【感想・ネタバレ】折れた竜骨 下のレビュー

あらすじ

自然の要塞であったはずの島で、冒険者にして偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃れた。卑劣な魔術に蝕まれ操り人形と化した〈走狗(ミニオン)〉の正体を突き止めるべく、領主の娘アミーナは騎士ファルク・フィッツジョンらとともに行動を開始する。〈走狗〉候補の八人の容疑者、謀略により沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年──そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は果たして真相に辿り着くことができるのか? 第64回日本推理作家協会賞受賞ほか、各種年末ミステリ・ランキングで上位を総なめにした、俊英渾身の本格推理巨編。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

全く予想していなかったラストに驚かされました。剣と魔法が存在する世界を舞台にした物語ですが、推理物としてもファンタジー物としても非常に面白い作品だと思います。是非読んでいただきたい。

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2024年12月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気読みでした。駆け足で読みすぎてトリックの辻褄がよく分からず上下巻あわせて再読してしまいましたが。。

結果はハッピーエンドという訳にはいかなかったですが、致し方ないのか。。アミーナはこの先もソロン島できっと強く生き抜いていくのでしょう。ニコラともまたいつか再会する日もあるのかもしれません。

ァルクの最期は本当に残念でした。よいキャラだったのに。でも彼の名誉のためにも、騎士団の面目のためにもこうなるしかなかったのか。。いつの日か彼の亡骸をきっとニコラがトリポリに戻してくれるかもしれません。でも、もしかしたらトリポリ伯国が滅びる方が先か。。

今ひとつ分かりきれてないことがあるのですが、そもそもの馴れ初めであるエドウィーを殺したのは誰なのか。別の暗殺騎士なのか。その頃はまだソロンにいないはずなので。

他の方も書かれてますが、ニコラもアミーナもとてもよいキャラだったので、続編?また別の話も読んでみたいです。

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2024年12月20日

Posted by ブクログ

米澤先生の作品の中でも珍しいというか、本格ミステリの印象が強いイメージがあるのですが、こういった特殊な設定のミステリも描かれるんだとは思いませんでした。
舞台は、12世紀のイングランドに属するソロン諸島。領主であり、王でもあるローレントが誰かに暗殺されたところから物語が始まる。
犯人探しから、呪われたデーン人との闘いから、まるでロールプレイングゲームの中に自分がいるかの如くストーリーは進んでいきます。
私の個人的な意見として、ミステリとファンタジーが結びつくのか、魔法が出てきたら世界観が崩れるんじゃなかと最初は感じていたのだが、読み進めていくうちに、その魔法が事件の解決にいいアクセントで繋がるので、より良い方向に読み進めていくことができました。 
日常の謎もいいけど、こういった特殊ミステリも
好きになりました。

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2024年08月17日

Posted by ブクログ

12世紀イングランドの架空の島が舞台、しかも魔法あり。そこでしか描けない本格ミステリの素晴らしさ。
マジックからロジックへと、流れるように繋がる美しい展開。理詰めで犯人を特定する鮮やかさ。
キャラクター造形も魅力的で、完全無欠な読後の満足感。

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2024年08月06日

Posted by ブクログ

折れた竜骨下巻

全てにおいて秀逸。謎解きも、デーン人達との戦いも、登場人物達の動かし方も。物語の結末についても大団円に相応しい、余りにも完璧な完結だ。

上巻では領主を殺害した犯人は誰かが一番の本筋だったが、下巻でそれを踏襲しながらもデーン人達と傭兵達との戦闘シーンが山場に据えられており、この場面の項数は限られているのだが小説一作分の面白さがあり、読みごたえ充分だ(ゲームやアニメ等、別媒体でも最高の物語になるだろう)
胡散臭い傭兵達が余りにも見事に活躍し、これ程巧みに登場人物達を持ち味通りに活躍させる作家はいない。

最後、真犯人の追及はあらゆる探偵小説に沿って行われているが、このパートで登場人物達の秘密が少しずつ明かされていき、驚きを持ちながらも最後、真犯人がわかった時の衝撃は今後起こることは無いかもしれない(この手の真相で一番上手に活用されている。)

騎士フィッツジョンと従者のニコラ。捕虜だったデーン人の真実。一人一人の物語がとても魅力的で終わって欲しくない作品だ。

アミーナの決断は大きく、彼女の生き様と覚悟を感じる事ができた。ニコラが成長し、改めてデーン人達との死闘を描いた作品も見てみたいなぁと思いつつ(ミステリーじゃ無くてもいいので)、最高の作品を読む事ができた余韻に浸る。

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2024年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長編ファンタジーミステリー小説の後編。
とても面白かったです!魔法と魔術の世界できちんと伏線回収しミステリーとして成立していたのがとても良かったです。現当主殺害の犯人はだれなのか、トーステンはどう塔から消えたのか、傭兵達が隠す秘密などの要素もキチンと解決していて面白かったです。
そして、ミステリーとしても面白いですが、陰の主人公とも言えるニコラの物語でもあるなと思いました。本当の真実にたどり着き、犯人であるファルクを斬るという最後はニコラがある意味師匠を超え成長していくための通過点なのでは無いかと思いました。タイトルの『折れた竜骨』の意味がアミーナとニコラの深い友情が垣間見える形になっていたのがとても良かったです。終わり方は爽やかで彼らの物語の続きを読みたいと思いました。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
アミーナ・エイルウィン:東山奈央
ファルク・フィッツジョン:諏訪部順一
ニコラ・バゴ:悠木碧
アダム・エイルウィン:阪口大助
エイブ・ハーバード:石川界人
コンラート・ノイドルファー:安元洋貴
イテル・アプ・トマス:岩田光央
ヒプ・アプ・トマス:吉野裕行
ハール・エンマ:茅野愛衣
スワイド・ナズィール:杉田智和
イーヴォルト・サムス:中村悠一
マーティン・ボネス:飛田展男
マードック:間宮康弘
トーステン・ターカイルソン:浪川大輔

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2024年06月08日

Posted by ブクログ

中世ヨーロッパを舞台にしたミステリ×ファンタジー。
読後の感想は、「お腹一杯」。
とてもしっかり物語に没入できたのは、なんといっても主人公アミーナを始めとする登場人物の造形がしっかりしていたから。魅力的でほころびが無い人々が紡ぐ物語は、彼らの運命に共感して目頭が熱くなってしまう。
特に、ニコラとアミーナの絆に感動する。
それと個人的に「戦闘シーン」が好き。もっと読みたいと思った。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

ファンタジーミステリーの傑作だと思いました。最高です。
上を読んでいた段階でファルクとエドリックを兄弟という設定にする必要はあるのかと疑問に思っていましたがそれも上手いこと利用した物語だったと感じました。
儀式のシーンは探偵が犯人を指さす状態になり、ファルクとニコラの2人の推理は完璧なものでした。
デューン人が襲来した際の迫力もしっかりあり、ファンタジー、ミステリーの両方辛みてもこの小説はとても良かったです。

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2024年03月12日

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ストーリー・情景追うのに夢中でミステリ成分忘れ油断してた。解決編で「えっ?!」って声出た。いいエンタメだった

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2023年02月24日

Posted by ブクログ

怒涛の解決編
ロジックで魔法も呪いも関係なく論破
ミステリ好きの心をくすぐるワードセンス
うーーん、米澤穂信いいかもしれない
歴史小説感のあるミステリは初めてだったがスルスル読めた

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2022年05月13日

Posted by ブクログ

勇敢な領主の娘 アホな後継ぎ息子をさしおき 領主である父親を殺した人間を探す。

呪いを受けた 死ねないデーン人 
勇敢な領主の娘アミーナには 力を貸してくれる人が集まる。

謎解きしたあとの 思いがけない犯人

米澤穂信さんの現代物の本より 私は好みの本です。

勇敢で頭のいい女の子が 一生懸命 人生と戦う話し

話しもどんどん展開して飽きない。よかったです。

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2022年04月27日

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魔法のある世界のミステリとして世界観からなにからとても面白かった。
まさかそうなるとは。全然推理できない展開で楽しく読むことができた。

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2022年01月31日

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ファンタジーの中での謎解きはなかなか面白かった。
それぞれのキャラクターも個性的で、論理的な謎解き、ストーリーもよかった。

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

 ソロン諸島で起こった殺人事件や人間消失、そして「呪われたデーン人」との戦争を経てこれまでに浮かび上がった謎を全て解決していくのが鮮やかで、真犯人の正体も意外性があって最後まで面白く読んだ。また主人公のアミーナが一連の騒動を経て精神的に大きく成長したのも見所の一つだと感じた。

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2024年11月27日

Posted by ブクログ

中世ファンタジーと本格ミステリが見事に融合した特殊設定ミステリ。犯人の条件は割と分かりやすく示されるが、それを満たす人物を絞り込むのはかなり難しかった。
同じ世界観で続編が出てほしい。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

中世ヨーロッパを舞台としながら、架空の島国、魔法という特殊設定をあしらい、本格推理小説として作られた作品。
孤島という大きな密室で起こった殺人、不死の軍団との戦争、魔法使い同士の因縁、とミステリーをベースにした話と同時にファンタジックなストーリーが並走する。
最後はミステリーらしい解決がなされ、散りばめられた伏線も回収される。小説ならではの面白さが詰められた作品だった。

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2024年07月07日

Posted by ブクログ

[1]剣と魔法のある世界でのミステリ、おもろかったです。誰が暗殺騎士の「走狗/ミニオン」なのか。消えたトーステンとその方法は(謎というほどではない)、彼の主とは。
[2]呪われしデーン人(ほとんどゾンビ)来襲。島は阿鼻叫喚の戦場と化し、新領主アダムはクソの役にも立たずアミーナ奮闘す。
[3]気に入ったのは《不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき》(p.188)というくだり。要するに密室を作る方法は無限にあるしそこに密室的なものがあるなら何らかの方法でなされたと判断すればよく、わざわざどうやって密室が作られたか解明しようと余計な時間をかける必要はないということでしょう。この場合ファルクはあえてそう言ったんやけどこれはまあ、真理でもありそう。ミステリのセオリーを破壊している。

■ソロン島についての簡単な単語集

【アダム・エイルウィン】ローレント・エイルウィンの息子。アミーナの兄。ソロン島に住んでいる。読んでるとどうもデキのいい領主にはなれなさそうな気がする。
【アミーナ・エイルウィン】主人公の「わたし」。ソロン諸島領主ローレント・エイルウィンの娘。十六歳。英雄の娘らしくなかなか苛烈な性格のようで悲しみより戦うことを選んだ。新しいことがわかるたびにそいつが犯人かと思ってしまうタイプ。
【暗殺騎士】ファルクが追ってきたという敵。元来は魔術を使うサラセン人暗殺者に対抗するため医療系の「トリポリの聖アンブロジウス病院兄弟団」は戦闘力を持つことになったがまだ足りず同じく魔術を研究し使うようになったが一部が堕落しその技を政敵暗殺などに使うようになった。兄弟団はこれを駆逐することに決め長年闘い続けている。
【イーヴォルド・サムス】吟遊詩人。ローレント旧知の吟遊詩人、ウルフリック・サムスの息子。ローレントが探しているたいうバラッドを受け継いでいる。
【イェルサレム】聖地。異教徒に激しく責められている最中。
【イテル・アプ・トマス】ウェールズの傭兵。みすぼらしく見えるがどこか異様な雰囲気を持つ。弟のヒム・アプス・トマスを連れてきている。
【エイブ・ハーバード】エイルウィン家が預かっている唯一の従騎士。十八歳。
【エドウィー・シュアー】長くローレント・エイルウィンの従者を勤めた。死んだ彼の死体に異変が起こった。
【エドリック】ファルクが追っているという暗殺騎士。髪と眼の色はファルクと同じ。ということはたぶん…
【エルウィン家】ソロン諸島領主のロスエア。その娘で主人公のアミーナ。家令のロスエア。アミーナの侍女ヤスミナ。
【エルウィン家の屋敷】島では珍しい石造建築。地元産の石は建築物向きではない脆い性質のようなので他所から運んできたのだろう。複雑な構造になっていて迷いやすい。
【コンラート・ノイドファー】ブレーメンの騎士。三十前後。精悍で非の打ち所のない騎士だが曲者めいて見える。七名の配下を連れてきている。
【サイモン・ドット】島では最も上等な宿屋を経営している。酒と料理も出すので地元住民も来る。
【強いられた信条】暗殺騎士が使う魔術。他者を操る術。
【小ソロン島】ソロン諸島領主の館がある。ソロン島との距離は百五十ヤード(百三十七メートルほど)だが浅瀬が多くマードック以外では往き来できない。夜には潮が引いて浅瀬が増え潮流が速くなりさらに危険になるゆえ、客人はこの島から晩課の鐘(午後三時くらい)までに島を出ねばならない。吹雪の山荘系の密室ができますな。
【ジョン殿下】リチャードの弟。野心を抱いている。
【白い瘴気】暗殺騎士が使う魔術。顕著な特徴があり使われたことがすぐわかってしまうが即効性がある。
【スワイド・ナズィール】サラセン人の傭兵。小柄で子どもにしか見えない。魔術師(錬金術師)。巨大な青銅の人形を操る。
【ソロン諸島】「ソロン島」と「小ソロン島」からなる。
【デーン人】デーン人そのものは有能な航海者であり商人。デンマーク人のようだ。ローレントが警戒している敵は「呪われたデーン人」のようだ。多くの人はただの昔話だと思っている。不老で眠らず食物もいらず切っても突いても血を流さず首を切り落とさない限り活動をやめない。トーステンもその一人。
【トーステン・ターカイルソン】小ソロン島の塔に二十年間囚われ続けている呪われたデーン人。
【ニコラ・バゴ】ファルクの従士。小柄。赤毛。フランス語しか使えない。
【ハール・エンマ】女傭兵。東方の蛮族とされているマジャル人を名乗っていると自分で言ったので違うかもしれない。鮮やかな金髪。恐ろしい凄腕。
【ハンス・メンデル】五十歳近い冒険好きの商人。丸々と太って優しげ。リューベックが本拠地。
【ファルク・フィッツジョン】巡礼風の男。イェルサレムから来たと聞いていたが本人によるとトリポリ伯国から来た聖アンブロジウス病院兄弟団の騎士。三十前後に見える。《警戒するのは悪くない。次は観察、そして論理だ。》上巻p.29
【ペトラス】騎士。
【ポール修道士】ソロン修道院の副院長。
【ボネス】マーティン・ボネス。ソロン市長。年季の入った仕立職人でもある。
【マードック】ソロン島と小ソロン島を往き来する唯一の交通手段である小舟の船頭。とても無口。
【マシュー・ヒクソン】エイルウィン家の唯一の守兵。
【密室】不可解にも扉が閉ざされている場合、それは『何らかの方法で』閉じられたのだと解すべき、と。(p.188)
【ヤスミナ・ボーモント】アミーナの侍女。失敗を気にしないおおらかな娘。表情も豊かで人を幸せな気分にさせる。
【リチャード】現在のイングランド国王。現在十字軍を率いて遠征に出ている。
【リッターの暗い光】魔術の痕跡を浮かび上がらせるランタン。
【レベック】ヴァイオリンのような楽器か。イーヴォルドが抱えている。
【ローレント・エイルウィン】ソロン諸島の領主。アミーナの父。不屈の戦士といった印象。自分のためよりも街のために金を使いたいタイプ。《父の統治は間違っていなかった。領民は悲しんでくれている。》p.208
【ロスエア・フラー】エイルウィン家の家令。
【ロバート・エイルウィン】エイルウィン家の初代。アミーナの曾祖父。デーン人を追い出しソロン島をイングランドのものとした。

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

ファンタジーとミステリが見事に融合していて面白かった。

魔法が使える世界なのに論理的に犯人を絞っていくので、ミステリファンも満足できるでしょう。

さらに戦闘シーンも迫力があり、一粒で2度美味しい状態を味わえます笑


犯人は結構序盤で分かってしまいましたがそれでも楽しめました。

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2023年01月14日

Posted by ブクログ

魔法とミステリーが成立するのか

中世という舞台では、「魔法」という能力も当たり前に信じられた時代で、「魔女狩り」が本気で行われたのは歴史の示す通り。

ただ、ミステリー小説の場合、たとえば密室殺人において「ドラえもんの通り抜けフープ」が「アリバイ崩し」であってはいけないように、読者への裏切り行為があっては台無しになる。
その点では、「魔法による代理殺人」という設定が早々に提示されることで、読者に「条件」として提示される。

そこからは、どのなに魔法の世界を見せようと、本筋はわめて正統派の謎解きミステリーを固持している。

「デーン人(北方ゲルマン民族 別名ヴァイキング)」
「十字軍(キリスト教世界)とサラセン帝国(イスラム世界)」
など、12世紀中世ヨーロッパの世界観を満載した舞台で、正統ミステリーを貫く、米澤穂信氏の手腕が、この本の興味を引くところとなる。

その一つは、魅力のある登場人物が活躍するところ。

ミステリーにしてもファンタジーにしても、登場人物に魅力を感じなければ、読書は楽しくない。
主人公たち、傭兵たちの活躍は、夢中で読み進める原動力となった。

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2022年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

顎の傷で、もしかしてとは思ってた。
渡り方に気づいたのも一人だけ。
でもそれじゃあ、あまり面白くないなと思ったらその通り。
でもうまくキャラを配置してバトルしたり謎解きをしたりしていて面白かった。
読後感が良い。悲しさと爽やかさがある。

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2022年08月08日

Posted by ブクログ

12世紀末のイングランドという時代設定がいいですね。エンディングで、将来アミーナがニコラに助けを求める合図として「折れた竜骨。ニコラ、ヨーロッパのどこかでそう聞いたら戻ってきて」という合い言葉を決めるシーンはなんとも切なくてたまりません。
日本でもちょっと前まで駅に手書きの伝言板があったことなんて知らない世代には、どう映るのかな。

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2022年06月29日

Posted by ブクログ

12世紀頃。ブリテン島の東の海に浮かぶ島が舞台の、ファンタジー風味ミステリ。探偵役と助手役が登場して殺人の犯人を論理によって見つけるお話し。登場人物がおもしろい。領主と娘、彼らに仕える人々、盗賊まがいの騎士、弓使いの兄弟、異国の女戦士、伝説を唄う吟遊詩人、青銅の巨人を連れた錬金術師、塔に幽閉された不死の人… 。探偵役と助手は魔術を使う暗殺騎士を追ってきた遍歴の騎士と年若い従者。語り手は才気煥発な領主の娘。
青銅の巨人や不死人などが居るなんて、楽しくてしょうがなかった。巨人の出番は少ないけど(笑) 呪われたデーン人が襲撃してくる下巻では戦闘シーンの迫力もすごい。

作者さんもリスペクトという名作の修道士カドフェルシリーズとだいたい同じ時代。この「折れた竜骨」は話題の作家さんのずっと前に出た本だけど、カドフェルシリーズが好きなので手に取ってみた。軽めの文体で読みやすい。カドフェルでお馴染みの「晩課の鐘」が出てくるとふふふっとなる。

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2022年05月01日

Posted by ブクログ

読み直し読み返して、ラストはとても良かったとしみじみ。謎の締めくくりとしては好きなかたちだ。わたしの思う「ファンタジー」とはちがうけれど、これはこれで。

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2022年04月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 12世紀末の欧州風で,魔術や呪われたデーン人等が存在する異世界を舞台とした特殊設定ミステリである。特殊設定ミステリであり、かつ、犯人当てミステリとなっている。
 エドリックという暗殺者が呪いをかけた”走狗(ミニオン)”が,ソロン領主のローレント・エイルウィンを殺害する。容疑者は,遍歴騎士や傭兵,魔術師などの人物。容疑者の中にも魔術を使う者がいるかもしれない。しかし,「たとえ誰かが魔術師であったとしても,また誰がどのような魔術を用いたとしても,それでも〈走狗〉は彼である,または彼でない,という理由を見つけ出すのだ。」という作中のセリフのとおり,論理的に犯人を当てることができるように作られている。
 下巻の途中で、実際に呪われたデーン人の襲撃を受けることになり,この部分では容疑者でもある傭兵達の活躍が書かれている。しかし,この戦いにも最後の犯人当ての手がかりとなる伏線が多数用意されている。
 最後に事件の関係者を集め,走狗が誰なのかを指摘する儀式を執り行われる。容疑者全員がいる前で,論理的に,消去法により探偵役であるファルクが指摘する犯人は,謎のマジャル人ハール・エンマであった。
 しかし,物語はここで終わらない。ファルクの従士であるバゴが,「ハール・エンマは走狗では有り得ない。」と指摘する。「ハール・エンマは呪われたデーン人の王の子であり,走狗とするために必要な血が存在しない。」と言う。
 容疑者の全員が犯人足りえなかったように見えたが,実際は,そうではなかった。あと二人、犯人になり得る人物が残っていた。それは,探偵役のファルクとバゴ。そして,真犯人はファルクだった。
 特殊設定ミステリであり,叙述トリックなどはなく,純粋な論理による犯人当てミステリ。そして,そのオチは探偵が犯人であるというもの。米澤穂信らしく,読み出したら止まらない話運びの上手さがあり,結末も見事。探偵役のファルクが犯人であるという後味の悪さの米澤穂信らしい。ただ,秋期限定栗きんとん事件やボトルネックほどの衝撃がなかったので,少しだけ割引して★4。
 米澤穂信が好きな方,後味が悪いミステリでも大丈夫という方になら文句なくオススメ

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真相はドラマチックで、これまでのファルクがなぜそこを確認したがるのか?というような質問や意味ありげな伏線が次々と回収されていき、面白かった。

ただ、真相に辿り着くまでが少し退屈だったのと、ファルクがいつついたか分からない傷がある、という場面でおや…?と引っかかっていたので、そこまで驚きの結末!とはならなかった。

ファルクの兄弟決戦はどうなったのか、という点は後日談としてアミーナとニコラが憶測で語っているが、実際どうなったか分からないので少しモヤッとする。

アミーナというキャラクターについて、戦いの時は守られることに徹しながらも自分の意志がきちんとあり、飾りとしての姫・女性ではなく、1人の人間として活動していたので著者らしくとても良かった。

真相の展開、操られて殺人を犯しているため本人にその自覚はないという魔術や血を流さないデーン人などの特殊設定、など面白かった。

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2024年10月29日

Posted by ブクログ

折れた竜骨解決編。
一応推理しながら読んでいたが、かすりもしなかった。
盛り上がるところでは理解ができなくて、その後を読んでそういうことか、と納得した。
SFなので、イメージしにくいのが難点かな。

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2023年06月05日

Posted by ブクログ


下巻も上巻からの感想と変わらずいまいち入り込めなかった。下巻は本格的にファンタジーに突っ込んでいき、驚きがより強くなるばかり。ファンタジーでも制約を決めその中でロジカルな解決編ということなのだろうが、魔法が使えるなら何でもできるという思いから何とも言えない気持ち。アミーナが犯人と予想しておりそれは外れたが、探偵側に犯人がいるのいう読みも概ね予想通り。以前米澤先生のファンの方たちと話した時に評価ぎ二分していたのが非常に頷けるなと思った。

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2023年04月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ファンタジー世界での特殊設定ミステリ
戦いなどもあるがあくまでミステリがメイン
犯人も記憶がない中であくまで論理的に消去法的に犯人を絞っていく部分は良かった

ただどうしても犯行の記憶がない、犯人自体に動機がないということもあって、犯人がわかったあとのあっけなさが少し物足りなかった

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2023年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

魔術の存在する十二世紀ヨーロッパにおけるミステリ。
制約の存在する超能力の上で展開される論理パズルという趣向はデスノートやハンターハンターなどにも見られる。
この種の作品で重要なのは作品世界における能力の妥当性を醸し出すこと、言い換えれば作品世界の法則を論理的思考の範疇に収めることだといえる。そうしないとミステリとしてはフェアとは言えないだろう。
この作品はその観点で言えば上記の範疇に収まるかどうかはギリギリのところだろう。
まず、物語のベースとなるのは中世ヨーロッパの世界観だが、これは歴史的事実に則った精密な描写がなされている。
問題なのはもちろん魔術だ。
この作品には複数の系統の魔術が存在する。それはおよそ以下の通りだ。サラセン、暗殺騎士、ルーン、ゲルマン、古代ギリシャの遺産、デーン人の呪い。
これは流石に多すぎるし、それぞれが詳細に説明されるわけではないのでその全容はわからない。序盤はサラセン人と暗殺騎士の魔術が中心となって展開されるので論理的に展開するが、事件の解決に向かう後半にかけて様々な魔術が後出しのように出てくるので、無理矢理さを感じてしまった。この後出しと魔術の雑多さの弊害は第五章に現れていると思う。この場面でファルクおよびニコラの話を理解できている人間はほぼ存在していないと言っていいだろう。ファルクの思惑を考えればそもそも真実を公表するつもりがないことは明らかだが、ミステリの醍醐味である真実が関係者全員に詳らかにされるカタルシスがなかったのは少し残念だった。ただその代わりファルクとニコラの信頼関係と別れの場面としては申し分ないものでもある。
また投げっぱなしになっている要素も多い、トーステンとヤスミナの関係や、事件の黒幕、ハール・エンマ(フレイア・ラルスドッティル)の来し方、ソロン諸島の今後。
アダムが事件関係者を早々に追い払ったように作者もこれらの説明を放棄している。正直この要素も評価が分かれるだろう。不完全燃焼感は拭えないものの、ニコラやフレイヤが旅立っていく世界の広さや物語の続きを期待させるものになっているからだ。
この作品を端的に表現するなら世界を端まで説明していないが故の開放性とミステリとしての不公平感が同居する作品だといえるだろう。

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2023年01月20日

Posted by ブクログ

この本の前に読んでいたファンタジー小説が合わなかったので読破できるか心配だったけど問題なくすんなり読めた。

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2022年08月08日

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