米澤穂信のレビュー一覧
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⭐︎3.5
『本と鍵の季節』を読み終えた後、静かで深い余韻が長く心に残った。
本作に派手な事件や劇的な展開はない。高校の図書委員である堀川と松倉の二人が、持ち込まれる日常の謎を解き明かしていく物語だ。しかし、その過程で浮かび上がるのは、人間の心の複雑さや、簡単には割り切れない感情である。それこそが本作最大の魅力だと感じた。
軽妙でありながら適度な距離感を保つ二人のやり取りには、高校生らしい未熟さと、どこか大人びた落ち着きが同居している。互いを信頼しつつも踏み込みすぎず、冷静に推理を重ねていく姿が実に魅力的で、事件そのものだけでなく、二人の関係性にも引き込まれた。
また、本作では「真実を知ることが、必ずしも誰かを幸せにするとは限らない」という現実も静かに描かれている。謎が解けても、すべてがすっきりと解決するわけではない。その余白があるからこそ、読み終えた後も登場人物の思いや選択について考え続けてしまう。
私たちの日常の中にも、気づいていないだけで「誰かの事情」や「見えない謎」が潜んでいるのかもしれない。そんなことを思わせてくれる本作は、派手なトリックではなく、人間そのものを描くことで読者の心を惹きつける米澤穂信らしさが存分に味わえる青春ミステリーだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻。
本作はアニメ2期の前半に当たる。
アニメ2期に対して、1年前、こう書いた。
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大期待していた2期。
結果、最高。
瓜野高彦くん、仲丸十希子さんの部が前半で、
ひき逃げにあった小鳩常悟朗くんが入院して、現在の事件と過去の事件が交錯する中で、小佐内ゆきさんとの過去に言及されるのが後半。
小佐内ゆきさん、いい……。
悪魔かとも思われる所業をするのだが、それって実は、小佐内さんが常に謂れなき暴力や侮りに遭い続けているからゆえの反動でもある。
と、いってもまあ規格外なふたり(瓜野高彦くん、仲丸十希子さんとの比較で際立つ)が、また付き合いだすのも、善き哉……。
おそらく原作小説でも、コミカライズでも、見え方が全然違うのだろう。
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き、キモい……「いい……」って、もう語彙なくしとるやん。
しかも2期後半ではなく、前半ばかりで、もうヨガっとるやん。
アニメで展開を知っているからこそ、瓜野くんの「あらかじめ決められた尊厳破壊」の運命が、読んでいてひしひしと。
この少年、高校生ならそんなもんよねという程度に承認欲求が根底にあり、年齢相応に他者を見下していて、おっさんから見たら可愛い高校生じゃん、と。
しかし彼の不幸は、小佐内さんの復讐ラインに触れてしまったこと。
ただそれだけで、本書中に書かれていないが(この点は作者の意地悪さ!)、その後、精神的には死……嗚呼恐ろしい。
小佐内さんが小鳩くんに、「わたし、知りたかったの。恋とはどんなものかしらって」などと言っているまさにそのとき、家で生ける屍のようになっているのではないかと想像。
こわ……ヨガってる私……。
小鳩くんの実に実にイヤなところも、仲丸さんとのトマトなどのくだりを通じて判ってくる、ああなんてキツいシリーズなんだ(歓)。 -
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ネタバレ折角なので、名探偵の気持ちで挑んだ。以下メモ程度の感想。
『赤鉛筆は要らない』
・犯人当て成功、トリックも大体当てられた。
・静かな感じがして文体が好み。
・個人的には納得いかない部分は無かった。
・タイトルの回収が好き。
『伯林あげぱんの謎』
・既に読んでいたため、サラッと復習。
・日常の謎なので、人が死なず安心して読める。
・小鳩くんの鼻につく感じが嫌いではない。
『アリバイのある容疑者たち』
・犯人当て成功、トリックは見破れず。
・会話文が多くてサクサク進む。
・トリックはあまり好みでは無いが、そういうこともあるんだろうなの気持ち。
・作品の言葉を借りるなら、自分は2.5流探偵であろう。
『紅葉の錦』
・何も分からず。
・とりあえず人の名前が覚えられなかった。
・被害者当てからやるのは面白いと思った。
・最後の海野はよく分からなかったし、犯人の動悸などが気になるので教えてほしい。
『心理的瑕疵あり』
・何も当てられず。
・情報がどんどん出てくるので整理されてて読みやすい。
・納得いかない部分はないが、少々物足りなさを感じた。長編になると面白いだろうか。
『尻の青い死体』
・何も当てられず。
・初日にセックスした人当てになったのはちょっと笑ってしまった。
・動機やトリックはあまり好みでは無かった。
・終わり方はさっぱりしていて話に入り込む前に終わってしまった。
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Posted by ブクログ
自分の読書歴では初のアンソロジー。
トリック満載のミステリとコロナ禍で起きた世の中の異変に触れた作品もあり。
六者六様のお話が展開されているので、合う合わないは結構大きく分かれたかも。
やはりトップで読み応えあったのは、
辻村深月『2020年のロマンス詐欺』だった。
"闇バイト"に関する話は年月の経った今でも、
というか更に横行しているからこの作品は教科書に載せて恐ろしさを知ってもらいたいくらい。
孤立無援の環境で追い込まれていく緊張感がとにかく怖い。しんどい時期でも不逞な輩を近付けないように日頃から対策していけますように。
芦沢央『投了図』もコロナ禍が招いた事件。あの頃はみんな辛い我慢が多かったなと思い出させる作品。こんな悲しいことがまた起きてしまわないように。将棋の知識は皆無だけど読みやすかった。
のちの新作『おまえレベルの話はしてない』でも
将棋を通した人間模様が描かれているようなので
文庫化の暁にはそちらも読んでみようかなと思った。
個人的に新しく見つけた「好き」だったのは
大山誠一郎『孤独な容疑者』だった。
死角から現れたトリック!シンプルに読み物として面白かった。ネタバレは避けて読んで欲しい。 -
Posted by ブクログ
米澤穂信全部読もう!トークショーあるし!と思ってたけどトークショー落ちたけどせっかくなので気になってたし読みました。
犬探し全然してなくて笑う。
こういう二軸展開からの最後一つに絡むような展開大好きです。今回は完全に一つになるってわけではなかったけど。
日常ミステリ系って、それは偶然が過ぎるやろみたいなご都合展開が多かったりして、本作も若干そんな感じするところはあるけど、実はそれが恣意的だった!みたいな展開なので納得感ある。
田舎の村の歴史を紐解きつつ別の謎もたくさん出てきてって感じで若干リカーシブルを彷彿とさせたり。
ネット使って色々調べるのは自由研究には向かない殺人をほんのり思い出したり。
私は古のオタクなので理解できましたけど、若い子が読んだらBBSってなに??自作サイト??日記??みたいになるのかな。
相変わらずなんとも言えない後味ですね。
これシリーズ化する予定だったのかな?いつか続編も読みたいです