米澤穂信のレビュー一覧
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ミステリーの中の人間ドラマでした。
ジャーナリズムとは何か、中堅記者の主人公が身の回りで起こる事件に巻き込まれながらも、ひたすら考え抜く姿勢がとても好きだなと思った。
この時代は、まだ1人一台携帯電話を持っていない時代。情報はテレビ、新聞、ラジオ、雑誌に頼るしかなく、今より拡散もされにくい。
そんな主人公がまさに国際的な大事件の最前線にいる。冷静も持ち合わせながら、行動力もすごい。そのモチベーションは、記者としての使命感なのか、出世欲も垣間見えるのが人間らしくていい。
自分が報道する意味を問われ、悩みながらも、最終的に答えを見出す。
ミステリーとしてももちろん、こういう人間ドラマも熱いところが -
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ネタバレアニメ化されていない短編集(「連峰は晴れているか」だけはアニメ化された)ですが、脳内では各キャラクターがそのアニメの姿で登場し、各場面を思い描くことができました。特に挿絵もない本なのに、京アニさんのキャラデザはやはり素晴らしいですね。
奉太郎が省エネ主義になったいきさつも語られますが、姉の言葉を思い出したときに彼自身も「長い休日」が終わっていることに気づいたのではないでしょうか。
それゆえに、友の窮地をあれほど必死に助けようとしたのですね。
☆一つ減らしたのは、あの終わり方はないよ!という抗議?です。
すっきり終わらせてくれ~。
(追記)
「このミステリーがすごい!2025版」で古典部シリーズ -
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ネタバレ痛い。心に突き刺さるのは文章と北陸の冬の寒風。
自分が生まれてこなかった世界では自分がいる世界より尽くが上手く回っている、そして、その原因は自分の存在と自分の代わりに生まれてきた姉に起因する。
本来産まれてこなかった姉は持ち前の想像力と行動力で様々な問題を意識的に、時には無意識に解決していた。
本当に産まれてくるべきだったのはどっち?
こんなに自分の存在を否定された主人公がかつていたかな?
『 もう、生きたくない』と零した瞬間に元の世界へと戻される。これも酷く残酷だ。
無味無臭な人生において唯一意味のある存在であったノゾミは自らの死を望んでいる。こっちにこいと手招きしていた。
そこにラストのあ -
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ネタバレ荒木村重。ゲーム「信長の野望」で優秀な武将としてその名前は知っていたが、謀反を起こしたことやその生涯は知らなかった。本書でもなかなかの知将として描かれている。途中、その生涯を調べたくなる誘惑に駆られながら読み進めた。
籠城中の城内で事件が起き、村重が「探偵役」となって調べ、わからなくなって官兵衛にヒントをもらって解決、という流れが面白い。
3つの話の後、4つ目ではまさかの「黒幕」が。一つ一つの事件の伏線回収されスッキリ。この「黒幕」の語りには迫力があり考えさせられる。
そして、最後に官兵衛の真の狙いが明らかになる。
ミステリーではあるが、宗教などについて考えさせられる。また、人の世の中「信用」 -
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著者が得意とする高校生活を舞台とした作品ではあるが、これまで著者が生み出してきたキャラクターとは全く関係がない作品となっている。
形式としては著者の得意とする短編集となるが、出版にあたっては全てのストーリーが通して読めるように書き下ろしも含まれている。Wikipediaの初出一覧を見ると、最初に配置されている「913」は2012年、最後の「昔話を聞かせておくれよ」が2018年と、かなり時間をかけて書き継がれてきたことがわかる。著者はデビュー当初に比べてかなり内省的な作風になってきているが、長い期間をかけて書かれた本作は、最初からやや暗いテイストがあるものの、全体としては爽やかな終わり方をする -
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ネタバレ「本と鍵の季節」の続編。
スピンオフとかではなく、しっかり目の続編なので前作の状況がちらほら出てきて面白い。
個人的に好きなポイントは主人公格の堀川と松倉の知能水準が明らかに高くて推理力というか察する能力が高いところと「THE・友情」とは程遠く2人の関係性が友人というより同級生に寄っていてドライなところ。
内容は切り札と称して毒性植物のトリカブトの栞をばら撒く犯人を探すというもの。
王道なミステリーで伏線回収もしっかりされてて満足感が高い。変に「登場人物」って感じじゃなくて相手の感情を推し量ったり嘘をついたりというやり取りひとつひとつの人間味が強くて好み。 -
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米澤穂信さん、間違いなくおもしろい。
古典部シリーズや小市民シリーズも昔から好きなんですが、この方は男の子同士の気安いけどどこかひりつく感じの緊張感書きたいんだろうなーと思う。男女間の恋愛というより、人間の些細な心の揺れや表現の仕方に敏感に反応して推理していく過程が緻密で面白い。日常系ミステリの最初に上がる書き手さんだと思うけど、この日常がまた曲者だとも思う。
高校生も、ふとしたことで日常に犯罪が潜んでる。巻き込まれないように、人間関係を損なわないように、意外と綱渡りに生きてる。図書委員なんて荒事からは切り離されてそうな役員にすら、そんなスポットが当てられる作家ってすごいと思う。 -
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利用者が少なく、静かで寂しい高校の図書室。その貸出カウンターで静かに…いや、下らないことを言い合いながら業務をこなす図書委員の堀川次郎と松倉詩門。このふたりの元に、先輩から「開かずの金庫」を開けてほしいという依頼が舞い込みます。短編集の最初を飾るこの物語のタイトルは「913」。この数字が謎を解くヒントになっているのですが・・。
高校生とは思えないキレキレでロジカルな思考、そしてふたりの人間性の違いが絡み合った、独特な信頼関係が癖になる面白さです。
ふたりの何気ない日常会話や言葉の違和感から、絡み合った糸がほどけていくように謎が解けていく爽快感と、読後に訪れるほろ苦い余韻が胸に残ります。
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太刀洗万智シリーズを逆に読んでしまっている。
最後が1作目で、主役ではない
日常にある謎をメインに高校生による青春も感じさせるが、
ユーゴスラビアのマーヤとの出会いによって社会情勢を取り入れているので『青い』という言葉では終われない。
特に行動力に関していえば、高校生3年生という設定がまたもどかしさを助長させているように思う。
日常という世界から出るのが難しい。
しかし何だかんだ大人も『日常』に縛られている、というのは大人にならないと気付けない。
見た目通りの人間なんて、いない。
それはマーヤでも、太刀洗でも、きっとそうで、
決めつけてかかると痛い目みるよね。
-人間は、 殺されたお父 -
Posted by ブクログ
全く予備知識を持たないまま読んだが、まさか実際に起きたネパール王族殺害事件から始まる小説だとは思わなかった。
ネパールという国につき国名と位置関係くらいしか知識を持ち合わせていないため、地図を見ながら、知らない風俗を確認しながら、なるべく想像しながら読んでみた。
いろいろなテーマが並行している中、壮大かつダイナミックなミステリに引き込まれた。
米澤穂信さんの作品については、重苦しい内容なのだが読み進めずにはいられない、という印象だが本作も同様に期待通りの内容だった。
特に印象に残ったのは以下の2点だった。
・ラジェスワル准尉の考え方=自分に似た考え方
・主人公の近況にて「疑い、調べ、書き続けて -
Posted by ブクログ
本当に面白い本は冒頭からページを捲る指が止まらなくなり、気が付いたらその世界に没頭してしまう。こんな体感はかなり稀で、本当に価値のある作品は数年に一度しか出会わない。
僕が米澤穂信を好きになったのは「満願」と「王とサーカス」を読んだからで、その後、過去作も含めて読み漁り、「氷菓シリーズ」や「小市民シリーズ」等ののライトな作品や、「折れた竜骨」や「追想五断章」等数々の傑作と出会うきっかけになった。今回、再読になるが、改めてこの作品の面白さに取り憑かれ、二度目の余韻を感じている。
大刀洗万智が初登場した「さよなら妖精」は未読の作品でまだ読めていない。
今回は彼女が主人公であるが、一人の記者