あらすじ
女子校時代に少女バンドを組んでメジャーデビューした3人の女性。30代半ばとなった現在、人生のピークは10代だったと懐かしむ毎日を送っている。夫に浮気されたり、自らの見果てぬ夢を娘に託したり……など、日常は冴えない。そんな毎日にひょんなことからあるミッションが舞い込み、3人はまた図らずも力を合わせることに……。人生と本当に向き合い始めた大人女性たちの「生きる手応えとは?」を描いた話題作。
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Posted by ブクログ
ちづるも伊都子も麻由美も
それぞれの日常が妙にリアルで
彼女たちの今が気になる作品だった。
ちょっと特殊な経歴を持つ3人っていうのが
より一層彼女たちの繋がりを深めているようで
なんだか面白い。
それでも私たちは大丈夫。
大丈夫を胸にそれぞれまた動き出した先には何があったんだろう。
近い世代だから自分にも刺さるところがあった。
角田さんのあとがきまで読んで、
なおさら彼女たちの今が読みたいと思った。
続編が出たら良いなぁ…。
Posted by ブクログ
夜は一人で自分自身と向き合わざるを得ない時間。そして、どんな人の元にも等しくやってくる、日常と隣り合わせの時間でもある。
3人の主人公たち(伊津子、ちづる、麻友美)が直面しているのは、劇的な悲劇ではなく、日々の生活の中で静かに積もっていく違和感や割り切れなさ、誰にも言えない孤独だった。
これは、その静寂な時間の中で、過去の記憶や現在の自分、親子との関係を反芻する、まるで夜の中にいるような物語。
3人が抱える孤独や迷いは、すっきりと解決するわけではない。それでも完全な暗闇(絶望)ではなく、どこか冷ややかで静かだけれど、たしかに光を含んでいる時間を生きている。
母が衰弱するにつれ娘という役割から解放される伊津子。それは、和解というよりかは諦念を含む愛の受容だった。
空っぽな自分自身を直視することを恐れ、なまぬるい日常を送っていたちづる。伊津子の母を海へ連れて行った、あの切烈な瞬間に立ち会うことで、傷つく覚悟を持って、自分の人生を自分の手で生き直すことになる。
過去に執着し、叶わなかった自分の果てぬ夢を娘に肩代わりさせ、嫉妬をもする、毒親予備軍の麻友美。かつて憧れていた伊津子の母を見送ることで、子どもを所有物にするのではなく、一緒に生きていく存在として受け入れる覚悟を決めることができた。
どれもひとことでは言い表されない、手に入れたと思ったらすり抜けていくような人生。だからこそ手に入れようともがく。その手応えこそが、自分だけにしか得られないものだったんだな と教えてくれるような本だった。
Posted by ブクログ
中学時代からの親友同士で、高校生の時にはバンドを組んでアイドル並みの人気を博していたちづる、麻友美、伊都子。
しかし、35歳の今、三人はそれぞれの人生に倦んでいた。
ちづるは夫のコネでイラストなどを描いて発表したりもするが、専業主婦とほぼ変わらない生活を送っている。
夫が職場の同僚と不倫をしていることを知っても、悔しくも悲しくも感じていない。
伊都子は売れっ子翻訳家の母との二人家庭で育ち、偉大な母に認めてもらうための人生は間違いだったのではないかと思い始めている。
唯一、バンド時代が人生のピークだったと思い、幼い娘にもスポットライトを浴びるような生活をさせようとお稽古ごとに励む毎日。
3人はたまに会って食事をして、近況報告をするなどつきあいは続いているが、それぞれ自分の生活と友人との距離を感じてはいる。
確かに、35歳ってそういう年齢だよね、と思いながら読んでいたのだけど、どうも3人ともに年齢より幼いのでは?という気がぬぐえない。
そして、全員がスマホではなく携帯を使用している違和感。
あとがきを読むと、かなり以前に書籍化するためにゲラまで進んだが、そのまま忘れていた作品だったようで、今なら50歳になっているはずらしい。
なぜ幼く感じたのかというと、自分の心に蓋をして、現状の不満に目をつぶり、不満を無かったことにするか人のせいにする。
自分の力で先に進もうとしないのは、その手段を持たない子どもだ。
違う道を選んでいたら、どんな人生だったんだろうと思うことは、確かにある。
そしてそんなことを考える時って、現状に何らかの不満があって、きっともうひとつの道が正解だったに違いない、と思ってしまうことも。
伊都子の、母に対する気持ち、恨みのようなものが一番私に近しいと思う。
でも結局母の手のひらから外には出なかったのだ、35歳まで。
一番理解できなかったのが、ちづる。
互いに気を使いながら、心を通わせようとしない夫婦。
なんでいつまでも夫婦なんだろう。
”一分一秒でも幸せだと実感していたい。自分の周囲に空洞があることを許さない。空洞は幸せの対極にあるから”
私は自分の周囲に空洞がないと苦しくなる。
空洞って自由のことだと思うから。
偽の充実で周囲を取り囲んで雁字搦めになりたくはないと思うから。
最後に大きな出来事があって、3人は力を合わせてそれに対処し、そしてその後はそれぞれの足で歩きはじめる。
もう、おしゃれなレストランで一緒に食事をすることはしばらくないだろう。
でもいつかそのうち、少女時代のしっぽを切り捨てた大人同士の友人として、また旧交を温めると信じてる。
Posted by ブクログ
角田さんは、大人になった女性の悩み、葛藤をよく書くよね。わかるところもあり、まだわからないところもあり、、、。ちづるも伊都子も結局恋愛の方に行くんかいと思った。だけど、ちづるは「この人と会えなくなっても悲しくない恋愛」で、依存していなくて、純粋で素敵だった。