米澤穂信のレビュー一覧
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これ、アニメ化が決まったときはまだ影も形もなかったってすごくないですか。そこからこの前日譚を書き起こして、小鳩-小佐内コンビがなぜ小市民をめざすに至ったのか、小鳩くんがなぜ謎解きをするとき、いつも軽い自己嫌悪を感じるような振る舞いをするのか、とても納得のいく事件を設定する……。
それだけでなく、秋期限定では復讐の女神ネメシスなのかという、底知れぬこわさを感じさせた小佐内さんに、グッと来るせりふを言わせ。米澤穂信さん天才ですか。
わたしは「春季限定」だけ発売当時に読んで、あとはアニメをぜんぶ見終えてから順に読んでいったのだけど、ほんとにすばらしいシリーズだなと思う。「日常の謎」というのは、かな -
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最近のアンソロジーは本当に豪華というか、ハズレがなくおもしろいよね。
有栖川有栖『ミステリ作家とその弟子』は【砂男】で既読だったけれど、再読でも作家と弟子のやり取りがおもしろい。
退職代行とかZ世代とか、境界知能、ペロペロ動画に闇バイト…すごく今が詰まっている一冊だった。
何十年後かに読まれたら「あ~令和っぽい」ってなるんだろうな。
米澤穂信『供米』は途中まで「うーん、好きな米澤穂信ではない」なんて思ったけど、最後がすごく良くてさすが!という感じ。
中山七里『ハングマン-雛鵜-』は最後続きが気になる終わり方だったな。スッキリさせてほしい!
せっかくだから『祝祭のハングマン』を読んでみよう -
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ネタバレこれまで短編がメインだったこの<小市民>シリーズ、本作が突然長編になったことで、やや戸惑いを覚えた読者も多かったのではないかと思う。実を言うと自分もそうで、特に上巻は木良市内で発生する連続放火殺人事件が少しずつ盛り上がってくるとはいえ、どちらかというと常吾郎と小山内が別れた後のそれぞれの学生生活が描かれていて、冗長に感じる部分もあった。
これまで小市民として生きようとしてうまくいかなかった2人が、バラバラになって突然カップルとなり、それぞれの学生生活をそれなりに過ごしていく……という青春小説としては自然な展開ではあるが、この<小市民>シリーズでそういった展開を読みたかったかと聞かれれば、おそ -
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ネタバレ5つのリドルストーリーにあるはずのない結末5文が見つかってそれが現実の事件と、繋がってるという話。ひとつの話の中に5個の短編があって、小説の中で小説を読むという不思議な体験をした。一つ一つの話が、「黒白叶」が書いたという個性がはっきり分かって米澤穂信さんの書き分け力が素晴らしいなと思った。これは結局、母親が「死んでやる!」と言ってじさつをほのめかし、それを4歳だった娘が実際にやってしまって、父親がそれを隠したということで合ってるのかな?すごい、家族愛というか。それを隠し通したのはすごい娘への愛を感じた。でも結局、「俺は本当はやってないんだ!」って言うことをアピールしたかったんだなあ、と思い、ほ
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ネタバレ米澤穂信作品のなかで、いや、これまでに読んだ小説の中でも私にとって一、二を争うレベルの作品。時間を空けて読み直すたび、そう実感する。
偶然ネパールに居合わせたにすぎない太刀洗万智が、王族殺害事件の記事を書くことになる。取材していく中で、彼女は「なぜ書くのか」「なにをしたいのか」ということに向き合っていく。現実と地続きでありながらも異国情緒あふれるストーリーは、私たち読者にもある種の傲慢さを突きつけてくる。本格ミステリとして謎を解き明かした先にある真実には、いろんな意味で認識を反転させられる。
万智を見下ろす多数の子どもの目と、INFORMERの写真を見つめるラストシーンがとても心に残っている -
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ネタバレ米澤穂信の<小市民>シリーズの第3弾が本作になる。前作で主人公である常悟朗と小佐内の互恵的関係が切れた後の展開を描く本作だが 初の上下感ということで登場人物が多くかなり大掛かりな話となっている。
前作までは2人が一緒に行動していたために基本的には1人称で物語を語ろうが、3人称で物語を語ろうがあまり違いはなかったのだが。本作では2人が別々に動くので それぞれの人間模様が交互に描かれという形をとっている。そして驚くことに 本作では冒頭から2人がそれぞれカップルになるということもあり、二人の恋愛模様も描かれると....期待したのだが,この小市民シリーズではそんな甘い話は全く起こらない。
常悟朗も -
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ネタバレ小市民シリーズも5冊目となるとハイハイ、これは伏線ね。これ明らかに怪しいでしょ。と思いながらも、簡単に全てを明らかにさせない、かといって何が何やら分からん!とゆう複雑すぎない面白さ。そしてシリーズ最高の2人の相棒感。
上手く表現できないけれど、小鳩くんと小佐内さんが『小市民』を目指す、その前提全てが青春って感じですごく良かった。これでアニメの方も楽しめるかな。もしも大学生になった2人の話があるのなら、きっとそれはこのシリーズのような青春ミステリーでは無くなるんだろうなと思うけど、それはそれで読んでみたいなと思う。とりあえず小鳩くんは京都の大学に行くといいな。
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ネタバレわたしたちの伝説の一冊
最後の一文は前作の段階でそうなる事は分かっていたけれど、その文字に込められた意味合いが予想と正反対の熱いもので面食らった すごいな
中盤あたりまで苦々しい展開でどんな風に着地するんだろうと考えていたけど、その息苦しさを吹き飛ばす終盤のカタルシスがすごく良かった そんな前向きな決断だとは おもしれ〜
長い休日
この短編に今までの古典部における俸太郎の全てが詰まってて良い
最後の姉の言葉がじんわり染み入る
米澤穂信作品全般もそうだし"いまさら翼と言われても"にも強く感じるんだけど、どの作品も終わりの一文に深みがあって余韻が心地いい
遠回りする雛 -
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春夏秋冬が進んでいく合間の、たぶんおさこば1年生のこぼれ話を集めた短編集。各編の「地名+事物」という名づけかたは、エラリー・クイーンの国名シリーズのオマージュかな。
パティスリのお嬢さん、古城(こぎ)コスモスという少女が3編に登場して、なかなかいい味を出していて、特に書きおろしである「花府(フィレンツェ)シュークリームの謎」は名作。謎解きがトントンと小気味よいのに加えて、古城家の親子関係まで描いていてジンとくる。
「秋期」では小佐内さんの一筋縄ではいかない恐ろしさばかりが目立ってしまったけど、この短編集では、頭の回転のするどさはそのままに、どこまでもスイーツを愛し、ちょっと思いやりもある女 -
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アニメで「ひいっ」となった上であらためて読んだんだけど、やっぱりラストの小佐内さんのひと言で「ひいっ」となった。こわいよー(笑)
瓜野くんは、みずから招いたとも言えるけど災難だったね。小市民が手を出しちゃいけない相手だったんだ。ていうか、本物の小市民ならそれを自覚しなさいという残酷なストーリーでもあるのか。
で、小佐内さんと小鳩くんは、いくら小市民をめざそうとも本質的にむりで、小市民の皮をかぶることはできないんだとはっきり自覚する。ここまでぐるぐるとずいぶん遠回りだったのでは? でも、そうまでして「小市民」を目ざそうとした理由が(あるいは傷つきの記憶が)「冬期限定」で語られることになる。す -
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全編面白かった〜
なんて豪華な作家陣なの…!
ハラハラしたり驚いてみたり、あっという間に読み終えました。
夫の余命
余命わずかと知りながら結婚した2人。
時間を遡りながら思い出を振り返るが…
崖の下
スキー場で遭難した4人。
そのうち1人が他殺体で見つかる。
この何もない雪原で凶器は一体何…?
誰が殺したのか?
投了図
将棋ファンと夫と暮らしているが、地元でタイトル戦が開かれることになった喜ばしい時、なぜか夫の様子がおかしい。
孤独な容疑者
23年前に殺人を犯した男。
事件が再調査され…。
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