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Posted by ブクログ
10篇のそれぞれの登場人物は、
それぞれの居場所にずっと違和感を持っている。
こんなはずじゃなかった。
でも、あっという間にここまで来てしまった。
そもそも、自分にここ以外の選択肢なんて
なんにもなかったんじゃないか。
こないだ読んだ荻原浩さんの「あの日にドライブ」では
主人公は銀行を不本意に辞めて、
タクシー運転手になった。
あの人も、こんなはずじゃなかったと思いながら、
最後にはこの場所で頑張ろう、と希望の兆しを見せて終わった。
トリップの登場人物には、そんな希望はない。
長く長く続く絶望。
でも、現実はこんなものじゃないだろうか。
絶望の中で希望を見いだせる人は、たくましいけれど。
短編集 10篇
光文社文庫 270ページ
Posted by ブクログ
東京郊外のどこにでもあるような街の中で暮らす
どこにでもいそうな人々の葛藤、挫折、日常の閉塞感を見事に描いた天才!角田光代の秀逸な連作短編作品です!
角田光代作品はどれも面白いのですが
特に連作短編はめちゃくちゃ面白いので
読み初めから期待感が高まりました。
一話目で女子高生が河川敷で大声で叫ぶシーンがとても印象的で、この作品に出てくる人達のもやもや感や
閉塞感を象徴してるような感じがしました。
「百合と探偵」という話の中で
「今がものすごく充実、とか、満足、とかって気持ちじゃない。だからあたしはいつも、
ここを目指していたのかもしれないという思いに
とらわれるとき、本当に、唖然とするんだ。
こんなところだったのかって。
必死になって手に入れて、大事に握りしめてたものを
すべて手放して、代わりに今手のひらにあるものは、
これっぽっちなのかって。
この言葉はかなり胸に突き刺さる言葉でした…
ある程度年齢のいってる方ならば、
自分の人生を振り返ってみて、現在の自分の位置を見つめ直して、失望感やあきらめを抱いたこともあるんではないでしょうか。
この平凡な街の平凡な人々の人生を自分と重ね合わせて、思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
天才!角田光代 万歳!!
Posted by ブクログ
昔誰かが、日記の書き方について話しいていた。その日一日のことを何時に起きて、とのんべんだらりと書くのではなく、その日のほんの20秒ほどのことを書き尽くしない、というようなことを言っていた。
この作品を読んでいて、それを思い出した。日々は些細な決断の連続であることはよく言われるが、ほんの20秒、あるいは10秒ほどの思考や、意識の流れ、感情によってその日は成り立っている。
そのような些細な描写の連続だった。
だからこそ、映像は地味だけど、彼らの寄るべのなさがありありと迫ってきた。私が普段見て見ぬふりをしている心もとなさを見せられた。
ただ、物語はどれも悲観的に終わるわけではなく、寄る辺なくもそれを受け入れる人々の泣き笑いのような顔につられるようで、妙に安堵する部分もある。
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小説・文芸
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