに徹しながらも自分の意志がきちんとあり、飾りとしての姫・女性ではなく、1人の人間として活動していたので著者らしくとても良かった。
真相の展開、操られて殺人を犯しているため本人にその自覚はないという魔術や血を流さないデーン人などの特殊設定、など面白かった。
Posted by ブクログ
折れた竜骨解決編。
一応推理しながら読んでいたが、かすりもしなかった。
盛り上がるところでは理解ができなくて、その後を読んでそういうことか、と納得した。
SFなので、イメージしにくいのが難点かな。
Posted by ブクログ
下巻も上巻からの感想と変わらずいまいち入り込めなかった。下巻は本格的にファンタジーに突っ込んでいき、驚きがより強くなるばかり。ファンタジーでも制約を決めその中でロジカルな解決編ということなのだろうが、魔法が使えるなら何でもできるという思いから何とも言えない気持ち。アミーナが犯人と予想しておりそれは外れたが、探偵側に犯人がいるのいう読みも概ね予想通り。以前米澤先生のファンの方たちと話した時に評価ぎ二分していたのが非常に頷けるなと思った。