【感想・ネタバレ】空中庭園のレビュー

あらすじ

郊外のダンチで暮らす4人家族・京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。15歳の長女マナが“自分はどこで生を授かったか”を訊ねると、ママはラブホテルで、と教えてくれた。自分が仕込まれたのが近所の「ホテル野猿」だと知って、どうしても見てみたくなったマナは、同級生の森崎くんを誘って行ってみた……。家族ひとりひとりが、そのモットーとは裏腹に、閉ざしたドアの中に秘密を持ちながら、仲の良い「家族」を演じているさまを鮮やかに描く連作家族小説。

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Posted by ブクログ

私は家族って関係がこの世で1番嫌いで最悪で、だけど大好きで、そういうことが丁寧に書かれているところが、角田光代さんの小説!という感じがして最高だった。良好な家族関係のようにも見えるけど、それは表面上だけで。でも家族ってそういうものだよねって。その最悪さを認識するたびに家族とかいう概念この世からなくなってしまえと思うけれど、それは叶わないし、本当に消滅しろと願っているわけでもない。
身内であるというだけで善人だと思ってしまうとか、家族は電車に乗り合わせただけとか、あと、私も家族は作らないと決意してるので、ニーナの章が1番心に残った

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2025年03月03日

Posted by ブクログ

連作短編。
ある家族をそれぞれの視点から描く。
最初は退屈な小説かと思ったが、第二章からギアが上がった感じ。おそらく短編として切り取るとそれほど面白くないのだが、視点が切り替わることで各人物の欺瞞や嘘が客観的に表現される点がゾクゾクする。何て言いうか玉ねぎの皮を剝いていく感覚。

自分の信じている世界は自分だけのインナーワールドでしかなく、現実は全く別の世界として存在しているのだ。
そんな崇高な感覚を都下の平凡な家族を通して描き切った作者は凄いと思う。

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2023年11月24日

Posted by ブクログ

出だしの何でも話せる家族から読み続けるうちにだいぶズレがあるんだがと思いました。なるほど本音が全員がまるで違う真逆なのか。6人それぞれの心の闇はそれぞれ違うし、どうにもならないし、ギリギリ踏み止まる感じ出てる。角田さんはこんな現に表現したんだかなあと、自分ではまあまあ読んでるつもりだけど、まだまだだよ。この流れで対岸の彼女読もうと思う みんなそれぞれ隠し事があるが、ぶっちゃけたら崩壊するのかな、能天気だと思ったミイも日和見だし、おばあちゃんの所が1番語ってたよ、読み込んだね。父が透明なコップの表現がいい

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2023年08月21日

Posted by ブクログ

読み終わった後のザワザワ感、蒲公英草子と似てる。
みんなが心に鍵付きドアを持ってるって話。
家族の話。
リアリティもあり、胸くそ悪くなるシーンも多い。
最後の石田衣良の解説も良い。
対岸の彼女も読まなきゃ!

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2022年07月21日

Posted by ブクログ

多かれ少なかれ、みんな家族ごっこをしてるのかも。隠し事なんて何もないよなんて顔して、素敵な家族でいるために、その一員をうまく演じてる。それが良いとか悪いとかではなく、そういうものなのかも。
そして、母と娘の間にある得体の知れないモヤモヤ。親子だって、というか親子だからこそ、相手のことがわかった気になって、でも全然わかってなくて、すれ違うんだろうな。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

どこにでもあるような家族、関係者それぞれの視点の脆く儚い秘密が明かされていく過程が楽しめる。人間特有の弱さからかその秘密に対する妙なすれ違いがたまらない。この不安定さを面白おかしく表現してくれる角田さんの物語にはいつも惹き込まれる。

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

家族内での隠し事の在り方ついて考えさせられる作品であった。隠しておいた方がよい秘密ってある。秘密を打ち明けることで確かに家族の絆が深まる場合もあるが一方で、正直に打ち明けたことにより自分はすっきりするが相手に責任を転嫁させることになったり、傷つけることもある。だからといってどうしたらよいか答えはわからないが、、、

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2024年03月22日

Posted by ブクログ

ある家族とそこに関係する人を含めた6人によるそれぞれの視点で描かれた物語。家族の中には何事も包み隠さず、隠し事をしないというルールがあり、一見明るく平凡な家族だが、読んでいくとそれぞれに秘密があり、作り出している平穏な空間はあぬまで表層的なものにすぎず、実際はカオスに崩壊していることに気づく。


まるで嘘なんてない普通に幸せそうな家庭なのに、一つの家族をこんなに嘘で虚像で作られてしまうものかと本当に怖かった。と同時に、秘密なんてあるのが当たり前で、人はみんな二面性をあるいはそれ以上を持っているものなんだろうと。だからこそ、「嘘のない家庭にしよう」とありえない不可能なことだと思った。そんな不可能なことを掲げるからその空間に縛りを、違和感を感じて息苦しくなるのだと思う。

ただ、誰しも秘密を持っていると、それは当たり前だと前提として改めて認識したけれど、それと向き合うべきなのか、できるだけ干渉しないのがよいのか、どちらがいいのかはわからなかった。干渉しない方が、程よく距離が保たれて表面的には良い関係が構築されるが、深さはない。一方で、干渉した方が複雑にはなり面倒だしリスクは高いが、解決されればそれは深い絆になる。

自分が家庭を持つときに何を大事にしたいのか、考えさせられた。そして、自分の育ってきた家族とは違う行動を取ろうとしても、反面教師を試みても、結局寄ってしまうから、もし本当に自分の親のようになりたくないなら時折立ち止まって振り返らないと気づけないと思う。そして気づくためには冷静に客観的にみないと、恐ろしいと思った。

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2024年01月28日

Posted by ブクログ

家族と言えど所詮他人で、ちょっとしたボタンの掛け違いや言いたくないことがあって当然だと思う。
登場人物それぞれの視点で描かれてるから、みんなにちょっとずつ共感できて、ちょっとずつ共感できない。だからこそ絵理子が雨の中壊れきった庭園を守ろうとする姿が痛々しくて切なくなった。
ただし馬鹿夫、お前だけは納得できねぇ。消えろ。

読後、D.A.N.のSSWBのMVを思い出した。本書の家族という枠組みがそのまま友達に置き換わったような感じなのでぜひ見てほしい。

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2024年01月07日

Posted by ブクログ

なんだか いつもの著者じゃない きもちわるいと思いながら ついつい先が読みたくなった。秘密のないにんけなんていないってよく 言われるけど、この本のように 普通な家族と思われる家族が こんなにも隠し事で生きているんだと。世の中はそんなものなのかな?

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2023年06月25日

Posted by ブクログ

郊外の団地に住む夫婦、娘、息子の4人家族。この一家のモットーは、「何事も包み隠さず、タブーを作らず、できるだけ全ての事を分かち合おう」というもの。いくら家族でも、言いたくない事の一つや二つあるが、このモットー故に、それぞれが隠し持っている事と理想の差に、ザワザワするものを感じずにはいられない。家族で、喜怒哀楽を共有し、何か悩みがあれば一緒に解決していくというのが理想的だとは思うけど、これって難しいのかも。この家族は、何かひとつボロが出れば、一気に均衡が崩れる危うさがあり、読んでてこちらが不安になった。

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2023年01月03日

Posted by ブクログ

面白かった。
一つの家の秘密が6人の視点で描かれる、
めっちゃ面白かった。やっぱ人は3Dなんだよな、私の前で見せてない顔も他の誰かの前では見せてるんだもんな〜、逆も然りですが。
秘密は他の誰かがいて初めて秘密となりうるって確かに、と思った。

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

全体を見たらごく平凡な家族も、
一人一人の視点から見たら、こんなにもたくさんの秘密や闇が
あるものなのかねぇ


6人の視点から見た連作小説になっていて、
ある章に出てきた人物が、別の章では主人公になっている
そうやってまたがった時の印象の違い。
これ自体が人間の不思議さを表しているね


この家族だけが特別なのではなく、
どんな家族もこういう姿を持っている
ひょっとしたらうちの家族も… なんて考えると非常に怖い笑

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2023年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前に読んだけど…と読み返したらどうも途中でギブアップしてたようで、後半全く覚えてませんでした。
隠し事のない4人家族の京橋家。でもそれぞれ秘密があって…そこにおばあちゃんと父親の不倫相手も加わりワチャワチャします。
登場人物のキャラクターにもクセがあるし、内容もうっすらとグロテスクな感じがして…少ししんどかったなぁ。

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2025年08月21日

Posted by ブクログ

6人の視点でひとつの家族が描かれる連作短篇集。角田光代さんの頭の中はどうなっているんだろうってただただ感心しながら読ませていただきました。

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2025年06月16日

Posted by ブクログ

自分も、自分の家族にもこういうところあったかもなぁと思いながら読み進めた。全部を打ち明けなくても別にいいよね。とはいえこの家のお父さんだけには共感できず。笑

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

家族っていいよね。と言いたいところだが、家族であっても他人は他人、1番小さい核である家族でさえ、実際やってる事や考えている事は全く未知なのだから、わかり合おうとか慣れ合おうなんてしなくて、良いんだな。と思ってとても気が楽になった。
協調性や同調意識が全く無駄で下らないと思っている私にとっても、しかし家族となると、祖父祖母や父母の思考に合わせることが正しいと思っていたし、それが孝行と言うものだと思ってきたけど、別にそんなもの尊いものでも何でも無くて、他人は他人。ただ、家族ってだけで、楽しい時も辛い時も、目があったら微笑み合える。そんだけで、十分良いんだな。と。そんな感じ。

表層は綺麗に整って見える家族でも、深いところでは壊れてしまっている。みたいな表現をされるのはよく分かるけど、これが何かおかしなことの様に捉えるのは、違うと思うな。壊れてるんじゃない、人って誰だってこんなもんでしょ。家族として、うまく表層取り繕ってるだけ全然マシだと思う。

1つの塊を色んな視点から見れること、景色の鮮やかな表現とは裏腹の、その景色を見ている登場人物の彩度が低くて濃度の高い感情の対比が、面白くってなんだか一気呵成に読んでしまった。

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2025年05月16日

Posted by ブクログ

家族同士隠していることはひとつはあるであろう。窓越しに映る母親の描写が印象的だった。どんな家庭にでもお互いへの隠し事、そして母娘はとことんズレが生じやすい関係性なのかなと思った。テーマはすきだけど、なんとなく読みにくい、ずっと明るいのにくらい印象の本

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

一見、ごく普通の家庭を営んでいる京橋家。
ただ一つ、特異なのは家族間で隠し事をしないルールがある。
この作品は登場人物6名の視点を各章で描かれている。各視点から読み進みていくと現実的な真実が浮き彫りとなって現れてくるのが面白かった。

物事は表裏一体であって、隠し事を一切無くすことは難しいと感じた。

性的要素が多く少し疲れてしまった。
作中でも紹介されている『対岸の彼女』が光であるならこれは影の作品。
私は光の方が好きかも。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

『愛がなんだ』を先に知ってからこれ読んだから思ってたイメージと違った。恋愛ものやと思ってたからマナの話が掘り下げられていくんかな〜と思ってたら家族の話やった。マナとラブホ行ったけど出来んくてその後から自然消滅にしてきたもっきーくんのことだけがずっと引っ掛かってる。なんで無視すんの??後おばあちゃんの章が1番うわあってなった。自分と似てるからかな。

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2024年07月06日

Posted by ブクログ

“家庭内に隠し事は一切しない”と言うルールが敷かれた家族と、そこに関わる人たち6人の視点で描かれている光と影の物語。

家族の闇を覗き見している様な不気味な感じ。そしてとてもリアルだった。
側から見て幸せそうな家族だが、実は人には言えない秘密や嘘がある。それでも各々仲良し家族における自分の役割を理解し、秘密を隠しその役を演じる。その姿は痛々しく感じたが、程度の差こそあれどどの家族でもあるよねとも思う。

幸福の家庭と、幸福を装っている家庭は案外紙一重なのかもしれない。

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2024年06月30日

Posted by ブクログ

隠し事はしないがモットーの一家の物語。
それは建前で、実際はそれぞれが秘密を抱えて生活していたという内容。
ひとつの家族を遠くから観察しているような気分になる作品。
映画化されているのでそちらもすぐに見てみたいと思った。

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2023年08月05日

Posted by ブクログ

歪だなあ、、。

一見幸せに見える家族がそれぞれ家族に見せない(つもりの)秘密を持ってぐるぐるしてる話。
解説で夫がこき下ろされていたが、情けなくても結局愛されてるじゃないかと思ってしまったのは私だけだろうか。
そこはかとない愛があることはやっぱり感じるから、絶望というよりは暗いなあっていうのが感想です。

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2023年07月01日

Posted by ブクログ

秘密のない家族なんて中々成立しなさそうに感じました。
家族に対する裏切りの秘密でなかったらあってもいいし、裏切りの秘密であってもバレなきゃいいのでしょうか。

「さっき聞いたコウの言葉を思い出す。外部の人間には閉ざされたオートロック式のドアが、自由に出入りできる家のなかに存在している。」

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2023年02月05日

Posted by ブクログ

「何ごともつつみかくさず」をモットーとしている家族という感じで始まる、家族それぞれの視点をもとに描かれた短編集。
異なる視点で描かれていく一つの家族という面白い設定なのですが、個人的にキャラクターにあまり魅力を感じることができず、ダラダラと読み終えてしまいました。

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2022年12月04日

Posted by ブクログ

隠し事のない家庭にしよう!と娘の生を授かった場所を聞かれたらあっさり近所にあるホテル野猿っていうことまで包み隠さず答えるような家族とその周りの人たちそれぞれ6人の視点が書かれた短編集

父は二人の愛人がいて、
母は自分の母を嫌悪していて早く逃げ出すために計画的に父と妊娠して理想の家族を作ろうと必死になっていて、
高校生の娘はショッピングセンターで会ったキモい親父とラブホで行ったりしてて(このエピソードが一番よくわからなかった。)
他は中学生の息子、母方の祖母、愛人視点

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2022年11月28日

Posted by ブクログ

この話は極端だけれど、家族というのは、そういうもの。家族、学校のクラス、部活、会社の部署、プロジェクトメンバー、バイト仲間。いろいろある社会の集合体で、無理やり内を向いて成り立たせなければならない。
それぞれの章を読むと、この登場人物たちの誰も悪く思えない。ただ、私は女性なので男側にはやっぱり少し腹立たしさを感じる。
後味はよくはないけど、進研ゼミの無料電子書籍にあったので、角田さん好きだし、読んでみた。

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

家族それぞれに抱えている苦しみがあり、章ごとに語り手が代わりながら秘密が明かされていく。
個人的には毒親に育てられて今も尚その呪縛から逃れられない母親が気の毒で胸がもやもやした。
父親のダメ男っぷりも気持ち悪い。
内容はおもしろいけど読んでいて全体的に口の悪い表現が多く、読みやすいけど品がなくて気になってしまった。
心地よく活字を楽しむ作品ではない。

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2022年07月30日

Posted by ブクログ

角田光代さんの作品。
家族みんな隠し事なしとしていても、一人一人みんなが隠し事を持っていて、少しずつ時系列が進みながらそれぞれの目線で描かれる。
なかなかどの人にも感情移入しにくかった。。

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2022年07月24日

Posted by ブクログ

家族6人の視点で紡ぐ短編連作。出だしから笑わしてもらい、標題作以降は黒々とした息が詰まる展開。最終編の落としどころは...。
家族というものと今一度、向き合うことのできる良作でした。

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2022年06月13日

購入済み

気楽に、面白い

読み直したくなるほどではないのですが、一気に読みきりたくなる、テレビドラマ感覚に面白かったです。

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2014年08月20日

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