あらすじ
流れ星を見つけたとき、あ、できたかもと思った。初めての妊娠。でも、「私、うれしくないかもしれない」。お腹の生命も大事だけど、生活って簡単に変えられないよ。ひとり驚喜する夫さんちゃんを尻目に、頼りなくも愛おしい妊婦マキの奮闘が始まる。目指すは、天才ロック・ギタリストの誕生日と同じ出産予定日! 笑えて、泣けるマタニティ小説。著者描き下ろしイラスト多数収録。
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Posted by ブクログ
「主人公の気持ちがリアルで、共感しまくって泣いた~」
「妊娠中の主人公の、期待や不安、妊娠期間の日常が日記という形で繊細に描かれています。」
との紹介文から手に取りましたが、裏表紙にあるとおり、笑えて、泣ける本でした。
妊娠中になにか読みたいと本を探してる方がいらっしゃれば、候補のひとつにおすすします!
Posted by ブクログ
妊娠したとわかったときから十月十日まで
赤ちゃんを愛せるのだろうか、夫は夫で良かったのか、父親似だったらどうしよう、
様々葛藤に向き合う中で、日々の何気ない夫との会話にクスッと笑ったり、喧嘩したり、そんな風に時間を過ごす中で変化していくものがあり、、。
どこにでもあるような日常だけど、きっとそれはかけがえのないもので
そんな日々が人間の数だけあると思ったら
少しだけ心に余裕ができる気がしました。
まだ結婚もしてないし、子どもが欲しいしもわからないけど、またいつか読み直したい一冊。
Posted by ブクログ
非常によかった。
わたしは妊娠・出産を経験していないのですが、これを読んだら経験してみたくなりました。
と、書くと、妊娠や出産を推奨している本のように思うのですが、そうじゃない。(こともないんだけれど)
「妊娠ってすばらしいよね」「子どもを産むのって幸せだよね」
それって、確かにそうなんだけど、それが全てではない。
だけど、世の中には不妊で悩む人もいるし、「せっかく授かったのに」「悩んでいる人もいるのに贅沢」なんて言われてしまうと、「産みたくない」とか、「子どもができて嬉しくない」とか、言いづらい雰囲気がある。
もちろん命は大切だし、堕胎も気軽に行っていい行為だとは思わない。
だけど、それも一つの選択肢なんだと、自分の善悪の価値基準を他の人に押し付けてはいけないんだと、そう改めて思います。
妊娠や出産に対する考えがマイノリティで、それに引け目を感じている人を肯定してくれるような本でした。
Posted by ブクログ
流石サスガの角田光代。素晴らしい。素晴らしく良い。いやもう、何度でも言いますが言えますが、これは、凄く良いです。「読んでよかった!」って、何の留保も衒いもなく言う事が出来る本というのは、素敵ですよ。そんな本に出会うことができるのは、素敵なことですよ。何度でも言います。コレは、とても素晴らしい本です。
赤ちゃんができた夫婦の、妻寄りの内容の日記体裁の小説、という感じなのですが、うーむ。ばりリアル。最初は、まあ、王道の誤解だと思うのですが、角田さんの実体験だと思って読んでました。つまり、小説というより、エッセイ寄りの小説、私小説、みたいなもんだと思って読んでましたね。ええ。
全部創作かい、っていうね。こんなにとんでもなくリアル(に俺にとっては感じられた作品)なのに。それは即ち、角田光代さんの創造する世界は、俺にとっては、とても「他人事とは思えない」から、なのだろうか。
「ああ、、、そうだよなあ、、、あんたの気持ち、、、マジ分かるよ、俺。それは『わかった!という錯覚』なだけなのかもしれないけれど、でもマジであんたの気持ちわかるよ、って思う俺の気持ちは俺にとっては真実なんだよ」
って感じ。ちょー回りくどいですね。でも、そういう感じなんだよ。
ちなみに、俺は勝手に、
角田光代の感覚 ≒ チバユウスケの感覚
説を提唱している次第です。「≒」は「ニアリーイコール」ってヤツですね。「いっしょ」ではなく「ほぼいっしょ」って記号です。
初期作品に漂う、圧倒的な寄る辺なさ、ひねくれさ加減、斜に構えた感じ、いたたまれない感じ、てやんでえべらぼうめえな感じ。
そこからの、
中期~現在?に至る作品に感じる。圧倒的な強さ、明るさ、一周回ったヘンなてやんでえべらぼうめえ感、正しく成長している感をヒシヒシ感じさせてくれる感じ。
そこらへんが、あくまでも個人的には、角田さんとチバさんの創造物に通じる共通点、だと、勝手に感じている次第です。
まずもって全然この作品の解説になっていないのですが、もうね。言いたいんですよこの事が。
角田光代 ≒ チバユウスケ
説。誰かこの説を共感してもらえる人と、一晩でも語り明かしたい感じ。
ま、んで、この作品のどこが素晴らしいか、というと、、、うーむ。とりあえず、読んでください。という、超投げやりな結論です。だってもう。凄く良いんだもの。読んだら分かるよ。って感じなんだもの。本当にイインダヨ。この作品は。
ちなみに、あとがき、も、めちゃくちゃ良いです。あとがきで判明する、「まずこの小説は最終章が短編?としてあって、そっから逆算で最初から話を作っていって長編小説になった」ってネタばらしとか、もう最高です。あと、角田さんの「作家の書く実体験風の話はわたしは基本てんで実体験だと信用しない」みたいな論とかマジ最高。
当然ながら本編は最高。いやもうホンマに素晴らしい本です。
あ、そうそう、角田さんご本人の描き下ろしの絵(イラスト?)も、ちょこちょこ収録されています。角田さんと、イラストレーターの唐仁原教久(とうじんばらのりひさ)さんの共作?というところでしょうか?
このイラストが、バリ良い。不思議な哀しさと孤独と優しさがある。ように感じられる。角田さんのこの感性が、やっぱ好きですね。小説内で、主人公のマキが、ネット上で妊婦同志の「きのうちつやこ」さんのホームページを見つけて、そこにアップされていた「きのうちつやこ」さんの撮影した写真に「なんということはない写真なのだけれど、不思議なさみしさがある」という評が、まさに俺が角田さんのイラストに対して感じた思いと ≒ なのよね。うーむ。素敵。
あと、夫の「さんちゃん」と、妻の「マキ」の関係性も、マジ最高。こんな夫婦、最高です。「さんちゃん」の頼りなさそうで頼れそうな所が最高です。こんな男になりたい。
Posted by ブクログ
『あとでどんなに後悔しても、どんなに泣きたくなっても、どんなに自己嫌悪にさいなまれても、私は最後まで父を嫌いでいよう。それが私とこの人の、代用のきかない関係というものではないか。』(p.168)
再々読くらい。
最初に読んだとき、こういう引き受け方もあるのか、こういうのでもいいのかとびっくりして、許してもらえたような気になった。何度読んでもこの部分に励まされる。
Posted by ブクログ
マタニティ生活の悲喜こもごもを綴った、日記形式の小説。
妊娠中に角田光代を読みあさりまくった私はなぜよりにもよってこの小説は読んでいなかったのか……。
我ながら不可思議だけれど、娘二人を産み落としもう今後一生妊婦にはならないと誓えるまさに今、このタイミングで読めたのはほとんど何かの啓示にすら思える。
それほど私にとって意味のある小説でした。
妊娠したのに、うれしくない。そんなだめ妊婦のマキと、明るくてどこかまぬけな夫・さんちゃんの出産までの日々。
経産婦としては、やはりどうしても自分のときを思い出さずにはいられない。
フライドポテトばかり食べていたこと、ハヤシライスとコンソメスープはどうしても気持ち悪くなってしまったこと、マタニティ服は買わなくても済んだこと、体重が増えすぎて怒られたこと、旅に出るような気持ちで荷造りしたこと、予定日はやっぱりそわそわしたこと。
すっかり忘れていたあれやこれやが、読んでいるうちに次々と涙と共にこみ上げてきた。
育児がしんどくて、子供なんてつくんなきゃ良かったと思ってしまうことも正直たまーにある。あるけれど、でも私だって、娘たちが腹にいたときはあれやこれやして、どうかどうか無事に産まれてきてと心から願ったんだ。
きちんと私ももっているそんな愛おしくてしょうがない気持ちを、ぽっと灯してもらえた気がする。
妊娠中の戸惑いや、嬉しさ、誇らしさ、万能感、不安、現実味の無さ、そういうごちゃまぜな感情と日常を大切に大切に書いてくれていて、むやみに嬉しくなりました。
さらっぴんの娘たちの前にこれからひらかれていく世界を、私もさらっぴんになってひとつひとつ手にしていきたい。
私は娘たちが産まれる前からずっと、娘たちの母親なんだ。それって本当にすごい。
Posted by ブクログ
日記形式のマタニティー小説。
自分の妊娠を、はじめは喜べなかったマキ。
『喜んでいいのかそうでないのかよくわかっていない。こういうとき、どういう顔をすればいいんだろう』と、妊娠を告げられたときに、思うくらい。
でも、だんだん赤ん坊が育っていくにつれて、その存在を愛しく思い始める。はっきりと言葉には出さないけれど。
続きが気になって一気に読んだ。
泣きそうになった。電車内じゃなきゃ泣いてたな。
私も『ひとりではない感』を早く感じたい。妊娠したい!
☆再読記録あり
Posted by ブクログ
最初の一行でぶっ飛んだ。
妊婦の日記形式で綴られる小説。
主人公の妊娠から出産に至るまでの徒然な内容だが、実に笑える愉快な日々。
また、だんながかまたどこか天然で憎めない。
Posted by ブクログ
つい先日読んだ『自分で名付ける』とは全く違う感じ方。やはりエッセイと小説という違いはあれど。
『自分で名付ける』は今の子育てしづらい点やジェンダー感などまで、感じるところを赤裸々に書かれていて、これからの子育て、気合い入れねば。と感じた。
この『予定日はジミー・ペイジ』では、子供が生まれるまでの将来の期待感を強調されているためか、そうか、未来はこんなにも希望に溢れてるんだ、的な、ぼんやりと幸せを感じるような読後感だった。
下記の表現なんかは特に素敵だし共感した。
「時間ってのはいつもいつも流れているんだけど、子ども産んだとたん、それが目に見えるようになる」
「そうか、ここには時間が詰まってるのか」突き出たおなかを神妙にさすると、Kは笑った。
Posted by ブクログ
自分は男だし、結婚もしてなくて子どももいない。妊婦さんの身体的に感じるところや思うところも、正確には理解して共感することはできない。ただ、妊婦さんの日記を垣間見て、ちょっとはわかったかも?
読みやすくて、読んだ後、なんかいい気持ちになった。
全然感想になってないな…
Posted by ブクログ
すごく面白かった
妊娠したことがないから共感はできなかったけど、楽しく読めた
ホルモンバランスで怒ったり泣いたりするけど、自分の生理前とかとは違いマキちゃんは可愛げがあっていいなと思った
Posted by ブクログ
妊娠したので、作家が書いた妊娠エッセイが読みたくなり。戸惑いや父親に対する感情など共感できるところが多かった。毎日の食事や海の描写が好きでした。最後までエッセイだと思っていたので笑ったり泣いたりしながら読んでいたが、あとがきで小説だったことを知り驚く。小説家ってほんとうにすごい。読めて良かった。
Posted by ブクログ
喜びより戸惑いが勝ってしまい妊娠を上手く受け止められない主人公が、出産までに自分なりに受け入れていく様子が日記形式で丁寧に綴られている。
自分の母性に自信が持てなかったり、
そのことで罪悪感を感じたり、
なんとなく孤独を感じたり、
夫の気持ちとのギャップがあったり、
急に独身時代が懐かしくなったり、
これが2人での最後かーとしみじみ思ったり、
お腹にずっといてほしい気持ちと、会いたい気持ちとがあったり、
やっぱり孤独じゃないんだなって気付いたり、、
十月十日って改めて、身体的にも気持ち的にも、めまぐるしい日々で、不思議な体験だなと思った。
Posted by ブクログ
物語のようなエッセイのような、軽めの文体でスイスイ読める。ページが厚く、挿絵も多くて、物語とエッセイと絵本の間みたいな感じ。自分の妊娠体験と被ったり被らなかったりだけど、こういう感情って発信されることがないから、内心安心して心の支えになる人が沢山いるとおもう。不覚にもちょっと泣いてしまった。妊婦になる前もなったあとも、産んだ後でも。寄り添ってくれる物語
Posted by ブクログ
主人公の感情の起伏に見事に乗り、自分が見る夢がだいぶ面白くなった(起き抜けに無心でメモするほど)。この本は、妊娠という未知の世界への不安を少し軽減してくれ、また日常に彩りを添えてくれたので、けっこう感謝している。
Posted by ブクログ
角田さんの描く女性像が本当に好きだ。
今回の主人公マキも、予期せぬ妊娠による戸惑いから、次第におなかの中の子へ湧いていく「ただ無事に生まれてくれればいい」という愛情の変化を遂げていく心理描写が、自身の妊娠体験とも重なる。
母親学級で知り合った、気の合わない妊婦に「うるせえ、うるせえ、うるせえ」と心の中で吐き捨てたり、無事出産できたらタバコを吸ってビールを飲みたい!と素直に言える「不良妊婦」なマキは、私そのものだ…。
女性は妊娠したら、聖母マリアのような慈悲深い愛を持つ母親になるわけではない。出産の苦しみ、その後も続く乳児期のお世話を経て、時間をかけて子どもと一緒に「母親」になっていくのだから、世間が思い描くようなお花畑なマタニティライフでは決してないし、そう過ごせない自分に劣等感を感じることもないんだ、がんばらなくてもいいんだと思える、救われる一冊だった。
Posted by ブクログ
父親との確執をかかえた妊婦のはなし。
妊娠中に読みました。
わたしもマネして、自分の出産予定日を検索してみた。
だいすきなミュージシャンと同じ誕生日でした。
テンションがあがった。
(結局、予定日通りではなかったけど)
妊娠中って、こうやって、些細なことにも意味を持たせたり、
特別な設定をしてみたり・・・ということが日常だった気がする。
この小説を発表したあと、角田さん出産おめでとうと方々から言われたそうです(あとがきより。実際、著者は出産していません。)。
そう思ってしまうくらい、この本は、妊婦さんのじんわり暖かい気持ちが書かれているのです。
Posted by ブクログ
はじめての妊娠を喜べない妊婦の10ヶ月の物語。
喜べない自分、完璧でない自分を責めてしまう気持ち、とまどい、すごくよく分かる気がした。旦那さんがすごく優しくてほほえましい。何気ない日常や、食べ物描写がすごく上手で角田さんの描く物語やっぱり好きだなと再実感した!
Posted by ブクログ
妊娠がわかった、けどあまりうれしいと感じない。私って、異常なのかな…。
そんな思いを持つ妊婦が、夫や同じく胎児を持つ女性と触れあいながら心情の変化を日記風に綴っていく小説。
自分はこどもがまだいないし、男性だけど、同じ状況となった時に自分はどう感じるだろうかと、心情を主人公に寄せながら読んでいける物語。軽くすらすらと読める、けど、感情移入もしてしまう。
Posted by ブクログ
温かくて読みやすい一冊。のんびり読書したいときに良い。
ただ、登場人物に少し違和感をおぼえてしまった。久しぶりに角田光代作品を読んだからか(私自身が社会に出て温かみを失ってしまった?)、主人公と自分の状況が近すぎたからか(妊娠中なのにレバーや鰻を食べているのが気になる)、はたまた少し古い作品だからか(女性の就労を取り巻く環境や空気感はこの10年で激変したと思う)。
あと、角田さんの絵はとても素敵だけど、挿絵としての挿入箇所や挿入の仕方はこれで合っているのか。私の読み方が悪いのか、読みにくかったし、絵も楽しみにくかった。
Posted by ブクログ
日記風で読みやすく、作中の時間の経過とともに私も妊婦の気持ちになれる気がした。ただし見た夢の話が多いため、リアルな実体験・あるあるエピソードというよりかは心情面が大半を占める。
不安や理不尽さ、怒りの反面、世界が新鮮に見えてくる感覚や誕生日・名前の意味、過去の恋人への感情の変化。これで作者が出産していないというのだからすごい。その上でラストは「これはあくまで小説」と言いたいメッセージ性を感じた。
Posted by ブクログ
この本に関係ない話も多く含まれており、不快な気持ちにさせてしまうかも知れません。ご了承の上お読みください。
2ちゃんねる創設者のひろゆきに最近ハマってる。
ひろゆきさんが角田光代さんをボコボコに論破してる動画を見て、角田光代さんの本を読んでみたくなって、家の本棚にあったこちらを手に取りました。
たしかに本当に角田さんが妊娠したかと錯覚するほど心情の揺れ動きが自然で緻密で、それでいて読みやすかった。
しかしながら!どうしても読書中に論破されヒスを起こしてる角田さんがチラついてしまうのだ!!
あの動画をみる前にこの本を呼んだらもっと楽しめたのに!
ペンネームはペンネームだけであって欲しいなぁと思った今日この頃。
Posted by ブクログ
主人公が妊娠をしてから、子供を産む直前までのお話。
わかるーと思う部分がいっぱい。
赤ちゃんを授かったのはとても嬉しいことだけど、一昼夜でお母さんになんてなれるわけがない。
毎日毎日を過ごしていく中で、少しずつ少しずつ実感と自覚をしていくものであり、その中では「こんなこと考えるなんて母親失格では...」と思うようなことも多々。
この作品の主人公は、子供ができて嬉しくない、と旦那さんにばっさり告げる。
ここで怒らずに、おろすなんて許さない、と泣く旦那さん。物語全体を通じ、この旦那さんの器の大きさと愛情深さにぐっときた。冷やし中華のくだりとかたまらない。
徐々にお腹な中の赤ちゃんを愛おしく思っていく中で、しげぴーと会っている時に主人公が覚醒する部分が好き。
お腹の中の生き物は、私たちが幾度となく繰り返してきた、祈りのようなものでできている。
Posted by ブクログ
まずは自分は女性ではないので。と前置きし。
出産へ向けての気持ちの変化がよくわかった気がします。
最後は嫌いだった父も受け入れることができた。
そこまで思わせる出産。
やはり素晴らしいことですよね。
Posted by ブクログ
んー、なんか好きになれない感じがしたけど読み終わったら面白かった。
「あー、こうゆう考え方もあるんだな」と、妊娠=喜ばしいこととは限らないのかもしれない。