あらすじ
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!
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Posted by ブクログ
愛とか恋とか、何をもって恋人なのかとか。
そういうことを考えせられる、両足に泥がまとわりつくような感覚とともに。
男の人が熱心に私を誘うとき、マモちゃんを思い出すんだろうな。求めれているのは私という存在であるという錯覚を味わいながらも、俯瞰したもう一人の自分が彼の誘い文句の中に私への興味がないことを、同時に悟るんだろうな。
付箋の数は18個、必ずまた読み返す1冊。
Posted by ブクログ
168pにて、興味深い台詞がある。
男女平等について物申している一節。読んで良かったと思う、強烈なものだった。
進化ではなく、退化。誠にその通りだとわたしは思う。
主人公の女は共感したくないほどに、ダメな女の典型というのか。愚かな女をよくもまぁこれ程うまく表現できるものだと感心する。
だけど若かりし頃、程度の差こそあれ鬱陶しい恋の仕方をした事実もあり。嫌だわぁなんて思いつつ読んでいると、不思議と憎めないキャラクターに思えてくる。その己の中の変化もまた面白い。
Posted by ブクログ
私はあまり恋愛に生きたことがないしテルちゃんが恋愛中心でマモちゃんみたいなどうしようもない男に振り回されているのが、全然理解できないと思ってた。けれど、読み進めていくうちに、マイナスであることもすべてひっくるめて好きになってしまう、そういう男を中心に生きてしまう、というかっこ悪くて一生懸命なテルちゃんが可愛く思えてきて、だんだんとテルちゃんの考え方や生き方もなんだか共感できる部分が出てきて。角田さんの描く人物ってものすごく人間らしくて、かっこ悪いところも嫌なところもマイナスの面がしっかり描かれていて逆にそういう部分が魅力的というか、愛おしく思えて、私はすごく好きだなあと思う。
面白い!!!
報われない恋をしたことがある人なら共感できるところがたくさんあって、でも客観的に見るとどうしてそうなるの、、、?!って思うところがあり2つの感情を楽しめる面白いストーリーでした!どうかテルコちゃんには幸せになってほしいけどやっぱり彼を選んじゃうだろうな、、、。
良かった
すごく続きがあるのではと思ってしまった。と言うか、の先テルちゃんが幸せになる気がして、テルちゃんがすごく強くて良かったと思える作品。途中までなんだこれ、と思いながら読んでいたけど、流石角田光代。言葉の節々に自分の人生と重なるところがある。
Posted by ブクログ
映画が出た当初、割とすぐに観たのだけれど断片的にしか覚えていないのもあり
こんな感じのストーリーと雰囲気だったっけ...?っという印象、悪い意味ではなく。
映画は映画で好きだったことは覚えているし
原作も原作で好きだなぁっと。
"恋は盲目"っという言葉があるけれど
片思いでも両思いでも経験をしたことがある人は少なくはないと思う。
そしてどれだけ好いて尽くしても愛は返って来ず
"それでもそばにいられるなら..."っと
テルちゃんのように都合の良い存在へと成り下がってしまう経験をしたことがある人。
どちらかの経験をしたことがある人には共感性が高く
現実味を帯びていて刺さるストーリーだと思う。
ただ、テルちゃんのそれは恋は盲目とも都合の良い存在とも呼べないような...いや、呼べるのだけれど。
それらをも越した、越してしまったと言うべき位置に到達しているように感じた。
私だったらと自分に置き換えて考えてみたら
テルちゃんのようにはなれない、到底無理だと
想像をするだけで胸が締め付けられた。
とても正常だとは言えないけれど
テルちゃんのそれはこれも1つの愛の形なのでは...っと。
こちらの感覚を麻痺させ鈍らせてくるような感覚を覚えた。
マモちゃんから離れたとして
テルちゃんはきっとテルちゃんのまま変わらないのだろうなと。
そんなテルちゃんのままでも自然と軌道修正をしてくれそうな男性に出逢えたら...。
世にいるテルちゃんのような女の子、報われてほしいな。
Posted by ブクログ
映画を観た後に原作を読みました。
映画を観た時は絶妙にこういう恋愛ありそうっていうリアルを感じましたし、嬉しい寂しいみたいな複雑な感情のシーンも沢山あった印象。
それが文章だとスッキリして見えました。
好きな人以外はどうでもいい人に分類されるテルコには意外と共感できる。
愛を与えてくれる人がいても愛を与えてくれない人を愛し続ける人達が、愛を伝えるのに色んな方法があって、愛の形は様々だと思った。
付き合っている人を身内と捉えるかしたしい他人と捉えるか、そこが印象的な文章でした。
Posted by ブクログ
プラスの部分を好ましいと思いだれかを好きになったのならば、きらいになるのなんかかんたんだ。プラスがひとつでもマイナスに転じればいいのだから。そうじゃなく、マイナスであることそのものを、(略)そういう部分を全部好きだと思ってしまったら、嫌いになるということなんて、たぶん永遠にない。
主人公が恋する、かっこいいわけでもなく優しくもない小物男について語った言葉。
切ないなー。理由じゃないんですね。なんだかわからないけど。
Posted by ブクログ
主人公のテルちゃんはタイトル通りの「愛がなんだ」と言いたくなる女性だった。初めはこんなに1人の男にのめり込む姿に苛立ちさえ覚える。
しかし読み進めていくうちに、自分も経験した片思いの頃の感情が蘇ってきた。またこの物語に出てくる登場人物にも誰かに想いを寄せた時の今までの自分が少しづつ映し出されている。
ナカハラくんとの最後のやり取りは現代の「推し活」者や、「こちらの一方的な恋愛だと分かってしまっている人」にとって刺さる言葉なのではないだろうか。
(一部引用)
「たぶん、自分自身に怖じ気づいたんだろう。自分のなかの、彼女を好きだと思う気持ち、何かしてあげたいという願望、一緒にいたいという執着、そのすべてに果てがないことに気づいて、怖くなったんだろう」
「見返りがないのになんかするのが馬鹿馬鹿しくなったんじゃん。飽きたんだよ、好かれないのに好きでいることに。」
Posted by ブクログ
報われない一方通行具合に読むのが苦しくなる。勝手に期待して傷ついたり、虚勢を張ったり、役に立ちたいと思いながら都合の良い存在になってしまったり。自分もテルコ側の人間だなと共感して苛立たしくもあり悲しくもなる。
消化不良のようなモヤモヤとした気持ちで読み終えた後、島本理生さんの解説に救われる。
Posted by ブクログ
成田凌が出ている映画で知っていたけど、内容は知らずページ数も少ないので読んでみました。
テルコがどうしようもないぐらいマモちゃんに惚れて、溺れて、雑く軽く扱われて…
ここまでではないけれども、自分の中で好きな人の優先順位が高くなってしまって、自分らしさが失われていった経験は過去あったなあと思いました。
あと最近の自分の恋愛観と同じことをテルコが言っていて、刺さりました。
顔とか、性格とか…『××だから好き』といった条件は、そうじゃなくなったら嫌いになるけど、
『存在が好き』、『マイナスもひっくるめて全部好き』って状態になったら、永遠にその人のことが好きだよなあと。
いい作品でした。
Posted by ブクログ
主人公にまったく感情移入できなかったけど面白かった。好きな人のために仕事に支障をきたすのやばいけど、主人公はそんな自分を客観的に見れているからアホじゃない。それなのに片思いの相手に会うと極端な行動をとってしまうのはまさに恋は盲目って感じ。普通は脈なしだと判断したら身を引くんだろうけど主人公にはその選択肢がない。ラストで彼女が選んだ道は狂気を感じて別の生き物を見ている気分になった。
マモちゃんのどこがいいのか分からなかったけど、「プラスの部分を好きになったら嫌いになるのは簡単だ(要約)」という文章で腑に落ちた気がした。あのシーンが1番印象的だった。
Posted by ブクログ
映画を先に見ていたため、内容がすっと入ってきた。
テルちゃんの気持ちは痛いほどよく分かるし、それをよく思わない恋愛もあることはよく理解できる。
痛い思いをするか、盲信してついていく、あきらめるしかないのかな〜。
心情の変化がありありと見てるし、説明的文章がなくて読みやすい。
Posted by ブクログ
友達である葉子には猛反対されてもより燃え上がる恋。
恋にひたむきすぎるテルコ。それは、まもちゃん(想い人)を「好き」、自分含めたその他すべてを「どうでもいい」に容赦なく分類するほどの徹底ぷり。仕事にも職場での人間関係にもがたつきが生じるほどに。
でも、ここで面白いのは、両想いとなり恋人へと関係性が昇格する、という乙女めいた盲信はせず、自分自身を冷静に、時に卑屈に俯瞰しながら恋愛に狂っているところだ。
「マモちゃんの行動パターンはこの5ヶ月で完璧に把握した。三日、乃至四日会わずにいると、私に会いたくてたまらなくなるということでは、どうやらないらしいと近頃私は気づきつつある。単純に、ごはんをいっしょに食べる友人のローテーションなのだ。」
という文章や、自分の行為はストーカーと総称されるだろう、という悟ったような語り口が面白い。
テルコは、他人の目にどう映ろうが、自分だけがこの独りよがりな恋愛観を理解していればよいと考えていた。多少の外野からのヤジは、むしろテルコを焚きつける要素でしかなかったのかもしれない。
「どちらにしても、マモちゃんは私の嘘を信じる。午前0時20分に、空腹のまま家で何もしていない人間がいるかどうかなどと彼は疑わない。人として品がいいのだ、と私は思う。」
マモちゃんのことを全肯定するテルコは、マモちゃんの、飲み友さえ見つけられれば良い、テルコの事情にはさして興味がない軽薄なやつだと薄々わかってはいても、なんとか誉め言葉を探し出してきてマモちゃんに当てはめる。
これは、恋が冷めないためのテルコなりの精一杯の抗いなのか、それともテルコが勘違いしないように頑張っているのにそれでも期待させてくるマモちゃんへの僅かな反撃の意味を込めての皮肉なのか。と、私たちならその二択のどちらかの心理だなと睨むだろう。
しかし、その直後にマモちゃんに呼び出されて、テルコが「ひゃっほう」と声に出してわかりやすく浮足立っていることから、先述の「人として品がいいのだ」といった冷静ぶった発言も、単純に恋の熱に浮かされて出た言葉だという考えに大きく傾く。
そう、恋に振り回されている間は論理が通用しない。私がこうして真面目に考察してみようとする姿勢こそ滑稽なのかもしれない。
「でも言っておくけどさ、マモちゃんは私が徹夜したなんて知らないよ、知ってたら自由席をありがたく受け取ってくれたと思うな、私、余ってるチケットがあるって言っただけだから」
チケットを徹夜で取ることが、引かれるような行為だと自分でもわかっているのだろう。マモちゃんがありがたく受け取る以外の反応、例えば感謝がなかったり、引いたり、といった反応をされることが薄々わかっていたはずだ。また、それがもととなってテルコのマモちゃんへの幻滅へと事が進むことが怖くて徹夜したことを言わなかった、という側面もありそうだ。
マモちゃんとの関係性をわきまえて、満足し、冷静に現状維持の関係を楽しんでいるように思われたテルコだが、ひとたび関係性に発展の兆しが見えると、「そうしているつもりはないのに、耳に届く自分の声はでれでれしている。」という具合にしっかりと大衆恋愛に沿った乙女の反応を見せている。
マモちゃんといる時は、素気ない態度や胸中での冷えた分析を織り交ぜつつ、愛の暴走をセーブしている分その反動で親友の前では解き放たれ、でれついている。しかも、自分の声が耳に届くまでにはでれでれしているということに気がついていない様子だ。これは相当の厄介ものだ。愛の暴走をセーブできているというのはテルコの思い上がりで、その実、水面下で愛をより大きく育ててしまっている。結局テルコも例に漏れず、こうした客観的に見て頭の悪い恋愛をしてしまっているのである。
匿名
ストーカーの心境を見たとゆう感じでした。
恋に溺れる事はあれど、自分をこんなにも蔑ろにする男に、ここまでの執着ってわくものなのか?彼女だったら、もっと楽しい恋愛できそうなのに、そうゆう恋愛にしか心動かされないのか?恋の結末が見えてるのになんで?モヤモヤしっぱなしでした。
Posted by ブクログ
なんともかわいい小説。
テルちゃんは完全にイカれてます。でもしんどいくらい共感する部分もある。心ではわかっているのに何故かいつまでも執着してしまう。
逆にマモちゃんを見ていて、自分の過去の行いを思い返すこともありました。あの時、自分はまったく相手のことを考えられていなかった。
いろいろ過去の恋愛を思い出しながら読み進められたのは、月9みたいにキラキラしていない等身大の話だからなのだと思います。
今泉力哉監督の映画が好きで、『愛がなんだ』もお気に入りの作品なのですが、今まで原作の存在を知りませんでした。読んでみて、描写や台詞回しなど今泉監督の原作へのリスペクトを感じました。
恋とか愛とはちょっと違う、見返りを求めない複雑な恋愛感情。
主人公は今まで読んだ恋愛本に出てくる女性とはかなり違っていた。
こんなに一人の人に一方的に執着することは、自分には出来ないなと思った。
Posted by ブクログ
誰かを好きになると、
自分が見えなくなり、
なのに、かっこ悪くなりたくもなく。
バカだとわかっているのに、
バカなことがやめられない。
好きでいることの方が苦しいのに、
好きという舞台から降りられない。
そんな苦しさを、
魅力的な登場人物たちに乗せて
抉るように見せてくれる。
あぁ、角田さんだなあ。
どうなるの? どうするの?
読み終えてなお、物語は終わらない。
Posted by ブクログ
自分には分からない価値観だったけど、人の立場だったり、心情表現がわかりやすかった。なんとなく人を分類するように読んでしまったけど、そういう描写だったからしょうがないと思った。
Posted by ブクログ
数年前に映画を観て、友達とマモちゃんクズ男〜と言いながら帰った記憶がある。
時が経ち、原作者が角田さんと知り読んでみた。
至る所に出来ている都合の良い関係、恋のトランス状態に呆れそうになる。
私、片思いとは楽しいものだと思っておりました...
そんなこともないのか、苦しいな。でも、本人は楽しそうだ。じゃあ、いいのか?愛ってなんだ?
よく分からない
Posted by ブクログ
ドラマになったら面白そぅ。
自分ゎこんな恋愛絶対しないっ‼︎と思ったけど
きっと若い頃は同じコトしてたんだろぉなっ…
すみれさんとは友達になれそぅ。
Posted by ブクログ
大人になってからの片思いって、うまく言えないけどもしかして執着?純度100って難しいかも
でも小学生みたいに、中学生みたいに、誰かをこんなに一途に好きでいられるのはちょっと羨ましい
みっともないとも思えなかった
Posted by ブクログ
マモちゃんを愛している山田。その愛は果てを知らず、マモちゃんのためなら自分の生活を壊すこともいとわない。山田を愚かだと思いながらも、愛に対する愚直さをすごくうらやましいとも思いました。マモちゃんが誰を好きであっても、自分に振り向かないと分かっていても、山田はマモちゃんを思い続ける。短所を愛してしまったら、もう嫌いになれるわけがないじゃない。読めてよかったです。
Posted by ブクログ
オチが秀逸だった。
終始感じられる「あ〜。全員消えてしまえ。」感がたまらなく癖になる作品だった。
主人公が自分のことを決して否定せず、高く評価している辺りがサイコーだった。
角田光代の他の作品も読んでみようと思った。
Posted by ブクログ
てるちゃんをみていると依存している恋をしていた自分を少し思い出した
ただ経験と共に段々とそういうことが無くなって今はもうない感覚だから共感は全くできないけれど社会的な環境の中で全力で片思いをし続けれるテルちゃんに少し羨ましくもおもったり
Posted by ブクログ
10代〜20代前半のまだ若い頃の、好きな人最優先になる感じ 昔の自分に重なる部分も少しあり なかなか予定あわない片思いの好きな人から突然会える?って連絡きて予約入れてたエステをドタキャンしてエステの人に後日叱られたこととかあったな、とか ちょっと心の奥に痛み感じながら読んだ。あの時は良くなかったなぁ…
最後の終わり方がなんだかな もっと続き読みたかったな、と。
Posted by ブクログ
マモちゃん、テルちゃん、どっちにも全然共感できないしなんなら気持ち悪いんだけど角田さんの文章が面白くて一気に読み終えてしまった。自分や友人、仕事をおろそかにしてまで恋愛にのめり込む気持ちが全くわからないし、マモちゃんみたいに普通他人をそこまで雑に扱えないよ、、、いくら寂しいからって、気のない相手と自分の時間を使ってまでイチャイチャしたり、恋人のように過ごしたりする気持ちがわからない。なんにも生産性がない。
終始イライラしながら読んでたけど、共感できるというコメントもあるから、世の中いろんな恋愛スタイルがあるのね〜と発見できて面白かった
あと、映画化されてるのを後から知ったので、マモちゃんが美形で脳内再生されなくてよかった。余計、なんでこんなやつ好きなの!?って思いは増したけど笑
Posted by ブクログ
星3.4
どこにでもありそうな、平坦な、大きな事件や事故があるわけでもない、ただ当人にとっては大きな問題がある。
そんな、どこかにありそうな「日常」を描いた物語は、その主人公の思考の動き、表現が面白ければ面白い。
序盤から主人公の思考の動き、言葉選びや表現は面白かった。
だから、面白かった。
大きな事件や事故があるわけではない、と書いたけれど、主人公はなかなかの変人である。
好きな男に片思い。病的な片思い。常軌を逸していると、冷静な立場からは思えるだろう。
冷静な立場からは変人、と捉えられる主人公の物語といえば「コンビニ人間」もそうだったが、彼女たちの思考の中には、多少なりとも納得させられる点や、共感できる部分もある。
大人なら、ほとんどの人が片思いを経験したことはあるだろう。
誰かにお熱になったとき、大なり小なり常軌を逸した行動をとった経験が、ほとんどの人にあるのではなかろうか。
私も、心当たりはあった。
冷静さを失う瞬間、行動。
多くの人が、どこかで冷めて(覚めて)成長していく。
読んでいる最中は、変人を客観的かつ安全地帯から冷静に「やべー方向に進んでるな」と、冷笑するように、性格悪く達観するような立場から
もしくは
あ、ここはわかるぞ、そうだよな、そうなっちゃうこともあるよな、と、やや共感する立場から
その二択の捉え方がいったりきたりするような感覚だった。
中盤から、きっとこれはテルコの成長の物語なのではないか、と思うようになった。
部屋が荒れて、そこに友人の葉子がやってきてテルコが再びアルバイトを探し始めたとき、きっとテルコの目が覚めるのだろう、と。
そこを振り切った後半と、結末は予想外だったし、そこが点数を押し上げた。
マモちゃんとの関係性を維持するために、好きでもない男に抱かれても、愛が無くても、まさに「愛がなんだ」という覚悟で、好きでもない男との交際を決意する。
永遠にマモちゃんの呪縛から逃れられず、永遠に続く、なにものより優先される片思いを続ける哀しさ。
哀しさを感じる結末のようにみえるが、それだけとは思えないのが、この物語の巧さとも思える。
ここに登場する人物たちは、誰一人として、正解といえる恋愛はしていない。
そもそも恋愛に正解なんかあるのか、というと疑問であるが、この場合の「正解」とは、100人に聞いて、少なくとも半数の50人以上は「いい恋愛だねー」とか「幸せだねー」と言うだろうな、ということとして定義する。
そうすると、ここに出てくる人たちは、みんな
「そんな恋愛やめたら?」などと、周囲からいらんお節介を焼かれそうな恋愛をしている。
葉子の、自分が優位に立つことに対する執着も
葉子の母の、尽くす恋愛も
ナカハラの、いつか報われるのでは?という期待も、決して葉子を悪く言わない間違えた優しさも
マモちゃんの、浅い発想と、テルコを切ると宣言して結局踏ん切りつかずキープするだけはしてしまう芯の無さも
ひたすらに、みんな違ってみんな変。
みんな間違っている。
唯一、ナカハラは少し希望の見える結末だったかのように思えるが。
それはさておき「間違ってる」と書いたが、それって誰が決めることなんだろう、と思った。
結局、当事者にとっちゃあ「いらんお節介」なんだろう、と。
幸せは自分で決めたらいい。
外から見て、テルコ、そんな報われない恋愛はやめなさいと言ったところで、そんなものは不毛なのである。
そう、この「愛がなんだ」は
「お前らが言う愛がなんだ」と、自分が信じる道へと進む連中のことを指すのだと、私は解釈した。
そして、腑に落ちた。
だから、結末がとてもよかった。
だから、面白かった。
Posted by ブクログ
好きな人のためにどんなことも差し置いて行動する主人公。はたから見るとダメ人間だろう。それなのに同性の友達が良くしてくれる。片思いのストーカーなのか、恋愛ですらないのか。読後も何とも言えない感情。ただ、文章が面白い。
Posted by ブクログ
読んでるとマモちゃんの不幸を望み、山田に電気ショックをあてたくなる。
結局似たもの同士なのか、誰かに尽くして誰かを軽んじてバランスをとってしまうものなのか。
Posted by ブクログ
角田光代さんの作品を読もうと思い立ったけど、何から読もう、、そう思った時映画化されている「愛がなんだ」を手に取りました。
決してハッピーエンドとは言えない結末に、現実味を感じました。
テルちゃんからマモちゃんへの愛が深すぎてちょっと怖いまであるけど、少なからず自分重なる部分もあってゾッとする。
なんで、あんなワガママな人にこき使われてたんだろうなんて思うことあるけど、頼られたり、それで喜んでくれたりすると、嬉しいんだよね。その人がいることで自分の存在意義を見出せるといいますか。
テルちゃんは今の状態で突き進むことを決心していたけれど、私はそうならないように、生きていきたいと再確認するきっかけにもなった気がします。