あらすじ
たとえば、物語の中で少女が食べる「甘パン」。あるいは、殺し屋が飲む一杯の「珈琲」。小説、エッセイ、日記……と、作品に登場する様々な「食」を、二人の作家はあらゆる角度から食べ、味わい、読み尽くす。その言葉が届くとき、あなたの読書体験は、眼前の本の味は、まったく新しいものに変わる。読むことで味を知る、味を知ることで読みたくなる。すべての本好きに贈る、極上の散文集。
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dancyuで連載されているのが好きで購入 昔から食べ物が出てくる本、向田邦子の海苔弁だとか、若草物語の砂糖漬けライムだとか、エーミールの血入りソーセージだとかに思いを馳せていたが、確かにそれは食べたことないのに味わっている
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この類の本は今ある積読の高をさらに高いものにする。物書きが紹介する様々な作家の本について、その中でも「食」に特化した紹介。
角田光代さんと堀江敏幸さんが代わる代わる紹介していく。
元々が素晴らしい表現で書かれているのに、この二人を介して出てくるのだから更にパワーアップしている。堪らない。
食べ物の味、匂い、そのシチュエーション、ありありと描かれて、読み終わる頃には何冊かメモしているだろう。絶対に。
一作品につき3ページほどで読みやすい。だった3ページでも惹きつけられてしまうイチコロだ。
Posted by ブクログ
角田光代は20代後半かけて30代までよく読んでいた作家でした。様々の作品が映画化やドラマ化にされていて、女性の感情を丁寧に描く作者だと思いました。堀江敏幸は別の作品でかなり挫折してしまって、角田さんとならきっと挫折せずに読めるんだろうと思い購入。往復書簡だと思いきや、雑誌「dancyu」での散文集でした。それぞれ読書記録の中、「食」に関する内容を紹介するエッセイ。これもまたたくさん触れ合ったことないの作者や作品の中、食べ物や食卓な話が書かれて、短い文章だけどどんどん作品を読みたくなるような描写ばかりでした。
「本来私たちは、病むことではなく健やかであるために食べるのだ、と。」(池澤夏樹 君のためのバラ) by 角田光代
「酒に酔うことは、あとから言葉を組み立てるために必要な、より深い覚醒の場だったのである。」(若山牧水 若山牧水歌集) by 堀江敏幸
作家が読書感想文はどんなものなのか、この一冊は少し垣間見れた。読書は日常として、日々努力を怠らず、だからこうした感受性や文字を手に入れるんだろう。紹介された作品の色に関する描写は、単に美味しそうな描写だけではなく、特に堀江さんが紹介した作品の中、食べるシーンや、またはその食物ですりゃ登場していない作品でも、その一つのヒントがたくさん感想に繋がっていく。また文中と文末に二人の対談も、とても作家らしく、指定されたテーマに沿って描くことに苦労したエピソードも、互いの文章を読んで感じたものも、またこの読書に加味され、互いの人間性や読書に対する姿勢を感じました。
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danchuに連載された食に関わるリレーエッセイを集めた一冊。
著者は角田光代さんと堀江敏幸さん。
取り上げられるのは小説が多いけれど、エッセイやノンフィクションなど、幅広い。
100作取り上げられていて(連載ではもっとたくさんあったのかな?)、自分が詠んだことがあるのはたった15作。
タイトルだけ知ってはいる、というものを含めても、30余りしかないのだが、知らない作品に関するエッセイも面白く読ませてしまう。
ここらへんはさすが手練れの作家のお二人。
面白さを伝える力だけではない。
作家の味読力のすごさも随所に感じられた。
ピンポイントに「食」というテーマに引き寄せるものもあるのかもしれない。
例えば、角田さんが「海辺のカフカ」(村上春樹)を取り上げた回。
見えざる力に導かれて四国高松にやってきて、恐ろしい世界への扉をあけてしまう主人公が最初に口にするのがうどんだったということに着目する。
物語上、もう彼が戻ることのできない、元の穏やかな世界の「純然たる幸福」の象徴、それがうどんだったのではないか、と読み解く。
二人の書き手の文章が交互に配置されているのもいい。
甘いものの後のしょっぱいものとか、ビールと枝豆とかにあるような、無限ループ状態に陥ってしまう。
はっとさせられるのは、角田さんの文章。
一方、そうだよなあ、としみじみ共感するのは堀江さんの文章だった。
これから読んでみたいもの。
・ランダル・ジャレル「はしれ! しょうがパンうさぎ」
・鴨居羊子「カモイクッキング」
・吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えていた」
・イアン・マキューアン「初夜」
・ロアルド・ダール「味」
Posted by ブクログ
「読むことでしか食べられないものがある」最大首肯。私も、『メアリー・ポピンズ』のクランペットや『大草原の小さな家』のヘッドチーズを食べて大きくなった人間です。
本とメシ好きにはたまらないdancyu 連載コラム。この中に出てくる本、次々ポチッて全6冊くらい買いました。角田さん、堀江さんが順々に美味しそうな場面や描写を論じてくださるのだが、単なる食&本エッセイにとどまらず、おふたりの知見と筆力でもって1編1編が短編小説のような仕上がりに。
間に挟まる対談も楽しき。
Posted by ブクログ
様々な作品に登場する食べ物、そのシーンを、二人の作家が読みながら食べ尽くす。そんなエッセイ。読みながら、作品を食べたいと思った。そして、おなかが空いた。グ〜。
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雑誌・dancyuに2007年4月から連載されていたものがまとめられたエッセイ本になるのだろうか。なぜか読書録だと思っていて、4本目ぐらいで「食」にまつわる本とそこにまつわるエッセイが書かれているのだと気がついた。中には池波正太郎や向田邦子といった食といえばみたいな作品もでてくるが、普段、手にとらない作家さんの本が多い。お題がdancyuの特集とリンクしていると対談で話されていた。個人的には堀江さんの紹介する本、エッセイが好きだが、時々角田さんの言葉にはっとする気づきがあった。