米澤穂信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ米澤穂信による全6編の短編集。
総じて、どの話も「人間って怖いな」と感じる作品
守りたい人、守りたい秘密、守りたい物。あるいは、どうしてもやり遂げたいこと。そのためなら、人はどこまでも突き進んでしまう。そんな人間の執念や業を描いた短編集
他人から見れば「そこまでしなくても」と思うことでも、本人にとっては切実で譲れないものがある。その怖さと悲しさが印象に残りました。
派手なストーリーや大きなどんでん返しがある作品ではないけれど、引き込まれ、短編集なのでサクサク読めます。
ただ、「面白かったー!」と爽快な気持ちで読み終えるタイプの作品ではなく、読後に人間の業や執着について考えさせられる。余韻が重く、少ししんどくなるタイプの作品なので、気分が落ち込んでいる時よりは、心に余裕がある時に読む方がおすすめです。
【万灯】
続きが気になる終わり方だった。最後の病気のくだりは予想外で驚いた。
【夜警】
負を負で埋めようとして、破滅してしまう。
この思考は生きているとふと頭をよぎることがあるだけに怖い。絶対にしてはいけない考え方だと思った。
【死人宿】
この話しはあまり感想がでない。。。
【柘榴】
女の怖さが詰まった話。
苦手なのであまり深く考えずさっと読んだ。
【関守】
結末は比較的早い段階で予想できた。「早く帰ってーーー!」と思いながら読んだ。おばあさんの表情や店の内装など、情景を想像させる描写がとても上手だった。
【満願】
「それだったのか」と思わされた。家宝を守るためとはいえ、そこまでするのか、と驚く。
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Posted by ブクログ
京都今出川につづいて積ん読消化といっきに読む。評判は聞いていたが、なるほど、これはたしかに良質な短編集だ。連作短編集ではなく、文字通りの短編集。一作一作がどれも密度が濃い。収録作は「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」の6作。「夜警」は「可燃物」の葛警部シリーズを予感させる内容。米澤穂信は日常の謎ばかりでなく警察モノも面白い。「死人宿」はラストに驚かされる。「柘榴」は小市民の小佐内さんを想起させるというか、背筋が寒くなった。「万灯」の前半は太刀洗万智のベルーフシリーズを想起させる一方、後半から一転してクライムサスペンスが始まる。「関守」は読みながら、ああホラーだなと。ラストの表題作「満願」は、何の意味だろう、と読み進めていき、ラストで、そうか「満願成就」の「満願」かと気づく。調布が達磨で有名だったことを恥ずかしながら知らなかった。解説の杉江松恋も指摘しているように、ワイダニット?が軸であり、また、あらためて米澤がどうしてこのような作品を書けるのかと思いをめぐらせた。単行本は2014年刊行とのことだが、それまでの米澤作品をうけつつ、その後の米澤作品の源流的な珠玉の短編集なのだと評せよう。
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著者の随筆集は初めて。
この随筆で著者が男性だと知った。なぜか勝手に女性なのかと思っていた。性別なぞどうでもいいと思いながらも、読む本が女性作家に偏りがちなので、好きな男性作家が増えたのは嬉しい。
真面目な文章がとても多い。特に気に入ったのは、「落穂拾いはしない」話。そうか、今まで全く知らなかった。絵画の『落穂拾い』のイメージから、生活に根ざしたものだと感じてはいたが、まさか困窮してる人のためにあえて拾わないという暗黙の了解みたいなものがあったとは。そういうことを押し付けがましくなく、さらっと実行する人は美しい。
また、小説家たるもの季節を感じて生きなくてはという決心のもと観に行った夏の花火で、超絶に眠くて花火の音で起きては寝、起きては寝を繰り返すという何をしに行ったのか分からない著者の生態も面白い。
花火大会のときの花火って、もっとバンバン上がってくれないだろうかと思ってるのは私だけなんだろうけど、著者もそれだったら寝なくてすんだかもしれない。
印税で買ったものの中にシャーロック・ホームズシリーズとあるが、エンボス加工のものが気になって買い直したらしい。分かる。本って読むだけじゃなくて見た目も大事なのよ。私も急にシャーロック・ホームズが気になってきた。筆者の影響力は大きい。 -
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うーん、、二つの世界を比較することで、自分の人生や周囲の人間関係を違った角度から見つめ直すという発想はよく出来てるなと思いました。ただ残念ながら、個人的にはなんとなく微妙な感じ。主人公2人がまだ子供の設定だからか、読者対象が同世代向けの作りになっていたからなのか、ちょっと子供っぽさあり、テーマ深い割にやりとりも軽い印象があり、あとお互いの呼び方も君とかあんたがもうちょい何とかならなかったかなと。「もし自分が生まれていなかったら」という内容や、二つの世界を通して人生について考えさせる部分には良さを感じますが、結末含め読後感はあまり良くはなかった印象です。ちょっと?な感じも残りますし。ただ幸い、文章量は少なめの作品だったのでそこは良かったです。
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高校2年生の堀川と松倉は図書委員。生徒はあまり利用していない図書室で、2人は当番の仕事をしつつ、暇を持て余して読書したり雑談したり。
そこに事件が持ち込まれ、謎解きに奔走することになります。
背表紙には「青春図書室ミステリー」とあって、なんじゃそれはと思ったのですが、謎解きするのに人けのない図書室ってピッタリだった。
この本の読みどころは2人の会話。頭良くて本読んでてウイットに富んでます、という酔ってるみたいな会話が趣深く、沁みる。
しかもこの2人、会話は渋いのですがカワイイところもあって、確かにこれは青春。
日常系からちょっと笑えないものまで、謎解きの面白さももりもり。
ちょっとほろ苦いラストですが続編が出ているとは、これは気になります。 -
Posted by ブクログ
優雅で美しい文章の最後に、待っている最高の地獄
上流階級のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」にまつわる5つの物語。
古風でどこか気品のある優雅な文章で綴られていくのですが、物語の最後に用意されている「たった数行の暗転」があまりにも鮮やかで、ゾクゾクしっぱなしでした。
どの短編も、静かで美しいお屋敷や日常の風景を描きながら、そのすぐ足元に狂気や悪意がひっそりと潜んでいる。そしてラストの一瞬で、それまで見えていた景色がガラリと裏返り、ぞっとするような冷たい真実が突きつけられる。
品のある綺麗な言葉で書かれているからこそ、最後に明かされる狂気のグロテスクさがより一層引き立つ。嫌な後味のはずなのに、その嫌さがあまりにも美しく感じる。
短編集なのでサクサク読めるのに、一話一話の満足感とラストの一撃がとにかく重い。
美しくて、どこか毒のある極上のミステリです。