米澤穂信のレビュー一覧

  • さよなら妖精

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    古典部シリーズや小市民シリーズみたいな感覚で読み始めたら、最後にズドンとものすごく重たい話だった。

    「ユーゴスラビアってなんか戦争とかしてた辺りだよね」くらいの知識とも呼べない知識しかなく、調べながら読んだ。
    “なんか戦争とかしてた辺り”と思ったことが、読後すごく恥ずかしく感じた。
    たった一人でも大切な人がいるだけで、何もできないけど、だからこそ心乱れる気持ちを忘れずにいたいと思う。
    今だって世界のあちこちで、戦争や紛争が日常の場所があって、それでも日本で知るニュースでは「まだ戦争やってんのか」と感じる程度。
    大人になると仕方ないで済ませてしまうこの気持ちを、10代のひたむきな目線で感じられ

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    2026年05月22日
  • さよなら妖精

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    過去に読んだものでも同じような感動があるとは限らない。だが、過去に読んだ本を再び開いた時、ああ、確かにこの本のここで感動したのだと思い出す事はある。
    米澤の作品はいつだって甘くない。甘いものが作品のあちこちに登場するのは今の内に甘いものを食べて苦さに備えておいて下さいよ、という気遣いなのかもしれない。
    遠い国からやって来たマーヤと出会うおれたち、そのやりとりは謎と異文化に溢れている。物語は突然、橋を外されたかの如く顔色を変えて結末に向かう。この展開が実にらしいのだが、今の時代を見ると悲しみに胸を打たれる、どころではなく刺されたような気持ちになる。

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    2026年05月21日
  • 黒牢城

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    ネタバレ

    ○ 特殊設定への期待
    「自分は新たな”新本格”運動のはじまりを目にしているのだろうか?」との思いを抱きながら本書を読んでいた。
    新装改訂版の『十角館の殺人』の解説で「新本格が一般化して現代本格となり、時間が経つとその型を破る新たな新本格が現れてくる」という流れが過去何度も繰り返されてきたことを知った。綾辻らから始まった現代の新本格も30年(= 一世代)を優に超える時間が経ち、新しいムーブメントがいつ起きてもおかしくない頃合いであると思っている。本書も含む2010年代後半からの硬派な特殊設定ミステリーの秀作達の出現は、次のミステリーへの動きなのかもしれない。

    すでに『十角館の殺人』内でも問題に

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    2026年05月21日
  • 王とサーカス

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    ジャーナリストや報道の在り方を、そしてそれを受け取る側の本心を、こんなにも深く考えさせられる。
    中途半端な手の差し伸べ方は、何もしないよりも残酷なのかもしれない。

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    2026年05月20日
  • インシテミル

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    高額報酬に惹かれて集まった参加者たちが、閉ざされた暗鬼館で極限状況に置かれていく心理サスペンスとして、とても読み応えがあった。特に印象に残ったのは、結城の視点で進みながらも、登場人物それぞれの思惑が少しずつ見えてくる構成。終盤に向かうほど作品全体の緊張感が増し、読者として「誰をどこまで信じるべきか」を常に考えさせられ、とても面白かった。
    また、須和名の存在感が独特で、前面に出続けるタイプではないのに、ふとした場面で空気を変える不気味さが強く記憶に残る。
    全体として、派手な演出だけで押し切るのではなく、人間の疑念や欲望を丁寧に積み重ねていくタイプの作品で、先の読めなさと不穏さが楽しめた。

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    2026年05月19日
  • 黒牢城

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    10か月におよぶ籠城という閉ざされた空間で起きる怪事件を、城主荒木村重が城内の土牢に監禁していた当代きっての知恵者黒田官兵衛に助力をあおぎながら解決していくという、もっとエンタメに振り切った戦国ミステリーなのかと思ったら、ミステリー味のある堂々たる歴史小説だった。

    あまり幅広い作家の歴史小説を読んでいるわけでないので正確な指摘ではないかも知れないが、武将たちの作法の細かい描写(対面の時に会談の内容やお互いの身分によってどういう部屋が使われているか、戦時下なので武具を装備しているが、その時それらのどこまでを身に着けてどこは外しているか、軍議や伝令の合図の陣太鼓の使われ方や音の伝わり方、砦や城内

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    2026年05月19日
  • 黒牢城

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    歴史物と聞いてしばらく読まずにいたが、とんでもない。やはり米澤穂信だった。歴史物にこんな形で米澤穂信ミステリーが織り込まれるとは。史実を知らぬ方が最後まで楽しめた(だろう)。村重や官兵衛の情報が何もなくても最高のエンターテインメントを味わえるでしょう。

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    2026年05月18日
  • 可燃物

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    葛刑事が事件をするまでの過程が丁寧に描かれており、実際に自分が刑事になって事件を解決していく気持ちになれて面白かった。
    事件を解決していくにあたり、関係機関から情報を集めていくのも、簡単に提供して貰えなかったりとリアルに描かれていたのが印象的だった。

    本作は表題作を含めた短編5作品となっているが、刑事側の登場人物は共通であり、事件の種類も異なっていて飽きずに読むことが出来た。
    どれも事件性が異なり、推理している気持ちになって面白かった。

    警察を志す人にはぜひ読んでほしい作品である。

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    2026年05月15日
  • ボトルネック

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    かなり読みやすかった。ミステリは添えられているだけで,タイトルを回収するための作品だった。
    米澤さんは,はじめにこの作品の構想があって,古典部シリーズなどで作文力を付けてから書いたらしく,昔から作品に込めたかったメッセージというものは強く感じた。
    高2くらいの時に読みたかった。

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    2026年05月15日
  • 黒牢城

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    ネタバレ

    どっしり重いのにどこか軽妙。
    ずっと気になっていたが、あらすじの重さ、表紙の圧迫感(笑)から読み時をうかがい続けていたが、映画化と聞いてもはやこれまでと手に取った。

    米澤穂信の文章はとても気持ちがいい。文学してるぜぇーって気持ちになれる。声に出したい日本語が山ほどある。
    荒木村重の苦悩、同じ才覚を持つ「城の地の下にいる者」、黒田官兵衛。二人の認め合う関係性が堪らない。
    そして何よりも千代保が美しすぎる。「いつわりの奇瑞が人を救うのもまた、この世の習いではございますまいか」からの辞世の句までの美しさ。見事だ。

    家を存続させるために、誉れ高く生きる。
    宗門の教えを胸に極楽浄土を目指して生きる。

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    2026年05月15日
  • 黒牢城

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    映画の告知を見て、気になって手に取りました。時代背景が良く分かるように書かれてあり、武士の生き様や宗教への考え方、生と死の向き合い方等、今の時代より死ぬことが身近にあった時代だったんだなと思いました。全く登場しない信長ですが、いかに恐れられた存在なのかよくわかります。ミステリー要素もありつつ、それを凌駕するほどのヒューマンドラマです。もう一回読み直してみたいです。

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    2026年05月11日
  • 満願(新潮文庫)

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    プロローグ

    あんちゃん、背中が透けてるよ
    “ロン”
    タン、ピン、イーペイ、ドラ1
    “満貫!!!”

    親満なので12,000点いただくよー
    マンガン!?

    満願…(_ _;)!?



    本章
    『満願』万感の★5

    ゾッとする短編集
    ザッとあらすじを

    『夜警』
    正当防衛で犯人を射殺した新人警察官の川藤
    全部で5発発砲している
    犯人には、4発撃ったが5発目の行方は如何に!?

    『死人宿』
    3人の宿泊者
    残された遺書から、自殺願望の宿泊者を探し出せたのも束の間、違う宿泊者も…
    何が間違っていたのか否か!?

    『柘榴』
    恵まれた容姿に生まれ育ったさおり
    意中の相手を射止めて結婚し、子供も女の子2人を

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    2026年05月09日
  • 満願(新潮文庫)

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    ネタバレ

    万灯が1番好き。伊丹が作中以前にも悪辣なことは散々して来たことが伺えた。でなければ森下との事後の対比に説明がつかない。
    関守もおすすめ。話のオチに気づいた時には既に遅かった。ばあさんと話しているのが自分であっても犠牲になっていただろう。
    柘榴はさすがにちょっと。。生理的に受け付けないとはこのための言葉か。

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    2026年05月08日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    最後にひっくり返されるような短編集だった。
    それぞれ別の文章のようで繋がってるところがあるのも楽しめた。
    特に4番目の話はすごくゾクゾクした。とっても面白い!

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    2026年05月07日
  • 可燃物

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    面白い短編集でした。
    主人公の観察力が素晴らしく、ストレス無く読めます。
    人間ドラマというよりは、事件があり、手がかりや証拠を見つけ出し、動機を探る、刑事ドラマです。
    しかし犯人をはじめとする登場人物の心情を確かに感じることができ、良いスパイスになっています。

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    2026年05月07日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    何度も読み返した一冊です。
    他作品でもそうですが、米澤穂信先生は読者を愕然とさせるような、心の隙を突くのが上手ですね。
    じんわりと心の昏いところに残り続けるお話が楽しめます。
    一番好きな短編集は?と聞かれたら、こちらを挙げると思います。

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    2026年05月06日
  • ボトルネック

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    ネタバレ

    パラレルワールド的な世界で自分は実は必要なかったのでは…という結末に至るまで、
    非常に先の読めない展開や、
    少しずつ不穏になっていく感じが面白かった。

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    2026年05月06日
  • 栞と嘘の季節

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    個人的には続編のこの「栞と嘘の季節」の方が好き。終始読みやすかった!ほろ苦い読後感たまらん…
    こんな高校生おらんてーーーー
    バディものってだけでワクワクするけど、どっちも対等な感じがいいんよなぁ
    今もどこがで地味〜に堀川と松倉が事件ほどでもない事件を解いたりしてるのかな。
    次もあったら絶対読みたいシリーズ!

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    2026年05月06日
  • ボトルネック

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    意外に皆さんあまり良い感想ではないように見受けられますが、私が読んだのが思春期のときだったからでしょうか、私はこのラストが好きです。ズンとはくるものの、嫌な感じはしないという後味でした。バットエンドとも少し違うような…。
    思春期、特に中学生にオススメしたいと、個人的に思う作品です。

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    2026年05月06日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    短編小説集かと思ったら、全体的にゆるく繋がる連作集だった。作者の他の作品は「小市民」シリーズしか読んでいないが、「おとなしくて淑やかで一見無害に見えるけど、内に毒を隠し持っている女性」を描くのがとても上手いなぁ、と改めて思う。麗しくて怖いファムファタールがこれでもかというくらい楽しめる1冊。昭和の犯罪小説を想起させるような時代設定も、女性たちの「毒」を美しく引き立たせる効果を醸し出しているように感じた。「山荘秘聞」が、最後まで「どうなるのか?!」が読めなくて面白かった。「玉野五十鈴の誉れ」はオチが衝撃的だった。

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    2026年05月03日