角田光代のレビュー一覧
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角田光代さん訳『源氏物語』5巻。「若菜 上」、「若菜 下」、「柏木」、「横笛」、「鈴虫」の5帖が収録されています。
朱雀院出家。光君40歳の祝賀。朱雀院の姫君女三の宮が光君と結婚、六条院へ入る。光君、二条の宮に移り住んだ尚侍の君(朧月夜)を訪ねる。明石の女御、男の子を出産。明石の入道が命尽きるまで勤行すると決め山に入ったことを、明石の御方、娘女御、尼君、そして光君も、手紙で知る。督の君(柏木)、蹴鞠に興じていたとき、唐猫のせいでめくれた几帳の奥に、昔から心惹かれていた姫宮(女三の宮)の姿を見て思いを募らせる。冷泉帝退位、東宮が即位。太政大臣は辞職、左大将(鬚黒)は右大臣に昇進、明石の女御の産んだ一の宮が東宮に。右大将の君(夕霧)は大納言に昇進。朱雀院50歳の御賀に、光君は、若菜の調理と管絃の遊びを企てる。光君が外出した夜、紫の上は胸の痛みに苦しみ始め、その後も衰弱するばかり。中納言に昇進した督の君(柏木)、女二の宮を妻とするものの、女三の宮のことを忘れられず、その思いをとげてしまう。紫の上死去……と思われたが息を吹き返し、物の怪があらわれた。女三の宮は、督の君の子を宿していた。光君は姫宮の懐妊を知った後に、その真実までをも知ってしまう。紫の上の容体は落ち着いた。尚侍の君(朧月夜)は出家、前斎院(朝顔の君)も出家していた。女三の宮は男の子を出産、そして出家。病気がちだった督の君、帝が権大納言に昇進させるも、死去。大将(夕霧)は、督の君に病床で打ち明けられた〈心の内に思い悩んでいること〉が気になっている。夫を亡くした女二の宮(一条宮・落葉の宮)を訪ねた大将は、督の君が大切にしていた笛をもらって帰宅した夜、督の君の夢を見る。秋好中宮は、あの世の母御息所が成仏できずに苦しんでいるようだと気がかりでならない。
いやもう、めっちゃドラマチック。子ども世代、孫世代と、登場人物が増えてきて、人間関係がだいぶ入り組んでいるので、「この人が!」、「あの人が!」、「えーっ、この人とあの人が!!」などと、目が離せなくなっております。
ここに収録された「若菜」は、〈とりわけ完成度が高く、最高峰と評され〉ているそうで、読んでみるとうなずけますね。角田光代さんの「文庫版あとがき」でも、その完成度について、作家としての考察が書かれており、かなり興味深い。このあとがきのおかげで、さらにこの先が楽しみになってきた!
「若菜 下」で、朱雀院50歳の御賀のため、みんなで合奏練習する直前の描写が美しかったので書き抜いておきます。
〈趣深いたそがれどきの空に、梅の花は、去年の雪を思い出させるように、枝もたわむほど咲き乱れている。ゆるやかに吹く風に、言いようもない御簾の内の香りもともに漂い、鶯を誘い出せそうなほどに、御殿のあたりはかぐわしい匂いに満ちている〉
原文では、
〈ゆゑあるたそかれ時の空に、花は去年の古雪思ひ出でられて、枝もたわむばかり咲き乱れたり。ゆるるかにうち吹く風に、えならず匂ひたる御簾の内の香りも吹き合はせて、鴬誘ふつまにしつべく、いみじき御殿のあたりの匂ひなり〉
はぁ……雅ですなぁ。
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角田光代さんが韓国ドラマ沼にハマったなんて意外!と思って読んでみた。ご本人も意外と思った様子と一歩ひいた雰囲気で韓国沼におそるおそる足を踏み入れる(?)様子が私と同じかな?と、楽しく読んだ。この本で紹介されている中で私が見たことがあるものは『トッケビ』のみ。角田さんはあまりハマらなかったみたい。私は恋愛ドラマが苦手な割にどっぷりハマりました。
ご紹介いただいているもので気になったものをメモ。少しずつ観ていこうと思う。角田さんの感想と答え合わせする楽しみが増えました。ありがとうございました。
【観たいドラマ・映画】
その年、私たちは
二十五、二十一
ナビレラ -それでも蝶は舞う-
まぶしくて ―私たちの輝く時間―
D.P. -脱走兵追跡官-
ザ・グローリー ~輝かしき復讐~
ホームタウン
私たちのブルース
ウ・ヨンウ弁護士は天才肌
無人島のディーバ
私の解放日誌
サイコだけど大丈夫
チスル
愛の不時着
マイウェイ 12,000キロの真実
タクシー運転手 約束は海を越えて
1987、ある闘いの真実
【読みたい本】
『韓国映画から見る、激動の韓国近現代史 歴史のダイナミズム、その光と影』
『役に立たない日々』
20250722 -
Posted by ブクログ
夏っぽい本が読みたくて、
仕事帰りにいつも立ち寄る書店をうろうろしていたら。
本作が特集コーナーに面陳列されていて。
青いプールと制服を着た女の方たちがインパクト大。
思わず手に取りました。
思春期のモラトリアムとか、
不安定さ、死にたくなるような衝動、
破壊的な衝動でとめられないいじめと暴力、
割り当てられた役割を演じること、
性への興味、
怒涛のように迫ってくる短編集でした。
爽やかな表紙から想像していたものとは、
全く違いました。
あとがきにもあるように、
完全なフィクションで、
大人になった私にとって完全な他者か?
と問われると…
通勤中に読んでたら、
少しだけザワザワして
降りる駅ギリギリまで、
読み進める手を止められませんでした。苦笑 -
Posted by ブクログ
登場人物の母親達がみんな主婦だったり、夫達が家事をしている様子もなく子育てに無関心だったりと、本の刊行年は2011年なのに昭和か平成初期の話?と思ったが、案外富裕層の夫婦は今もこんな感じなのかもしれない(モデルとなった事件が1999年なので私の疑問もあながち間違いでもない)。
自分の芯がズレると自分や大事にしなくてはいけない家族に向けるべきエネルギーがすぐに他人に向いてしまうのはよく分かる。自分は子供がいないが、もし将来出来たとしてもあくまでも他人ということを忘れずに、好きに人生を謳歌してくれ!くらいの気持ちで接しないと、距離感が簡単におかしくなってしまいそうだ。 -
Posted by ブクログ
帝国ホテルを舞台にした42編もの短編集。
ひとつひとつが、誰かの記憶の中で小さな宝物みたいに光っている。
そんなひとときを描いたストーリー。
角田さんは昔から好きな作家さんのお一人。
いくつになって読んでも、やっぱりじんわり心に響いてくる瞬間に出会える。
読んで良かった。
ホテルって、いつもよりちょっと贅沢で特別な場所。夫婦に親子、恋人、若い頃の自分、仕事仲間、さまざまな人との思い出をつなぐ特別な場所でもある。
切なかったり、胸がキュッとするもの、郷愁を感じるもの、幸せを感じるもの……
何だか懐かしい夢を見ているような、思い出をたどる旅のような気持ちになる。
読後のしっとりとした余韻もよかった。
上高地の帝国ホテルにいつか訪れてみたい。
「帝国ホテル」繋がりというと、帝国ホテル二代目の本館(通称ライト館)の完成までを描いた作品
「帝国ホテル建築物語」 植松三十里
もすごく良かったのを思い出した。 -
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角田源氏、4巻です。「初音」、「胡蝶」、「蛍」、「常夏」、「篝火」、「野分」、「行幸」、「藤袴」、「真木柱」、「梅枝」、「藤裏葉」の11帖が収録されています。
年が改まり、光君は女君たちを訪ね新年の挨拶まわり。亡き夕顔と内大臣の姫君玉鬘に、たくさんの男たちが言い寄る。光君もついに思いを打ち明ける。玉鬘のもとにこっそりやってきた兵部卿宮は、光君の企みで放たれた蛍の光に照らされた玉鬘を見て、その美しさに心打たれる。一方内大臣は、亡き夕顔との子が今どうしているかと探している。一人見つけ出して迎えた娘近江の君は早口で軽薄なため、内大臣は見習わせようと弘徽殿女御に仕えさせることに。激しい野分の後、夕霧は紫の上を垣間見て、その美しさに見とれてしまう。冷泉帝の大原野への行幸を見物した玉鬘、初めて父親(内大臣)の姿を見る。玉鬘の裳着の儀をきっかけに、光君は内大臣に真実を打ち明け、内大臣と久しぶりに対面、昔のように酒を酌み交わす。玉鬘は尚侍になり、ついに結婚、そして男の子を出産。秋好中宮の住む西の御殿で、明石の姫君の裳着の儀が行われる。内大臣の娘雲居の雁と夕霧は、ようやく許され、結ばれる。明石の姫君の入内に明石の御方がお世話役に付き、やっと親子が再会。光君は太上天皇に准じる位を授与され、内大臣は太政大臣に、宰相中将(夕霧)は中納言に昇進。
今回はそんなに大きな変化はないように感じていましたが、こう流れを振り返るといろいろありましたね。長年の思いがようやく果たされた人物が何人かいて、良かったねぇとホッとしました。一方で苦しんでいる人もいるのですが……。みんなそれぞれ成長しているのを感じます。
初登場の近江の姫君がいいですねー。彼女が出てくると一気に場が和みます。内大臣家では浮いた存在かもしれないけど、この天皇家の中にいてすごく庶民的で、思ったことを素直に言っちゃうので憎めなくてかわいらしいのです。この子たくさん登場してほしいなぁ。
あと書いておいた方がいいのかなと思うのは、「蛍」の帖における物語論でしょうか。玉鬘が物語に夢中になっているのを見て、光君が笑いながら皮肉混じりに物語について語るのですが、あたくし実はここが有名な箇所だとは知らず、ただ光君が長々としゃべってるんで、言葉の多いうるせぇやつだなぁと思いながら読んでいました。
先に片付けてしまいたいことがあって、そちらを優先していたのでしばらく本を読めなかったのですが、ようやく目処がつき読書できるようになってきました。久しぶりに『源氏物語』を開いたとき、なんだかすごくホッとして、あぁやっと帰ってきたと、本来の自分に戻れたような気がしました。本を開くと、自分の居場所のように感じて落ち着きます。
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ネタバレ初めての作家さん。
私も猫を飼っているから、所々共感できるところがあった。
「幸せな夢を見られますように」「元気で長生きしますように」と毎日声をかけ、それこそ私の寿命なんていくらでもあげたいと願うほど、私の中で猫の存在が大きくなっている。著者にとっては「猫は子供ではない」らしいけど私にとっては大事な愛娘。
仕事のストレスで病んでいた時もこの子がいたことでどれほど救われたことか。そしてそれは現在も進行形。
猫という生きものは本当に可愛くて尊くて偉大で不思議で素晴らしい天からの贈り物だと常々思う✨
ただ猫ちゃんの可愛さはさておき、読みながら文体や言葉選びがあまり好きではないなと感じ、読みづらさがあった。
何より時々トトちゃんに対してネガティブな言葉が出るのが嫌だった。
「みじめったらしく小さく鳴いて」とか「じっとりと陰湿な」とか……
「みくびる」云々の話もちょっとなぁ……他の猫との違いを認識することはあっても、「うちの子はそういうことできない」とか「どうせ…」なんて微塵も思わないが⁇
ちゃんと愛情を持っているんだろうし、勿論悪意がある訳じゃなく可愛さのあまりにというのはそりゃわかるけど、それにしてももっと他に言い方なかったのかな…(ー ー;)? -
Posted by ブクログ
角田光代さんのエッセイですね。
角田光代さんのエッセイは二冊目です。
『オレンジページ』という料理雑誌で連載されていたエッセイの四冊目です。
『十四年前、この連載をはじめる当初、私は親近感のある人たちと、だらだらとお茶を飲みながら、明日には忘れてしまうどうでもいい話をしている、そんなエッセイを書いていこうと決めた。実際、本当に些末なことばかり書き続けてきた。』と、あとがきに綴られています。
1話が三ページほどですが、ご自分のことを、あっけらかんとユーモア混じりで綴られているのが、とても親しみやすく面白く、共感をもって愉しく読めます。
年齢を感じるところなども、ここまであからさまに語られて良いのかなと、少し気になりますが、そこは素朴な角田光代さんの実感が込められていて、角田光代さんの性格の善さを感じられます。
着飾る文章ではなく、等身大の率直な言葉に好感が持てるエッセイでした(=^ェ^=)