米澤穂信のレビュー一覧

  • 本と鍵の季節

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    米澤穂信さん、間違いなくおもしろい。
    古典部シリーズや小市民シリーズも昔から好きなんですが、この方は男の子同士の気安いけどどこかひりつく感じの緊張感書きたいんだろうなーと思う。男女間の恋愛というより、人間の些細な心の揺れや表現の仕方に敏感に反応して推理していく過程が緻密で面白い。日常系ミステリの最初に上がる書き手さんだと思うけど、この日常がまた曲者だとも思う。
    高校生も、ふとしたことで日常に犯罪が潜んでる。巻き込まれないように、人間関係を損なわないように、意外と綱渡りに生きてる。図書委員なんて荒事からは切り離されてそうな役員にすら、そんなスポットが当てられる作家ってすごいと思う。

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    2025年10月05日
  • 本と鍵の季節

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    利用者が少なく、静かで寂しい高校の図書室。その貸出カウンターで静かに…いや、下らないことを言い合いながら業務をこなす図書委員の堀川次郎と松倉詩門。このふたりの元に、先輩から「開かずの金庫」を開けてほしいという依頼が舞い込みます。短編集の最初を飾るこの物語のタイトルは「913」。この数字が謎を解くヒントになっているのですが・・。
    高校生とは思えないキレキレでロジカルな思考、そしてふたりの人間性の違いが絡み合った、独特な信頼関係が癖になる面白さです。
    ふたりの何気ない日常会話や言葉の違和感から、絡み合った糸がほどけていくように謎が解けていく爽快感と、読後に訪れるほろ苦い余韻が胸に残ります。

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    2025年10月05日
  • 満願(新潮文庫)

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    1話1話があまりに見事なミステリー短編集
    殉職した警察官の隠そうとした真実を解明する「夜警」と、バングラデシュでビジネスのため人を殺した男に与えられた裁きを描く「万灯」が特に秀逸。
    久しぶりに星5レベルの一冊。オススメしたい。

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    2025年10月03日
  • ボトルネック

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    「最後の一行」が強調される意味がわかった
    成程、読み手によって心に重く響くのか軽やかな気持ちになるのかで分かれそう
    私は最初は前者、色んな解説読んで後者もありと思った
    一から複数の可能性を見出す系の思考力で殴るSFミステリ
    軽くて重かった

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    2025年10月01日
  • 儚い羊たちの祝宴

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    ネタバレ

    好き
    上流階級独特の言い回しで、グロさが少なく読みやすい。ある意味純粋で目的にまっすぐ。
    アミルスタン羊とか、メデューズ号の筏とか、文化的?教養がもっと自分にあればいいなと思った。調べて一つ一つ自分の物にしたい。

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    2025年09月30日
  • いまさら翼といわれても

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    これまでより古典部のメンバーの内面に踏み込んでいくお話が多く、読んだあとはほろ苦さのを感じる。奉太郎の過去の話はなんだか不憫だけれど奉太郎らしいなとも思ったり。「連峰は晴れているか」「私たちの伝説の1冊」「いまさら翼といわれても」が同率で好き。思いがけず開けた未来を前に立ちすくんでしまった千反田のこの後が気になるのに、新作が出ずこの続きをもう6年待っている…。そろそろ古典部メンバーにまた会いたいなあ

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    2025年09月30日
  • 可燃物

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    短編が5本だが、最後の最後で真相が明らかになるパターンだったので、最終ページをドキドキして捲った.葛警部の脳裏に何か引っかかるものが出てきて、それが真相に結び付く.放火犯人を突き止める表題作「可燃物」も良かったが、最後の「本物か」が楽しめた.カラスミパスタの調理時間が重要になるとは予測できない.

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    2025年09月29日
  • 本と鍵の季節

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    どっちも探偵だけど、ジャンルが違うってすごい新鮮だし、この人だからこそ書き分けられる心理描写というかキャラ分けというか、とにかく面白すぎ

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    2025年09月28日
  • ボトルネック

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    ジョブスが死んでもAppleは潰れていない。ジョブスでさえ代わりはいる。だから自分の変わりなんていくらでもいる。

    カズレーザーさんの言葉と記憶してます。この後、だから気楽に生きようとなるか、生きてる価値なんてないとなるのか、それは本人次第ですが。

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    2025年09月21日
  • さよなら妖精

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    太刀洗万智シリーズを逆に読んでしまっている。
    最後が1作目で、主役ではない

    日常にある謎をメインに高校生による青春も感じさせるが、
    ユーゴスラビアのマーヤとの出会いによって社会情勢を取り入れているので『青い』という言葉では終われない。

    特に行動力に関していえば、高校生3年生という設定がまたもどかしさを助長させているように思う。
    日常という世界から出るのが難しい。
    しかし何だかんだ大人も『日常』に縛られている、というのは大人にならないと気付けない。

    見た目通りの人間なんて、いない。
    それはマーヤでも、太刀洗でも、きっとそうで、
    決めつけてかかると痛い目みるよね。

    -人間は、 殺されたお父

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    2025年09月19日
  • 王とサーカス

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    全く予備知識を持たないまま読んだが、まさか実際に起きたネパール王族殺害事件から始まる小説だとは思わなかった。
    ネパールという国につき国名と位置関係くらいしか知識を持ち合わせていないため、地図を見ながら、知らない風俗を確認しながら、なるべく想像しながら読んでみた。
    いろいろなテーマが並行している中、壮大かつダイナミックなミステリに引き込まれた。
    米澤穂信さんの作品については、重苦しい内容なのだが読み進めずにはいられない、という印象だが本作も同様に期待通りの内容だった。
    特に印象に残ったのは以下の2点だった。
    ・ラジェスワル准尉の考え方=自分に似た考え方
    ・主人公の近況にて「疑い、調べ、書き続けて

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    2025年09月18日
  • 栞と嘘の季節

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    読みやすいこともあり、するすると読み進めて、終わってしまった。物語の終わり方、好きだなぁ。
    ミステリとしても面白かった、とても論理的で。ただ、青春のほうにどうしてもフォーカスしてしまう。こんな青春を送ったわけでもないし、送りたかったとも思わないけども、松倉と堀川のやりとりが、とても眩しく感じる。もう二度と戻らない。だからこその尊さ。

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    2025年09月18日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    ネタバレ

    小市民シリーズの中で1番面白かったです!

    今までとは少し変わり、過去の回想であったりと主人公たちが大きく動くということはないものの、過去の話と絡めながら面白く、そしてミステリー要素ありでよかったです。

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    2025年09月16日
  • 冬期限定ボンボンショコラ事件

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    再読。小山内さんと小鳩くんの、高校生活と小市民の時代の終わりの物語。小鳩君が轢き逃げに遭うショッキングな始まりだったけれど、病院で安楽椅子探偵状態の小鳩くんと犯人を探す小山内さんの連携プレーはさすが。小鳩くん達が小市民を目指すきっかけとなった苦い過去も絡んでくる展開が面白かった。これで完結と思うとすごく寂しい。大学生編もあると良いのになあ…

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    2025年09月10日
  • 栞と嘘の季節

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    高校の図書委員男子二人組の物語、第二弾である。
    こう記すと、なかよし二人組かつ華やかな青春をイメージするが、そういうことはまったくない。
    互いの基質は理解しているけれど、相手を尊重するゆえに素性を互いによく知らぬというスタンス。
    そして本に挟み置き忘れた一枚の栞から物語は始まる。

    栞ひとつでここまで話が膨らむとは!!!
    そして学校という場所が、これほど怖い場所だとは!!

    ラストのオチも、高校生で舞台が学校にふさわしい。
    後半は息継ぐ暇もないほどの展開だ。
    圧巻だけれど、少なくとも本作を読んた成人済みの方で、
    この本を読んだから高校生に戻りたい、
    と思う人はあまりいないのではなかろうか。

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    2025年09月05日
  • 満願(新潮文庫)

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    一つ一つの密度が高くて話としても完成しててめちゃくちゃ面白かった
    主人公が全員有能でいらいらしないのも個人的にハマった

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    2025年09月04日
  • 栞と嘘の季節

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    読み進めていくにつれ、嘘と謎が深まっていくが、最後には全てがきれいに繋がって、読み終えた後には、すごかったの感想しか出てこなかったです。
    面白かった。

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    2025年08月31日
  • 王とサーカス

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    本当に面白い本は冒頭からページを捲る指が止まらなくなり、気が付いたらその世界に没頭してしまう。こんな体感はかなり稀で、本当に価値のある作品は数年に一度しか出会わない。
     僕が米澤穂信を好きになったのは「満願」と「王とサーカス」を読んだからで、その後、過去作も含めて読み漁り、「氷菓シリーズ」や「小市民シリーズ」等ののライトな作品や、「折れた竜骨」や「追想五断章」等数々の傑作と出会うきっかけになった。今回、再読になるが、改めてこの作品の面白さに取り憑かれ、二度目の余韻を感じている。

     大刀洗万智が初登場した「さよなら妖精」は未読の作品でまだ読めていない。
     今回は彼女が主人公であるが、一人の記者

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    2025年08月31日
  • 王とサーカス

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    ネタバレ

    米澤穂信さんの作品は、まずタイトルが好きです。この内容を、「王とサーカス」というタイトルで表現される感性が素晴らしい。
    「さよなら妖精」のシリーズとして読みましたが、まさか主人公が万智だとは!
    日本が舞台の「さよなら妖精」から、今度はネパールへ。
    描写が丁寧なので、本当にネパールに行った気分にもなりました。
    事件を調べていく上でバラバラだったものが、記事をまとめるようにどんどん明らかになっていって、
    犯人が誰だったのかの先にある真実……
    報道しない選択、ジャーナリズムの在り方について問うような、そんな物語でした。

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    2025年08月30日
  • 満願(新潮文庫)

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    「満願」やっと読みました。
    短編が6篇、それぞれ独立した内容ですが
    漂う雰囲気はどれもほの暗い感じ。
    全部違う読み味で、しかもミステリーとしての面白さが堪能でき、グイグイ読みました。
    ゾワゾワしたのが「夜警」「万灯」
    ちょっとポーっとしてしまったのが「柘榴」
    「死人宿」「関守」「満願」はちょっと謎解き要素もあって面白いのですが、読後に残るなんとも言えなさがいいですね。

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    2025年08月29日