米澤穂信のレビュー一覧

  • 秋期限定栗きんとん事件 下

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    非常に面白かった。
    同作家の古典部シリーズの登場人物が好感が持てるキャラクターが多いのと正反対で、この小市民シリーズは好感が持てる人物が全くいない。好感が持てるのは堂島くんぐらいで、メインの2人はクセの塊でサイコパスだとさえ感じる。そして、人が死なないだけで扱っている事件の題材も重めだ。
    それでありながら10代の未熟さと青春の爽やかさがあり、不思議な読み応えがある。
    そして読み終わって思ったのは小山内さんは絶対に敵に回したくないなでした。

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    2025年11月16日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    やっばい、マジ面白かった。
    お嬢様が集う読書会ミステリー…みたいな書き出しで、なんとなく「うふふ、あはは」みたいな感じ?と思っていたのに、全然違ってた。残酷感がたまらない。好き。
    ある程度、読書慣れしている方が読んだ方が、より楽しめるかもしれない。作者が直木賞受賞者とは知らず。通りで面白いわけだ、と納得。

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    2025年11月16日
  • 王とサーカス

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    ミステリーの中の人間ドラマでした。
    ジャーナリズムとは何か、中堅記者の主人公が身の回りで起こる事件に巻き込まれながらも、ひたすら考え抜く姿勢がとても好きだなと思った。
    この時代は、まだ1人一台携帯電話を持っていない時代。情報はテレビ、新聞、ラジオ、雑誌に頼るしかなく、今より拡散もされにくい。
    そんな主人公がまさに国際的な大事件の最前線にいる。冷静も持ち合わせながら、行動力もすごい。そのモチベーションは、記者としての使命感なのか、出世欲も垣間見えるのが人間らしくていい。
    自分が報道する意味を問われ、悩みながらも、最終的に答えを見出す。
    ミステリーとしてももちろん、こういう人間ドラマも熱いところが

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    2025年11月15日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    高貴なお嬢様が集う謎の読書サークル「バベルの会」その会員の周りで起こる悲惨で残酷な事件の数々。読書サークル「バベルの会」の真実と行末とは…

    米澤穂信さんの作品初読みでした。『氷菓』や「小市民シリーズ」の作者ということは知っていたのでイメージと全く異なった作風の本作に衝撃を受けました。
    館や屋敷が舞台で登場人物はお嬢様や給仕
    読み始めてすぐにこの世界観に心酔しました。
    5篇の短編で内容は理不尽で残酷なものばかりですが気品溢れる口調で綴られた物語にはどこか美しさすら感じます。
    この作品何といっても短編としての完成度と満足感が非常に高く、各物語の結末や最後の一文を読むとゾッと背中が凍るような感覚に

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    2025年11月14日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    ネタバレ

    おもしろかった!お気に入りは『山荘秘聞』。結末の予測の裏切られ方がすがすがしい!きもちいい!
    どの話も「最後の一撃」がすばらしい。

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    2025年11月14日
  • いまさら翼といわれても

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    ネタバレ

    アニメ化されていない短編集(「連峰は晴れているか」だけはアニメ化された)ですが、脳内では各キャラクターがそのアニメの姿で登場し、各場面を思い描くことができました。特に挿絵もない本なのに、京アニさんのキャラデザはやはり素晴らしいですね。
    奉太郎が省エネ主義になったいきさつも語られますが、姉の言葉を思い出したときに彼自身も「長い休日」が終わっていることに気づいたのではないでしょうか。
    それゆえに、友の窮地をあれほど必死に助けようとしたのですね。
    ☆一つ減らしたのは、あの終わり方はないよ!という抗議?です。
    すっきり終わらせてくれ~。
    (追記)
    「このミステリーがすごい!2025版」で古典部シリーズ

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    2025年11月09日
  • ボトルネック

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    ネタバレ

    痛い。心に突き刺さるのは文章と北陸の冬の寒風。
    自分が生まれてこなかった世界では自分がいる世界より尽くが上手く回っている、そして、その原因は自分の存在と自分の代わりに生まれてきた姉に起因する。
    本来産まれてこなかった姉は持ち前の想像力と行動力で様々な問題を意識的に、時には無意識に解決していた。
    本当に産まれてくるべきだったのはどっち?
    こんなに自分の存在を否定された主人公がかつていたかな?
    『 もう、生きたくない』と零した瞬間に元の世界へと戻される。これも酷く残酷だ。
    無味無臭な人生において唯一意味のある存在であったノゾミは自らの死を望んでいる。こっちにこいと手招きしていた。
    そこにラストのあ

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    2025年11月03日
  • 黒牢城

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    ネタバレ

    荒木村重。ゲーム「信長の野望」で優秀な武将としてその名前は知っていたが、謀反を起こしたことやその生涯は知らなかった。本書でもなかなかの知将として描かれている。途中、その生涯を調べたくなる誘惑に駆られながら読み進めた。
    籠城中の城内で事件が起き、村重が「探偵役」となって調べ、わからなくなって官兵衛にヒントをもらって解決、という流れが面白い。
    3つの話の後、4つ目ではまさかの「黒幕」が。一つ一つの事件の伏線回収されスッキリ。この「黒幕」の語りには迫力があり考えさせられる。
    そして、最後に官兵衛の真の狙いが明らかになる。
    ミステリーではあるが、宗教などについて考えさせられる。また、人の世の中「信用」

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    2025年11月02日
  • 黒牢城

    購入済み

    直木賞には歴史物が有利

    知勇兼備の名将荒木村重が織田信長に叛逆し、有岡城で籠城。籠城中に様々な事件が起きるものの、牢に囚われた名軍師黒田官兵衛が安楽椅子探偵風に謎解きをしていく。歴史&ミステリの直木賞作品で、悪くはない。🏯しかし、米澤穂信の青春ミステリファンとしては、米澤が落選続きの直木賞受賞を狙って、受賞に「有利な」歴史物を、あえて執筆したような気がした。本作は軽妙洒脱な「いつもの」米澤成分が足りないのだ。果たして、受賞第一作は青春ミステリ。ライト文芸ファンの想いが垣間見れる。🏯

    #タメになる

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    2025年11月01日
  • 黒牢城

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    時代物の小説をあまり読まないのと戦国時代が苦手で知識も乏しいゆえに、大好きな米澤穂信さんの本なのになかなか手が伸びなかったのだけど。最後まで読んでよかった。よく知らない人物や城を調べながら読むのも楽しかったです。最初は籠城とはいえどまだ開放感があったのに、ゆっくりと閉塞感で満ちていくのがお見事。

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    2025年11月01日
  • 黒牢城

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    織田信長の家臣有岡城主となった摂津守荒木村重が謀反、同じ高槻城の高山右近、茨木城の中川瀬兵衛などが織田側へ寝返り、秀吉の命で使者となった黒田官兵衛は有岡城の地下牢に閉じ込める。城内では中川家の人質が何者かに殺害されるという事件、手柄の首がすり替えられる事件、「五本鑓」の中でも刀法の抜群の遣い手である秋岡四郎介が何者かに斬殺される事件、そして「寅申」が庵より持ち去られ、密書も読まれた形跡の事件、内通していた武士が雷で死亡するが実は鉄砲での事件とみなされるが犯人が見つからず等。城内での様々な事件と長い籠城戦が城主と家臣との信頼を揺るがし「不忠の風聞」を起こした。城主として取った行動は関係者への対面

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    2025年11月01日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    ミステリの短編集となっているこの作品。読んでいて非常に印象的だった話が1つあった。「玉野五十鈴の誉れ」である。特に最後の1行で非常に感極まって声を上げてしまった。それほどに衝撃的だった。短編集だから読みやすく、普段本を読まない人にもオススメしたい。

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    2025年10月29日
  • 本と鍵の季節

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    著者が得意とする高校生活を舞台とした作品ではあるが、これまで著者が生み出してきたキャラクターとは全く関係がない作品となっている。

    形式としては著者の得意とする短編集となるが、出版にあたっては全てのストーリーが通して読めるように書き下ろしも含まれている。Wikipediaの初出一覧を見ると、最初に配置されている「913」は2012年、最後の「昔話を聞かせておくれよ」が2018年と、かなり時間をかけて書き継がれてきたことがわかる。著者はデビュー当初に比べてかなり内省的な作風になってきているが、長い期間をかけて書かれた本作は、最初からやや暗いテイストがあるものの、全体としては爽やかな終わり方をする

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    2025年10月26日
  • 黒牢城

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    ネタバレ

    信長に謀反を起こした荒木村重を主人公に、囚われの黒田官兵衛が安楽椅子探偵となる異色の時代小説ミステリ。著者初の時代小説となる本作で、以前の『可燃物』などを読んでいると分かる通り、小説の内容に合わせて文体を変えられる作家と知ってはいたものの、いざ読むとこれほどまでに時代小説に適応しているとは思わなかった。元々、教科書に残り続けるような「古びない」文体を得意としているが、本作は時代小説特有の言い回しがそれに合致しており、違和感がないどころかかなり本格派の時代小説に仕上がっている。『氷菓』などのイメージで読むと面食らうかもしれないが、言い回しがややクセが強いだけで、信長をぼんやりと知っている程度の歴

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    2025年10月21日
  • 黒牢城

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    戦国時代✕ミステリーという異色作。
    時代物らしい語句と言葉遣いだけど読みやすい。
    ミステリー部分も面白いけど、籠城の中でどんどん行き詰まっていく閉塞感を感じられる雰囲気もいい。

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    2025年10月15日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    小市民シリーズ第4巻。

    小鳩くんが交通事故に遭い、入院生活を送ることに。実は似たようなひき逃げ事件が中学3年生の時に起こっていて…小鳩くんと小佐内さんが3年越しのひき逃げ事件の真相を探す話。 

    小鳩くんと小佐内さんの中学生の時の初めての出会いも知れて、長い2人の関係性をなんだか羨ましく思った。

    これからも続いてほしいシリーズ!

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    2025年10月15日
  • 黒牢城

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    作者が時代小説をこれほどものにしているのには驚いた。時代小説とミステリーの見事な融合。時代物が苦手だという方もこれならば充分楽しめるだろう。ハンニバル・レクターのように牢の中から村重にヒントを与える官兵衛の不気味さがいい。

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    2025年10月10日
  • 栞と嘘の季節

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    ネタバレ

    「本と鍵の季節」の続編。
    スピンオフとかではなく、しっかり目の続編なので前作の状況がちらほら出てきて面白い。

    個人的に好きなポイントは主人公格の堀川と松倉の知能水準が明らかに高くて推理力というか察する能力が高いところと「THE・友情」とは程遠く2人の関係性が友人というより同級生に寄っていてドライなところ。

    内容は切り札と称して毒性植物のトリカブトの栞をばら撒く犯人を探すというもの。
    王道なミステリーで伏線回収もしっかりされてて満足感が高い。変に「登場人物」って感じじゃなくて相手の感情を推し量ったり嘘をついたりというやり取りひとつひとつの人間味が強くて好み。

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    2025年10月10日
  • 巴里マカロンの謎

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    なんとなくで読んでなかったことを後悔するくらいおもしろかった
    この2人の話を読み終わってしまったのは寂しいけど
    読めてよかった

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    2025年10月09日
  • ボトルネック

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    SNSでも「救われないミステリ」として紹介され、興味があった分期待も大きかった。
    所謂パラレルワールド物で、賛否はあるだろうがSFミステリとしての完成度や著者が伝えたいメッセージが渾々と伝わってきた。
    ラストの一文が主人公の人生をどう左右するのか、想像しながら誰かと語り合いたくなる、極限まで心理に迫る作品。

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    2025年10月09日