米澤穂信のレビュー一覧

  • いまさら翼といわれても

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    ネタバレ

    わたしたちの伝説の一冊
    最後の一文は前作の段階でそうなる事は分かっていたけれど、その文字に込められた意味合いが予想と正反対の熱いもので面食らった すごいな
    中盤あたりまで苦々しい展開でどんな風に着地するんだろうと考えていたけど、その息苦しさを吹き飛ばす終盤のカタルシスがすごく良かった そんな前向きな決断だとは おもしれ〜

    長い休日
    この短編に今までの古典部における俸太郎の全てが詰まってて良い
    最後の姉の言葉がじんわり染み入る 

    米澤穂信作品全般もそうだし"いまさら翼と言われても"にも強く感じるんだけど、どの作品も終わりの一文に深みがあって余韻が心地いい 

    遠回りする雛

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    2025年07月14日
  • 巴里マカロンの謎

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    春夏秋冬が進んでいく合間の、たぶんおさこば1年生のこぼれ話を集めた短編集。各編の「地名+事物」という名づけかたは、エラリー・クイーンの国名シリーズのオマージュかな。

    パティスリのお嬢さん、古城(こぎ)コスモスという少女が3編に登場して、なかなかいい味を出していて、特に書きおろしである「花府(フィレンツェ)シュークリームの謎」は名作。謎解きがトントンと小気味よいのに加えて、古城家の親子関係まで描いていてジンとくる。

    「秋期」では小佐内さんの一筋縄ではいかない恐ろしさばかりが目立ってしまったけど、この短編集では、頭の回転のするどさはそのままに、どこまでもスイーツを愛し、ちょっと思いやりもある女

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    2025年07月10日
  • 秋期限定栗きんとん事件 下

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    アニメで「ひいっ」となった上であらためて読んだんだけど、やっぱりラストの小佐内さんのひと言で「ひいっ」となった。こわいよー(笑) 
    瓜野くんは、みずから招いたとも言えるけど災難だったね。小市民が手を出しちゃいけない相手だったんだ。ていうか、本物の小市民ならそれを自覚しなさいという残酷なストーリーでもあるのか。

    で、小佐内さんと小鳩くんは、いくら小市民をめざそうとも本質的にむりで、小市民の皮をかぶることはできないんだとはっきり自覚する。ここまでぐるぐるとずいぶん遠回りだったのでは? でも、そうまでして「小市民」を目ざそうとした理由が(あるいは傷つきの記憶が)「冬期限定」で語られることになる。す

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    2025年07月09日
  • 神様の罠

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    全編面白かった〜
    なんて豪華な作家陣なの…!

    ハラハラしたり驚いてみたり、あっという間に読み終えました。

    夫の余命 
     余命わずかと知りながら結婚した2人。
     時間を遡りながら思い出を振り返るが…

    崖の下 
     スキー場で遭難した4人。
     そのうち1人が他殺体で見つかる。
     この何もない雪原で凶器は一体何…?
     誰が殺したのか?

    投了図
     将棋ファンと夫と暮らしているが、地元でタイトル戦が開かれることになった喜ばしい時、なぜか夫の様子がおかしい。

    孤独な容疑者
     23年前に殺人を犯した男。
     事件が再調査され…。

    2020年のロマンス詐欺
     コロナ禍、軽い気持ちで始めたバイトが詐欺の

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    2025年07月08日
  • 真実の10メートル手前

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    『真実の10メートル手前』
    『正義漢』
    『恋累心中』
    『名を刻む死』
    『ナイフを失われた思い出の中に』
    『綱渡りの成功例』
    短編6作品。

    米澤穂信の短編はやはり良い。
    そして太刀洗万智というキャラクターが表情も感情も読めず、凛としていて追いたくなってしまう魅力がある。

    真実とは人によって違うものであり、それが人を救うとは限らないのだな。
    それを知っている太刀洗の記事が読んでみたいものだ
    『名を刻む死』の最後の台詞で彼女のファンになってしまったのです。

    太刀洗万智シリーズはまだ3冊だそうで、肝心の1作目である『さよなら妖精』も読まねば。

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    2025年07月07日
  • 王とサーカス

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    海外旅行の特集のためにネパールに訪問した大刀洗万智。描写が良くてゆっくりと進むかと思ったが、国王殺害事件と、身近に起こる事件から一気に進んでいく。取材から得られた情報をどう記事にまとめるのか報道倫理を追求するだけでなく、ミステリとしても完成されていて引き込まれやすい。面白かった。

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    2025年07月06日
  • 夏期限定トロピカルパフェ事件

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    ここまでいくか…という展開。アニメでも驚いたけれど、原作のクオリティあってこそ。短編と思いきや全部つながってる。早くその先が知りたい、とページをめくるスピードが上がった。

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    2025年07月06日
  • 秋期限定栗きんとん事件 上

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    おもしろいなー。アニメの緊迫感もすごかったけど、ぜんぶ見終えてから原作を読んでもちゃんと面白い。肩に力が入りまくりの瓜野、小鳩ちゃんのことけっきょくわかってない仲丸さん、別れたのにやっぱり最大の理解者同士である小鳩くんと小佐内さん。
    アニメが拾わなかった小さな謎解きもあったりしつつ、小市民的であろうとしながらどうしても謎解きに喜びを見出してしまう(そしてそれがとてもうまくできる)小鳩の自己嫌悪を照らしだしながら、やはりそういうふうに生きるしかないんだという自己理解へ向かっているように見える。

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    2025年07月05日
  • インシテミル

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    ネタバレ

    最後まで犯人わかんなかった(笑)
    それぞれの応募理由とか、知り合いとの関係性について深掘りして欲しかった(笑)
    ミステリーの知識が乏しいので、パロディに燃えるくらいになって、またよみたい!
    他のミステリー作品を読みたくさせる作品!

    作中にあった作品↓
    二つの微笑を持つ女
    犬神家の一族
    まだらの紐
    緑のカプセルの謎
    白髪鬼
    僧正殺人事件
    トレント最後の事件?
    Yの悲劇
    虫太郎(人名)
    茶の葉
    Xの悲劇
    隅の老人の事件簿


    解説にある作品↓
    そして誰もいなくなった
    死のロングウォーク
    バトル・ロワイアル
    シンデレラの罠

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    2025年07月05日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    ネタバレ

    2025/07/04
    p.239
     車椅子のタイヤの固定が甘かったのだろうか。ぼくが座ろうとした瞬間、車椅子はわずかに後ろに下がった。
     椅子に座るつもりで腰を下ろし、寸前で椅子を引かれれば、誰でもろくに受身も取れずに倒れ込む。声にならない悲鳴が、喉の奥でくぐもる。心拍数が跳ねあがる。
     瞬間的な恐怖という尺度で言えば、車にはねられた時よりも怖かったかもしれない。けれど幸い、車椅子が動いたのはほんの少しだった。看護師さんがハンドルを握り、車椅子は止まって、ぼくは無事に座面に腰を下ろす。

    2025/07/21
    p.231
     見つめていてもサンデーが復活したりはしないという現実を受け入れたのか、

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    2025年07月04日
  • 夏期限定トロピカルパフェ事件

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    アニメ第一期の後半。前半がほのぼの日常系だっただけに、この夏期限定に入ってからの展開に驚愕したわけだけど、あらためて原作を読んでもやっぱり小佐内さんのキャラが強烈でとてもよかった。

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    2025年07月01日
  • 黒牢城

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    歴史小説でありながら、推理小説と言う
    全く新しいジャンルの小説でした。
    史実に基づいた描写もしっかりしており、
    歴史の知識も推理の知識も物凄く、作者の物凄さが判る小説でした。
    さすが直木賞を受賞した作品、と思いました。

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    2025年06月29日
  • 折れた竜骨 下

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    上巻とは違って盛り上がる場面がいくつもあり、最後の解決編も全く予想できない展開で非常に面白かった
    犯人を特定する場面でも一人ずつ除外できる理由を納得できる論理で述べていて、ファンタジーだから何とでもできるのではないかという疑いを覆してくれた
    唯一大変だったのは、中世時代の聞き慣れない登場人物の名前を覚えること...

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    2025年06月28日
  • あなたも名探偵

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    『伯林あげぱんの謎』は既読だったけれど、他は初読みでどれも楽しめた。

    前はアンソロジーって好みでない作品が必ずあったけれど、最近は本当におもしろい作品つめこみました!ってものが増えて嬉しい。

    ちなみに、どの作品も謎を解くことができなかった。
    それでも自分なりに推理して読むのはいいね。

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    2025年06月26日
  • 黒牢城

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    因果は巡り始める。

    歴史フィクションの中でも群を抜いて面白い、と思う(なんせ比較対象が少ない...)
    いや、すんごい面白い。はず。

    最初、日本歴史ものを読み慣れてないせいもあり、人の名前が入ってこない、漢字読めない、進まないと三重苦だったが、ご安心を、不思議と物語に吸い込まれるタイミングがやってくる。不思議ー

    戦国推理小説よろしく、章ごとにミステリーが展開され天才軍師の助言とも戯言とも取れない一言で大きく解決に繋がる。が、それは全て、一つの結果に繋がっていく。

    村重のリーダーシップ、嫌いじゃなかったよ。

    最後には全ての繋がりをしっかり回収し、代名詞の「戦わずして勝つ」を綺麗にまとめ上

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    2025年06月22日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    ネタバレ

    小鳩くんがひき逃げ事件に遭って入院している中、過去のひき逃げ事件に焦点を当てながら話が進んでいく
    が、実は過去の事件よりも現在の事件の方が恐ろしいことが起きているというどんでん返し
    特に小鳩くんが睡眠薬を飲まされていたことが発覚するところではぞくっとした…
    小市民シリーズは比較的ライトなミステリーだと思って読んでたけど、最後の最後に騙されてしまったなぁ

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    2025年06月22日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    ネタバレ

    春から始まり、別れを経験し互いを再確認した彼らにしか辿り着けない結末。
    最後の一文まで、小鳩と小佐内らしさ全開の世界観に魅了されました。
    小市民を志すきっかけになった中学時代に関しては、以前の巻から少し触れられてはいたが、彼らにはまだ解き明かしきっていない、日坂くんの事情があったとは。
    てっきり暴いてはいけないことの事情まで理解しているのかと思っていたが、中学時代に完全に解けきれなかったことが現在と交差していくのもとても面白かった。
    この2人にしかない空気感が大好きなので、季節が周り物語が閉じられてしまったことが非常に悲しい。

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    2025年06月22日
  • 夏期限定トロピカルパフェ事件

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    ネタバレ

    小市民シリーズはひと通り読み終えていますが、
    アニメ化されたので再読中です。

    夏期限定は隙を見せて誘拐させて復讐する小山内さんの本性わ描いた作品かな?

    何度か読み返すとまた新しい理解があり楽しめると思います、

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    2025年06月21日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    冬季限定として美しい終わり方をしたなと思いました。高校生としての締めくくりとしても美しかったです。続きがあって欲しいとも、ここで終わって欲しいとも思える素晴らしい作品でした。

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    2025年06月14日
  • 王とサーカス

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     米澤穂信作品では個人的に最も推せる一冊です。フリージャーナリストの太刀洗万智が登場するシリーズで、直木賞候補に挙がった連作短編『真実の一〇メートル手前』とは姉妹編とでも謂う可き作品。

     何と言っても異国情緒が素晴らしく、行間から尼婆羅の熱風が匂い立つようです。

     勿論ミステリとしても格別です。米澤穂信一流の"苦味"がエッセンスとして能く効いています。

     自分が尼婆羅と云う国に憧憬を抱く切っ掛けになった小説。

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    2025年06月13日