角田光代のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ様々な場面で強く心を揺さぶられた。最後まで恋人への執着がすごかった。常に意識の根底に恋人の存在があって、主人公はずっと振り回されているけど、だんだん実像ではなく、自分の中の恋人像に振り回されていったような気もした。大切にしていたものと、小さなズレを感じて(いつもの感じじゃない)少しずつ不安になっていくところと、自分の衝動との葛藤が読んでいてとてもどきどきした。
主人公の執着もすごいけど、恋人のつけ離し方も恐ろしい。安心していた存在から、牙をむかれる感覚が恐ろしかった。「あんな汚い生活してるから」には鳥肌が立った。
強い淋しさを、静かな怒りで返していたのかもしれないけど、受け入れられないものを傷つける人間にはなりたくないと思った。
母の「醜女」とまで呼んだ祖母に対する軽蔑のような思いも、執着なように感じた。自分は絶対に母のようにはならない、という思いが読んでいて苦しかった。
人は受け入れられないことがあると、何かのせいにして、自分を守ろうとするのかもしれない。手放せた方がきっと楽なのに。端から見るとそう思ってしまう。自分の中にも手放せないものたくさんありそう。
母や恋人に何度も言葉で傷つけられても、”ただしい”と思うのは、打ちのめされすぎて立ち上がれないから?自分を責めることでしか自分を守れなかったのかな。
怒りは、人の心を守るものなのだと思った。
書きたい衝動を猛獣と表現しているところが好き。振り回されながらも追いかけずにはいられない。そんな体験してみたい。
術後のシーンでは何度も心が揺さぶられた。手術して初めて「1人じゃなかった」と感じること、なんとしても賞をとらなければという思い、全てから解放されたのに感じるむなしさ、自分の本音に耳をふさぎたくなる思い。どれも痛いほど伝わってきた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『したくないことを数え上げることで、十年前は前に進むことができたけど、したくないって言い続けてたら、そこにいるだけ。その場で駄々こね続けるだけ』
『作り出すことも、手に入れることも、守ることも奪うこともせず、私は、年齢だけ重ねてきたのだった』
という言葉が効いたー。
ほんと、角田さんの書く文章は、私の心をえぐるんだよなー。もう、心が痛くてしょうがない。
思い起こせば30代後半。
私も主人公・ハナちゃんとおんなじ思いを持っていました。
何も持ってないままただただ歳を重ねることに、すごく恐怖を感じていました。
結婚することが幸せ。子供を産み育てることが幸せ。
それは確かにそうなんだけど、でもだけど、私の人生、もっとほかにも何かあるんじゃない?みたいなそんな気持ちが頭の中をぐるぐる回ってて。
何も持ってない自分を想像するのがすごく怖かったんだと思います。
だけど、「何も持っていない」というのは実は私の思い込みで、本当は私は確実にいろんなことを手に入れてここまできてるんだ。と思えるようになった40代。
あー、私、大人になったのね。なんてしみじみ思ってみたりして。
迷うことも立ち止まることも変化を恐れることも、かっこ悪いことじゃなよ。
いつか自分の手に何かをつかめるその日まで、うんと悩めばいいさ。それも経験さ。
なんて、えらそーなことをおばちゃん言ってみたりする。
薄闇に一筋の光が差したような、そんなラストがとてもよかったです。 -
Posted by ブクログ
空を蹴る
☆4
こういう人っているよな。
どんなことを考えているのかなと思っていた人の考え方が少しわかった気がする。
話を通じて特別なことは起こらないのだけど、普通の人が一年に一度はハメを外してぶっ飛んだことをしてみたい、そんな日を描いている。
そんな日を抽出して書くのはパラレルワールドを描くより何十倍も難しいだろうなぁ。
結局、大きく物事を変えられるわけではなく変わり映えしない日常が続いていくだけなのだけどそんな一瞬を切り取った話。好き。
なんだかわからないけど面白い。
導入部分が面白いんだろうな。
ダメ人間のナンパや風俗体験に似ているような気もする。
なにかを考えさせられるような話ではない気がする。
体験代のような話。
雨をわたる
☆4
なんて感想を言えばいいのだろう。
要素分解が難しい。
主人公の気持ちと母の気持ちが半分ずつくらいは理解できるが残り半分がうまく行かない。
日本にいる母親も愚痴ばかりで好きではなかったが、遠いフィリピンで町に馴染みもせず、作られた場所で用無しのような母親を見ていたかったわけじゃない主人公の葛藤。
ならどうすれば良かったのか。
日本の老人ホームで変わらず愚痴を吐きながら余生を過ごす母を見ていれば満足だったのか。
結局、答えなんて出ないのだろうけどそれぞれの人の悩みや葛藤や本音や建前が芯に響くそんな話。
鳥をはこぶ
☆3
ずっと子供でいたかった主人公が鳥を離婚したばかりの夫とともに運んだことによって、諸々考え、少し成長した話。
自分で書いててもどんな話やねんと思う。
でも、そういう話なんだもん。
パセリと温泉
☆2
何事も他責にして生きてきた母と、気がついたら母と同じ思考回路になってしまったことに今更ながら気がついた娘の話。
世界は悪意に満ちているのか、それとも善意なのか。
パセリなのか温泉なのか。
主人公は今後どのように生きていくのか。
他の話に比べたら暗い気持ちになるのであまり好きではないなー。
マザコン
☆4
色々な要素が詰まってて感想を書くとなるとこの話だけで30分以上はかかってしまいそうな話。
お母さんに言い訳ばかりをして育ってきた主人公と週に3、4回は母親とご飯に行く奥さんの2人のマザコンの話。
今まで言い訳ばかりをしてきた主人公が最後に正直にごめんなさいと話してストーリーは終わる。
母親にも正面から接してこなかったから母親のことを知らない。それでも許されていると思って反抗期まで迎えていたことがマザコンということなのだろう。
本当の母親も知らないのにも関わらず。
このあと、その問題点に気がついた主人公は妻との関係をやり直せるのだろうか、それとも、、、
ふたり暮らし
☆3
次女との対比で長女の異常さが余計に浮き出る。
これだけのマザコンなのに母が死んでも泣くことはないことに気がついてしまった主人公の今後の選択やいかに。
クライ、ベイビイ、クライ
☆4
妻に出て行かれた夫が人生の岐路で高校生の時に出ていった実の母のことを思い出す。
現在の苦しい状況に耐え切れず手紙のやり取りのみになっていた母の声を聞ききたくなる。
20年ぶりに公衆電話から母に電話をするのだが、、、
好きな話でした。
長編で読みたい。
初恋ツアー
☆4
父に先立たれた母が希望した旅行先は北海道。
旅の本当の目的は母の初恋の人を探す旅だった。
せっかく旅行に連れて行ってあげると言ったのに旅程を無視して自分のしたいことだけをするなら一人で行けよとも思うが、それが女としての母なのだろう。
そんな顔をしている母を見たことがない息子の不貞腐れる気持ちはよくわかる。
息子の妻も最初は母親としての母への好意から気持ちを汲んで付き合っていたが、女性としての母に大きく振り切ってしまったことにより気持ちが萎えてしまったのだろうと思います。
総論
総じて話は面白く興味深い。
どれも長編でも良いくらいのキャラクターや設定です。
マザコンというくくりですが、わかりやすいマザコンは少なく、母親に対して反抗するのもマザコンなのかと思ったらマザコンじゃない人なんてこの世にいるのか。
あ、そうか。
世の中全員マザコンだってことを言いたかったのか。
なるほど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ喜びより戸惑いが勝ってしまい妊娠を上手く受け止められない主人公が、出産までに自分なりに受け入れていく様子が日記形式で丁寧に綴られている。
自分の母性に自信が持てなかったり、
そのことで罪悪感を感じたり、
なんとなく孤独を感じたり、
夫の気持ちとのギャップがあったり、
急に独身時代が懐かしくなったり、
これが2人での最後かーとしみじみ思ったり、
お腹にずっといてほしい気持ちと、会いたい気持ちとがあったり、
やっぱり孤独じゃないんだなって気付いたり、、
十月十日って改めて、身体的にも気持ち的にも、めまぐるしい日々で、不思議な体験だなと思った。
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Posted by ブクログ
中篇小説集。
表題作の
「まどろむ夜のUFO」
「もう1つの扉」
「ギャングの夜」
3篇ともとても奇妙な話でした。
奇妙だけど日常とべったり張り付いててなんとも不思議な感じがする。
「まどろむ夜のUFO」は一人暮らしの主人公のもとに弟がやってきて、奇妙な友人となんだか嘘っぽい彼女の話が出てきて、だけど、その主人公もなんだか変な彼氏みたいな友人みたいなサダカくんとキチキキと会っててっていう、変な話。
だけどとても面白い。
あたしはとにかくサダカくんのことがツボにはまってしまって
もう、おまえこそおかしいやん!って叫びたくなった。
ねったりとした夏のお話で、暑い夏に桃を食べながら読みたかったな。
他の話も変なんだけど表題作が一番好き。
「ギャング…」はちょっと「対岸の彼女」と被るシーンがあった。
全然違う話だけど。