角田光代のレビュー一覧
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贈り物がテーマの短編集
贈り物は物品だけでなく、名前、体験、経験、記憶などの場合も
両親がつけた自分の名前、ランドセルの象徴するもの、引っ越しのときに母親が買ってくれた鍋セット、友人たちの手作りヴェール、子供の書いた絵、家族の作ってくれた料理 等々
贈り物の他にも、親子や夫婦など家族も共通点なのか?と思ったけど、「女性が一生の中で贈られるもの」がテーマらしい
言われてみればさもありなん
短編の構成として、生まれてはじめての両親からのプレゼントとしての名前で始まり、人生の最後にも残るものとしての名前で終わる構成は好き
全体の大きな流れとして、人生のステージの順になっているようにも思える
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Posted by ブクログ
あなたは、『首まわりののびた、色あせた、息子や娘のお下がりらしいTシャツを着て』、『触るなと書いてあるのに桃に触れてやわらかさをたしかめ』、『やっぱり要らないと思った鯵を精肉売場に戻』す女性を目にしたらどのように思うでしょうか?
『年齢より若く見えるどころか老けて見え、若いころはさぞや美しかっただろうなと思わせる面影もない』というその女性。『妻から夫を奪うようには見えず、また、父に恋した女を死に追いやるようにも当然見えない』というその女性。
この記述を読む限り、そんな女性にマイナス感情を抱くことはあっても、プラスの感情を抱くことは普通にはないと思います。しかし、そんなあなたの理解は実は間 -
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角田光代の描く主人公の共通点。
あきらめが悪く
一縷の望みに縋り
合理的な判断ができない
一言でいうと「認知が歪んでいるがそのことに自覚がないまま突っ走る」タイプが多い。
行動の大きい小さいの差はあるが、普通の人間なら当たり前のように看過する出来事に執着し、何らかの結論を出そうと奔走するのだ。そして、どうなれば解決なのかは本人にも分からない。
感情に流されるまま、執着心に導かれるまま突き進むのである。最終的に着地はするのだが、問題が解決していない。とりあえず主人公の気持ちに区切りが着く、というだけのゴールだ。
逆に何も解決していないまま物語が一応の結末を迎えるところが、「それでも人生は続 -
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京都の玉子サンド!角田光代さんが書くとなんと美味しそうなことよ!
京都には何度か行ったことがあるのに、そんな美味しそうなものがあるとは全然知らなかった。
次に行く機会があればぜひ食べてみたいなぁ。
そんなふうに思わせる、さらっとしているのに人を動かせる文章が書ける著者の力がすごい。
それから、ひとつひとつのタイトルも面白い。
「万能という恐怖」「ティッシュの善意」「ヌレギニストたち」「ホラーさん」など、内容を読んでから改めてタイトルを読むとなるほどー!と膝を打つものしみじみするもの、色とりどりだ。
あと、猫かわいい!
随所に潜むねこの影笑 -
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ネタバレ主人公に感情移入した方が小説は楽しめるし、味わうことができると思っているが、この本では心が疲れすぎるので少し客観的に読むことを意識したかも。自分がもし、子供を産んでまもない主婦だったら読むのが辛くなったかもしれない。それくらい心理描写がリアルだった。
物語が進むにつれて、水穂にどんどん自分を重ねていく里沙子の主観が主に語られるので、読んでいる自分も水穂と里沙子が曖昧になっていった。
こんなに1人の心理描写を描けるのが信じられないくらい精密で現実味がありすぎた。
自分と性格やフィーリングの違う人物についてここまで深く描ける気がしないので、作者の経験や人格も少し入っているように感じた。これは -
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ネタバレすっごく変な小説だけど面白かった。主人公の「わたし」は友人(?)のために部屋探しをして、「これぞ吉元がすむべき部屋!」という変なアパートを見つけて、そこの住人に近付いて、同棲までしちゃって、そのアパートに吉元を住まわせるために、色々変なことをしてだれかを追いだそうとする。かなりクレイジー。
そこに居座るために大学生のふりをして大学の講義に出たりもするけど、学生じゃないのに全然ばれなくて、クラスの飲み会にいつの間にかいても誰も疑問に思わなくて。笑える。でも大学生ってそんなもの。教授は授業で一回も顔をあげず、学生の顔を見もしないし。
イマドキの大学はそんなことないと思うけど(?)私が学生のときも、 -
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人生にもらう贈りものにまつわる短編集。
贈りものとエピソードという形で
簡潔にまとめられているんだけど、
ほとんどの話で忘れられない景色が語られるのが
印象的だった。
満開の桜、商店街を歩く母のうしろ姿、
夕方の海、靴の並んだ玄関…。
贈りものって、品物そのものより、
それをくれた人、その人との関係を思い出すと
あとがきで角田光代さんが書いていらっしゃるけど
確かに、その品物はなくしてしまっても
心に残り続けるものがある。
強い感慨を持ったこと、
その時目で見たもの、肌で感じたこと、
そんな形のないものたちを象徴するのが
贈りものなのかもしれない。
贈りものをあげるのももらうのも、
自分