あらすじ
ハルオと立人と私。恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」――本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに……。表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、「無愁天使」「銭湯」の2編を収録。今もっとも注目を集める作家、角田光代の原点がここにある。記念碑的デビュー作!
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3章通して、ぼんやりとした持論がいくつかあり、それがとても面白かった。
「無愁天使」の草介に向けた話に関して、これほど引き込まれる文章を私は知らないと感じた。
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初めての角田光代さん。幸福の遊戯はデビュー作らしくだいぶ昔の作品だったが、現代と変わらない女性の悩みというかモヤモヤが描かれていて、とても好みの作品だった。
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デビュー作とは知らずに読んだけど、角田光代の世界によく登場する一線ずれた女像はここからだったのかと思う。
決して気持ちの良い物語ではないけれど、女は少なからずこういう湿った影のような部分を持ってるから、共感とはいかないまでもどこか似た思いを読み取ってしまうのかなと思う。
短編3つ、どれも自分が作られた家を根源に、自分自身に影や染みのようなものをもつ女達。彼女達はそれぞれの形で幸福を実現しようとしてるけど世の中の常識とは合わなかったりする。でも彼女達が求めてるのはただ心の安定なのかも。
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角田光代のデビュー作。
けっこう狂った感じ。
もはや共感はできないほどの
おかしさだけど、
いつも描こうとしているだろう
普遍的なテーマが原点を感じさせる作品。
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2014年の67冊目です。
3つの短編が収められています。
1つ目の「幸福な遊戯」は、女子大学生の主人公が、男性2人と、家賃の倹約の為シェアハウス生活を始めます。そこでのルールは「同居人同士の不純異性交遊」禁止です。自分自身の家族から得られなかった”居心地の良さ”を3人の生活の中に見出した主人公。でも、自分より”生きる目的”を未だに見出していないと思っていた、彼らが、追い求めることを見つけて家を出ていきます。取り残された寂しさや焦燥感にさいなまれながら、前に進むことができない若い女性の心情が描かれています。私の年齢では考えられない「不純異性交遊禁止」付の男女一緒のシェアハウス。でも、そこにしか、自分の居場所を見つけられなかったという設定が、主人公に対する不憫さを強くします。突き詰めると家族の情の薄さが、奇妙な生活を作り出しているような気がします。3人の間に、全く恋愛感情が発生しないのも少々奇妙の感じがしますが、この「不純異性交遊」禁止は、守られることはあるませんでした。
2つめの短編は、「無愁天使」です。
これも、母親との支配的関係がその死によって崩壊したのちの、私の刹那的な生き方が描かれている。たくさんあった母の保険金を憑かれたように物を買いまくり使い果たし、お金の為に風俗係の仕事をするに至るのだが、そこには、淡々とした心のうつろいのみがあり、後悔や後ろめたさは見られない。彼女の初老の客が、”死”をイメージして眠るという奇妙な癖を持つ。今生きていこの時間を、眠りにつくたび、洗い流し人生をリセットするかのように。何度も死に生まれ変わる儀式を繰り返すのだが、決して彼女がそれで救われることはないように思える。満たされないことは、出口のないことのようにさえ感じる。
3つめの短編は、「銭湯」です。主人公の彼女は、就職した今も、アパートにお風呂が無く、銭湯に通います。そこに、丹念に丹念に体を洗い磨く普通の容姿で普通のスタイルの女性客を見つけます。主人公は、都会で学校を卒業した後も、好きな演劇を続けていると母親に偽りの手紙を書きます。実際の彼女は演劇を諦め小さな食品会社で目的もなく、働きます。それは、母に書いた偽りの自分を確かなものに変えるためのようにも感じられます。でも、この手紙は、一度も母に差し出されることはありませんでした。どちらの人生にも意味のないことに、気がつくきっかけが、銭湯の中の些細な出来事からやってきます。人が自分の人生に、これでいいんだと気付くのにドラマはいらず、日々繰り返される些末な出来事だと思います。
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2014.3.15ー15
門田光代の原点はここにあるのかと思わせる、著者23歳の頃の主人公がほぼ同年代の作品。家族とは?自分とは?じんわりと考えさせられる良質な著書でした。
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これがデビュー作なのかと、あとがきで知る。彼女の小説を読むのは四冊目かな?
角田光代のエッセイはすごくすごくすごーーーく好きなのだけれど、小説は苦手だった。暗いし、わぁ!ってならないし。
でも、大学二年の今、読んでみたら、なんかもうこれはすごいわと思ってしまった。無自覚のどろどろが文字になっている。人気ってことは、みんな同じようなことを考えているのかという安心感と、どの人もこんな人生なのかっていう未来への絶望。
ぐだぐだしてるシーンの描写が好き。
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角田光代さんのデビュー作と、全く意識せずに読みました。なのに、書かれているテーマや表現、また作品に現れている社会に対する視点・見通しが、一貫していると感じた。ほんとに良い作家さんであると思う。
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いまを生きる人々の心情をデフォルメして描き出している。主人公らの極端な言動は、行き過ぎているように思う。常軌を逸しているように思う。でも、そこまでひどくはない程度なら、自分自身にもありそうだから怖い。
特に2作目の「無愁天使」。主人公が物を買いまくる。そして、一度も使わないまま、部屋のどこかに放置される。こういうのって、確かにある。角田光代に人間の性癖を書かせるとちょっと怖い。
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角田光代さんの話の中でも純文学っぽかったんだな〜という印象。「幸福な遊戯」は話の設定が川上弘美さんや江國香織さんみたい。主人公の依存度が高いのと周りの対応…ちょっと家族に問題がありそうな話が多かった様に思う
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1990年 第9回海燕新人文学賞受賞作
「幸福な遊戯」
男子2人と私
三人のシェアハウス
感情のシェアにはいたらず
角田さんの原点のような作品でしょうか
女子の強さが悲しい
「無愁天使」
父と娘二人
母の入院の為働き続ける
長い抑圧生活の後 三人は自由そのものに振り回されていく
「銭湯」
自分の望む架空の自分を 母親宛の手紙だけに生かし続ける
短編3作
角田さんの出発点なのかな
三作に 自分の気持ちを 隠しきり、ごまかし、偽る 若い女性達が依存する遊戯を書いている
一瞬の幸福感はある 継続しない幸福
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モヤモヤとするお話。
でもそのモヤモヤは決して悪いわけじゃなくて
何かに引っ掛かる人の姿を
現実逃避する人の姿をうまく描いていると思う。
思い当たるところもあるから
なんだかモヤモヤするんだろうな…。
でも、角田光代さんの書く文章はやっぱりなんだか好きなんだな。
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ほおぅ...。デビュー作はこういう感じなんですね。標題作は、よくある設定と思いきや、なかなかの変化球。まぁ、約30年前の作品ということで、いろいろと懐かしい。描きたいことの一端をチョイ出ししている感じでしょうか...。さぁ、次行きましょう!
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短編集だと知らずに読んでしまったので、1話目の余韻が残ったまま2話目に突入。
頭の切り替えがうまくいかずそれ以降集中力できませんでしたが1話目の余韻がとても長く続いてよかった。
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タイトルから想像する内容よりはかなり暗い話だった。
3編で構成されており、最後の「銭湯」が個人的には読みやすかった。
2つ目の「無愁天子」は重く暗い作品だった。
心の中にある少し暗い気持ちや周りと比べて感じる劣等感などに共感した。
どの話も少し狂気的で非日常感があり、怖いもの見たさのような感覚で引き込まれた。
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1話目が面白くてもっと読んでいたかった。
どう壊れていくのかもっと先が見たい。
2話目はしょうもなかった。
3話目は陰気くさくてイライラした。
自分がなくてやりたいこともなく、だけど漠然とした理想だけがあってつまらない女。
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表題作読んだら、アジカンのソラニン聴きたくなった。角田さんの他の作品と同じく、周りに置いて行かれる感じもある。
『無愁天使』は、母親の病と死で買い物狂になって切ない。『銭湯』は、就職せずに劇団役者をする理想の自分(ヤエコ)になれない八重子。
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片づけられない事象は身近に感じているので複雑な気持ちで読みました。
理由があるにせよ、読んでいて気持ちのいいものではありません。
剃刀が出てくるところで読むのをやめようとおもいましたが、ありそうなお話でもあり怖いです。
いろいろとよく考えられていますね。
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風邪を引いて、胸がむかつく状態で読むのには向かない本です。
いずれも家族をテーマにした作品ですが、いわゆる"普通の家族"は憎むべきものとして、あるいはどこか憧れのものとして描かれます。
どちらが著者の本音なのでしょうか。普通に生きる事を拒否(あるいは逃避)しつつも、いつかは普通の幸せを得たいというのか、あくまで拒否し続けるべきと言いたいのか。多分、著者自身こたえを出せていないのだと思います。
中途半端とも言える結末です。そのあたりはデビュー当時の重松さんを思い起こさせます。この作品も角田さんのデビュー作だそうです。その後、どんな作品を書いていくのか、気になる作家さんです。
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【本の内容】
ハルオと立人と私。
恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。
この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」―本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。
いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに…。
表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。
今もっとも注目を集める作家、角田光代の原点がここにある。
記念碑的デビュー作、待望の文庫化。
[ 目次 ]
[ POP ]
そういえば、ぼくの大学生活もこんなだった気がする。
なにものでもなく、未来は自分の掌にあり、世の中に無縁で、不安はあるにせよひとつのきっかけで乗り越えられた、二度と戻らない時代。
男2女1の若者三人の共同生活。
端から見ると確かに妙な気はする。
けれどもいいのだ。
主人公がいう「姿のない形」があり、「奇妙な共同意識」と「バランス感覚の共有」が保たれさえいれば。
寄る辺があるようでない、自立と持たれ合いの曖昧さの心地よさ。
三人ばらばらの生活でも、誰かが必ず片手は「それ」をつかんでいる意識は三人とも持っていた。
あの日、までは。この世のすべては川の流れのようにたえず変わっていく。
真っ昼間、柔らかい日差しの中カーテンも窓も開けっ放しで目を閉じる瞬間の描写がある。
風のそよぎを感じながら。
気が付くとまた夕暮れで、それから商店街を散歩したものだ。
気が付けば朝方まで話していて藍色を落しきってない空をふと感じた。
角田光代はそうやって詩情豊かに遠い子供の頃のあの日までを描いている。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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初めて空中庭園を読んだとき、角田さんの世界に引き込まれ、もっと読みたいと思いました。角田さんの処女作である幸福な遊戯も素敵な作品でした。
角田さんの作品を読むと、家族ってなんだろうと考えるけど、でも実はそんなに深く考える必要はないんじゃないか、と思えてくる。なぜか、とても落ち着く。
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角田光代の原点か。
いまの作品に比べるとクセがないというか、淡々とした感じ。
ただ、目の前に情景が鮮やかに描き出せるような文字の紡ぎ方や世界観は変わってない。
そこが好き。
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家族団欒の中に身を置くことのできなかった喪失感。寂しさを怠惰で無気力な3人の生温い共同生活や愛のないセックスで埋め合わせざるを得ない哀しみ。必死に守っていた3人の共同生活さえも喪失してゆかなければならない哀しみ。寂しく悲しい作品であった。自分は家族団欒を手に入れることができた。形式的には。でも、もっともっと心の通い合う団欒を作ってゆきたい。そんな前向きな気持ちに誘われた。
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ハルオと立人と私、三人の共同生活。私には居心地の良い空間だったが、ハルオがさり、立人までさっていく。
「無愁天使」と「銭湯」もあり、銭湯は分かる部分があり、好き。
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どろり。ひとりで読んでいるとさみしさが周りを囲んでくる。誰かが隣にいて、時折自分を現実に引っ張り出してくれないと、なかなか本から帰ってこられなくなりそう。いい意味でも、悪い意味でも「惹きつける」話。幸福な主人公が誰ひとりとして存在しないので、幸福な遊戯っていうのは、幸福に振る舞う芝居のことを指すのだろう。そして、その芝居に虚しくなりつつも、幸福であるために演じ続けるのだろう。