【感想・ネタバレ】銀の夜のレビュー

あらすじ

女子校時代に少女バンドを組んでメジャーデビューした3人の女性。30代半ばとなった現在、人生のピークは10代だったと懐かしむ毎日を送っている。夫に浮気されたり、自らの見果てぬ夢を娘に託したり……など、日常は冴えない。そんな毎日にひょんなことからあるミッションが舞い込み、3人はまた図らずも力を合わせることに……。人生と本当に向き合い始めた大人女性たちの「生きる手応えとは?」を描いた話題作。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

キラキラした時代を引きずりながら、30代の今を悶々と生きる3人の女性たち。
仲良し3人組のはずだけど、みんなそれぞれ他人に対する思いがあって、3人それぞれの思いも分かって(読んでると)、それがすごくいいなと思った。
3人とも流されながら、時に無茶苦茶に生きてるんだけど、最後の最後で言葉を超えたところで分かってしまうのが良いよね。
三者三様の生き方や思っていることに、ああ、これは小説でしか描けないよなぁと思いながら、一気に読んだ。

あとがきに、これはずっと忘れられていた小説で、時が経ってしまってもう自分には直せないと思ったと書いていた作者に好感を持った。
自分には、キャラクターが自由に動いたという経験がない、いつも悩みながらどうにか動かしている、と書いていた作者も好きになった。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

家族とか、女同士の関係とか、そういうものの嫌なところとかうまくいかないところとか好きなところとか、そういう人間らしい感情を書くのが本当に本当にうまいと思う。角田さんの小説を読んでいる時、人生の中で抱いてしまう嫌な感情も全部包み込んでくれる感覚があって、私の救いだなあと思うし、大好きです。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

何も変わらなかったはずの、その間になんの優劣も無かったはずの少女たちが大人になってそれぞれの生活を営み、なんとなく別々の人間になっているような気がして寂しくなる。それでも私たちはいつだってあの日のように笑い合える。自分が社会人6年目の20代折り返し地点に立ち、ずっと一緒にいた仲間達とのライフスタイルがバラバラになっていくこの時期にこの作品を読めてよかったと思った。自分達が何になりたいのか。何を持って「満たされる」のか。それは誰の何と比べた時の「満たされる」なのか。時にしょうもなくてみっともないと彼女たちを笑いつつ、その情けなさに分かるな〜と自分を見つめつつ。人間らしくかっこよくも無い可愛らしい大人の女性たちだった。彼女たちのその先を知りたくなった。

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

やっぱり私は角田さんが好きだと改めて思った。

・あらすじ
ちづる、麻友美、伊都子の同級生3人組でバンドを組み、ブレイクをして10代で人生のピークを迎える。
そしてあっという間に30代になった3人はそれぞれの生活をしていて、いつしか10代のことは思い出として頭の片隅に置かれていた。3人ともそれぞれの事情を抱えながら、何かを追い求め、諦めてきていた。
3人が再会した時に忘れかけていた何かを呼び起こすお話。


それぞれの視点から物語が進んでいくので、展開が気になってサクサク読めました。
ライブイベントが多い女性ならではのモヤモヤや、焦り、不安の描写がリアルで共感しました。
角田さんの描く女の子、女性は本当に等身大で、不安定な気持ちをしっかり言語化してくれるのが良いです。

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2024年12月17日

Posted by ブクログ

三人の女性の日常のよくある話といえば、そんなところ。
承認欲求や嫉妬、妬み、そんな自分から湧き上がってくる嫌な部分と向き合いながら、懸命に自分と向き合い、邁進していく。
一筋縄では行かない人生だとは、わかっているつもりだったけど、みんな頑張っているんだと勇気づけられた一冊でした。

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2024年11月05日

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角田光代さんの長編はやっぱりいいです。こんなに人生考えさせられると、本人も言っていたけど特殊な物語、うんアイドルやってた思い出に縋ってあの頃の自分に帰りたい話と思いきや全然違う、むしろアイドル時代が輝かしいと思っていたのは1人だけだし。ちづこの現実を受け入れない毎日も、旦那の浮気を詰めないで自分の気持ちと立ち位置と表現する距離感が上手です。自分から離婚届を渡してちづこがそう言うならの言葉しか言えない旦那、20代に恐れていた不安定な生活をしているちづこが、次の3人のランチが無期限とメールするとか尊敬してしまうのです。これまで噛み合わないのが病院から抜け出す計画で3人の意思疎通出来た所も好きだし。

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2024年09月25日

Posted by ブクログ

余韻が残る。すっとずっと残る作品。本当に欲しいものは素直になって、手放さないと手に入らないのかもしれない。
自分の立ち位置、自分の人生で本当に欲しいもの、それすら分かっているようで分からない。ちっぽけさと弱さを認めることの怖さ、必要性を感じた。自分の事を考えた。
同世代の女性にはぜひ一読して欲しい作品。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ちづるも伊都子も麻由美も
それぞれの日常が妙にリアルで
彼女たちの今が気になる作品だった。

ちょっと特殊な経歴を持つ3人っていうのが
より一層彼女たちの繋がりを深めているようで
なんだか面白い。

それでも私たちは大丈夫。
大丈夫を胸にそれぞれまた動き出した先には何があったんだろう。
近い世代だから自分にも刺さるところがあった。

角田さんのあとがきまで読んで、
なおさら彼女たちの今が読みたいと思った。
続編が出たら良いなぁ…。

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2023年12月23日

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わたしは3人のだれとも似ていない。だけど、のめり込んでしまった。ぎゅっと口を固く閉じていないと内臓やらなんやら、感情の奥にあるものが出てきそうで大変だった。

だいじょうぶだ、と思えるもの。
わたしにとってそれは何なんだろう?

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2023年11月21日

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ネタバレ

中学時代からの親友同士で、高校生の時にはバンドを組んでアイドル並みの人気を博していたちづる、麻友美、伊都子。
しかし、35歳の今、三人はそれぞれの人生に倦んでいた。

ちづるは夫のコネでイラストなどを描いて発表したりもするが、専業主婦とほぼ変わらない生活を送っている。
夫が職場の同僚と不倫をしていることを知っても、悔しくも悲しくも感じていない。

伊都子は売れっ子翻訳家の母との二人家庭で育ち、偉大な母に認めてもらうための人生は間違いだったのではないかと思い始めている。
唯一、バンド時代が人生のピークだったと思い、幼い娘にもスポットライトを浴びるような生活をさせようとお稽古ごとに励む毎日。

3人はたまに会って食事をして、近況報告をするなどつきあいは続いているが、それぞれ自分の生活と友人との距離を感じてはいる。
確かに、35歳ってそういう年齢だよね、と思いながら読んでいたのだけど、どうも3人ともに年齢より幼いのでは?という気がぬぐえない。
そして、全員がスマホではなく携帯を使用している違和感。

あとがきを読むと、かなり以前に書籍化するためにゲラまで進んだが、そのまま忘れていた作品だったようで、今なら50歳になっているはずらしい。

なぜ幼く感じたのかというと、自分の心に蓋をして、現状の不満に目をつぶり、不満を無かったことにするか人のせいにする。
自分の力で先に進もうとしないのは、その手段を持たない子どもだ。

違う道を選んでいたら、どんな人生だったんだろうと思うことは、確かにある。
そしてそんなことを考える時って、現状に何らかの不満があって、きっともうひとつの道が正解だったに違いない、と思ってしまうことも。

伊都子の、母に対する気持ち、恨みのようなものが一番私に近しいと思う。
でも結局母の手のひらから外には出なかったのだ、35歳まで。

一番理解できなかったのが、ちづる。
互いに気を使いながら、心を通わせようとしない夫婦。
なんでいつまでも夫婦なんだろう。

”一分一秒でも幸せだと実感していたい。自分の周囲に空洞があることを許さない。空洞は幸せの対極にあるから”

私は自分の周囲に空洞がないと苦しくなる。
空洞って自由のことだと思うから。
偽の充実で周囲を取り囲んで雁字搦めになりたくはないと思うから。

最後に大きな出来事があって、3人は力を合わせてそれに対処し、そしてその後はそれぞれの足で歩きはじめる。
もう、おしゃれなレストランで一緒に食事をすることはしばらくないだろう。
でもいつかそのうち、少女時代のしっぽを切り捨てた大人同士の友人として、また旧交を温めると信じてる。

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2025年11月19日

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角田さんの描く女性が好き。みんな、嫌になる程人間臭い。
人に認められたいというその感情に縛られて生きること。そんなことは馬鹿らしいと分かっていても、その呪縛からどうしても逃れられずにもがいてしまうこと。誰にでもある、自分を縛ってしまうその癖を、別に大丈夫だよ、と肯定してもらったような気分。

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2024年10月20日

Posted by ブクログ

20,30代のそれぞれの人生の局面での焦り、それが分かりやすく描写され、言いようもないもどかしさを感じている所に、想像しない形で伊都子の母の生死、自分の人生に向き合っていく、その怒涛の展開が神々しく、予想せずに涙ぐんでしまった。
3人が、3人らしく生きていることを願うし、このお話を読んで本当に良かったと思う。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

26歳の今、35歳になった自分を想像することが出来ない。想像できないからこそ、ワクワクできるといえばそうなんだけど、仕事、恋愛、家族、生活、健康とか、心配しだしたら止まらないくらい、不安が渦巻いているのも事実なんだよなあ。
過去のある一点がすごくキラキラ輝いてたように思えるのも分かる。実はその時だって判然としない色んなことに悩んだりしてたんだけど。
ちょっと物語の趣旨とズレてる気もするけど、読みながらそんなことを感じました。

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2024年03月20日

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35になる直前に読んだ本
何者でもない自分に不安を感じる気持ちとか、過去の何者かになろうとしていた自分と比べて今はどうだろうと考えてしまう自分、共感できる部分が多かった。不安を抱えても自分の人生を生きていく楽しさに気がつく瞬間を描いているて、希望を見出せる作品だった

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2024年02月18日

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高校時代にバンドを組んで、なぜかそこそこ売れた過去のある女、三十五歳。つかず離れず適当な距離で過ごしてきた三人が友の思いに触れて動き出す。月の輝く銀色の夜を越えて
彼女らは何かに出会う。

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2024年02月09日

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何者かになれなかったとしても、手に入れたと思ったものがそのそばから溢れていくものだとしても、人生は愛おしい。
そんなものなのだ。じたばたしながら、カッコ悪さを晒しながら、怖がらずに自分の人生を抱きしめよう。

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

自分の人生のはずなのに、いつのまにか他人任せの毎日を送っている感覚。

「生きる手応えとは?」

知らず知らずのうちに自分を縛っているもの、執着しているもの、そこから抜け出したときの解放感と足取りの軽さ。
終盤のスピード感とキラキラした景色の場面では、読んでいるこちらの心からも、何かが削ぎ落とされたように思えた。

人生と向き合うのはつらい、苦しい。
それを乗り越えられるのは自分たったひとりだけれど、それでも大丈夫だからと背中を押してくれた一冊。

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2024年01月13日

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3人の女性、立場は違うけど皆それぞれに悩みを抱えながら生きている。
大人になると友達と集まっても、本当の本音は話せなかったりするところがわかるなーと共感。
特に女性は既婚、未婚、子あり、子なしとか嫌でも分類しがち。
そうするとこの話はできないかな、とか無意識に話題を選んだりして。

最後の終わり方好き。

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2024年01月11日

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仲が良ければいい人ほど、年齢を重ねれば重ねるほど孤独や上手く行ってない自分を見せたくない。
主人公達は私と同世代なのでわかるなーって思うことがたくさんあった。
こんなダサい部分に共感するってことは
周りも同じような感じなんじゃないか。
いい意味で開き直ればいつだってあの頃に戻れる!
そう思えた1冊。

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2024年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

30代半ばの女性はライフスタイルがいくつかのパターンに分類され、悩みも異なる。主人公のちづる、麻友美、伊都子は、その三者三様の30代女性像を、ステレオタイプのように反映させたキャラクターといえる。
夫とふたり暮らしのちづる、一人娘を抱える専業主婦の麻友美、独身で海外を渡り歩きフリーランスで働く伊都子
自分自身でも気づかない行動と本音の矛盾に共感する。ちづるの「表面だけつるつると清潔な部屋のような関係」「人間らしさを避けた結果」という表現が心に刺さった。
とりとめもない3人の物語がどう幕を閉じるのかと読み進めたところ、ラストは意外にもロマンチックな展開だった。
伊都子の母の病をきっかけに、3人はある協力をする。再び3人が、学生時代のように力を合わせる。しかしそれは、誰かに言われるままではなく、気を使うでもなく、自らが望んで。彼女たちが、少し強くなった瞬間だった。そして、上部だけのごはん会はもう開催されない、とちづるが悟る。
気持ちよく自分の人生を歩み出しであろう彼女たちの姿に勇気をもらい、羨ましくもなる。

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2023年12月10日

Posted by ブクログ

読んでいて、さまざまな光が思い浮かんだ。太陽を反射する海、涙に滲むネオン、暗闇の中に灯る炎のような心。
心の底の方からふつふつと湧く静かな苦しみや閉鎖感、そこから逃避できた気がしたときの快感。

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2023年11月23日

Posted by ブクログ

ちょこちょこ読んでたから、長いことかかった。
学生時代にアイドルバンドグループを組んでた3人の女性のその後。
それぞれの心の描写や誰の中にもあるいろんな思いの表し方が上手かった。
誰の心の中にもある諸々をながすのではなく、言語化する。そして、それに共感することで気づく。
それってどうやって鍛えていくのかなって思った。日々の暮らしの中を色んな視点でみて、自分なりに砕いていくのかな。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

何か嫌なことや不安があると現実から逃げたくなる。他人や環境のせいにしたり。
現実に目を向けて、生きたいように生きる。自分がどうありたいかは、なかなか見つからない。

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2024年09月23日

Posted by ブクログ

人生、思ったようには上手くいかない、というが、それこそが人生。スターだろうと有名人だろうと、その人にしかわからない人生。

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2024年08月30日

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35歳のちづる、麻友美、伊都子それぞれの視点から語られる小説。3人とも「生きる手応え」を求めていて、他人と自分を比べては何かを成し遂げなければ、という焦りを抱いている。

自分の人生の岐路における決断を、100%自分でしたのか、周りからの圧力や雰囲気に流されてしたのか。自信のない3人は、みんな今の生活が順調ではない。
そんな3人が末期癌の伊都子の母親のために力を合わせ、ある計画を成し遂げる。正直、途中は3人の登場人物に対してイライラするところもあったけど、社会からの人気とか評価とか度外視して秘密の計画を成功させるために邁進する3人の姿はとてもキラキラしていて清々しかった。
そして、計画を成し遂げたちづるは、「自分の人生」なんてないこと、「自分の人生があったとしても、それは必ずしも魅力的ではない」ことに気がつく。

p. 355

「でも、私たちは本当に、自分の人生というとてつもない魅力的なものを手に入れたのだろうか。あるいは、自分の人生などと言いきれるものが、果してあるのだろうか。あったとして、それは本当に「とてつもなく魅力的」なのだろうか?」

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2024年07月06日

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ネタバレ

角田さんは、大人になった女性の悩み、葛藤をよく書くよね。わかるところもあり、まだわからないところもあり、、、。ちづるも伊都子も結局恋愛の方に行くんかいと思った。だけど、ちづるは「この人と会えなくなっても悲しくない恋愛」で、依存していなくて、純粋で素敵だった。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

複雑?わがまま?ないものねだり?3人の女性のどことなく不安定な心理描写、満たされていない悶々とした空気感、それらを上手く表現している角田光代さんのセンスはさすがだと思う。この本のような思いを抱いている人って意外と沢山いるのかな?

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2024年05月09日

Posted by ブクログ

彼女たちと同じくらいのときは自分ももがいてた
これで良いのか?とか本当は違ったのかも?とか
他者に認知されないくらいほんの小さなことでも
満たされて前に進むきっかけになることがある

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

30代半ばの3人の女性の話。すごくリアルだった。

母親に囚われてたり、なれなかった自分の夢を子どもに投影して追わせたり、夫の浮気を黙認したり、あー、こういう人いそう、と思った

やりたい事の原動力が、しょうもない夫にすごいって言わせたいっていうのもなんか刺さった

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

15歳の頃、仲のいい三人はバンドをやっていた。あの頃、精一杯生きていた。35歳になった今、大人になりきれず必死にもがいてる。自分たちがやりたかった事とは何か、考えさせられる。果たしてやりたかった事とは。

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2023年11月28日

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