米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
米澤穂信さん、間違いなくおもしろい。
古典部シリーズや小市民シリーズも昔から好きなんですが、この方は男の子同士の気安いけどどこかひりつく感じの緊張感書きたいんだろうなーと思う。男女間の恋愛というより、人間の些細な心の揺れや表現の仕方に敏感に反応して推理していく過程が緻密で面白い。日常系ミステリの最初に上がる書き手さんだと思うけど、この日常がまた曲者だとも思う。
高校生も、ふとしたことで日常に犯罪が潜んでる。巻き込まれないように、人間関係を損なわないように、意外と綱渡りに生きてる。図書委員なんて荒事からは切り離されてそうな役員にすら、そんなスポットが当てられる作家ってすごいと思う。 -
Posted by ブクログ
利用者が少なく、静かで寂しい高校の図書室。その貸出カウンターで静かに…いや、下らないことを言い合いながら業務をこなす図書委員の堀川次郎と松倉詩門。このふたりの元に、先輩から「開かずの金庫」を開けてほしいという依頼が舞い込みます。短編集の最初を飾るこの物語のタイトルは「913」。この数字が謎を解くヒントになっているのですが・・。
高校生とは思えないキレキレでロジカルな思考、そしてふたりの人間性の違いが絡み合った、独特な信頼関係が癖になる面白さです。
ふたりの何気ない日常会話や言葉の違和感から、絡み合った糸がほどけていくように謎が解けていく爽快感と、読後に訪れるほろ苦い余韻が胸に残ります。
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Posted by ブクログ
太刀洗万智シリーズを逆に読んでしまっている。
最後が1作目で、主役ではない
日常にある謎をメインに高校生による青春も感じさせるが、
ユーゴスラビアのマーヤとの出会いによって社会情勢を取り入れているので『青い』という言葉では終われない。
特に行動力に関していえば、高校生3年生という設定がまたもどかしさを助長させているように思う。
日常という世界から出るのが難しい。
しかし何だかんだ大人も『日常』に縛られている、というのは大人にならないと気付けない。
見た目通りの人間なんて、いない。
それはマーヤでも、太刀洗でも、きっとそうで、
決めつけてかかると痛い目みるよね。
-人間は、 殺されたお父 -
Posted by ブクログ
全く予備知識を持たないまま読んだが、まさか実際に起きたネパール王族殺害事件から始まる小説だとは思わなかった。
ネパールという国につき国名と位置関係くらいしか知識を持ち合わせていないため、地図を見ながら、知らない風俗を確認しながら、なるべく想像しながら読んでみた。
いろいろなテーマが並行している中、壮大かつダイナミックなミステリに引き込まれた。
米澤穂信さんの作品については、重苦しい内容なのだが読み進めずにはいられない、という印象だが本作も同様に期待通りの内容だった。
特に印象に残ったのは以下の2点だった。
・ラジェスワル准尉の考え方=自分に似た考え方
・主人公の近況にて「疑い、調べ、書き続けて -
Posted by ブクログ
高校の図書委員男子二人組の物語、第二弾である。
こう記すと、なかよし二人組かつ華やかな青春をイメージするが、そういうことはまったくない。
互いの基質は理解しているけれど、相手を尊重するゆえに素性を互いによく知らぬというスタンス。
そして本に挟み置き忘れた一枚の栞から物語は始まる。
栞ひとつでここまで話が膨らむとは!!!
そして学校という場所が、これほど怖い場所だとは!!
ラストのオチも、高校生で舞台が学校にふさわしい。
後半は息継ぐ暇もないほどの展開だ。
圧巻だけれど、少なくとも本作を読んた成人済みの方で、
この本を読んだから高校生に戻りたい、
と思う人はあまりいないのではなかろうか。
そ -
Posted by ブクログ
本当に面白い本は冒頭からページを捲る指が止まらなくなり、気が付いたらその世界に没頭してしまう。こんな体感はかなり稀で、本当に価値のある作品は数年に一度しか出会わない。
僕が米澤穂信を好きになったのは「満願」と「王とサーカス」を読んだからで、その後、過去作も含めて読み漁り、「氷菓シリーズ」や「小市民シリーズ」等ののライトな作品や、「折れた竜骨」や「追想五断章」等数々の傑作と出会うきっかけになった。今回、再読になるが、改めてこの作品の面白さに取り憑かれ、二度目の余韻を感じている。
大刀洗万智が初登場した「さよなら妖精」は未読の作品でまだ読めていない。
今回は彼女が主人公であるが、一人の記者