あらすじ
流れ星を見つけたとき、あ、できたかもと思った。初めての妊娠。でも、「私、うれしくないかもしれない」。お腹の生命も大事だけど、生活って簡単に変えられないよ。ひとり驚喜する夫さんちゃんを尻目に、頼りなくも愛おしい妊婦マキの奮闘が始まる。目指すは、天才ロック・ギタリストの誕生日と同じ出産予定日! 笑えて、泣けるマタニティ小説。著者描き下ろしイラスト多数収録。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
非常によかった。
わたしは妊娠・出産を経験していないのですが、これを読んだら経験してみたくなりました。
と、書くと、妊娠や出産を推奨している本のように思うのですが、そうじゃない。(こともないんだけれど)
「妊娠ってすばらしいよね」「子どもを産むのって幸せだよね」
それって、確かにそうなんだけど、それが全てではない。
だけど、世の中には不妊で悩む人もいるし、「せっかく授かったのに」「悩んでいる人もいるのに贅沢」なんて言われてしまうと、「産みたくない」とか、「子どもができて嬉しくない」とか、言いづらい雰囲気がある。
もちろん命は大切だし、堕胎も気軽に行っていい行為だとは思わない。
だけど、それも一つの選択肢なんだと、自分の善悪の価値基準を他の人に押し付けてはいけないんだと、そう改めて思います。
妊娠や出産に対する考えがマイノリティで、それに引け目を感じている人を肯定してくれるような本でした。
Posted by ブクログ
流石サスガの角田光代。素晴らしい。素晴らしく良い。いやもう、何度でも言いますが言えますが、これは、凄く良いです。「読んでよかった!」って、何の留保も衒いもなく言う事が出来る本というのは、素敵ですよ。そんな本に出会うことができるのは、素敵なことですよ。何度でも言います。コレは、とても素晴らしい本です。
赤ちゃんができた夫婦の、妻寄りの内容の日記体裁の小説、という感じなのですが、うーむ。ばりリアル。最初は、まあ、王道の誤解だと思うのですが、角田さんの実体験だと思って読んでました。つまり、小説というより、エッセイ寄りの小説、私小説、みたいなもんだと思って読んでましたね。ええ。
全部創作かい、っていうね。こんなにとんでもなくリアル(に俺にとっては感じられた作品)なのに。それは即ち、角田光代さんの創造する世界は、俺にとっては、とても「他人事とは思えない」から、なのだろうか。
「ああ、、、そうだよなあ、、、あんたの気持ち、、、マジ分かるよ、俺。それは『わかった!という錯覚』なだけなのかもしれないけれど、でもマジであんたの気持ちわかるよ、って思う俺の気持ちは俺にとっては真実なんだよ」
って感じ。ちょー回りくどいですね。でも、そういう感じなんだよ。
ちなみに、俺は勝手に、
角田光代の感覚 ≒ チバユウスケの感覚
説を提唱している次第です。「≒」は「ニアリーイコール」ってヤツですね。「いっしょ」ではなく「ほぼいっしょ」って記号です。
初期作品に漂う、圧倒的な寄る辺なさ、ひねくれさ加減、斜に構えた感じ、いたたまれない感じ、てやんでえべらぼうめえな感じ。
そこからの、
中期~現在?に至る作品に感じる。圧倒的な強さ、明るさ、一周回ったヘンなてやんでえべらぼうめえ感、正しく成長している感をヒシヒシ感じさせてくれる感じ。
そこらへんが、あくまでも個人的には、角田さんとチバさんの創造物に通じる共通点、だと、勝手に感じている次第です。
まずもって全然この作品の解説になっていないのですが、もうね。言いたいんですよこの事が。
角田光代 ≒ チバユウスケ
説。誰かこの説を共感してもらえる人と、一晩でも語り明かしたい感じ。
ま、んで、この作品のどこが素晴らしいか、というと、、、うーむ。とりあえず、読んでください。という、超投げやりな結論です。だってもう。凄く良いんだもの。読んだら分かるよ。って感じなんだもの。本当にイインダヨ。この作品は。
ちなみに、あとがき、も、めちゃくちゃ良いです。あとがきで判明する、「まずこの小説は最終章が短編?としてあって、そっから逆算で最初から話を作っていって長編小説になった」ってネタばらしとか、もう最高です。あと、角田さんの「作家の書く実体験風の話はわたしは基本てんで実体験だと信用しない」みたいな論とかマジ最高。
当然ながら本編は最高。いやもうホンマに素晴らしい本です。
あ、そうそう、角田さんご本人の描き下ろしの絵(イラスト?)も、ちょこちょこ収録されています。角田さんと、イラストレーターの唐仁原教久(とうじんばらのりひさ)さんの共作?というところでしょうか?
このイラストが、バリ良い。不思議な哀しさと孤独と優しさがある。ように感じられる。角田さんのこの感性が、やっぱ好きですね。小説内で、主人公のマキが、ネット上で妊婦同志の「きのうちつやこ」さんのホームページを見つけて、そこにアップされていた「きのうちつやこ」さんの撮影した写真に「なんということはない写真なのだけれど、不思議なさみしさがある」という評が、まさに俺が角田さんのイラストに対して感じた思いと ≒ なのよね。うーむ。素敵。
あと、夫の「さんちゃん」と、妻の「マキ」の関係性も、マジ最高。こんな夫婦、最高です。「さんちゃん」の頼りなさそうで頼れそうな所が最高です。こんな男になりたい。
Posted by ブクログ
妊娠したので、作家が書いた妊娠エッセイが読みたくなり。戸惑いや父親に対する感情など共感できるところが多かった。毎日の食事や海の描写が好きでした。最後までエッセイだと思っていたので笑ったり泣いたりしながら読んでいたが、あとがきで小説だったことを知り驚く。小説家ってほんとうにすごい。読めて良かった。
Posted by ブクログ
喜びより戸惑いが勝ってしまい妊娠を上手く受け止められない主人公が、出産までに自分なりに受け入れていく様子が日記形式で丁寧に綴られている。
自分の母性に自信が持てなかったり、
そのことで罪悪感を感じたり、
なんとなく孤独を感じたり、
夫の気持ちとのギャップがあったり、
急に独身時代が懐かしくなったり、
これが2人での最後かーとしみじみ思ったり、
お腹にずっといてほしい気持ちと、会いたい気持ちとがあったり、
やっぱり孤独じゃないんだなって気付いたり、、
十月十日って改めて、身体的にも気持ち的にも、めまぐるしい日々で、不思議な体験だなと思った。
Posted by ブクログ
日記風で読みやすく、作中の時間の経過とともに私も妊婦の気持ちになれる気がした。ただし見た夢の話が多いため、リアルな実体験・あるあるエピソードというよりかは心情面が大半を占める。
不安や理不尽さ、怒りの反面、世界が新鮮に見えてくる感覚や誕生日・名前の意味、過去の恋人への感情の変化。これで作者が出産していないというのだからすごい。その上でラストは「これはあくまで小説」と言いたいメッセージ性を感じた。
Posted by ブクログ
この本に関係ない話も多く含まれており、不快な気持ちにさせてしまうかも知れません。ご了承の上お読みください。
2ちゃんねる創設者のひろゆきに最近ハマってる。
ひろゆきさんが角田光代さんをボコボコに論破してる動画を見て、角田光代さんの本を読んでみたくなって、家の本棚にあったこちらを手に取りました。
たしかに本当に角田さんが妊娠したかと錯覚するほど心情の揺れ動きが自然で緻密で、それでいて読みやすかった。
しかしながら!どうしても読書中に論破されヒスを起こしてる角田さんがチラついてしまうのだ!!
あの動画をみる前にこの本を呼んだらもっと楽しめたのに!
ペンネームはペンネームだけであって欲しいなぁと思った今日この頃。