角田光代のレビュー一覧
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購入済み
恋とか愛とはちょっと違う、見返りを求めない複雑な恋愛感情。
主人公は今まで読んだ恋愛本に出てくる女性とはかなり違っていた。
こんなに一人の人に一方的に執着することは、自分には出来ないなと思った。
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Posted by ブクログ
敗戦からの復興、高度成長期真っ只中の日本。
めまぐるしく変わっていく激動の時代を生きた二人の女性の話。
時代の変化に対応できず、
疎開先でのつらく寂しい記憶にいつまでも心を囚われ、いろんなことを他人のせいにして自分の人生をうまく歩けない左織。
自分の力で運命を切り開く風美子。
疎開先で一緒だった二人の対照的な人生。
それが左織の目線のみで語られている。
二人は大人になり、銀座で偶然再会する。
疎開先でいじめられていた自分に、とてもやさしくしてくれた恩を忘れないという風美子のことを、左織はまったく思い出せない。思い出せないどころか、疎開先で風美子を執拗に虐めていたのは自分ではないか。その復讐のため、自分の人生すべてを奪おうとしているのではないかと勘繰る。
勘繰り続けて約40年。
そんな気持ちと常に隣り合わせの人生なんて、わたしには耐えられない。
感想はうまく書けないが、とにかく大作。
文章がとても滑らかで、テンポがよく、やさしいので、読みやすかった。ひとつの人生を終えたような気持ちにもなった。自分自身の人生の行く先が気になって、背伸びをして前を見たりしてみた。
笹の舟で海を渡ることは多分できないだろう。
それでもそれしかないのであれば、わたしたちは乗るしかないのだ。
人生という海はゴールも見当たらないまま、日々常に変化し続ける。
この世に生まれてきたわたしたちは怯えながら、ときに笑いながら、怒りながら、泣きながら、戦いながら、身を任せるしかない。
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Posted by ブクログ
泉鏡花賞
はっきりとは見えないものがふと感じられることがある。忘れていた昔の出来事を不意に思い出すこともある。不思議なものに憑かれでもしたようなあのとき。異常なものに囲まれているのに気がつかないでいることも。
SFでもないホラーというのでもない。日常の中にある、現実と非現実の境、ふと、もやのように、こころの中の不明瞭な部分に思い当たる時がある。なにかに覆われた人、蝕まれてしまった人はそれを日常だと錯覚するのだろうか。
不思議な生と死の境目や、それらが重なる部分を味のある表現で書いた作品で、漠然とした異常さがうっすらと滲んできて、少しずつ生き方が逸れて来る人を書き出している。
面倒な本を再再読中にちょっと道草をしたが、テーマも、スタイルも工夫があって、とても面白かった。
おみちゆき
おみちゆき という土俗的な風習のある村での話。和尚さんが即身成仏するために穴に入った。持ち回りであるが、母の代わりに様子を見に行くことになった。
夜のあやしげな音の中を穴まで行き、地下に伸びた竹を伝わってくる気配に耳を澄ます。
和尚がなくなって久しく、子どもたちと帰省したお祭り小屋で、遺骸と再会する。宗教的な話ではなく仏門に入った人の最後が、子どものころの妖しい思い出になっている。
同窓会
小学校の同窓会だけは、毎年行われて、世話役は律儀に連絡をよこす。そのころ仲がよかったメンバーは、どうしても集まらなくてはならない秘密があった、みんな小学生だったころのあのことが胸の中にしこりになっていた。
闇の梯子
静かで近所付き合いの煩わしさもない、うっそうと茂った木に囲まれた家に移った。妻と二人の暮らし。仕事を終え家の近くまで来たとき何かの黒い群れが家にぞろぞろと入っていくのを見た。
道理
付き合った女は、話を全て「道理」という言葉ではかっていた。生きる柱は道理にかなったものでなくては、という。
結婚した妻もいつの間にか「道理」を説くようになった。ある日散歩の途中でガーデンパーティーのような集会に入ると、そこは道理で話し、それで仕切られたひとびとが集まっていた。自分は……。
前世
前世を見るという女に会う。何度も夢見る母との夢を思う。
私は嫁いで子を生んだ、飢饉の年だった、子が泣くと外に出される、吐く息は白く冷たい。手を引いて川のほうに歩いて丸い石をさがす、それが夢のように思い出されて。
わたしとわたしではない女
いつもその女は私の傍にいた。私だけに見える女は、私が子を産むときも傍にいた。
かなたの子
死んだ子に名前をつけてはいけない。死んだ子は鬼に食べられる。そういわれていた。だが文江は死んだ子に如月という名前をつけた。如月はかわいらしく育っていた。次に身ごもった文江に、如月は「「海べりの、くけどにいる」といった。文江は電車を乗り継ぎ、淋しい海べにある「くけど」まで如月を探しに行く。
巡る
私はパーワースポット巡りに参加して山の頂めざして上っている。倒れて頭を打ったが、みんなで介抱をしてくれて、上り続けている。
私は結婚をして浮気をされて離婚をして、シングルマザーで子育てをしてきた。今子どもはいない、どうしたのか、頭を打ったせいかはっきりしないことばかり。
頂上に着いた、白い朝の光に包まれていく。 -
Posted by ブクログ
「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」で紹介された、
作家たちと猫の関わりを、たっぷり盛り込んだ猫愛溢れる本。
1 はじめての猫・・・角田光代、吉田修一
2 いつでも猫・・・村山由佳、柚月裕子
3 これからも猫・・・保坂和志、養老孟司
猫対談、猫写真、猫作品(小説、エッセイ、短編)での構成。
「NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」紹介有り。
PROFILEは作者と猫たちを紹介。
インタビューでは、著作に関する話と飼い猫の話。
あ、飼い・・・じゃなくて相棒とか家族っていった感じですね~。
それらと小説、エッセイ、短編には、猫に対する眼差しと
愛を感じる言葉が迸っています。そして作家と彼らの写真。
愛猫の前では、なんて素直な表情を出してしまうのでしょう。
それは猫たちも同様。同じ空間にいるときのリラックスぶり、
保坂さんの外猫シロも触らせてくれないようでも、自分の舌と
彼の指に感覚を残してくれる。
なにより、彼らの写真のステキなこと。
この本に接する読者にも癒しを与えてくれます。