あらすじ
本好きの作家がつづる、心躍る読書エッセー。
ひとりひとりの人生が重なり合い、関わり合っただれかの時間が縫いつなげられ、無限へ、永遠へと広がっていく。本が、物語がある世界とは、なんとすばらしいのだろう。
この本は、まるごと物語にのみこまれることの至福に満ちた、すべての本とすべての本を必要とする人へのラブレターだ。
著者は語る――「収録してある本はほとんどすべて、読みたくて読んだものであり、読んでみておもしろかった本ばかりだ。こんなにも世界にはたくさんの本がある。私はこれらの活字を追いながらじつに膨大な、幸福な時間を過ごしてきた。その幸福な時間が、この一冊には詰まっている」
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電子書籍。
角田さんの書評集。はじめての角田さんの本だったが、とにかく読書や作品に対して愛がたっぷりと満ちている。書評だけれど、思わずまた読み返してそうな、そんな予感がする。紹介されている作品ももちろんのこと、角田さん自身の他の作品も、手に取ろうと思う。
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なんて希望に満ちたタイトル。とてつもなく大きな味方を得たような気持ちになる。
面白くなかったらやだな、という理由からあまり新しい作家に手を出す勇気がなかったけれど、著者の読書感想文集にはあらゆる作家の多様な作品の魅力がぎっしり詰まっているので、読みたくなった本をメモしながら読んだ。熱意がこもった読み応えのある読書感想文だった。
読みたい本が大量になってしまって大変。とてもうれしい。
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書評集。取り扱い数はなんと150冊!
どうやら2003年から2009年まで連載されてた?書評を
まとめたものが入っている、書評というよりは感想文
作家さんのこれだけの感想文を読むことはなかなかないので面白かった
作家になったときに自分が読んでる本が少なすぎたので
書評の仕事は絶対断らないと決めた、のでこの冊数になった模様
ご本人曰く、仕事の性質上、新刊ばかりなのが残念だ、
ということ、古典もこういうのやってもらえたら嬉しい
個人的に角田さんのエッセイって酢の物っぽい、さっぱりしてる
今回の書評集を読んで再認識したけれど
別れた男性とは別れた後も会う、というのを
この本で知り納得、うんうんそんな感じ
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文庫版で書い、お風呂に入る時に読んでいました。
うっかり寝てしまうので、濡れてシワシワです・・。笑
自分一人の世界のお風呂で、本の著者と対話をしに行くように、風呂に入る時に、この本を開きました。
本と出会う時は自分と著者、自分と本の中にいる人との対話がある。対話は、自分の見え方、考え方、感情に作用する。個人的な物語が本を開く時にある。
だから、一人の人、角田光代さんが本に出会った時を知ることは角田さんを知る、友達になる、対話をするような感覚にとらわれる。
単なるブックレビューというより、角田さんが日々生きる中で、本がどのように存在していたかを知る日記のようでした。
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角田光代さんがつづる、読後感のエッセイ。
わたしも読んだ本がそれなりにあって「そっかぁ、そういう受け取り方もあるのねー!」と、良い本を共有しあってるようなしあわせがありました。
それにしても、角田さん、読んでるなぁ。
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角田さんの読書記録というか感想文というか、書評というか。私も読んだことのある本もたくさんあったが、私の視点とは違う感想が新鮮で、再読してみようと思った。子供の頃には理解できなかった本も大人になってから読むと全く違った世界が広がるという感覚もすごく共感する。ここで紹介されていた本は一通り読んでみたいと思った。
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角田さんの「読書感想文集」。この本には、100人を越える作家の著作への感想文が収められているが、著者は当時も今も異なる意味で「小説の世界は、気の遠くなる途方もない世界」だと思っている。当時は無知でひよっ子な心細さ、いまは、沢山読んで力をつけた自分にとって、広大無辺かつ未知の世界を前にした高揚感。本を読むことで、著者は「じつに膨大な、幸福な時間を過ごしてき」て「本がある世界の幸福を噛みしめるようになった」という。同感にして共感!この本の題名と美しい装丁に、著者とスタッフの本に対する愛情を感じた。
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奇しくも作者があとがきで書いているように、自分が読みながら感じたのも、『書評ってか感想文に近いな』っていうものだった。特に新聞掲載されたものに傾向は顕著で、極論すれば、その中から読みたくなったものはひとつもなかった。粗筋紹介の割合が多過ぎると感じたんだな。一方で、文芸誌などからの、ある程度の尺をもって推薦されている諸々においては、たまに”これは!”って思えるのもあった。それでも数多読んだ書評集の中では打率が低い一冊といえる。著者のものした小説は、好きなものが多い気がするんだけど…
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角田さんの本に関するエッセイと感想文集。
川端康成、尾崎翠から、伊坂幸太郎氏、三浦しをん氏等、実に様々なジャンルの本の感想があり、今後の本選びの参考にしたい。
太宰治の『斜陽』で、10代の頃全く理解出来なかったのに、30代半ばに再読して、その世界観にのめり込んだエピソードにとても共感した。
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』のホールデンのことをパンクだとし、大人になるための通過儀礼と言い切る。
若い頃、好きな男の子が『ライ麦畑……』を読んだことがないと分かり、彼に対する想いが急激に冷めたエピソードには笑った。
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角田さん曰く「読書感想文」とのことだけど、読書愛溢れる書評集。自分が全然知らなかった作家さんの本や、最近ご無沙汰している作家さんの本など、読みたい本が増えてしまった。時間や金銭面などで制約はあるものの、自分の好きな本を読むことができるって幸せなことなんだなあって気付かせて貰えました。私も読書ハイ体験してみたい!
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「私たちには物語がある」
そうそう、そうなんだよ…って偶然見かけたこの本を手に取った。どうやら読書感想文なんだ~と帰りの車の中で分かった。
冒頭の角田さんの書き出し。
これまでの自分を思い出しながら読むと、泣きたい気分になりつつも、物語があってよかったと思っていた自分に気がつく。
今考えれば、とても不安定だったあの時期(不安定だなんて今でも書きたくはないけどね)、唯一落ち着いていられる場所は本の中だったなぁ。
医師に「何をしているのが一番落ち着きますか?」と言われて読書と答えたっけ…。
「星の王子さま」もっとも好きな本の一つ。初めて読んだのは小学生の時だった。近所の人のお家で、掘りごたつの中に入り込んで読んだっけ。寝そべって読んでいたら、本にその姿勢をたしなめられて急いで姿勢を正して読んだっけ。
あらすじなんてものは全く分からなかった。でも、それでもこの本が大好きだったっけ。
少し大人になってから、この本のあらすじが分かるようになって、読むたびに感じ方が違うと気がつくようになって、なんてすごい本なんだ…と陳腐な言葉でしか言い表せない自分がもどかしいけど、
読書は、自分の状態に優しく合わせて寄り添ってくれるんだ…ってことを小さなころの私は感覚的に知っていたし、不安定だった私はそれにすがっていたし、今の私はあぁ、そういうものなんだ…と大人っぽい解釈をしていたりする。
読みたい本がたくさんあった。自分がこれまで読んだ本の話もでてきていたとても面白かった。
私たちに物語があって本当に良かったと思う。
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書評、感想、ブックレビュー、この手の類は作家になって以来、ほとんど断ることはなかったという著書。断らざるをえなくなったのは、本業がご自身の許容量を超えるようになったごくごく最近。作家になるのならもっと読めと編集者からの言葉もあって悲壮な硬い決意をもってこれまで実践してこられた。その集大成が本書。どんな本でもほぼおもしろいというだけあって、どの書評にも嬉々とした感受性がこぼれんばかりに溢れている。しかも面白くない本も面白くないところが面白いという真に奇特な性分。読みたい本が書評の数だけ増えてしまった。
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〜本が、物語がある世界とはなんてすばらしいんだろう。私はなんとすばらしい場所で生き、なんとすばらしいものを享受しているんだろう〜原文ママ。本にひとかたならぬ愛情を注ぐ角田光代さんの書評集、書ける人が書いているのだから内容についてはここで言うには及ばない。参考になったのは「つまらない」と投げ出した本を再読したときの印象の変化…偏見を捨て現在ある自分のまま謙虚に一冊の本人向き合うことの大切さを教えられました。新年に向けての良い読み納めとなったようです
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角田光代さんの読書記録。幼い頃から本好きで、いつも本を読んでいた。それでも知らないもの、わからないもの、不思議なものに触れる感動を毎回新鮮に受け止めようとする、そんな角田さんの眼差しに、改めて驚く。ことばの使い方ひとつひとつが、すてきだなぁとおもう。
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著者の本との関係性がとても素敵だと思った。
p18
カラー版の星の王子さまを持ってきてくれたおばは、私が中一のときに亡くなっていた。彼女が持ってきてくれたその本もすでに手元にはない。けれどその本に書かれていることを理解したとき、その物語を、物語の世界を、言葉のひとつひとつを、もう一度おばから受取ったように思えた。九年という時間を飛び越えて、再度手渡された贈りものに、私は感じられたのである。
百人いれば、百個の個性があり、百通りの顔がある。つまらない人なんかいない。残念ながら相性の合わない人はいるし、外見の好みもあるが、それは相手が解決すべき問題ではなくて、こちら側の抱えるべき問題だ。つまらない本は中身がつまらないのではなくて、相性が悪いか、こちら側の矮小な好みに外れるか、どちらかなだけだ。そうして時間がたってみれば、合わないと思っていた相手と、ひょんなことからものすごく近しくなる場合もあるし、こちらの好みががらりと変わることもある。つまらない、と片付けてしまうのは、「書いた人間にではなく」書かれ、すでに存在している本に対して失礼である。
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おもしろくない本でも後から読んでおもしろいと感じる様になれるのが羨ましい。
おもしろくない事がおもしろいと思える様になりたいと思った。
この本を読んで読みたい本が増えたのは勿論だけど、以前読んで苦手だった本がちょっとおもしろそうに書いてあってまた興味が出てきた。角田光代さんすごい。
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書き手なだけあって、物語が本当に好きなのが伝わってくる書評集。冒頭の『交際履歴』にある、本は人を呼ぶというのはなんとなく通ずるところがあって、人も本も出会いにかわりはないし、世界の全ての人にも本にも出会うことはできない。そんななかで偶然であってしまった素敵な本に運命さえ感じたりもする。
紹介されていた本は、未読の本も多かったので気になったものは是非読もうと思う。これも出会いだ。
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素晴らしき物語がある世界。古今東西の150冊にのぼる本を自在に味わう最高の読書案内。
著者曰く、"読書感想文"とのこと。同じ物語を読んでも、人によって感じる思いは違う。同一人でも年齢や置かれた状況で伝わってくる思いは違うだろう。素晴らしき物語に出会える人生って素晴らしい。
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「書評集・感想文集(角田氏曰く)」の類は、ついつい買ってしまって、新しい本に出合うきっかけでもあったけど、ここ最近は少し食傷気味で、なるべく手に取らないようにしている。
この本も数年前に手に入れて、途中まで読んでそのままだった。今回、本棚整理中にすべてに目を通す。
少し年月が経過している感想文が多いけれども、「佐野洋子」氏の書籍を一度読んでみようかなぁと思ったきっかけにはなりました。
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若くしてデビューした直後、編集者やら先輩作家やらの容赦ない指摘によりあまりにも読書体験の少なかった自分を知り、書評に類する仕事をいっさい断らないと決心したそうです。
なんとたいへんな決意を…!
(現在ではお仕事の許容量を超え、さすがに断念されたもよう)
まじめで誠実で善意にみちた文章がならぶ。
本当に本当に、本のある世界でよかった。
心から同意します。
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角田さんの小説は読んだ事はないが、この書評集から角田さんの人柄が伺えた。
本好きには共感ポイントが満載。
「再読」の意義を考えさせられる一冊となった。
Posted by ブクログ
14/11/16
表紙がかわいい。
“本は人を呼ぶ。本屋の通路を歩くと、私だけに呼びかけるささやかな声をいくつか聞くことができる”と角田さんは言ってるけど、納得。共感。“私を呼ぶ本”て言い方かっこいいなあー
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ジャンルも傾向も様々な本の書評、というか筆者が感じたことが綴られてる。ほんとに本が好きなんだなあということがひしひしと伝わってくる。紹介されてる何冊か読みたくなった。
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角田光代が読んだ本の書評集(本人は感想文と言っているが)
その本のジャンルの多様さ、そして読書量に、さらに適確な読解力に感嘆せざるを得ない。あやかりたいものだ。