【感想・ネタバレ】さよなら妖精のレビュー

あらすじ

【注意】この作品はiOSとAndroidでのみご覧いただけます。

一九九一年四月。雨宿りをする一人の少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国したとき、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶の中に――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。著者の出世作となった清新なボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

若者の全能感、思い上がり、浅慮さを叩きのめしてくる良いビターな青春ミステリーだった。
上記は米澤穂信によくあるテーマであるけれど、推理をしたところで手遅れだろう?と突きつけてくるのは今までになかった(気がする)ので新鮮で楽しい。

日常という舞台は人物の人格や思惑の輪郭をぼやけさせる効果があると思う
守屋の万智、マーヤ、そして自分自身の内面に対する不理解が読者を突き放すような冷たさであと味が悪い。

しかしあと味の悪さだけで終わらないのが本作の素晴らしいところであり、解説を含めた解釈になってしまうが守屋はいつか憧れたマーヤの場所まで届くのだろうと思わせてくれるラストなのが良かった。
米澤穂信のその他の作品だと突き放したまま嫌な雰囲気で終わるのが多いので、そこの違いが面白いと思う。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

太刀洗万智シリーズを逆に読んでしまっている。
最後が1作目で、主役ではない

日常にある謎をメインに高校生による青春も感じさせるが、
ユーゴスラビアのマーヤとの出会いによって社会情勢を取り入れているので『青い』という言葉では終われない。

特に行動力に関していえば、高校生3年生という設定がまたもどかしさを助長させているように思う。
日常という世界から出るのが難しい。
しかし何だかんだ大人も『日常』に縛られている、というのは大人にならないと気付けない。

見た目通りの人間なんて、いない。
それはマーヤでも、太刀洗でも、きっとそうで、
決めつけてかかると痛い目みるよね。

-人間は、 殺されたお父さんのことは忘れても、
奪われたお金の事は忘れません

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

私はこの手の話をアニメだったらこんな感じかなと想像する。その作品では、やはりマーヤは知的かつ好奇心旺盛で天真爛漫。太刀洗は、クールで口数が少ない。その他のキャラも個々に魅力があり、主人公は知能がではなく、バカである。

米澤さんは、やはりオシャレだ。

→濡れた路面に飛沫を上げる。その度におれは裾を太刀洗は靴下を濡らすのだ。

→学校での他愛のない会話に価値を見出すとするならば、自分がなにを知っているか、ひいては何を知らないかを知ること。

今月米澤作品しか読んでいない。

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2025年05月19日

Posted by ブクログ

1.登場人物
守屋路行…高校3年生。物事にあまり執着しない。弓道部。
太刀洗万智…高校3年生。言葉少ないが、優れた洞察力を持つ。あだ名はセンドー。守屋の友人。
文原竹彦…高校3年生。がっしりとした体つき。無骨な印象を与える。守屋の友人。弓道部。
白川いずる…高校3年生。旅館の娘。人のいい女子高生。
マーヤ…ユーゴスラヴィアから来た少女。好奇心旺盛。いずるの旅館に泊まる。

2.物語の始まり
雨の日。高校からの帰り道。守屋と太刀洗は潰れた写真館の前で雨宿りをしている外国人の少女・マーヤと出会う。ユーゴスラヴィアから来た彼女は、泊まるところがないという。いずるの人の良さを知っている守屋と太刀洗は、いずるに連絡を取り、しばらくマーヤを彼女の旅館に泊めてもらえないかと頼んだ。

3.世界観・価値観
1991年。まだスマホどころか携帯電話も一般的ではない時代。守屋たちはユーゴスラヴィアから来た少女・マーヤと出会うが、その国は多くの日本人にとって馴染みの薄い国であり、守屋たちもその例に及ばなかった。
マーヤとの出会いを通じて、守屋たちは自国の価値観や、他国の文化に触れていく。

4.キーワード・テーマ
主なテーマは2つ。
1.日常の謎系のミステリー。
守屋たち日本人から見れば普通の事でも、他国人であるマーヤから見れば奇異に映るものもある。
マーヤが口に出す疑問点から、守屋たちは普段ならば見過ごしてしまうであろう小さな謎を幾つも解いていく。
2.ボーイミーツガール系ストーリー。
高校生である守屋が出会ったのは、ユーゴスラヴィアという、普段であれば意識にも留めない国の少女。
彼女と接するうちに、物事にあまり執着しない性格だった守屋の気持ちが次第に変化していく。

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

真実の10メートル手前を先に読んでしまったので、太刀洗万智シリーズを読むことにした。
心にぐーーーーぅときました。
藤柴市に住む高校生の、守屋路行が主人公。
同級生の太刀洗万智と歩いていると、見覚えのない異邦人、マーヤと出会う。
ユーゴスラビア連邦共和国からきたマーヤは、他国との繋がりを学ぶために日本に来たという。
そんなマーヤと共に守屋達が過ごす2ヶ月間を描いた作品です。
前半部分は、とにかく日本の文化(郵便ポストの〒マーク、紅白大福の彩りの意味等々)に興味を示しまくるマーヤを中心に、日常に秘められた謎を解いていくミステリ。
心穏やかでない真相もありますが、それすら他国の飾らない姿がみれたと喜ぶマーヤ。
何故マーヤはそれほどまでに異国の文化に興味を示すのか、物語の後半でマーヤの故郷ユーゴスラビアの歴史に沿って明らかになっていきます。
ユーゴスラビアは六つの国の共和国から成り立ち、共和国設立までにもたくさんの周辺国が複雑に絡み合っている歴史があります。
しかし、そんな共和国の中にも経済格差はあり、ユーゴスラビアから独立しようとする国もあり、独立戦争が勃発してしまうのです。
そんな危険な状態にも関わらず、マーヤはまたらユーゴスラビアに戻り、6つの共和国を一つに束ねるために7つ目の文化を築こうという強い意志を持っているのです。
マーヤが帰国する直前、守屋はなんとかマーヤの力になりたいと、一緒に自分も連れてって欲しいと懇願しますが、マーヤの強い意志により断られてしまいます。
マーヤの故郷は六つのうちどこの国なのか、そしてマーヤは無事なのか、不透明なまま守屋達は大学に進学し、一年が経過します。
そんなある日、太刀洗から話があると守屋に連絡が来ます。
マーヤは大刀洗だけには故郷を明かしていて、手紙を送っていたのです。
文原からもらった資料を白河と自分の推理で解き明かし、故郷は見事に的中(ボスニアヘルツェゴビナ)していて、それならもう何ができるかわからないけどとにかく行くしかないと再度決意した矢先、衝撃の事実が太刀洗から明かされます。
手紙の返信はマーヤの兄からであり、その手紙にはマーヤは敵の狙撃兵に撃たれて死んだと記載がありました。
太刀洗はその事実を、とにかく優しい友人達に打ち明けられず、一人で抱えていたのです。
マーヤの謎に対する推理に、「あの子のことは忘れたい」といって頑なに加わらなかった理由がそこにありました。
太刀洗の、「わたしを冷たく見積りすぎじゃないの!」という言葉に、一人で悲しみを抱えていた太刀洗の苦悩が伺えました。
簡単に大切な人の命が消える、戦場の残酷な現状が、この物語には隠すことなく反映されていて、悲しい?苦しい?切ない?なんとも言えない言語化できない感情を抱きました。
大切な人の世界は無くなったが、守屋達の世界はこれからも続いていくという締めくり、これから彼等はどう世界に向き合っていくのか?
凄い作品に出会いました。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

個人的にはミステリ要素を余り感じませんでした。
ただ、物語自体は非常に良かったです。
読み終わった後に感傷に浸りたくなりました。

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2024年09月12日

K

ネタバレ 購入済み

妖精さん

謎解きは軽快だった。ミステリーによくある殺人事件ではない、いわゆる「日常の謎」とされるものだった。
しかし、結末は哀しかった。タイトルから哀しい物語だろうと考えていたけれど、考えていたよりも哀しかった。

語り手の守谷は、若くて野心的で、自分が抱いている理想と、現実との間でじりじりと燻っていて、だから現実の外から来た(ように思えた)マーヤが輝いて見えたのだろう。大刀洗もまた、鋭く、冷たく、賢く、輝いて見えたのだろう。僕も男だから、いくつか心当たりのある、ごくありふれた幻想だ。
その脆い幻は、時を経て儚く壊れた。

マーヤは現実の外・幻想の中に住んでいる妖精ではなく、現実をどうにかしようとしていた一人の心優しき愛国者だったし、大刀洗は鋭く、冷たく、賢いように見えた一人の悩み多き女子高生だった。
マーヤは、現実の中で生き、そして死んだ。大刀洗は、現実の中で生き、そして恐らくこれからも現実の中で生きていくのだろう。
そして、守谷は……。

守谷の前に、二つの道がある。
一つは、文原のように、手の届く範囲のものを大切にして生きる、現実的な道。
一つは、今いる場所から飛び出て、何かを成し遂げる、理想的な道。

その二つの道について、多分、二十歳くらいの人は誰しも一度は考え、一応、選ぶだろう。

米澤先生も二十歳の頃に二つの道について考えていたのだろう。そして、米澤先生は、故郷を飛び出て、小説家になる道を選んだ。

では、語り手の守谷はどうするのだろう。
そして、読み手の僕はどうするのだろう。
まるで、他人事のようにそう思った。

『さよなら妖精』というタイトルは、マーヤの肉体的な死と、守谷が抱いていた『マーヤ』と『大刀洗』という幻想の死なのだと思う。
それから、もしかしたら、守谷が抱いていた何かを成し遂げたいという理想の死なのかもしれない。

守谷は語り手ではあったけれど、最後まで「主人公」にはなり得なかった。
僕もそうかもしれないと思った。でも、これから頑張れば、主人公になりうる可能性はあるのだ。
そう思って、生きるしかない。

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2023年02月13日

購入済み

1度読んだら忘れられない本

生きているう内にこの本を読めて良かったと思う

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2020年08月19日

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ユーゴスラビアから来た少女と、彼女と出会い友誼を結んだ学生達の交流と別れを描いたミステリ小説。

日常系ミステリを挟みながらの少女と学生達の和気藹々としたお話と、ユーゴスラビアへ帰国した少女の謎を追う話を並行して読み進める構成。メイン登場人物が絞られており、登場人物が増えすぎると誰が誰だかわからなくなる自分としては読みやすかった。

国際情勢も交えたミステリというのはまた新鮮で、謎解きと一緒に色々と考えさせられる物語でした。なかなか心に残るラストです。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

物語の舞台は1991年、本書の出版は2004年。2025年に読んで思った事は、遠さ。今でもユーゴは遠い。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひさしぶりの米澤さんの青春小説。

古典部シリーズの予定だった作品ということで
なんとなく古典部の面々が思い浮かびました。

平々凡々な守屋の前に現れた、探究心がいっぱいで目標に向かってどんどん進んでいくマーヤ。
守屋くんにすごく共感してしまった。

「幸せ」ってなんなのか、生きているだけで私たちは幸せなのか、日本で不自由なく生きている私達は幸せなのか。
いろいろと考えさせられた。

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2025年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本作は<古典部>シリーズの一冊として描かれたと言うだけあり、米澤穂信が得意とする日常の謎を説く短編集という位置付けになっている。ただし個々の話が独立している<古典部>シリーズとは異なり、全体として一本の大きな謎も最初に提示される構造となっており、長編としても楽しむことが出来る。

物語の舞台となるのは、架空の観光都市である藤柴市。Wikipediaによれば岐阜高山をモデルにしたとされるこの地方都市に住む主人公守屋が謎の少女マーヤ・ヨヴァノビッチと出会うところから物語は始まる。
彼女は2025年の今では消滅してしまった国家であるユーゴスラビア出身であり、日本には「何かしらの理由」で2ヶ月だけ滞在することになっていた(滞在の理由は最後までは明確にならない)。物語はその彼女が藤柴市に滞在したこの2ヶ月の間に出会した、ちょっとした「日常の疑問」に答える形で進んでいく。

本作で取り上げるこの日常の謎だが、これまでの米澤穂信の 作品と比べても、特に小粒な謎が多い。例えば主人公の守屋は弓道部に所属しているのだが、彼が参加した大会でのちょっとしたやりとりの疑問を解決するのに一章を丸々使ったりする。「哲学的な意味がありますか?」が口癖のマーヤがちょっとしたことに対してメモを取り出すのがその理由なのだが、これは<古典部>シリーズで千反田が「わたし、気になります」を繰り返すのとそっくりだ。


ただし本作が<古典部>シリーズと大きく異なるのは、マーヤの日本滞在が2ヶ月限定であり、彼女はユーゴスラビアに戻ってしまうことが最初から決められていたことだ。そして読者の多くが知っているようにユーゴスラビアでは1990年代に内戦が始まり、 特に クロアチアの首都サラエボでは壮絶な市街戦が展開されることになった。

自分も当時ベストセラーになった「サラエボ旅行案内」を買って、ほとんど街の原型を残していなかったサラエボを知ったのを覚えている。そのユーゴスラビアに戻った彼女は、いったいどこの出身で、どこの街に戻って行ったのか・・が、本作の最初に提示され、最後に解かれる謎である。

そして同時にこのユーゴスラビアに 戻ると言う決断は、主人公である守屋の生き方にも大きな影響を与えることになる。米澤穂信の初期の作品では高校生が主人公になることが多く、 彼のキャリアが長くなるにつれて、どんどんと内政的な作品になっていってしまったが、 本作は、その兆しを感じさせる作品と言っても良いだろう。 決して読後感が良い作品ではないが、 デビュー直後からこのような方向性を持っていたのかを知るという意味において、 今のから読み直すのも決して悪くは無い。

ちなみに、決して日本ではメジャーとは言えないユーゴスラビアが舞台になったのは、著者の大学時代の研究テーマであったかららしい。今では存在しない国を扱っていることから、きっと若い読者には何の話なのかがさっぱりわからないかもしれない。 そういった意味では、本作は ほぼ同じ時代を10代として過ごした。我々に向けた作品であるとも言えるだろう。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久しぶりの米澤穂信 面白かった!
やれやれ主人公を描かせたらやはりダントツ?だとおもう

読みやすかったけどシリアスな場面とかたくさんあってただの青春推理小説に終わらなかった

最後どうやって終わらせるのかハラハラしてたらまさか死んでしまって辛い読後感だけどなんとなくそんな気もしてた

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

いやぁ、なかなかスゴい話だった。
結構淡々と進むんだけどさ。
なかなか自分の周囲しか、想像できなかったり、実感湧かなかったり、心配できなかったりするよね。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

 ユーゴスラヴィアから日本にやって来た少女マーヤと主人公達が過ごす日々や遭遇する日常の謎の数々、マーヤが帰国してから始まる最大にして最後の謎解きというミステリー作品というよりはミステリー要素がある青春小説というべき作品で、マーヤの魅力的な人物描写と少年少女達の言葉に出来ない思いも印象的だった。

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

高校生の日常の謎もの。と、ひとくくりにできない面白さがあった。
マーヤがとにかく魅力的。流暢でいて少し変な日本語をあやつりつつ、しっかりとした考えを持っている。個性的な面々と行動し、その先々でちょっとおかしな出来事が起こる。太刀洗はすぐに真相を理解するが、解明するのは守屋の役回りだ。
最大の謎の解明は哀しい結末にたどり着くことになる。ユーゴスラビアが背景に設定されていることで、何となく推測できたが、ほのぼのとした日常に比べると哀しさが増してくる。

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2025年02月27日

Posted by ブクログ

面白かった。
文章から一人一人の個性、どんな見た目、性格なのか想起させられて感情移入できる
また一人一人の人物の個性があって引き込まれる
続きが気になって一気見してしまった

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2025年02月10日

Posted by ブクログ

非常にデリケートな題材の作品でした。
単なるボーイミーツガールの小説ではなかったです。
興味深く読むことができました。

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2024年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初は、海外から来たお客様と高校生の交流の物語かと。切れ者の女の子と真面目でちょっと鈍い男の子の組み合わせには既視感があるけど、安定感があるし、お話しのテンポもよく読みやすい。特に弓道の試合の章は青春そのもの。試合中の描写は流れるような様子が目に浮かび、とても好きだった。
それが、すこしずつ、物語の空気感が変わっていく。舞台は1991年、ユーゴスラヴィアは確か内戦がひどかったはず…と、少し気になることも。

それでも異文化の交流は面白かったし、主人公がマーヤのおかれている環境やそれでも将来政治家になりたいという強い思いと、自分の環境を比べてしまい焦る気持ちを青春だな、なんて読んでいた。
後半、そんな日常が急に破られ、ユーゴスラヴィアの内戦のニュースが入ってくる。そこからマーヤの送別会までの主人公の気持ちは、青いけれどとても熱く、だけど一高校生の力ではどうしようもないことだけに、いたたまれない気持ちになった。

最後、主人公がじりじりと暑い中、マーヤの残した言葉からマーヤの故郷を推理するところは、こんな断片をつなぎ合わせていくなんて!と頭では面白いと思いつつ、だんだんと、いけない、そっちに行ってはいけないと心がざわつき始める。落ち着かない気持ちで読み進めるとやはり、マーヤは激戦地に帰っていっていた。
そこから後のセンドーとの話はただただ淡々と読むしかなかった。せめて、マーヤの家族も含め残された人たちに救いがありますように。

読み終わった後、決してすっきりした気持ちではないけど、心に思いが残る作品でした。すっきりしなかったこともあり、なんで、「さよなら妖精」なんだろう?と考えました。直接的には、妖精はマーヤだとするとお話そのままの意味になりますが、マーヤの「哲学的意味がありますか?」という言葉を受け少し考えてみることにしました。
いろいろ紆余曲折したのですが、最後の言葉、見えるものも見えないものもマーヤはなくした、主人公には目に見えるものも見えないものもまだ残されているとのに、信じることができないと言っています。今は信じられないから残されたものが分からないけど、信じることができるようになると、妖精と同じで主人公に残されたものが見えてくるということなのかなと。主人公には時間がかかっても、まだ自分にはすべて残されていると気がついて立ち直ってほしいと思います。と、考えました。これから他の方の考察を探すのが楽しみです。

「哲学的意味がありますか?」という、マーヤの言葉はとても好きだったので、常日頃から心にとめておきます。

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2024年07月13日

Posted by ブクログ

2016年に、東京創元社から刊行されたもの(ボーナストラック付)で再読。
ユーゴスラビアから来たマーヤと過ごした2ヶ月間の記憶。
ミステリーと言うより、切ない青春小説として読んだ。

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2024年06月16日

ネタバレ

守屋くん視点で進む話いいねぇ
センドーとの関係も信頼しあってる感じが良かった。「まだ考えてないだけなんでしょう」って台詞好き

#切ない #タメになる

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

マーヤとの出会いと思い
彼女の祖国で戦火が始まった帰国後に、彼女の消息を心配する主人公は、その思い出と共に、彼女の無事を祈り推理する
平和な日本とマーヤの祖国との違いに、何かをしなければとの思いを持つであろうことも共感する
米澤穂信の初期作のようだか、最近の黒牢城や、可燃物よりもずっと好き

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2024年01月28日

匿名

ネタバレ 購入済み

さよなら妖精

他の作品と同じように日常に潜むミステリーを織り交ぜ、一人の少女との出会いがここまでひとつの物語になる様は改めて素晴らしいと感じる作品でした。

#切ない

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2023年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ユーゴスラビア紛争をモチーフにした日本が舞台の小説。紛争にかんする説明も端的で読みやすい。重い結末であるが、同時に視野が開けるようなさわやかさがある。

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2023年12月21日

Posted by ブクログ

<目次>


<内容>
当時のユーゴスラビアから来た「マーヤ」。地方の藤柴市で高校3年生と過ごす2ヶ月の日々。日本のさまざまな風習などを経験し、故郷へ帰る。その間主人公は彼女に恋し、混乱しているユーゴに行きたいと思うようになる。しかし…
高校生なら考えそうな事、その一方で高校生でなくてもわからないだろう、国際情勢。これをミステリーと呼ぶべきか?彼女の残したさまざまなフレーズから推測していくところか?

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

青春ミステリというよりは、青春要素がメインでミステリがちょこっと添えてあるかんじ。ミステリ要素は、日常に潜む謎をささやかなきっかけから拾いあげるようなもので、どことなくウミガメのスープっぽい謎解きだったけれど、海外からやって来た少女マーヤの視点が加わるとぐっと面白くなる。マーヤに出会って、守屋の世界は急に開けたんだろうなあ。自分がほんとうに小さくて、手を伸ばしても遠く届かない。
全体的に面白かったけど、個人的には、米澤穂信作品は日常系よりもがつんとしたミステリのほうが好みなのかも(ほんとうに個人の好みの問題だけど…)
『王とサーカス』を読んでみたくて先に本作を読んでみたけど、太刀洗よりも守屋の物語だった。『王とサーカス』は太刀洗が主人公なのかな。何はともあれ、これで次は心置きなく『王とサーカス』が読めるぞ〜!

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

古典部3作目に予定されていたとは思えないほど異国の政治情勢に踏み込んでいる作品。元は古典部シリーズということで一応キャラクターを(個人的に)当てはめてみるなら、守屋≒折木、福原≒文原といったところだろうか?千反田の要素は分散しており太刀洗万智とマーヤに少しづつあると思う。マーヤの「それは哲学的意味ですか?」は千反田の「私気になります」であるだろうし、太刀洗の方が高身長かつ大人びた雰囲気をしているものの、彼女の容姿は千反田に近いと思う。白河いずるが当てはまりそうな人は居ないが、強いて言うなら千反田だろうか。伊原要素もまた、あまり感じることは無かったが、頑固で面倒くさい所は文原と共通していると感じた。そういえば酒を飲んだ太刀洗の言い回しは福部里志そのものだったので古典部メンバーは分解されそれぞれのキャラクターに少しづつ宿っているのだろう。

冒頭で「古典部3作目に予定されていたとは思えないほど異国の政治情勢に踏み込んでいる作品」と書いたがこの作品は古典部シリーズではないので当たり前といえば当たり前である。ではもし仮に雰囲気を古典部に合わせて書き換えたら?と考えるとなかなか面白い話になりそうだと思った。なぜかというと異国の未知の存在が折木の成長を促しそうだからだ。折木の信条からして能動的にマーヤのような存在に触れて異国に思いを巡らせる事はないであろう(姉ならありそうだが)そしてそれが戦争という命のやり取りが行われるとあれば日本のいち高校生には大変な刺激となる。そういった未知の刺激に触れた折木奉太郎がどんな選択をするのか、摩耶花や福部との関係性にどんな変化があるのか見てみたいものだ。(個人的にユーゴの件について話し合ったら摩耶花や福部と折木は意見が割れそうだと思う)

とここまで妄想してみたところでインターネットで検索してみた。するとどうやら古典部とさよなら妖精のキャラクターについて公演で米澤穂信さん自ら言及していたそうで、折木→守屋、福部→文原、千反田→いづる、伊原→文原と白川に分散、太刀洗万智→新規キャラということだった。いづるに千反田は感じなかったが主に実家が広い設定とお人好しの設定を引き継いだのであろう。千反田の実家は豪農でいづるは民宿、どちらもマーヤが泊まる理由になるだろうし、送迎会で酒を飲むシーンなどいかにも千反田家でやっていそうだ。

古典部の話が長くなってしまった。「さよなら妖精」に話を戻そうと思う。この作品が面白かったかというと★が表している通り正直微妙であった。1つは謎が微妙かつ少ないという点。この作品はミステリにカテゴライズされているのだが、物語を通して謎解きをするシーンは少ない。あったとしてもサブクエスト的な推理が多くあまり惹きつけられない。唯一墓場の謎に興味を惹かれたが、あれはこの作品の世界観から逸脱していたように感じる。

もう1つは登場人物を好きになりきれないということ。例えば探偵役は守屋なのだが(能力で言えば太刀洗なのだが積極的に参加しないので守屋が推理するシーンが多い)太刀洗の力を借りずに最後まで解ききったのはユーゴスラヴィアの下りくらいなものだった。一方守屋が投げ出した謎を太刀洗が推理するのかと思えばとある事情でそれをしないので全体的に推理パートが不完全燃焼に感じる。物語の序盤イメージしていたのは守屋が推理を始める→太刀洗に投げ出す→太刀洗が守屋に投げ返す→守屋推理披露→太刀洗が補完というものだったのだが小さいスケールでは披露されたものの大きいスケールでは披露されなかった。では、ユニットで見てはどうか?始めは守屋・文原ペア、私は米澤穂信の男性ペアが好きなのでこの2人も例に漏れず好きではある。ただ、文原の性格によりあまり物語に深く絡んでくる事がなかったので好きになる要素は自体が少なかった。守屋・太刀洗ペアはかなり好きなペアだ。もし継続的にこのコンビが描かれるなら1番好きになるかもしれない。ただ今作だけで判断するならあまり良いコンビネーションは発揮していないと思う。それは守屋が太刀洗を見誤っているからであり、推理を投げ出すからであり、太刀洗が積極的にマーヤの事情に踏み込まないからである。

ツラツラと不満を書いてきたがこの作品がつまらなかったかと言うとまたそうでもない。上で書いた不満はこの作品を推理小説として、古典部に多少なりとも関連する小説として読んでいるから出るものであって、これを未知の国から来た少女と高校生の話だと思って読めばそれなりに面白い。(もちろんミステリとして出来てるのでその読み方で良いのかは分からないが…)

最後に余談だが、私の異国の友人の話をしたい。彼の出身を仮にA国としよう。その友人に何の気なしに「A国にも行ってみたいな〜」と言った事がある。すると友人は「いまはXX中(これも伏せさせて欲しい。要するに武力を伴う国のゴタゴタだ)だから危ない。落ち着いたら来てよ」と言われた。国にも帰れないと言われた。正直かなりカルチャーショックを受けた。仕事の合間の他愛もない会話のつもりだったが、異国では国の内外で衝突があり、それによって人が死に、家に帰れなくなるといった事情が身近にあるということを初めて感じた経験であり、まだまだ自分の視野は狭いなと実感した。

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

とある地方都市で暮らす四人の高校生と、異国から来日した少女・マーヤとの交流を描いた物語。

好奇心旺盛なマーヤが、日本で生活する中で感じた様々な疑問とそれに対する答えが、日本の文化を再認識させるようで面白いですね。

ミステリとしては物足りなさを感じるかもしれませんが、穏やかな雰囲気の中に高校生の無力感と悲しみが込められていて、それが強く印象に残りました。

短編が追加された新装版もあるとのことなので、近いうちにそちらも読んでみたいです。

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2025年07月02日

Posted by ブクログ

ユーゴスラビア紛争の史実を交えながらのストーリーで勉強になった。
世界に目を向けるといつも必ず戦争や紛争が起きている。自分に繋がりがないとそれを考えようともしない。考えたところで自分に何ができるのか。主人公の葛藤がよくわかります。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

マーヤの抱えるものに対して、それを助けたい気持ちと未知の世界への欲求もあって共に行きたいと志願する守屋が少し痛い。気持ちはわからないでもないが、高校生という若さを感じる。
後半、マーヤはユーゴスラビアのどの共和国に帰ったのか?推理が繰り広げられるが、私の知識が無さすぎてついていけず、wiki検索。6つも国家があり、さすがに参考文献もなかなかの量である。

マーヤは結局生きているのか?
手紙の中の露骨な言葉に驚きつつも、首が撃たれたとなるとしばらく苦しんだのか、それとも当たりどころが良く即死できたのか。
呆気ないながらも、自身の平和ボケを感じる読後感。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 旧ユーゴからやってきた高校生マーヤと弓道部員守谷がその仲間達と繰り広げる日常系ミステリー。初の米澤さん本だったが、文語調強めの日本語表現が特徴的。ユーゴ国民として内戦へ突き進む祖国を憂うマーヤの発言は常にリアルで、当時の緊張感が伝わってくる。様々な局面でマーヤからユーゴを感じることができる不思議な物語で、雰囲気は良かった。
 多民族国家で純粋な国民国家を建設しようとすると、少数派の弾圧を生み、宗教や民族をベースにしている分その弾圧は凄惨なものになるのかもしれず、帝国による緩い統治が多民族国家の場合には適しているのかもしれない、なんて素人ながらに考えさせられた。
 

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

東欧から来た少女との邂逅が地方都市に暮らす若者たちの人生観に影響を与える。「太刀洗万智」シリーズの太刀洗が脇役で登場し、日常に散らばるポップな謎解きをこなしながら、最後に重要な謎解きに挑み、終焉は痛みを伴う哀切な余韻を残す。20歳前後の守屋や東欧出身のマーヤの歴史や語彙力、守屋の動機などにラノベ感があり初期作品の荒削りさは少しある。そうした中で、外の世界と中の世界の狭間を知る青春物語と「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれた旧ユーゴスラヴィアの複雑で繊細な情勢を交える見事な手法は、後々の米澤氏の視点のユニークさの片鱗を感じさせる。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

読み終えて感じたのが、なんかほろ苦いなという
感じでした。日常の謎を追い求めて、買って読んだのだが、謎の部分が薄かったなと、個人的に
は感じました。どちらかというと、ユーゴの事
を深く追い続けてた、社会派ミステリのような
ストーリーじゃないかと思いました。
テーマが大きいからこそ、ちょっと身構えして
しまう。でも、当時まだデビューしてまもなかった著者の手腕が光った逸品だと実感しました。

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2024年08月10日

Posted by ブクログ

静かな街に現れた外国から来た少女。仲良くなった普通の高校生たちとの交流とその後のお話。途中からそんな感じかなと思っていた通りに話が進んでいった。

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2023年12月24日

購入済み

解説が入っていない

解説も読もうと思って購入した。
明記しておくべきでは。
また、同じ値段で売るのは読者を騙しているのではないか。

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2016年01月23日

Posted by 読むコレ

問題が提起されたとき、ここまでの情報量で解決するのは無理だろう、というところから、何気ない会話、何気ない情景に張られた見えない伏線を回収していく様は流石。米澤さんらしい作品と思いました。
ただ、短いストーリーがあって、「はい、ではここで問題です」みたいな流れはありふれたクイズ番組を見ているようで、いまいち入り込めませんでした。
最後の推理に入る動機も、イマイチ希薄な気がしました。これを解けば素晴らしい結末が待っている、というような期待感があれば、もっとワクワクしたのではないでしょうか。

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2014年01月06日

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