あらすじ
「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!
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面白い!!!
報われない恋をしたことがある人なら共感できるところがたくさんあって、でも客観的に見るとどうしてそうなるの、、、?!って思うところがあり2つの感情を楽しめる面白いストーリーでした!どうかテルコちゃんには幸せになってほしいけどやっぱり彼を選んじゃうだろうな、、、。
良かった
すごく続きがあるのではと思ってしまった。と言うか、の先テルちゃんが幸せになる気がして、テルちゃんがすごく強くて良かったと思える作品。途中までなんだこれ、と思いながら読んでいたけど、流石角田光代。言葉の節々に自分の人生と重なるところがある。
Posted by ブクログ
この小説を一言で表現するなら、「重い愛の話」だと思う。
この本を読もうと思ったきっかけは、本が薄くて読みやすそうだったことと、恋愛系の小説を読んでみたいと思ったからだ。普段、私は恋愛小説をあまり読むことがないため、最初はどんな話なのか少し興味を持つ程度だった。しかし、実際に読み始めると、登場人物たちの恋愛や人間関係に引き込まれ、次のページが気になってなかなか読む手を止めることができなかった。
特に、主人公のテルコの恋愛に対する一途さや、マモちゃんを思い続ける姿は、現実ではなかなかここまで相手に執着する人はいないのではないかと思う一方で、恋愛をしたことがある人なら少し共感できる部分もあるように感じた。登場人物の行動に「どうしてそんなことをするのだろう」と苛立ったり、もどかしく思ったりする場面も多かったが、それだけ登場人物の感情がリアルに描かれているからこそ、強く印象に残ったのだと思う。
また、物語を読んでいるうちに、自分自身の過去の恋愛や、誰かを好きになったときの気持ちを思い出すこともあった。恋愛には、幸せな気持ちだけではなく、相手を思いすぎて苦しくなったり、周りが見えなくなったりすることもある。この作品は、そんな恋愛のきれいな部分だけではなく、人を好きになることの不器用さや怖さ、執着することの苦しさまで描いているように感じた。
読後は、すっきりとした終わり方ではなく、少しモヤモヤした気持ちも残った。しかし、その「すっきりしなさ」も含めて、現実の恋愛に近い作品なのではないかと思う。登場人物たちの恋愛を見ているだけなのに、自分自身の恋愛観についても考えさせられる作品だった。
普段はあまり恋愛小説を読まない私でも、最後まで夢中になって読むことができたので、読んでみてよかったと思う。この作品をきっかけに、角田光代さんの他の作品も読んでみたいと思った。
Posted by ブクログ
映画を観た後に原作を読みました。
映画を観た時は絶妙にこういう恋愛ありそうっていうリアルを感じましたし、嬉しい寂しいみたいな複雑な感情のシーンも沢山あった印象。
それが文章だとスッキリして見えました。
好きな人以外はどうでもいい人に分類されるテルコには意外と共感できる。
愛を与えてくれる人がいても愛を与えてくれない人を愛し続ける人達が、愛を伝えるのに色んな方法があって、愛の形は様々だと思った。
付き合っている人を身内と捉えるかしたしい他人と捉えるか、そこが印象的な文章でした。
Posted by ブクログ
主人公のテルちゃんはタイトル通りの「愛がなんだ」と言いたくなる女性だった。初めはこんなに1人の男にのめり込む姿に苛立ちさえ覚える。
しかし読み進めていくうちに、自分も経験した片思いの頃の感情が蘇ってきた。またこの物語に出てくる登場人物にも誰かに想いを寄せた時の今までの自分が少しづつ映し出されている。
ナカハラくんとの最後のやり取りは現代の「推し活」者や、「こちらの一方的な恋愛だと分かってしまっている人」にとって刺さる言葉なのではないだろうか。
(一部引用)
「たぶん、自分自身に怖じ気づいたんだろう。自分のなかの、彼女を好きだと思う気持ち、何かしてあげたいという願望、一緒にいたいという執着、そのすべてに果てがないことに気づいて、怖くなったんだろう」
「見返りがないのになんかするのが馬鹿馬鹿しくなったんじゃん。飽きたんだよ、好かれないのに好きでいることに。」
Posted by ブクログ
マモちゃんを愛している山田。その愛は果てを知らず、マモちゃんのためなら自分の生活を壊すこともいとわない。山田を愚かだと思いながらも、愛に対する愚直さをすごくうらやましいとも思いました。マモちゃんが誰を好きであっても、自分に振り向かないと分かっていても、山田はマモちゃんを思い続ける。短所を愛してしまったら、もう嫌いになれるわけがないじゃない。読めてよかったです。
Posted by ブクログ
マモちゃん、テルちゃん、どっちにも全然共感できないしなんなら気持ち悪いんだけど角田さんの文章が面白くて一気に読み終えてしまった。自分や友人、仕事をおろそかにしてまで恋愛にのめり込む気持ちが全くわからないし、マモちゃんみたいに普通他人をそこまで雑に扱えないよ、、、いくら寂しいからって、気のない相手と自分の時間を使ってまでイチャイチャしたり、恋人のように過ごしたりする気持ちがわからない。なんにも生産性がない。
終始イライラしながら読んでたけど、共感できるというコメントもあるから、世の中いろんな恋愛スタイルがあるのね〜と発見できて面白かった
あと、映画化されてるのを後から知ったので、マモちゃんが美形で脳内再生されなくてよかった。余計、なんでこんなやつ好きなの!?って思いは増したけど笑
Posted by ブクログ
星3.4
どこにでもありそうな、平坦な、大きな事件や事故があるわけでもない、ただ当人にとっては大きな問題がある。
そんな、どこかにありそうな「日常」を描いた物語は、その主人公の思考の動き、表現が面白ければ面白い。
序盤から主人公の思考の動き、言葉選びや表現は面白かった。
だから、面白かった。
大きな事件や事故があるわけではない、と書いたけれど、主人公はなかなかの変人である。
好きな男に片思い。病的な片思い。常軌を逸していると、冷静な立場からは思えるだろう。
冷静な立場からは変人、と捉えられる主人公の物語といえば「コンビニ人間」もそうだったが、彼女たちの思考の中には、多少なりとも納得させられる点や、共感できる部分もある。
大人なら、ほとんどの人が片思いを経験したことはあるだろう。
誰かにお熱になったとき、大なり小なり常軌を逸した行動をとった経験が、ほとんどの人にあるのではなかろうか。
私も、心当たりはあった。
冷静さを失う瞬間、行動。
多くの人が、どこかで冷めて(覚めて)成長していく。
読んでいる最中は、変人を客観的かつ安全地帯から冷静に「やべー方向に進んでるな」と、冷笑するように、性格悪く達観するような立場から
もしくは
あ、ここはわかるぞ、そうだよな、そうなっちゃうこともあるよな、と、やや共感する立場から
その二択の捉え方がいったりきたりするような感覚だった。
中盤から、きっとこれはテルコの成長の物語なのではないか、と思うようになった。
部屋が荒れて、そこに友人の葉子がやってきてテルコが再びアルバイトを探し始めたとき、きっとテルコの目が覚めるのだろう、と。
そこを振り切った後半と、結末は予想外だったし、そこが点数を押し上げた。
マモちゃんとの関係性を維持するために、好きでもない男に抱かれても、愛が無くても、まさに「愛がなんだ」という覚悟で、好きでもない男との交際を決意する。
永遠にマモちゃんの呪縛から逃れられず、永遠に続く、なにものより優先される片思いを続ける哀しさ。
哀しさを感じる結末のようにみえるが、それだけとは思えないのが、この物語の巧さとも思える。
ここに登場する人物たちは、誰一人として、正解といえる恋愛はしていない。
そもそも恋愛に正解なんかあるのか、というと疑問であるが、この場合の「正解」とは、100人に聞いて、少なくとも半数の50人以上は「いい恋愛だねー」とか「幸せだねー」と言うだろうな、ということとして定義する。
そうすると、ここに出てくる人たちは、みんな
「そんな恋愛やめたら?」などと、周囲からいらんお節介を焼かれそうな恋愛をしている。
葉子の、自分が優位に立つことに対する執着も
葉子の母の、尽くす恋愛も
ナカハラの、いつか報われるのでは?という期待も、決して葉子を悪く言わない間違えた優しさも
マモちゃんの、浅い発想と、テルコを切ると宣言して結局踏ん切りつかずキープするだけはしてしまう芯の無さも
ひたすらに、みんな違ってみんな変。
みんな間違っている。
唯一、ナカハラは少し希望の見える結末だったかのように思えるが。
それはさておき「間違ってる」と書いたが、それって誰が決めることなんだろう、と思った。
結局、当事者にとっちゃあ「いらんお節介」なんだろう、と。
幸せは自分で決めたらいい。
外から見て、テルコ、そんな報われない恋愛はやめなさいと言ったところで、そんなものは不毛なのである。
そう、この「愛がなんだ」は
「お前らが言う愛がなんだ」と、自分が信じる道へと進む連中のことを指すのだと、私は解釈した。
そして、腑に落ちた。
だから、結末がとてもよかった。
だから、面白かった。