【感想・ネタバレ】私のなかの彼女のレビュー

あらすじ

「男と張り合おうとするな」醜女と呼ばれながら、物書きを志した祖母の言葉の意味は何だったのだろう。心に芽生えた書きたいという衝動を和歌が追い始めたとき、仙太郎の妻になり夫を支える穏やかな未来図は、いびつに形を変えた。母の呪詛、恋人の抑圧、仕事の壁。それでも切実に求めているのだ、大切な何かを。全てに抗いもがきながら、自分の道へ踏み出してゆく、新しい私の物語。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

背景は昭和後期から平成初期
明治?大正?を生きた作家志望の祖母の面影を追うにつれて、自身も物書きとして生活しようとする主人公和歌
「○○なのにイタイ」「女のくせにがつがつして」「どうして当たり前ができないの」「卑しい顔になった」恋人の態度や母親の言葉がぐさぐさ刺さる読者も多いはず
祖母の「男と張り合おうとするな」の意味に、作者の伝えたかった当時の社会を感じることができました

0
2025年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現実みがあって丁寧な本だと思います。
日常の出来事1つ1つ丁寧に心情が伝わります。その感情がにハッとさせられ楽しかったです。

大学生から、同棲前、同棲後とバブルを経ながら長い期間の生活がかかれています。
祖母に対する親近感は変わらず、いつもその影が見えます。

読みかけですが、祖母がどのような時代で何を思ったのか、そして和歌がどのように生きるのか、不安まじりで楽しみながら読みたいです。



少し読んだので追記です。

傷つく出来事があっても辛いと思わないようにしているのが痛々しいく思いました。
男性から傷つくこと、妊娠のこと、賞のこと。
大切に思った何かがうまくいかなくなってしまう。周りの所為にしなさすぎるのは少し違うと感じるのだけど、何かを避けようとしてそう思うことも正しいのだと思います。

過去からの経験や感情がその人を作っていてとても面白い本だと思います。


私は年を重ねると嫌な部分もわかるし、理解が深まるのが嫌でした。
故意に傷つける側も傷つけられる側の気持ちもわかってしまう気がします。
おそらくタエも傷つけられたのだと想像して憎く思ったりしましたが、
多分そんなことから抜け出してどう生きるかがスタートラインなのだと、読み終わってみるとどちらかと言うと清々しい気持ちになりました。すこし希望が見えた気がして嬉いです。

普段の何気ないことが組み合わさって歪になるのがとても面白かったです。フィクションのような出来事が出てこなくても感情豊かに創作できるのはすごいと思います。

0
2024年05月29日

Posted by ブクログ

展開が素晴らしい。
引き込まれて、一気に読んだ。

読みながら、「書きたい」という想いと「才能」の間に
あるヒリヒリするような乖離やせめぎあい。
また、人が人と関わり、近くなればなるほどに見せられる
あまりに酷い一面。
それを読み止めることなく、一気にラストまで読ませて
苦しい中にも、光る希望を見せてくれるのが
角田さんの凄いところだなぁ、と改めて思う。

何度も何度も読み返すたびに、歳を重ねるごとに
違う味わいを感じさせてくれると思われる
大事な一冊に出会えた。

0
2024年02月13日

Posted by ブクログ

うわーーー中盤すごく頭が重くなった。
本当にいろんなことを考えながら読むことになった。
これを読んだ大事な人と感想を言い合いたい。
でも大事な人にこの本を読んでもらうのが怖い。
ちょっと自分の考え方が和歌と似てるかも、と思って、
若干の危機感を抱いた。
そんな感覚も、大学生の時の和歌みたいだなと自分で思う。
うわーうわーうわー、面白かった。もう一回読んで、自分の言葉できちんと感想にしたいけど今はこんな言葉たちしか出てこないな。。。

0
2023年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋人の仙太郎を中心にしていたのにいつのまにか仙太郎を置いて自分で歩けるようになっていた。
最初のいい感じ男子仙太郎がどんどんあれ?あれ?と嫌な奴に見えてくるのは元からそういう人なのか和歌の目線なのか、和歌の目線で一緒にひやっとしたり仙太郎の反応にびくつき、いやでも別れるのはつらいなでも一緒にいるとしんどいなの矛盾。
別れて恨みつらみの小説を書くと編集者にそれは違うと言われて、あれ?となるとこ。
私なの?て気づくとこ。
自分のダメさや勝気なとこ、譲れないとこ、変なのかな?て思うとこそういうのがてんこもりに書かれてる。
上手く言えないけど角田光代めちゃくちゃ面白い。すごい。

0
2023年06月10日

Posted by ブクログ

やはり俺が尊敬して敬愛する偉大なる作家先生である
角田光代様の作品!
とても面白かったです。
読んでいて、どの人物にも自己投影できないんだけど
そこは、さすがの文章力でどんどん読み進められました。
なんとも感想を書くのが難しいのですが、
文庫本の最後の解説で津村記久子が書いているのが
本当にその通りと言った感じでございました。

本編を読む前にこの解説を読んでからだと
めちゃくちゃ読みたくなるかもしれません…

この解説の最後がまさにこの小説を表しているので抜粋します。

「精一杯生きること」よりも価値のあることなんてあるんだろうか。
「自分の人生を生きる」気概とは何か。
この小説は、「生き方を教えてあげる」という本より精細に、どんな先人の知恵よりもフェアに、そのことを教えてくれる。
読む人の心に、小さいが簡単に消えない生きる勇気を灯す。

0
2022年10月14日

Posted by ブクログ

すごい本を読んでしまった。角田さんは大好きなのに、このタイミングまでこの本を読んでこなかったが、今がそのときだったのだと思った。解説がこれまた大好きな津村記久子さんで、まさに私得。
主人公の和歌が母親に「あんたはおかしい」と言われるところは、自分の昔の記憶と重なって一度ページから目を離す必要があった
終盤、和歌が歴史的建造物や文化遺産を見ても物足らず、そのはずれの道を行き交う人々や雑多な様子を見て、その土地で暮らす人が見たかった、と気づくシーン。人が怖いくせに人に興味があるもいうのも、最近の私と重なった。
誰かに「あなたは普通だ。大丈夫だ」と言ってほしい、肯定してほしいという願い。おかしくないと言われないと自分が間違っているかもしれないという底知れない恐怖。そんな化け物を内側に飼いながら、それでも人との関わりを辞めずに生きていく。
和歌はこれから誰かと深く関わることができるのだろうか。私もこれから物を書いていきたいが、仙太郎の言葉が呪縛として思い出されることがあるかもしれない。そんなときに、私の支えになるものはなんだろう。
なんとなくで始めたことでも、それが思わぬ方向に導いてくれるることはある。「人は運命を避けようとした道で運命に出会う」というような言葉もある通り、今やっていることに不安を覚えても、目の前にやってきたことには真摯に向き合いたい。

0
2022年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

はじめての角田光代さん。圧巻。
親に“女”らしく生きることを押しつけられ、仙太郎のリアクションに脅え、しかし自分のやりたいことに人生を賭けている和歌。自分と重ねて読んでいたので、憤り、心をえぐられる部分が多々あった。今でこそ女性の社会進出もだいぶ普通かなと思うけど、仕事を選ぶって、こういうことなのか?と自分の行く末も怖くなった。でも“タエ物語”の辿り着いた先が“愛”だったのには、とても救われた。想像は自分の知っている範疇を超えないだろうから、和歌が“愛”を知ったのだろうと。“タエ物語”が和歌の心境によってだんだん形を変えていくのはおもしろかった。その描写もすごいし、人間の弱さや葛藤も細かく描かれていて、一見矛盾したようなごちゃまぜな感情が、リアルだ、と思った。
“妄想と現実は相反しない”とすると、仙太郎が和歌に言った酷い言葉の数々は、和歌の妄想だったのだろうか?仙太郎はこう思うだろうという仮定が妄想になり、和歌の現実に影響を及ぼした、という解釈をしたが、、。“妄想と現実は相反しない”。何かに当てはめると解るような、でもふわっとしか自分の中に落とし込めない難しい言葉。

0
2022年08月18日

Posted by ブクログ

本田和歌
わたしは彼女を、この物語の主人公である彼女を、自分の感情に誠実な女性だと思った。

この作品の時代背景は、ちょうどわたしが産まれた頃。
P11「1985年、200人いる和歌の学年で東京の四大に進学したのは、推薦入学をのぞくと28人だった」時代。
男女雇用機会均等法が成立した頃。
しかしまだまだ、女性が寿退社をするのが当たり前の時代。
物語を追うにつれ、『オウム真理教による地下鉄サリン事件』『阪神・淡路大震災』『酒鬼薔薇聖事件』など、実際の出来事も登場し、その時代背景を強化する。

のめり込むように読んだ。
解説で津村記久子さんがおっしゃるように、この作品の面白さ、内容を人に伝えようとすると、P389「どうも普通だな、というような内容になってしまう」。
わたしはだから、「どうも普通だな」というレビューにならないよう、慎重に、作品の言葉をお借りしながら、この作品の面白さを伝えていきたい。
この作品は、本田和歌という一人の女性の、生きた証である。
この作品はフィクションであり、実在の人物や団体とは関係ないかもしれない。けれど、これをフィクションとして片付けられる根拠も、実在した人物ではないという根拠も、どこにも存在しないのだ。

和歌の恋人・仙太郎を好きになれなかった。
P22「贔屓目でなくとも仙太郎は同世代の男の子たちよりは様子がいい。昨今もてはやされている醤油系統の顔立ちで、スタイルもよく服のセンスも悪くない」。
P24「ああ、本当に仙太郎は手の届かないところにいったと和歌はやけに強く実感した。今はただ、遠い存在のはずの人が隣にいることが奇妙に思えてならなかった」。
こういう人は、憧れの人、尊敬できる人として距離をとっておくのがわたしにはちょうどいい。

そして和歌は徐々に、仙太郎がいる場所へ向かってゆく。
P122「仙太郎と対等になれると和歌は思った。もう仙太郎をまぶしく見上げなくてもいい。うっすらといつも感じていた劣等感を脱ぎ捨てたところで向かい合うことが、きっとできる」。
この、憧れの感情がない交ぜになっている恋人と並べたような瞬間は、とても嬉しい。

しかし彼は、並ぼうとしてくる和歌に対して、棘の刺さったボールを投げてくる。ボールの速さは速すぎず、変化球でもない。普通のボールなら受け取れるそのボールは、よく見るとトゲトゲしていて、和歌は受け取る瞬間いつも、取りこぼしてしまう。指に刺さった棘は、いつまでも抜けないし、いつまでも痛い。
(解説ではそれが「未必の故意」という言葉で表現されていて、さすが津村さんの解説は素晴らしい!)

だから和歌は、P210「安堵の必要なほどの緊張を、何に対してしているのだろう?」と思ったし、P200「会社を辞めようかと、その日、和歌は思った。辞めれば、受けた依頼の仕事をこなす時間も増える。(中略)けれど、それを仙太郎に告げることを思うと、億劫だった」のである。
角田さんは、恋人間の、毒を孕んだ関係性を描くのがとても上手な方で、この作品においても、それが冴えわたっている。
こんなにも、人と人というのは分かり合えないものなのか。

毒親って言葉も、デートDVって言葉もない時代。
たぶん、これらは和歌のような人が必死に言葉を紡いできたからこそ生まれた言葉なんだろう。
P332「自分は母親を、未だこわがっている。叱られることを、認めてもらえないことを、罵倒されることを、まるで母親に置いてきぼりにされた幼児のようにおそれ、こわがっている」。
P337「恋人の機嫌をうかがい、笑っていれば安堵し、不機嫌なら不安になり、自分の言葉、行動、返答、笑い、何かが暴力の起爆剤になるのではないかと終始気を張り巡らせている語り手の気持ちを、和歌は知り尽くしていた」。
言葉がなかっただけで、存在していた毒親とデートDVを、一生懸命受け止めながら、生きていくということ。
P393「『精一杯生きること』よりも価値のあることなんてあるんだろうか。『自分の人生を生きる』気概とは何か。この小説は、どんな『生き方を教えてあげる』という本よりも精細に、どんな先人の知恵よりもフェアに、そのことを教えてくれる」。

とても苦しい時代だったと思う。
とても生きづらかったと思う。
そこで時代を切り開いていく芯の強さ。その芯を奪う者の存在。
時代が変わろうとする時、そこで苦しむのは、いつだって社会の最前線にいる若者だ。
社会の最前線で、時代を切り開いてくれた方々に、和歌のような女性たちに、わたしは心から感謝を申し上げたい。

0
2021年10月17日

Posted by ブクログ

20年分くらいの物語なので、読んでいてあの出来事から何年も経ってるんだと思う機会が多かった。
その時々の世相が描かれているのでイメージしやすい。

0
2025年10月09日

Posted by ブクログ

久しぶりの角田さん。
以前読んだ本の内容はすっかり忘れてしまったしまだ若い頃だったので、再挑戦。

こちらは自信のない大学生が、
成功者の彼氏に劣等感を持ち続け、
対等になるべく奮闘する話。

自分の限界を決めるのは自分自身、
みたいなところは良かった。

0
2025年03月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

才能を潰すことは本人にしかできない という言葉にふむ〜確かになあと思った。
けど仙太郎は意識してか無意識か和歌ちゃんの自信喪失させようとしたし、酷い言葉でなじっていて腹立たしい。早く別れろ!和歌ちゃん!と思いながら読んでた。
前向きに生きようと思えたわけでもないけど、なぜか読後感が良い小説でした。ちょっと小説家になりたいと思った。

0
2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大きな出来事や、衝撃的な内容が含まれている訳ではないのに、飽きが来ずスラスラと読めてしまった

テーマとして、女性、恋愛、仕事、生活、バブル
が挙げられる。

主人公はバブル時代とバブル崩壊を生きる20代女性
20代特有の、少し心配になるような価値観や考え方とか、20代を経験した女性なら共感できる点が多いなと思った

主人公の恋人である仙太郎は、若くしてクリエイティブな仕事で成功を収め、結婚に際して、現実的な仕事をすると言うリアリティーさがあった

20代前半の、仕事である程度の成功を収めた仙太郎の言動がどんどん業界にかぶれていく感じとか、痛さを感じた。

女としての幸せと、仕事での成功を同時に掴む女なんて居るのかね?と言う疑問が生まれた

0
2024年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

思いがけず面白そうな本見つけた!
「脚をルの字に折って」って、今まで本読んできて初めて見つけた表現!確かにあの座り方名前ないよね

「分からない」と言う主人公を見て、前まで読んでたのが登場人物みなえらく察しの良すぎるミステリーだったこともあって、理解力の低い人を主人公にして話を書くのはなぜだろうと思った
作者の頭のレベルと主人公の頭のレベルを同じにしなかったら、分からない人の視点に立って書くのってめっちゃ難しいんじゃないのか
主人公の性格によって事象は同じでも感じ方は全然変わってくるし、無数の主人公のお話があると思ったら、作者たちはどうやって主人公を決めてるんだろう〜って頭おかしくなりそう
こんなお話描きたい、だけじゃなくてどの視点で話を進めるかって問題まで出てくるのか…大変すぎる

彼女の振る舞い見て君はこうだからこうした方がいいよってアドバイスくれたり、就活しないのに痺れ切らして会社紹介してくれたりって積極的に優しくて彼女にちゃんと興味を持ってるいい彼氏じゃんって思ったけど、別の言い方すればこうすべきって自分の考えを他人にも求めて干渉してくる男であり、彼女にこうあってほしいって理想があったり見返りを求めている男ってことでもあるんだなと思った

この人がいい人かどうかって、著者が意図的にどちらか(主人公の味方か否か)に描こうとしてても、たとえ小説の中であっても私が図ろうとしない方がいいなって思った

津村記久子さんのあとがきより「仙太郎が何を考えているのかについては〜、一見肯定的であったり、鷹揚であったり、正論であったりしながら、その下に触れたら切れる紙を忍ばせるような未必の故意がある。」
未必の故意!!まじでやっかいよな
「終盤での仙太郎の振る舞いには、毒気を抜かれると同時に、その場限りで言葉を発する人の空恐ろしさを感じる。」

難しい話だった
自分の人生生きてるのえらいなあ

0
2024年04月20日

Posted by ブクログ

盛者必衰とか必衰盛者って感じの話

特にドーンって出来事があるわけでもないのだけれど、仕事と生活、がテーマのお話

「女性」が主人公、テーマの話が読みたくて手に取る
なにかsns で誰かが紹介していた気がする
津村記久子さんが解説書いてるから、津村さんかな?

角田さんの作品、まだ読みたい

本が読めるカフェも見つけたい

忙しいぞ

0
2024年03月31日

Posted by ブクログ

3日で一気読み!面白かった
対岸の彼女を読んで興味を持った角田さん。角田さんの書く文章は力があって圧倒される。

0
2023年10月18日

Posted by ブクログ

目に見えない正しさは曖昧で脆い。多分、ないから。

恋愛は相手がいるからできること。
ではいい彼氏、彼女って?

付き合う期間が長くなってしまったり、関係が近くなればなるほど不満も増えるだろう。
歪んだ解釈をしてしまうこともあるだろう。
間違っているとわかっていても、そちらを選ぶこともあるかもしれない。
そんな自分の醜さに正面から向き合えているか?
みっともなくなる度に、気づけているか?

0
2023年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仙太郎の言動一つ一つが残酷だった。
ただ、最後に、仙太郎が「何言ってんの。きみが仕事をとったんじゃないか。ぼくじゃなくて」と言ったとき、仙太郎はもちろんひどいけれど、もしかしたら彼も寂しかったのかもしれないと思った。

一人で逞しく生きることだけが強いというわけではないけれど、自分の価値を他人に決めさせない、そのための「軸」を持っておくことは大事だと思った。
自分はどう感じるのか、に自信を持ちたい。

0
2023年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった…!

何がとか、どう、とか問われると難しいのだけど
本田和歌の祖母タエは何者なのか
恋人の仙太郎は何者なのか
そもそも本田和歌は何者なのか

何かが隠されているようで
入り込んでしまう何かがあった

そんなことはっきりとは分からないままで、
それが人生だよなと
なんとなく思わされた


有川浩さんのストーリーセラーを読んだ後に
読んだから書く側の人間の作品が続いてソワソワする。
いや、まぁ、書けないのだけれども。

0
2022年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

様々な場面で強く心を揺さぶられた。最後まで恋人への執着がすごかった。常に意識の根底に恋人の存在があって、主人公はずっと振り回されているけど、だんだん実像ではなく、自分の中の恋人像に振り回されていったような気もした。大切にしていたものと、小さなズレを感じて(いつもの感じじゃない)少しずつ不安になっていくところと、自分の衝動との葛藤が読んでいてとてもどきどきした。
主人公の執着もすごいけど、恋人のつけ離し方も恐ろしい。安心していた存在から、牙をむかれる感覚が恐ろしかった。「あんな汚い生活してるから」には鳥肌が立った。
強い淋しさを、静かな怒りで返していたのかもしれないけど、受け入れられないものを傷つける人間にはなりたくないと思った。

母の「醜女」とまで呼んだ祖母に対する軽蔑のような思いも、執着なように感じた。自分は絶対に母のようにはならない、という思いが読んでいて苦しかった。
人は受け入れられないことがあると、何かのせいにして、自分を守ろうとするのかもしれない。手放せた方がきっと楽なのに。端から見るとそう思ってしまう。自分の中にも手放せないものたくさんありそう。
母や恋人に何度も言葉で傷つけられても、”ただしい”と思うのは、打ちのめされすぎて立ち上がれないから?自分を責めることでしか自分を守れなかったのかな。
怒りは、人の心を守るものなのだと思った。

書きたい衝動を猛獣と表現しているところが好き。振り回されながらも追いかけずにはいられない。そんな体験してみたい。

術後のシーンでは何度も心が揺さぶられた。手術して初めて「1人じゃなかった」と感じること、なんとしても賞をとらなければという思い、全てから解放されたのに感じるむなしさ、自分の本音に耳をふさぎたくなる思い。どれも痛いほど伝わってきた。

0
2022年02月25日

Posted by ブクログ

仙太郎の和歌への態度が変わっていくのは、自身にものを作り続けるための土台がないことに無意識か意識があってか感じていたからではないかと思った。和歌も仙太郎も無意識に男女の力関係に囚われていて、はっとさせられる。

0
2022年02月11日

Posted by ブクログ

主人公の母と恋人が不穏すぎて、ビクビクしながら読み進めました。
他者の評価とか自分自身の充足とか、人の成功とか失敗のボーダーってなんだろうって考えちゃいました。

0
2025年09月03日

Posted by ブクログ

小説って面白いなあ、、小説の中の女性が、あまりにも私すぎた。タイトル通りじゃないか・・あるいは、どんな女性にもある心理なんだろうか。

小説って読まないとだめだな、と思わされた。得られるものが多すぎる。

0
2025年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

仙太郎にイライラした。和歌ちゃんからしたら全てだったんだろね。パクリの言いがかり腹立つ!なんかやり返してほしかった笑

0
2024年10月14日

Posted by ブクログ

本田和歌はなにも知らない女学生だった。自分と違っていろんなことを知っている学生・仙太郎と付き合いはじめたこと、実家の蔵から祖母が描いたと思われる自主出版小説を見つけたことをきっかけに、和歌は小説を書くようになる。

和歌は仙太郎をむやみに崇拝・尊敬していたけれど、その実彼の作品や彼が作品を通して伝えたいことなど、彼自身についてはさして興味がなかったのかな、とも思う。
仙太郎からすると、和歌はずっと何を考えているかわからない得体のしれない女だったのかもしれない。だから自分の理解できる範疇に置くために、彼女をけなして、レッテルを貼っていたのかな、と考えた。
先に表現の世界へ入っていったのは仙太郎だったのに、気が付いたら自分は現実の世界、地に足をつけた生活を選び取っていた仙太郎。男の人ってずるいよなぁ、と思ったけれど、この仙太郎の行動・選択を「男って」とひとくくりにしちゃうのは違和感がある。うーん。

和歌はずっと仙太郎に対して憧れの気持ちを抱いていたけれど同時に彼に否定されることを恐れてもいて、仙太郎もまた和歌を薄気味悪く思ったり疎ましく思うこともあったはず。お互いに思うところがあったはずの二人が10年以上の月日を共に過ごしていたのは惰性ではないと思うけれど、じゃあ何なのかと考えると難しい。これも恋愛の一種なのだろうか。

0
2023年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和から平成になる頃の時代。

有名になっていく彼
元は作家だった?祖母

その二人をすごく意識してる主人公。

自分もそこから作家を選ぶけど
なんだか全部中途半端で。

彼に対して劣等感とかあったり
彼が不在の部屋を楽しんでるのに
結局彼が離れていくと
ずっとなぜなぜに囚われて苦しそう。

自分という価値を求めすぎて
終始生き辛いよと思いながら読んだ

0
2023年03月06日

Posted by ブクログ

だんだんとセリフや、「私の中の彼女」という題名の意味がわかってきて面白かったです。 感情移入しすぎてしまって、かなり心にくる作品でした。
生きる時代も異なっていて重なる部分はないけれど、女性としての生き方や時代背景、人間関係に共感できる部分はたくさんありました。
この物語を読んで、「成長した」よりも「昔はあんなに楽しかったのに…」と考えてしまう私はまだ子供だなあと思いまし

0
2023年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

田舎から出てきた平凡な大学生の和歌。1つ年上の仙太郎という初彼氏がいる。仙太郎は都会っ子で、バブルの趨勢も手伝って、在学中にイラストレーターとしてブレイク。和歌には物書きをしていたと考えられる祖母がいた。母はその祖母を嫌い、和歌に普通の女性の幸せを望む。就活もしないでいた仙太郎に勧められ、ひとまず就活し、仙太郎と祖母の影響を受けて、小説を書き、ブレイクする。本人には言わないものの就活前後は仙太郎との結婚を望み、ブレイクしたら同棲を誘われ始める。書くことに夢中になると家内は荒み、妊娠、流産。
和歌より先にブレイクし、同じようなことを経験し、生活リズムもしっかりしている仙太郎。長い仙太郎との生活は終わりを迎え、仙太郎は別の人と結婚し子供が2人。
和歌視点で書かれているので、仙太郎の気持ちは読者の想像となる。

和歌は仙太郎から大きく影響を受け、無意識にも後を追いかけるように頑張ってたんだと思う。仙太郎に甘えていた部分もあったとは思うけど、タイミングは合ってないし、それを素直に言わないから、尚更ズレていったんだと思う。言えない性格なんだろうとは思うけど。

ストーリーはありきたりに思われるかもしれないけど、続きが気になった。モヤモヤした気持ちを文章にできるのが凄いと思う。

0
2022年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

10代からの長い付き合いである彼氏の影響って本当に強い。

私も10代で初めて付き合った人と10年近く続いたけど、そこが自分の常識だった。
別れた後は何もかもが驚きであった。

和歌にとっての仙太郎は永遠のライバルであり物事の基準的存在。
恋人というより仙太郎が全ての目盛りだったのかも。


仙太郎は言うほど悪い人では無いと思った。
和歌と普通に向き合って人生を共にしていきたかっただけでしかない。

和歌が思うほど仙太郎は特別な人間では無かっただけ。どこにでもいる、あたたかい家庭の幸せを求める普通の人だったのだと思う。

攻められてる気持ちになるのは、和歌自身が自分の足りない部分への劣等感が強かったんじゃないかな。

和歌は自分の為に生きる人。
ある意味ワガママ。

仙太郎は周りを気にしながら気を遣い生きる人。
だから、相手の行動も目につくのかなと思う。

子供が本当に楽しみだったのが伝わってきたから、そこはとても悲しかった。
和歌が家族にも話していなかった事を知った時の仙太郎の気持ちはなんとなくわかった。

仙太郎の気持ちが離れたきっかけにもなったと思う。









0
2021年10月20日

Posted by ブクログ

これまでの作品よりも「角田光代らしさ」が際立っている。
もやもや感が強く、イライラもするくらい。
それがまた彼女の作風のいいところでもあるのだけれど。
現実ってほとんどいつもそんな感じだから。

ただ、もうちょっと何とかできたんじゃないか??
祖母をめぐるミステリーはあまり興味深い展開を見せず、イヤミな彼氏もただイヤミなだけで…深みを感じない。
知らぬ間に自分を縛りつけ抑え込む彼らを、主人公が心理的に乗り越えていく過程にあんまりリアリティがないなぁと感じて、共感できなかった。
作者の自伝みたいな感じなのかな?
秘境を旅する展開なんかは本人の体験を元にしているっぽい気がする。

角田光代に低評価はつけたくないが…。

0
2020年12月22日

「小説」ランキング