角田光代のレビュー一覧
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ネタバレ第一章のキャンプが行われていた数年間からもうぐいぐい先が気になって、のめり込むように読み終わりました
読み終えてから、これは家族の話だなと思った
ひとりひとりがキャンプが行われていた背景や、事情を知ったあとの自分との折り合いのつけ方に性格を感じる
非配偶者間での人工授精、真実は言葉にすると短いけれど”父親が、ひいては父方の親族が誰も分からない”というのは自分のアイデンティティの根源を揺るがす事態だと思う
雄一郎が、父からの悪意によって思春期の大事な時期に嘘の告白をされ、それによって無気力な人生を歩んできたのがどうにもやりきれない悲しさがあった
エピローグで、皆前を向いて少しずつ歩いてるというのをさーちゃんが『おとうさん』に向けて書いた手紙のような形式で終わっているのもよかった
さーちゃんも少しずつ変わろうとしている最中なんだろうな -
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つい先日読んだ『自分で名付ける』とは全く違う感じ方。やはりエッセイと小説という違いはあれど。
『自分で名付ける』は今の子育てしづらい点やジェンダー感などまで、感じるところを赤裸々に書かれていて、これからの子育て、気合い入れねば。と感じた。
この『予定日はジミー・ペイジ』では、子供が生まれるまでの将来の期待感を強調されているためか、そうか、未来はこんなにも希望に溢れてるんだ、的な、ぼんやりと幸せを感じるような読後感だった。
下記の表現なんかは特に素敵だし共感した。
「時間ってのはいつもいつも流れているんだけど、子ども産んだとたん、それが目に見えるようになる」
「そうか、ここには時間が詰まってるのか」突き出たおなかを神妙にさすると、Kは笑った。
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6人の作家さん毎に色が異なる厚手の紙の本。
写真はもちろんカラー。
角田光代さん
「トト」は2冊フォトエッセイを読んだので知ってる。
「トトが来る前は自分中心で、辛いことがあると全身で向かい合っていたのでしんどかった。」が、
「トトが来てからは、とりあえずトトにご飯をあげなきゃ、といった気持ちの逃し方ができた。」そうだ。
角田さんは犬が好きで、「トト」は犬の要素を持っていると言っていたのを思い出した。
他の猫よりも人懐っこいのかな。
村山由佳さん
猫が大好きなんですね。
「もみじ」に対する想いは尋常ではなく、エッセイを何冊も出しているみたい。
「もみじ」の生まれる瞬間にも立ち会ってるし、亡くなる時まで17年も一緒にいたら、そりゃ愛情だらけになりますね。
「犬は子供で猫は対等な大人。」と言ってたが、子供は従順で大人は自分勝手ということか?
逆に犬は大人で猫は子供とも言えそうだな。
柚月裕子さん
「呼んでも来ないし、抱きしめても、するりと腕から抜け出す。」
「でも気がつくとそばにいて、いつも同じ瞳でみつめてくれる。」
猫との接し方は、養老孟司さんと似てるかな。
養老孟司さん
子供の時からずっと家に猫がいるようだ。
あまりかまわないで好きなようにさせている。
寄って来るのは餌が欲しくなった時。
人に手間をかけさせるのがペットの仕事。
猫は生きることのモノサシ。必要な物を手に入れたら、あとは寝ている。
毎日お互いに生きてますな、と顔を合わせてお終い。それでいい。
皆さん、猫に見られている感があって、自分以外で自分のことをよく知っている存在と捉えている。
猫はいつでも自分のことを気にしてくれているありがたい存在なんですね。 -
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文章には人柄が出るということがわかった。それぞれの作者(何人かの本は読んだことがあるけど)の素性は一切わからないけど、質問に答えていく回答文自体が自己紹介をしているようだった。
そして、私が普段よく思っていることが、忠実に言語化されていて勝手に爽快な自分を味わった。
個人的には、「人と人とが関係を結ぶときは、もしかしたら美点によってかもしれない。けれどその関係を深めていくのは、美点ではなく欠点なのではなかろうか。また、私たちが人間くささを感じるのは、どういうわけだか美点ではなく欠点である。」
「私は今現在『早めに終わらせ、夏休み最後まで何度も見直す派』なのだが、もちろんそんなことは言わない。そんな模範的な回答、まわりの人たちは白けるだけなのだ。『もちろんぎりぎり派だよ』、これは会話のマナー。」
の2つはまさに私の脳内の言葉をそのまま書き写しているようで驚いた、とともに似た考えを持つ人がいて安心もした。 -
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ネタバレ読んだことがあるような気がするのだけど、思い出せない。
戦争で小さな妹が疎開して、父親が宛名だけを書いたはがきを渡す。妹には○か×を書くように伝えて、最初の日は大きな○のハガキが届く。それがだんだん○が小さくなり×になり……。
少しドキドキしてしまったけど、最後は妹は大きくなったという話。
文字もまだ書けない小さな子供すら疎開しなければならない状況になる悲惨さ。ひどい風邪をひいて隔離されている……ということは、栄養状態も悪く薬もなくて治らない状況。
戦争の悲惨さを書いた絵本なのだろうけど、ちゃんと家族が妹を迎える様が家族の繋がりだけはしっかりと残ってたのかなと。
これ、話の一部らしいのでたぶん前後があるのだろうけど……。これだけで充分と思うものがある。
はがきの○×で伝えるの、分かりやすくていいなと思った。
戦争の話を抜いてもはがきのエピソードの部分だけでも好き←ここだけにすると意味が変わりそう。
ごちそうさまでした。 -
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「一番印象的だったデートは?」
どれも仰々しいエピソードではなく、いつもの日常の中できらきら光っていた瞬間を思い出としてそっと切り取ったような話。いわゆる"恋人のデート"だけに留まらない、大切な誰かと二人っきりで過ごした思い出も含めて。自分の中に眠っていた"ちいさな幸福"を思い出させてくれる。
巻末に、読者から集められたデートのエピソードが並んでいるのだけど、その並びがなんだか可愛い。誰もが羨むようなドラマチックな思い出じゃなくても。楽しくて幸せで美しい思い出、ばかりじゃなくても。心の片隅になぜかずっといる、その人だけの思い出。
「そんなあたしの願いとは裏腹に、夕日はじりじりと川に落ちていって、半分になって、三分の一になって、川とあたしたちを瞬間真っ赤に染めて、ちゃぽんと川に沈んだ。」の一文がすごく好きだ。きっと、すごく綺麗で、すこし憎らしいような、忘れられない夕日。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みながらハナにイライラして、そんなの言ってるからじゃんとか思ってるのにそのイライラは自分がそうだったからと読みにつれて気付いていった。
タケダくんに結婚してやると言われて
納得いかず断るんだけど その時はタケダくんのことなんてなんとも思わないのに
別れて時間が経つにつれてタケダくんとの空気感が楽だったし楽しかったと振り返っちゃう感じ
すごくわかる。
したくないことはしたくないくせに
してる人をみると羨ましくなる。
でもやっぱり自分のしたいことをしたい
人との繋がりは離れたり新しい縁に巡り合ったり
その時々で自分の環境は変わっていくけど
変わらない自分だっていいじゃないかと
なんとなくそう思った。 -
Posted by ブクログ
いくつもの恋と無数の音楽を通じ、「私」が今と向き合う物語。
「私」が受験勉強の合間のたばこに始まり薬物や二股など、折々で「よくない」遊びに耽るのが、見ていて痛々しく、共感は出来ないながらに、この人生がどうか良い方向へ転がっていってほしいと願わずにはいられない。
また、多くの恋を経ていく「私」とは対照的な町子の恋愛も描かれ、二人は長く交流を続けるが、それがお互いにとって影響を及ぼしはしないのが、小説としては不思議ながらもリアリティがあり頷かせられた。
角田光代作品にはありがちな終わり方であるが、他の作品に比べ少しオチが弱いように思われ、それが全体の印象をややぼかしてしまっておりやや残念。